実業家のひろゆきこと西村博之氏はTwitterで幾度となく日本の大学の学費が高いことに触れ、6日には海外では多くの国が「自国民の大学費用が無料」であると指摘。日本のように「親に金がないと子供が大学に行けない国は良くないです」とツイートして日本の問題を伝えていた。実際、同意見の人も多いようで西村氏のツイートには「学びたいを誰もが叶えられるようにして欲しい」「日本は子育て支援が少なすぎですね」「優秀な日本人を増やしたいなら、日本の子供を優秀に育てるためにかかる教育費用、塾も含めて無償化にしないと」といった声が寄せられていた。それでは具体的に海外の大学学費事情はどうなっているのだろうか。
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日本の大学の場合、国立で年間約60万円、私立だと約100万円の学費がかかることがほとんどだが、海外では無料の場合が多い。たとえばドイツやフランスは日本円で2万円程度の登録料がかかるのみで学費は無料。ほかにもオーストリアやノルウェーもほぼ無料で、フィンランド、アイスランドなども無料である。
ヨーロッパを中心に多くの国が大学の学費が無料となっているが、特にドイツは学費以外にも学生が金銭的な問題を抱えないように整備されている。ドイツでは学費無料以外にも大学生ならば自分が通う州内、もしくは一定範囲の公共交通機関が無料で乗り放題になるのだ。一定区間乗り放題の1カ月の定期は場所によるが、60ユーロ(約8700円)から80ユーロ(約1万1700円)ほど。大学に通っている約4年間、この金額がかかることがないのは大きい。さらにドイツは銀行口座を持った場合、多くの銀行で口座維持費というものがかかり、銀行によるものの維持費は月々3ユーロ(約440円)から10ユーロ(約1460円)。それが大学生は無料になる。
このように見ていくと学生にとってドイツは非常に過ごしやすいと言えそうだが、一方で問題も抱えているようだ。ドイツのニュースサイト『Handelsblatt』によると、ドイツでは大学生の特権、特に交通費が無料になる特権を得るためだけに在籍する“偽の学生”が多いという。2019年11月の記事によると、デュッセルドルフ大学だけでも交通費を無料にするためだけに在籍している学生が8000人いるそうで、この人数は同大学の4人に1人に当たるという。またケルン大学では交通費を無料にするためだけに4000人の“偽の学生”がいるのではないかと言われている。
さらにドイツでは州によるものの、多くの場合10歳で将来の進路を決定する必要があり、10歳で今後大学に行くか専門職として働くか、決めなければならない。教育を受ける権利を平等に与えるために大学が無料となっているが、10歳の時点で今後の道を決める場合、親の意見や家庭環境が大きく影響するのだ。
「学費もかからないし、就職をしたくないからいられるだけ学生でいる」と話すドイツ人学生もいる。家庭の経済状況に左右されず優秀な人材を増やすために大学生を大切にする制度は日本でも必要だろう。だが、“偽の学生”を増やさないためにも、制度にある程度の厳しさは必要なのかもしれない。
記事内の引用について
「An der Uni einschreiben nur fürs Semesterticket: Ist das legal?」(Handelsblatt)より
https://www.handelsblatt.com/politik/deutschland/scheinstudierende-an-der-uni-einschreiben-nur-fuers-semesterticket-ist-das-legal/26567188.html
ひろゆき氏の公式Twitterより:https://twitter.com/hirox246