海外情勢
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社会 2022年06月20日 06時00分
BTSの米人気は主にアジア系の支持? コロナ禍後も続くアジア人差別、負傷者が出る事件も急増
日本時間6月1日、韓国の男性アイドルグループBTSがホワイトハウスに招待され、バイデン大統領と会談。新型コロナウイルスの感染拡大以降問題となっているアジアンヘイトの深刻さを訴えた。 アメリカの大統領が他国のアーティストをホワイトハウスに招くのは異例のことで、BTSの招待が決定した際は「アメリカで人気はあるけどほとんどがアジア系からの支持」「BTSと大統領のどちらにとってもただのPRだった」といった声もアメリカ国内ではあった。しかしながら、ただのPRとは到底言えないほど、特にアメリカではアジアンヘイトが重大な社会問題になっているようだ。 >>多額の誤送金問題、海外では「町側が無能」「人生を変えられた男性に同情する」の反応<< 海外ニュースサイト『Health Affairs』によると、連邦捜査局(FBI)はパンデミック以来、アメリカでアジア人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が2019年から2020年にかけ、前年比で77パーセント増加したと2021年8月に発表した。また、2020年3月から2021年6月までの期間に9000件を超えるアジア人に対するヘイトクライムが報告されたという。新型コロナウイルスの流行が顕著になった2000年の春頃は日本でもアジア人が海外で差別されていることが話題となった。それ以降、アジア人の差別に関して大きく取り上げられることはないが、新型コロナへの恐怖が収まりつつある現在でもアメリカを中心とした海外では深刻な問題であるようだ。 2022年5月には、アメリカ・テキサス州のコリアンタウンで、アジア系アメリカ人が運営するヘアサロンが襲撃され、3人のアジア人女性従業員が負傷する事件が起きた。海外ニュースサイト『AP NEWS』などの報道によると、36歳(一部報道では37歳)の男が銃を発砲したという。命に別状はなかったとのことだ。警察は男の動機について、「男は“アジア系人種が自身に危害を加えようとしている”という妄想を抱いていた」と明かしている。事件はヘイトクライムの可能性があるという。 またアメリカ・ニューヨーク州では連続してアジア人が攻撃される事件が2022年3月に起きている。海外ニュースサイト『NBC New York』などによると犯人は28歳の男で、1日で7件のアジア人襲撃事件を起こしたという。男は同州の通りで57歳の女性の顔を殴った後、その約10分後に別の通りで25歳のアジア人女性の顔と腕を殴った。その約5分後には別の場所で21歳のアジア人女性の顔を殴り、また約5分後に別の19歳のアジア人女性を殴るなどした。被害に遭ったのは19歳から57歳までのアジア系の女性7人でいずれも男と面識はなかった。警察はアジア人差別による事件と認めた 同じくアメリカ・ニューヨーク州では2022年3月に、42歳の男が年配の女性を100回以上殴る事件が起きた。海外ニュースサイト『Law & Crime』などによると男は、女性が家に入る瞬間に殴りかかり、女性に対して「アジアの犬」などと差別的な言葉を言ったそうだ。女性は顔の骨を折って重傷。男と女性に面識はないとみられている。警察が駆けつけた際、女性は血だらけで倒れていた。 事件が頻発し、アメリカ在住のアジア人からは「電車に乗った時に国に帰れと言われた。それ以降できるだけ電車は避けている」「道でつばを吐かれた。怖くていつも恐怖を抱えながら外を歩く」といった声が挙がっている。「アジア人だからといって嫌な思いはしていない」という声もあり、全てのアジア系がアジアンヘイトを恐れ、実際に被害を受けたわけではないものの、アジア人がコロナ禍前のように過ごすことができていないのは事実のようだ。 ニューヨークなどの大都市では、定期的にアジア人差別をなくすためのデモなどが行われ、人気子ども番組「セサミストリート」では初のアジア系キャラクターを採用するなど、問題を深刻に捉えた取り組みも進んでいる。 アメリカほどではないものの、カナダやフランスでもコロナ禍以降、アジア人というだけで差別を感じることが多くなったという声もSNSなどで寄せられている。当事者である日本人も、アジア人差別について今一度深刻に向き合うべき時なのかもしれない。記事内の引用について「COVID-19 Has Driven Racism And Violence Against Asian Americans: Perspectives From 12 National Polls」(Health Affairs)よりhttps://www.healthaffairs.org/do/10.1377/forefront.20220411.655787/「Dallas police: Shooting at Koreatown salon may be hate crime」(AP NEWS)よりhttps://apnews.com/article/crime-shootings-dallas-hate-crimes-201e2dbce94bdd6329e0df6d02b39ca1「Suspect in Anti-Asian Attack Spree Charged With Hate Crimes After Barricading in NYC Library」(NBC New York)よりhttps://www.nbcnewyork.com/news/local/crime-and-courts/nypd-arrests-person-of-interest-in-connection-to-string-of-anti-asian-attacks/3580177/「Man Punched 67-Year-Old Asian Woman 125 Times in Hate Crime Attempted Murder: Police」(Law & Crime)よりhttps://lawandcrime.com/crime/man-punched-67-year-old-asian-woman-125-times-in-hate-crime-attempted-murder-police/
