動画には多くの批判コメントが集まり、動画に映っていたイタリア人女性らの大学も判明する事態に。大学側は「事態を把握し、大学の規則によって対応する」との声明を発表している。
イタリア人といえば陽気でフレンドリーなイメージがあり、この動画を見て差別的な面もあるのかとショックを受けた日本人も多いだろう。しかし現地の人から驚きの声は聞こえない。というのも、電車内で「ニーハオ」などとバカにしたように声をかけられるのは「よくあること」(在伊15年以上の日本人)だというのだ。
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前出の日本人によると、ヨーロッパの中でもイタリアは「特にアジア人に対する差別が顕著」だそうで、「アジア人というよりアジア系は中国人とひとくくりにされて差別をされる傾向にある」という。ただ、悪気があるものもあれば「ノリのように意味もなく言ったり、コミュニケーションを取りたい気持ちの裏返しで言うこともある」そうだ。また差別の意識は全くなく、言葉を知っているとアピールしたいがために、どちらかというとむしろ好意を持った上で「ニーハオ」などと言うこともある。
一方で、悪意がある場合はあからさまに差別してくることもある。現地に住んで10年の日本人女性はイタリア語ができるにもかかわらず、「あなたのイタリア語は分からないから」と市役所で対応され、日本人だと言っても「中国人は中国語で対応できる人を見つけて」と言われたそうだ。また在住5年の日本人女性はレストランで勝手に食べ物を出された際の出来事について話している。頼んでいない食べ物をサービスのような雰囲気で出されるが、食べると後に請求が来ることを知っていたためイタリア語で「頼んでいないから下げて」と言うと、つり目のポーズをされた。彼女たちいわく、差別はイタリア人男性よりイタリア人女性の方があからさまな傾向にあるという。また地域によってもかなり差があり、地方では差別が分かりやすい。
ただ、差別の背景には事情があるのではないかと分析もしている。前出の在伊15年以上の日本人が身近なイタリア人らに聞くと、イタリア人が主に中国人を含むアジア人に迷惑をかけられていると感じている部分もあり、それが差別につながっているとも考えられるそうだ。
現在も少しずつ観光客が戻ってきているが、コロナ禍前は観光地でハネムーンフォトを撮影する中国人が特に多く、撮影中に通行を止められじゃまだと感じるという。さらに中国人の爆買いもこっけいに見えるそう。イタリア人は質やデザインを重視した上で品が良ければブランド品を買うそうで、ブランドにこだわる中国人を「少しさげすんで見ているかもしれない」と言う。ただ一方で、観光客を相手にしている側は、イタリア人の何倍も多くのお金を費やしてくれるため、ハネムーンフォトを撮影し、爆買いしてくれる中国人の存在をありがたがっている様子だ。
さらにイタリアではここ5、6年ほどでレストランや店がつぶれている。そんな店を金持ちの中国人が買い取るそうで、「札束を持って、売ってくれといきなり店に来る中国人もいるらしい。中国人に乗っ取られたと感じて悪い印象を持つ人も少なくはない」というのだ。
とはいえ、差別は決して許されることではない。アジア人に対しての差別は我々日本人にとっても不愉快なことだ。今回の動画がきっかけに差別について少しでも考え直す人が増えるといいだろう。