数年で日本でも歯並びに関する意識は高くなっている。しかし海外では日本よりさらに歯並びが重要とされているようだ。
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例えばアメリカでは、就職をする際、歯並びがいいことは言うまでもなく重要な条件だそうだ。在米日本人は、日本人が歯並びに対してまだまだ意識が低いことを指摘し「アメリカではどんなに能力があっても歯並びが悪ければ就職は無理。それくらい大事」と話す。また簡単なアルバイトの面接でも「歯並びを見られるケースは多い」と言う。別の在米日本人は「歯並びを直しただけで就職試験に受かりやすくなった」とも伝えていた。
アメリカでは数年前まで、歯並びがいいことは育ちがいいことを意味していた。だが今は育ちがいいというより、歯並びの良さはほぼ常識となっているため、歯並びが悪いと貧乏で悪い教育を受けていた、恥ずかしいといったかなりマイナスのイメージを持たれるそうだ。さらにアメリカでいう歯並びの良さとは、歯がある程度そろって並ぶことは当然。歯を削りストレートにするほどだという。ホワイトニングも重要である。在米日本人からすると「アメリカ人が言う一般的な『歯並びがいい』は、日本だったら歯のCMモデルになれるほど」だと言い、高いレベルで歯並びの良さが求められている。
ドイツも同様に歯並びは重要とされているが、アメリカのように見た目というよりかみ合わせに対する意識の面で重要視されている。そのため八重歯や明らかにガタガタした歯がなければそこまで悪い印象は受けず、アメリカほど歯並びが就職に影響しない。しかしある程度歯並びがいいことは、自己管理ができているとみてもらうという点で重要である。またドイツでは18歳まで歯科矯正に保険が適用されるため、大人になって歯並びが悪いと、幼い頃に親からあまり良くない教育を受けていたと思われてしまう。
お隣フランスは少し異なり、日本で八重歯がかわいいと言われることがあるように、歯と歯の間から幸せが入ってくるという意味で、すきっ歯が幸運の歯と言われている。現在も言われていて、すきっ歯の俳優やモデルもいるが、就職や社会的地位を保つためにある程度歯並びがいいことはやはり重要だ。フランスでは16歳までは歯科矯正に保険が適用される。
歯並びが重要とされているのは欧米だけではなく、最近では東南アジアでも歯並びへの意識が高くなっている。フィリピンでは歯並びがある程度いいと、就職で有利に働く。海外進出をめざす企業も多いため、その点で歯並びを見られることもある。タイでは就職というより、タイ人にとっては高い費用のかかる歯の矯正自体がステータスとなっているため、ワイヤーを使った矯正ではワイヤーの色を赤や青にしてわざと矯正していることを見せつけているそうだ。
なお、程度にもよるが歯科矯正にかかる価格は日本で100万円程度。アメリカでは7000ドル程度(約90万円)、ドイツやフランスは保険適用外で7000ユーロ(約98万円)ほど。東南アジアでは少々安くフィリピンは10万ペソ(約23万円)、タイは10万バーツ(約40万円)だそうだ。各国、近年は安く矯正できる会社も出てきている。
日本でも歯科矯正をする人は増えてきてはいるものの、世界に比べるとまだまだ意識は低い。実は日本の歯並びの意識の低さが露呈した意外な場面がある。
それは昨年行われたサッカーW杯。日本がドイツやスペインを下し世界が日本チームに注目し、テレビやネットメディアに日本のサポーターが映る場面も多かった。その際、笑顔の日本人や歓声を上げる日本人の姿が映し出されたが、海外のSNSでは「こんなに品のある見た目の人がなぜ歯並びを直さないんだ」「日本人はお金持ちなのになぜ矯正をしない人が多い」「日本人の歯並びが気になって試合が頭に入らない」といった声が上がり、日本人の歯並びの悪さが気になる人も多かったようだ。
海外で働きたいなどとグローバルな視点を持つ日本人は増えてきているが、海外で活躍するためにはまずは歯並びを見直す必要があるのかもしれない。
記事内の引用について
「初診の矯正患者数 コロナ前後で3.6倍も増加」(日本歯科新聞舎)より
https://www.dentalnews.co.jp/dental-news-jpn/2022/09/13/4154/
「歯科矯正の初診患者数は3年間で3.6倍増 特に女性の割合増加が顕著に DRIPS、厚労省患者調査から分析」(AMP)より
https://ampmedia.jp/2022/08/10/drips-orthodontics/