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社会 2022年06月06日 06時00分
多額の誤送金問題、海外では「町側が無能」「人生を変えられた男性に同情する」の反応
4月8日に発覚した山口県阿武町での誤送金事件。ことの発端は、阿武町が新型コロナウイルス対策関連の給付金として4630万円を誤って同町に住む男性に振り込んでしまったことだ。最終的に男性は逮捕され、決済代行業者が支払いをして4300万円が町に返金されたとされている。 日本では連日多くのメディアがこの事件について報じていたが、海外ではどうなのだろうか。海外でも、アメリカやフランス、マルタ共和国といった国で一部メディアが事件について報じていたものの、日本のメディアのように男性の過去を深掘りすることなどはなく事件が簡単に紹介されていたのみだ。 >>著名人の死去報道、他国に比べ美化し過ぎている? 日本人の意識に苦言を呈す外国人も<< 日本の誤送金のニュースが海外であまり注目されていない理由の一つは、海外では誤送金がしばしば起こっているからかもしれない。2019年9月にはアメリカ・ペンシルベニア州でとある夫婦の口座に、銀行の手違いで12万ドル(約1559万円)が誤送金されたと海外ニュースサイト『BBC』などが報じている。夫婦は複数台の車などを購入し、12万ドルのうちのほとんどを使い切った。銀行の返金の求めにも応じなかったことから、夫婦は窃盗罪などで逮捕されている。 また2017年4月にはアイルランドで当時23歳のシングルマザーの女性が銀行からの誤送金によって5万1000ユーロ(約708万円)を受け取ったことが報じられた。海外ニュースサイト『Mirror』などによると、女性は2人の子どものために衣服や靴などを買ったほか、毎晩、友人や家族を招いて外食をしたそうだ。銀行側が女性に返金を求めたものの無視してしまい、女性は訴えられ有罪が言い渡されている。 さらには2017年9月、南アフリカ・ケープ州で、当時27歳の女子大生が、誤送金によって1400万ランド(約1億1718万円)を受け取ったと海外ニュースサイト『EWN』などが報じている。送金元は国の奨学金制度機関で、学生に誤って送金してしまったそうだ。学生は機関に報告することなく、誤って振り込まれた金でiPhoneを購入したほか日常的にパーティーをして過ごした。その後、機関は返金を求める手続きを行ったが、返金がされたのか情報はなく、学生が逮捕されたという報道も出ていない。 日本では誤送金のニュースが報じられた際、世論は誤送金を受けた男性の非常識さを責める声が多く、男性が“昔からお金に執着していた”と男性の非を大々的に報じるメディアも多かった。しかし海外では今回の日本の誤送金のニュースに対して、日本とは全く異なる反応をしているようだ。 ネット上では海外から「悪いのは誤送金した側」「町側が無能」「男性が責められている日本の報道を見るたびに驚かされる」「勝手に人生を変えられた男性に同情する」「男性側が名誉毀損で逆に訴えることもできるかも」といった声が挙がり、誤送金をした側を責める声が多い。一部では「自分のお金でないのに使うなんて愚か者」と男性を批判する声もあるが、多くはない。 また事件が解決する以前は「お金は返ってこないだろう」「男性がお金を使っていても驚かない」などの声があり、決済代行業者の支払いによるもののいくらかの金額が返ってきたことに対して驚きの声があるほどだ。 海外の反応のように、男性は誤送金がなければ違う平穏な人生を歩んでいたかもしれない。しかしながらどんな理由があろうと他人の金銭を勝手に使用することは許されることではないだろう。記事内の引用について「Theft charges for couple who spent $100k from bank transfer mistake」(BBC)よりhttps://www.bbc.com/news/world-us-canada-49643015「Single mum on benefits went on "massive spending spree" after bank accidentally deposited £43,000 in her account」(Mirror)よりhttps://www.mirror.co.uk/news/world-news/single-mum-benefits-went-massive-10160158「SIU TO INVESTIGATE WSU STUDENT AFTER R14M BUNGLE」(EWN)よりhttps://ewn.co.za/2017/08/31/siu-to-investigate-wsu-student-after-r14m-bungle
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社会 2022年05月16日 06時00分
著名人の死去報道、他国に比べ美化し過ぎている? 日本人の意識に苦言を呈す外国人も
