日本の全国旅行支援に対しては好意的な声が多い一方で、一部のワクチン反対派からは「ワクチンを打たせることが目的」「非接種者への差別」という声が寄せられている。陰性証明がワクチン接種の代わりになるが「ワクチン未接種者だけが陰性証明書の提出求められてるけど、ワクチン接種済みの人にも提出させるべき。3回打てばかからんとでも思ってるのか」という批判的な意見がネットを中心に上がっているのだ。条件があることに対して不満を感じている人は少なくはない。
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実はワクチン接種回数や、陰性証明の提出が条件になることは日本だけではなく、海外でも過去に行われていた。ドイツではワクチンの2回接種、もしくはコロナ感染からの回復証明書か陰性証明書がなければレストランやスポーツ施設などに入れない時期があったが、州ごとに異なるものの、今年の春頃には全て撤廃。今後、来る冬に向けて変わる可能性はゼロではないが、現在はレストランの入店などにワクチン接種や陰性証明が必要なくコロナ前のような状態に戻っている。同様にフランスやスペインも、今年の春先には条件が撤廃された。
ドイツに入国する場合に関しても以前は条件があり、ワクチン2回接種か陰性証明の提出が必要だった。だがこちらも6月に全て撤廃されコロナ前と同じように証明等は不要で入国が可能だ。フランスもワクチン2回接種、もしくは陰性証明の提出という条件を8月に撤廃、スペインは日本から旅行する場合、最終接種日の14日後から270日以内のワクチン証明が必要(18歳未満は270日以降も有効)で、270日経過していた場合3回目以降の接種が求められる。有効期間内のワクチンが未接種の場合は陰性証明が必要である。
一方日本はというと、海外の人が日本に入国する際には「全国旅行支援」と同様に、ワクチンの3回接種か出発72時間以内に行った陰性証明の提出が義務付けられている。11日から水際対策が緩和されたこともあり、日本への旅行を考えている外国人も多いが、ワクチンの3回接種か陰性証明の提出という条件には疑問を感じずにはいられないようだ。
ワクチンを打たなければならないことに対しては、2回のワクチン接種は理解できるものの3回を条件にしていることに対して不快感を示す人も多い。とあるドイツ人は「3回は厳しい。3回目のワクチンの効果がどれくらいあるのか根拠を示すべきだしそもそも日本政府は効果のほどを知っているのか」と指摘。別のドイツ人も「ワクチン接種の回数で差別されている気分」と話し、「自分の周りの若い世代のほとんどは2回は接種したけど3回目、4回目の接種はしていないから対象にならない。表向きは外国人を受け入れているように見えて、実は外国人にあまり来てほしくないだけかも」と首をかしげる。
なお、ワクチン非接種者は陰性証明の提示という代替方法があるがこちらも「ハードルが高い」という。とあるフランス人によると、現在PCR検査を実施している場所は少なくなっているそうで街中や空港まで出なければならないという不便があるそうだ。場所が少なくなっているからか予約を取るのも難しく「日本は水際対策を緩和したと言っているけど、陰性証明を取ることがどれだけ大変か。自分たちの国から見たら日本はまだまだ閉鎖的」と不満を漏らす。またコスト面の問題もあるようで、とあるドイツ人は陰性証明書の取得に100ユーロ(約1万4000円)近く支払わなければならないと明かしていた。「私たちは家族4人分の陰性証明が必要でかなりの額になる。ワクチンを接種していない者は追加で費用がかかるのは差別だ」と語っていた。
一方で、そもそも条件を知らずに日本へ旅行しようと考えている人も少なくはないようで、トラブルも考えられる。とある在独日本人は、訪日の計画を立てているという知り合いのドイツ人が、ワクチン接種や陰性証明が必要だということを知らなかったと言い「今後、空港で搭乗を止められるケースも出てきそう」と不安を募らせる。本人のリサーチ不足もあるが「日本に旅行ができるようになったことはSNSでも広がっているが条件があることは知られていない」そうで、ヨーロッパを含め、多くの国が条件なしで旅行者を受け入れていることもあり「日本も同じであると勝手に思ってしまっている」と推測する。
時間やPCR検査の費用を節約するために、日本に行くだけのためにあえて3回目のワクチンを打つという人もいる。陰性証明を取るのは時間もお金もかかるが、今ドイツではワクチンは最寄りの薬局でも接種が可能なため「その方が手っ取り早いし、日本入国にトラブルもなさそう」とのことだ。
日本への旅行が可能になり胸を躍らせている外国人も多いが、まだまだコロナ禍以前のように気軽に訪日がかなうわけではないようだ。