とはいえ、日本より深刻な国の一つがドイツだ。ドイツの今夏のエネルギー価格は前年同時期より50パーセント以上上昇していて、最近の報道では来年、さらにその2〜3倍の価格になると言われている。ドイツではほとんどの国民がエネルギー節約モードに入っており、深刻で窮屈な生活をしいられているというのだ。
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ボーイフレンドと2人で暮らす20代の女性は、電気代を節約するため真っ暗になるまで、できるだけ電気をつけない生活をしているという。現在ドイツは20時頃まで明るいためそれまでは電気を我慢し、20時を過ぎたら寝室に行き早めに就寝の準備をするか、キャンドルの明かりで過ごしているという。「向かいのマンションを見てもほとんどの人が電気をつけていない」そうで、多くの人にとって節電が普通になっていることがうかがえる。
ドイツでは賃貸住宅が多い。賃貸住宅の場合、月の光熱費の見込み額が前もって算出され家賃に光熱費が含まれている。しかし月々の家賃に含まれている光熱費の見込み額より使用量が多かった場合、年に一度、見込み額を超えた分の請求が来るシステムが多くの家で採用されている。女性によると電気をつけない生活で「月に100ユーロ(約1万4300円)は節約できていると思う」そうだが、年に1回の光熱費の請求におびえているそうだ。
夫と2人の小学生の子どもと賃貸住宅で暮らす別のドイツ人女性は、電気代節約のために「料理を1〜2日に1回にした」そうだ。ドイツはガスではなくIHクッキングヒーターの家がほとんどだが「少しの調理でもかなりの電気代になるはず」と、夕食はパンにチーズやハムなど電気の使用を避けたものが中心になりつつある。もともと夜にパンとチーズだけなど質素な食事をする習慣があるドイツ人だが「冬になると温かいスープなどを作りたいけど今年は電気代を考えたら難しそう」とさらに料理の機会が少なくなる見込みだ。小学生の子どもに持たせる軽食のパンも「電気代節約のために焼いていない」と言う。こういった努力によって月に50ユーロ(約7100円)は節約できていると推測している。
また一人暮らしをしているという30代の男性はシャワーの回数を減らしたり温度も下げて使ったりして「とにかくできることは全てしている」そうだ。掃除機も倉庫にしまい、「最近はもっぱら、ほうきとちりとりで掃除をしている」と話す。ペットを飼っており、冬になれば例年は部屋を暖かくしている。だが、今年は難しくなりそうだと明かし「ペットにまで寒い思いをさせなければならない」と肩を落とす。
各家庭だけではなく、政府としてもエネルギー確保に向けた省エネ規則を9月から課すことを決定し、社会全体が節約の雰囲気だ。規則の内容はよりエネルギーの使用が増える冬に向けたもので、「公共の建物内のオフィスの暖房は19度まで」「病院やケアセンターを除いた公共の建物では、手洗いに温水は使ってはならない」「22時~翌4時のイルミネーション広告の禁止」「店舗は外に熱が逃げないようにドアを常に閉めておく」などである。
できることは全てしているともいえそうなドイツ人の生活。今後、さらにエネルギー価格が上がるとなると、今以上の節約生活ができるかどうか不安に思っている人も少なくないことだろう。