「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さんが亡くなったことが5月11日に分かり、テレビやネット上では上島さんの訃報を伝えるニュースが多く報じられた。相次ぐ芸能人の自殺報道。しかし行き過ぎた報道もあり、5月11日には松野博一官房長官が言及。「相談窓口を併せて報道するなどの対応を厚生労働省から報道機関にお願いをしている」などと話し、著名人の自殺報道が場合によっては自殺を誘引する恐れがあることなどを警告していた。 各国の報道機関は世界保健機関(WHO)が定めたいわゆる「自殺報道ガイドライン」を踏まえ、自殺に関するニュースを伝えている。ガイドラインでは「自殺の報道記事を目立つように配置しないこと」「自殺に用いた手段について明確に表現しないこと」「自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと」などと定めているが、日本ではまだまだ行き過ぎた報道が目立つようだ。だが、他国では状況が異なるという。 >>ニュース番組の芸能人コメンテーターは変? 海外では「分からないなら見るな」、専門家が淡々と説明する国も<< ほとんどの国がWHOのガイドラインに従ってはいるが、それに加え、独自の規制を設けている国も少なくない。オーストリアでは1987年に精神科の専門家らが自殺報道の方法を定めたガイドラインを設定。きっかけとなったのは地下鉄での自殺が増加したことだった。それまでは地下鉄での自殺が未遂を含め年に1、2件だったのが、1984年頃から増え始め、1987年頃までには最大年約20件にまで急増。その原因はメディアが自殺をセンセーショナルに報じたことであると考えられた。 こうした状況を受け、1987年に精神保健の専門家らが自殺を報道する際のガイドラインを設定。ガイドラインでは1面に自殺報道を掲載しないことや、自殺者、自殺行為を美化する描写や表現をしないことなどが定められた。ガイドラインが設定された後は自殺数が激減し、地下鉄内を含め、全体の自殺率を減らす効果があったという。現在もこの規定は守られており、同国の自殺対策支援団体もメディアの自殺報道を支持しているようだ。 またアメリカや韓国も見出しに「自殺」という言葉の記載を避けることなどの規制を独自に設けている。アメリカでは精神科研究所や自殺防止委員会などがガイドラインを作成したが、現状、ガイドラインを守りきれているかというと、そうではないという声もある。韓国のガイドラインは韓国記者協会が作成。ただし韓国でも守られていないことが多く、センセーショナルな報道も珍しくはないようだ。 一方、自殺について淡々と報じる国もある。ドイツでは、コロナ禍真っただ中の2020年3月、ヘッセン州シェーファー財務相の自殺が大体的に報道されたが、多くのメディアが「自殺」という言葉を使用して報じた。近年、日本ではあまり“自殺”という文字を入れた報道を見かけないが、ドイツではタイトルに“自殺”という言葉を入れた報道も少なくはなかった。また、財務相の自宅やゆかりのある人への取材などはなかったが、財務相の功績をたたえるコメントを紹介している記事もあった。 これについて現地在住のドイツ人は「自殺に関する報道は、とても慎重にされていると思う」とした一方で、「自殺という言葉を使って報じるのは、自殺の真実などプライベートなことを除いて、事実をあやふやにせず、きちんと知りたいというドイツ人の気質もあるかもしれない」と分析。“自殺”という文字の衝撃が「ないわけではない」というが、「ドイツ人は自己肯定感が高い人が多く、メンタルも強いと思うし、報じるメディアもその気質を知ってのことだと思う」と推測した。 日本で自殺に関するニュースを見るたびに「日本は自殺を美化するような報道が多く、日本人は自殺を肯定的に捉えているのではないかとさえ思った」と明かす、日本に数年住んだことのあるという別のヨーロッパ出身者もいる。自殺に関する報道が人々に与える影響は決して小さくはない。報道の在り方がより問われる時代となっているようだ。厚生労働省、各都道府県では悩みを抱えた人の相談窓口を設けている。詳細はこちらから。・厚生労働省 相談先一覧https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php
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社会 2022年05月03日 06時00分
マスク着用撤廃で、必要なくなったと耳を切り落とす 男性は全身の改造60回以上
新型コロナウイルス感染防止のための規制の緩和が各国で進みつつある今。緩和は大胆な整形のきっかけの一つにもなったようだ。 ブラジル・サンパウロ州で整形を繰り返している44歳の男性が、このほどコロナ禍によるマスクの着用義務が撤廃されたことを受け、耳を切り落としたと海外ニュースサイト『Mirror』と『LADbible』などが4月14日までに報じた。男性が住むサンパウロ州では、3月9日より屋外でのマスクの着用義務が解除され、3月17日より公共交通機関や医療機関以外での屋内でのマスクの着用義務も解除された。 >>ワクチン証明書を偽造した男、妻の上司にバレ妻と3人の子どもを殺害 逮捕され家族離散を恐れ犯行<< 報道によると、男性は過去約10年間で60回以上にわたって全身を整形していたという。額や頭に角を生やす整形手術を受けたほか、歯を銀色にし、エイリアンのような手に見せるために指を1本切り落とし、へそを取り外していた。さらに男性の体の85パーセント以上はタトゥーで覆われている。整形を繰り返す男性は、現地で有名で「ヒューマンサタン(悪魔人間)」と呼ばれていた。 2022年4月、男性は両耳を切り落としたことを地元メディアで発表した。男性は同州でのマスク着用義務が解除されたことを受けて、耳が必要なくなったとして、祝福の意味も込めて両耳を切断したという。男性はコロナ禍以前から耳を切断する整形手術を考えていたが、コロナ禍でマスクをするために耳が必要で、切断することはできなかったそうだ。 『Mirror』は耳を切断した後の男性の顔写真を掲載しているが、左右どちらも、耳の上部のみ5ミリから1センチほど残っているものの、それ以外は耳たぶも含めほぼ切り取られている。耳は埋め込まれているように見え、耳の穴などは確認できない。1センチほど残っている耳の上部から鼻にかけて、鎖のようなピアスがつながれている。 なお、男性の顔の額から眉間のあたりと頭部に数本、5センチほどの白い角が生えている。男性はモヒカンで、髪の毛は頭の中央部にしかない。頭部には角のほかにもコブのような凹凸がある。顔面の大部分にタトゥーが施され顔は黒色である。眼球は赤色で、口にはいくつかのビアスをし、両口元から牙が数本出ている。くちびるにもタトゥーが施され、黒がかっている。 海外ニュースサイト『Slate』は、耳を切断すると聞こえにくくはなるものの、完全に聞こえなくなるわけではないと説明している。ただし、音が聞こえる方向を把握することは難しい。また『Mirror』は、男性が過去に受けた整形手術により体に危険が及んでいることにも触れている。『Mirror』によると、男性は眼球にタトゥーを施したことで失明の危機にさらされているそうだ。 なお、男性には結婚して約10年になる33歳の妻がいて、妻も体の約34パーセントにタトゥーなどを入れている。 このニュースが世界に広がると、ネット上では「マスクをする必要がなくなったから耳を切り落とそうという考えが不思議」「写真を見たけど、耳がないことは違和感だけどそこに注目がいかないくらい顔全体が改造されすぎていた」「タトゥーも含め、体を傷つけようと思う人の気持ちが分からない」「整形をしすぎてもはや止められなくなっているのだろう」「なにかしらの心の病気ではないか心配になる」といった声が挙がっていた。 コロナ禍の緩和は思いもよらぬところにも影響を及ぼしているようだ。記事内の引用について「Extreme modification addict 'Human Satan' has ears amputated to mark end of facemasks」(Mirror)よりhttps://www.mirror.co.uk/news/world-news/extreme-body-modification-addict-dubbed-26705125「Man Dubbed 'Human Satan' For His Extreme Body Modifications Has Ears Amputated」(LADbible)よりhttps://www.ladbible.com/community/man-dubbed-human-satan-for-extreme-modifications-has-ears-removed-20220414「Can You Hear Without Ears?」(Slate)よりhttps://slate.com/news-and-politics/2007/03/can-you-hear-and-smell-if-they-cut-off-your-ears-and-nose.html
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社会 2022年04月25日 06時00分
「戦争反対」生放送で抗議したロシア人女性、ドイツメディアの特派員に 現地では解雇を求める運動も
ウクライナ侵攻を続けるロシア。ロシアに都合の悪い報道や市民の声を封じるため、当局は一般人やメディアに厳格な言論の規制を導入した。そんな中、世界中で話題になった一人の女性がいる。ロシア政府系テレビ番組の編集者であるマリーナ・オフシャンニコワ氏だ。 3月14日、オフシャンニコワ氏はロシア政府系のニュース番組で、突然カメラの前に現れて「戦争反対」のメッセージを掲げて抗議。この行動によってオフシャンニコワ氏はロシア治安当局に身柄を拘束され14時間にわたり取り調べを受けた。その後、3万ルーブル(約4万5000円)の罰金を科せられたのちに釈放された。現在は弁護士をつけて対応中だが今後、刑事罰に問われる可能性もあり、その場合は刑務所に収監されるかもしれないという。勤務していたテレビ会社は自ら退職したとオフシャンニコワ氏自身が明かしている。 >>ゼレンスキー大統領に批判されたドイツ、国民の反応は? ドイツ首相にも批判の目が向いたワケは<< そんな最中、4月11日にドイツ大手メディアの「Axel Springer」が「Die Welt」紙で、オフシャンニコワ氏がフリーランス特派員として記事を執筆することになったと発表した。ロシアとウクライナ関連の記事を書くそうだ。ただ、現段階ではドイツに移住するという情報はなくロシアにとどまりながら記事を執筆するとみられている。 現地ドイツでは、オフシャンニコワ氏がロシアのテレビで抗議活動をした直後「素晴らしい女性」という声のほか、「なんとかドイツで保護できないか」という声もあった。そのため今回オフシャンニコワ氏がドイツメディアで働くことが決まると「ほかのメディアでは知り得ない現実を知ることができる」「思い切って事実を伝えてほしい」と期待する声が多い。 そんなオフシャンニコワ氏はすでに2つの記事を執筆し、「Die Welt」内でドイツ語で公開されている。 最初の記事は4月11日に公開され、自身が抗議した理由やその後について紹介。今後さらなる罰金を科される可能性があることや、黙ってウクライナ侵攻を見届ける選択は自分にはなかったことを告白していた。 2つ目の記事は4月15日に公開され、ロシア政府系テレビ局の報道やロシア社会の現状を紹介。ロシア政府系のテレビ局は政府にとって都合のいいことばかりを報道しており、その時に使える単語は限定されていたこと—例えば「戦争」ではなく「特別軍事作戦」という単語を使用して報道しなければならなかったこと—、また現在、ロシアで平和主義者は裏切り者と呼ばれていることなどが伝えられている。多くのドイツ人が記事を引用してSNSに投稿しており、「読んでほしい」「信頼できる記事」というコメントが寄せられるなど反響は大きい。 一方で、否定的な声が全く出ていないわけではない。現在ロシアから出て別の国で働いていると思われるほかのロシア人ジャーナリストからは「彼女の行動は敬意に値するがロシアでリスクを冒して他国に渡ったのは彼女だけではない」「ほかにも数十人のロシア人ジャーナリストがヨーロッパで仕事を探している」といった声がSNSを通じて出ており、オフシャンニコワ氏が特別扱いされていると感じている人もいるようだ。 またドイツ国内でも一部のメディア関係者らがSNS上で「彼女は最近までロシアの嘘を作り上げる一人だった」「彼女が何年もプロパガンダで働いていたという事実はどうなるのか。同紙の評判を台無しにしなければいいが」と発信し、オフシャンニコワ氏の過去を疑問視する人も少なくはない。実際、現地ではドイツ在住のウクライナ人らが「Axel Springer」社の前に来て、過去にオフシャンニコワ氏の解雇を求めるデモ活動をしているという報道も出てきている。 ドイツ在住の日本人は、ドイツ人は多くの人に反対されながらも意見をはっきりと言う人が好まれるため今後活躍が期待されるとしながらも、「ドイツ人はメディアにだまされることなく自分の目や耳で聞いたものを信じる傾向にある。そのため”流行”のような形でオフシャンニコワ氏を受け入れることは考えづらく、今後シビアに彼女の記事を見て判断していくこととなるだろう」と分析した。 オフシャンニコワ氏の抗議は素晴らしいといえよう。しかし彼女がドイツで受け入れられるかどうかは、彼女が発信するものを見てからになりそうだ。
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社会 2022年04月11日 06時00分
ウィル・スミスの平手打ち騒動、同情の声は日本だけ? クリスの過激ジョークに批判が少ないワケ
ウィル・スミスが「第94回アカデミー賞」授賞式の壇上でコメディアンのクリス・ロックを平手打ちした騒動は世界中で話題になっている。ことの発端は、ロックが脱毛症であるウィルの妻・ジェイダの髪型をネタにしたジョークを言ったこと。このジョークを聞いてウィルはその場から立ち上がってロックに近づき、平手打ちをしたのだ。 暴力は許されないことであるが、日本ではウィルに同情する人の方が圧倒的に多く、「ウィル・スミスはかっこいい。正しい行動だと思う!」「私はウィルよくやった!って気持ち。あんなすてきな場で司会者は奥さんもウィルもどちらもひどく傷付けたんだから仕方ない」などの声が挙がり、中には「こんな旦那だったらいいな」という声まで出ていた。日本の報道でもウィルに同情する報道がほとんどだ。 >>ゼレンスキー大統領に批判されたドイツ、国民の反応は? ドイツ首相にも批判の目が向いたワケは<< しかし現地アメリカでの反応は異なるようだ。アメリカのSNSを見ると「手を出すのは問題」「みんなの目の前でたたかれたロックは不憫」という意見が多数で、ロックに同情する人がほとんど。暴力は決して許されないというのがアメリカ人の大意のようだ。 一方で、アメリカ人がロックに同情する背景にはアメリカの文化も関係しているようだ。アメリカでは今回のロックの発言を“ブラックジョーク”と捉えており、ブラックジョークは悪いこととは思われていない。 例えば2016年、当時アメリカ大統領だったオバマ氏が記者会夕食会で、次期大統領のドナルド・トランプ氏について「(彼は今日の夕食会に来なかったが)何をしているのだろう。アンゲラ・メルケルの悪口でもツイートしてるのかな」と発言した。 2020年の第77回ゴールデン・グローブ賞授賞式では、司会のリッキー・ジャーヴェイスが、若い恋人がいるレオナルド・ディカプリオを「(未成年買春疑惑のある)アンドルー王子でさえ、『レオ、何やってるんだ』と言うよ。『レオ、もう50歳だろ』ってね」と紹介。かん高い声の俳優、ジョー・ペシを「ベイビー・ヨーダ…あ、違った! ジョー・ペシさんだ!」と紹介し笑いを誘っていた。現場では笑いが起き、騒動になることはなかった。 アメリカ在住の日本人は、今回のロックの発言がそこまで問題視されなかったことに対し「アメリカでは特にセレブに対するブラックジョークは日常茶飯事。悪口や皮肉を直接言うより、ジョークに置き換えることで、相手も周りの人も傷つきにくいと思われています」と説明。「またブラックジョークを言うには相手のことをよく知っていないと言えないので、ブラックジョークを言うことはある意味、礼儀のような面もあると思います」と分析した。 とはいえ、アメリカでもSNS上では「ロックの発言はジョークではなくヘイトスピーチだ。このジョークは身体的な暴力よりひどいものだった」「テレビを観ていた人も含め、何百万人もの人の前で病気について言うことは間違っている」「コメディアン(クリス・ロック)ならなんでも言っていいという風潮自体が嫌だ」とロックに対する非難の声も出てきている。 アメリカのニュースサイト『USA TODAY』は、今回の騒動について「ロックの冗談はいじめのようだった」「ウィル・スミスを気の毒に思う人はほとんどいないが、病気についてのジョークはエッジの利いたジョークでは済まされない」と指摘している。 なお、ヨーロッパもアメリカと同様の反応だ。ドイツやフランス、スペインでも「ロックがかわいそう」「ウィルの暴力は許されない」との声が多く、ロックに対する同情の声が多くを占めている。 「ヨーロッパでロックに同情が集まるのは、暴力は悪いことだと幼い頃から徹底的に教育されているからだと思う」。そう語るのは、ドイツに住む日本人だ。EUでは暴力にかなり敏感で、特に子どもに対する影響を恐れている。その歴史は深く、フランスでは1987年に「ドラゴンボール」、「北斗の拳」、「キン肉マン」などの日本のアニメが放映されたが、暴力シーンが多く世間から批判の声が多く出たため少しずつ放映されなくなった。現在でも、暴力シーンのレベルによって視聴できる推奨年齢が定められており、暴力が多いアニメを含めた番組は精神を傷つける可能性があるとして、10歳以下の子どもの視聴が推奨されない。 またドイツでも日本のアニメが放映される際は流血シーンがカットされることも多い。アニメの『NARUTO』は鼻血も含めた流血シーンがカットされている。日本で旋風を巻き起こした『鬼滅の刃』はドイツで上映され一部のアニメファンの間では注目されたが、全体的な盛り上がりには欠け、日本とは異なり子どもの間であまり話題にならなかった。その理由は、映画自体が16歳以上しか見られなかったことと、暴力的な映画を子どもに見せることに抵抗がある人がほとんどだったため、情報自体があまり広まらなかったのだ。 海外ではウィルに対しては批判の方が多いようだが、理由をひも解けば日本人が納得する面もあるかもしれない。記事内の引用について「As a Black man, I hate to see what happened with Will Smith and Chris Rock. But it can be a teachable moment」(USA TODAY)よりhttps://www.usatoday.com/story/opinion/columnists/2022/03/28/smith-and-chris-rock-another-reason-focus-mental-health/7190731001
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社会 2022年03月28日 06時00分
ゼレンスキー大統領に批判されたドイツ、国民の反応は? ドイツ首相にも批判の目が向いたワケは
23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説をした。アメリカ連邦議会での演説では、日本の名前こそ出さなかったものの1941年の真珠湾攻撃を思い出すようにと促していたため、日本が批判を受けるのではないかと考える人もいた。しかしふたを開けると、日本での演説は総じて日本への感謝を伝えるもので、日本国民の多くは演説を好意的に受け取ったようだ。 一方、演説で真っ向から批判を受けたのはドイツである。ゼレンスキー大統領は17日にドイツの連邦議会でオンライン演説をしたが、そこでゼレンスキー大統領は、ドイツがロシア産の天然ガスを輸送する「ノルドストリーム2」の計画を進めてきたことなどを“自国の経済を優先させた政策”などと批判したのだ。 >>ウクライナ大統領国会演説の動きで思い出される、感動を呼んだブータン国王スピーチ<< とはいえ、真っ向から批判されたにもかかわらずドイツ国民の反応は冷静なようだ。SNSでは「難民を受け入れるなど我々にできることはしているのに困惑している」「ドイツはやるべき制裁は科した」と反論する人もいたが「常に犠牲者の言うことには耳を傾けるべき」「世界に恥じない行動をしてほしい」と前向きに捉えている人も少なくはなかった。 このような反応が意味していることについて、ドイツ在住の日本人は「ドイツでは言いたいことは言うのが正しいとされているので、批判が悪いことだと受け取られていないのだと思います。もしかすると、ゼレンスキー大統領はこのようなドイツの文化を理解して演説の内容を精査したのかもしれません」と話す。 逆に、言いたいことは言うべきという文化が、ドイツのショルツ首相にマイナスの影響を与えたようだ。 オンライン演説でゼレンスキー大統領は「ショルツ首相に言いたい。ヨーロッパに今ある壁を壊してほしい。後世が誇れるようにドイツにふさわしい指導的な役割を果たしてほしい」と呼びかけた。このようなこともあり、ドイツ国民はショルツ首相が演説に対して何も言葉を発さなかったことを問題視しているようだ。 各報道機関がアップした公式動画などを確認すると、演説後、ゼレンスキー大統領の退席後にスクリーンは消され、ほとんどの議員が席を立って拍手をしていた。その後、進行役と思われる女性が補足説明をし、ここで一度演説については区切りとなるのだが、動画でショルツ首相が真剣に話に耳を傾けている姿は見掛けるものの、意見を述べようという態度は見られない。 ドイツのニュースサイト『DER SPIEGEL』は、「議会でこれほどまでに厳しく政治的失敗について言及されたことはなかった」とした上で、演説後のショルツ首相の態度に対し「彼は何をしたか? ただ黙って座っていただけだった」と批判した。ドイツ国民からもショルツ首相に対し「ウクライナ人が苦しんでいることは理解できるが、ドイツとしての立場もあり、全ての要望には応えられないと言うべきだった」「スピーチで問いかけられたのに通常国会にすぐに戻るなんて恥ずかしい」「ショルツ首相は返答すらしなかった」などの声が挙がっている。 またメルケル前首相の名前を出し、「メルケルだったらロシアと話し合いが持て、こんな事態にはならなかったかも」「メルケルだったらその場で意見した」などの声も一部では出ていた。 多くの国で演説をしているゼレンスキー大統領だが、国によって反応は違うようだ。記事内の引用について「Tag der Würdelosigkeit」https://www.spiegel.de/politik/deutschland/deutsche-abgeordnete-und-selenskyjs-rede-im-bundestag-tag-der-wuerdelosigkeit-kommentar-a-80735ab1-925d-4452-bdb4-46d34479bf27
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社会 2022年03月14日 06時00分
数日でウクライナ難民受け入れのシステムを構築、なぜドイツではスピーディーな対応ができたのか
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続き、ウクライナでは多くの一般市民が被害を被っている。このような状況の中、ドイツ政府は3日までに軍事侵攻を受けて避難した全てのウクライナ市民を受け入れることを発表。現地メディアでは、鉄道などでドイツ各地に向かう難民らの姿が映し出されている。 「受け入れ発表から数日。すでに避難してきた人たちが安心できるシステムが出来上がっているドイツ政府のスピード感に驚きました」そう話すのは、現地在住の日本人だ。 >>北京五輪、失格の高梨沙羅を励ましたドイツ人は誰? 現地でも話題、日本人への意外な称賛も<< 受け入れ発表をしてから1週間弱。ドイツ各州では行政による難民ヘルプ用のHPと電話番号が開設され、難民がドイツに入った後、どのような手続きを踏めばいいか明確に分かるようになった。具体的にはビザの必要性の有無といった手続きに関することから、滞在先の確保に至るまで、「到着したはいいものの今度どうすればいいのか…」という不安をできるだけ抑えられるようになっているのだ。 ほかにも主要駅では難民専用の窓口が開設され、そこでは早朝から深夜まで心理的なケアや今後のアドバイス、宿泊施設の案内が行われる。電話でも窓口でも、現地語が話せる人が対応。ボランティアで対応に当たっている人も多いようだ。 また行政だけではなく、ボランティアをしたい側の人に対する対応もスピーディーだった。難民ヘルプ用のHPなどが開設されたタイミングで、宿泊場所として自宅などを提供できる人の受付HPも設置。ボランティアをしたい人が路頭に迷わない仕組みも素早く出来上がった。 さらにドイツ国民が難民を受け入れる体制構築も早かった。政府の対応も早かったがそれ以前に難民が逃れてくる可能性があると知ると、主要駅では「うちに泊まれる」と書いたプラカードを持つ人の姿が見られ、積極的に難民を受け入れた。また政府のシステムが構築されてからも、保育園や学校を通じて各家庭に「困っている難民がいたら連絡をするように」という内容の連絡が届き、連絡先などが詳細に書かれていた。 Facebookも活用され、地域ごとに作られたグループでは「ウクライナから来てハウスクリーナーなどの仕事を探している」「母親と子どもを受け入れてくれる人はいないか」という情報が書き込まれている。こういった投稿に対しては多くの人が反応し、仕事を提供したり、宿泊先を一緒になって探したりしているようだ。 しかしなぜ、ドイツではここまで素早い対応ができるのだろうか。 「ドイツはすでに多くの難民を受け入れた過去があるからだと思います」。こう話すのは現地のドイツ人女性だ。 ドイツは2015〜2016年にかけ、シリアや他の中東から約90万人の難民を迎え入れた。難民受け入れに対して、当時はドイツ国内でも賛否の声があったが、「歓迎する」というプラカードを持って駅で待っていた人たちや難民をホームステイさせた人たちの姿を見て、当初は反対していた人が心を打たれたようだ。またその当時の経験があるため、政府も難民を受け入れるに当たってまず何が必要なのか分かっている。同時にすでに難民をケアしたことのあるボランティアも多いため、「最初に現地の言葉が話せる人を集めることが必要」など、現場で必要になることをすぐに理解できるのだ。ボランティア同志のネットワークも構築されており、スピード感を持って必要な人集めなどの対応ができる。 ただこういった対応がすぐに可能であることは、国民の意識も関係しているようだ。前出のドイツ人は「基本的にはドイツ社会は人道支援に積極的です。もともとドイツは移民が多いこともあり、周りに移民の友人などがいて他人事に思えないという気持ちもあるのかもしれません」と国民の感情を分析した。 現在、ドイツには4万人を超える難民がウクライナから逃れてきていると言われている。ボランティアで難民家族を受け入れた人は、彼らに食べ物を提供したり別の人から渡された洋服などを提供したりして、できるだけ安心できる雰囲気を作っているようだ。だが「夜になると怯えている様子が分かり、見ていると涙が出そうになる」と難民を受け入れたという人は語る。 とはいえ、難民がいる状況は決して好ましいものでなく、本来は自分の国で安心して生活できることが一番だ。1日でも早く平和な日々が戻ることを祈るばかりだ。
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社会 2022年02月28日 06時00分
北京五輪、失格の高梨沙羅を励ましたドイツ人は誰? 現地でも話題、日本人への意外な称賛も
20日に幕を閉じた北京五輪では、多くの感動とともに波乱もあった。中でもスキージャンプ混合団体でスーツの規定違反で高梨沙羅や、ドイツやノルウェーなどの5選手が失格となり、世界中に混乱を招いた。 日本でも検査官に対する怒りの声や高梨に同情する声が多く挙がっていたが、それと同時に注目されたのは、失格となって泣いている高梨の肩をさすり、そっとティッシュを差し出した一人の女性だ。この場面は偶然テレビ中継に映り、日本ではSNSを中心に話題になった。女性はユニフォームなどからドイツの関係者ということが分かり、ネット上では「おそらくドイツの選手。泣けるね、心温まるシーン」「ドイツは2回目進めなくてつらいだろうに励ましてくれてありがとうございます」というような声が多かった。そんな日本での声が、現地のドイツにも届いていたようだ。 >>カナダ五輪記者、日本人親子からの心温まる贈り物を公開 関係者に手を振る男の子も紹介し「これは魔法」感動の声続々<< ドイツでは“高梨を慰めたドイツ人のことが日本で話題になっている”と複数のメディアが報じている。報道をまとめると、この女性はドイツ代表に同行した28歳の理学療法士だったという。ドイツ人理学療法士が日本で話題になっていると報じた現地メディアの一つ『WELT』は、失格者を多く出した事態を「これほど多くの議論を引き起こした五輪はない」と非難。そして自国の選手とともに日本の高梨も失格になり「この日本人女性は手に負えないほど泣いた」と同情した。 その一方で、高梨を慰めた理学療法士が日本で話題になっていることを紹介。高梨を慰めている場面の動画が拡散されていると実際の投稿を交えて明かしつつ、「日本ではこのドイツ人がSNSで広く祝われている」と伝えていた。 同記事では高梨についても「高梨は世界で最も成功したジャンパーの一人」「他国のジャンパーや監督らからも人気があるジャンパー」と紹介。高梨が1回目のジャンプで失格となったが2回目を飛び、日本が4位になったことについては「(高梨の失格で1つのジャンプがカウントされなかったが)日本人がどれほど強いかを示す結果だった」と称賛していた。そんな高梨に対し「日本人は誰も高梨を責めてはいない」「高梨に同情している」とドイツでは伝えられている。 とはいえドイツでは今回の失格に関して、測定に対する怒りの報道が圧倒的に多い。五輪開催中に比べると現在は少し落ち着いたものの、失格となった試合から3週間近くたった今でも「まさに悪夢だった」「明確なルールを設けるべき」と、テレビやネットメディアでコーチや関係者の怒りのコメントを交え報じられているのだ。なお、ドイツスキー連盟は今回の件を受けて、FIS(国際スキー連盟)と話し合いの場を設け、ルールの改革を提案したことを明かしている。 一方、意外な形ではあるが、ドイツではいまだに怒りの報道が多いこともあってか、判定に抗議の意を示して怒るより、高梨の心のケアを心配している日本人に対して称賛が上がっている。ドイツのSNSなどでは「日本人は誰も恨む心を持っていない」「日本は次に向かっている」「悲しんでいる高梨のことを第一に心配できる日本人はすてき」との声が寄せられている。 高梨には「ドイツから応援している」「私はあなたを誇りに思っている」といった応援の声も集まっている。皮肉とも言えるが、今回の五輪で意外な形で国境を越えた絆が生まれたのかもしれない。記事内の引用について「Deutsche Betreuerin in Japan für ihre Geste des Mitgefühls gefeiert」(WELT)よりhttps://www.welt.de/sport/article236894175/Olympia-Skispringen-Deutsche-Betreuerin-in-Japan-als-Heldin-gefeiert.html
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社会 2022年02月14日 06時00分
ニュース番組の芸能人コメンテーターは変? 海外では「分からないなら見るな」、専門家が淡々と説明する国も
日本のニュース番組では芸能人が番組に出演して各ニュースに意見することが多い。しかし専門家でもない芸能人が意見することに対し、視聴者からは「専門家でない人の意見は不安をあおるだけ」「素人の意見はいらない」といった声が出ており、特にコロナ禍においてはそういった傾向が強くなっていたようだ。 先日は、出演者側である歌手の西川貴教が1月30日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、新型コロナウイルスに関するニュースに自分が意見することに対して「専門家でもない芸人さんとかタレントさんとか我々みたいな者が、出てきた症状やいろんなものに関して、ああでもない、こうでもないと、求められるから言わなければならない」「いろんな不安をあおっている」と言及し話題になっていた。 >>政治に無関心な日本人に海外から呆れ声「文句を言うのに具体的に説明できない」 家族で議論する国も<< 日本ではニュース番組に芸人やタレントが出演することが多くなっているが、他国ではどうなのだろうか。 ドイツでは、3つの公共局があり(うち1つは2つの公共局が合同で運営している)、それ以外にも15ほどの民放局、それに加えていくつかのローカル局が存在し、チャンネルは数えられないほどある。とはいえ、番組は日本ほど多様性に富んでおらず「ニュース」「ドラマ」「子ども向け番組」「スポーツ」「オーティションなどのリアリティショー」におおよそ分けられる。 そんな中、ニュース番組は需要があるのか多くの局で時間を問わず放送されており、公共、民放ともに日本とは比べものにならないほどお堅いものが多い。タレントが出てコメントする場合はほぼないに等しく、出演者はキャスターに加え、必要であれば専門家が出演して意見を交わすという形式がほとんどだ。番組を見ていても、分かりやすく説明するというより難しい専門用語が出てきたり、ある程度そのニュースの背景を理解していなければついていけなくなるようなこともある。 とある在独日本人は「日本でいうワイドショーのような番組はあまりなく、あったとしても専門家でない人が意見するような番組は、ドイツでは需要はないと思います」と話す。子ども用のニュース番組もあるが、同様に内容が難しい傾向にあり、「小さい頃からニュースはある程度自分で理解してからプラスの情報を見るために必要なものという位置付けなのかもしれません」と推測していた。 なお、こういった傾向はドイツだけに限らず、ヨーロッパ各国でも同じようだ。例えばスペインではドイツと同じようにニュース番組にタレントが出演することはない。ワイドショーのような番組はあるものの、当事者のタレントが出演することはあっても日本のように意見を言うために関係のないタレントが毎回出演することはほぼない。 イタリアでは、意見が対立する政治家がテレビに出演し、討論する番組もあり人気を集めているようだ。またワイドショーに関しては、現地の日本人によると「ゴシップ系のワイドショー番組自体は多く放送されていますが、ワイドショー番組にニュースに関係のないタレントが出演することはあまりありません」と言う。 フランスも同様で、考え方が異なる専門家を数人スタジオなどに呼んで、ニュースに対して議論を繰り広げることが多い。現地在住の日本人は「専門家の意見は難しいこともありますが、“分からないなら見るな”というスタンスだと思います。ですが世界的に有名な専門家が出演することもあり、そういった専門家に一から説明してもらうより、ある程度のレベルから説明してもらった方が視聴者にとっても有意義だと思います」「なお、ワイドショーのような番組は番組自体があまりありません」と語っていた。 ヨーロッパのニュース番組の特徴は日本とは対極にあるようだ。どちらが正解、というものではないが、専門家が淡々と意見を述べるヨーロッパのような番組も視聴者の知識レベルを上げるという意味では必要なのかもしれない。
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