この事件は、新型コロナウイルスの感染拡大が広がっていた3月26日、成田空港第3ターミナルから滑走路に向け走行中だったジェットスター・ジャパンの航空機内で、愛媛県東温市在住の男(当時69)が「俺、陽性だけど大丈夫」と発言し、出発を遅らせたもの。
客室乗務員は、男の発言を新型コロナウイルスの陽性反応と判断。そのままターミナルに戻り、男を降機させ検温を実施。平熱だった上、新型コロナウイルス特有の咳なども出ていなかったことから、約1時間15分後に再出発した。
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裁判で弁護側は「陽性とはウイルス性の下痢だった」と主張する。裁判官は「新型コロナウイルスの脅威につけ込む卑劣な行為」「感染拡大が懸念されていた当時の社会情勢からすれば、陽性という言葉は新型コロナウイルスの感染を容易に想起させる状況だった」と指摘する。ただし、男が十分に反省していることなどを理由に執行猶予を付け、懲役10月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
判決に対し、ネットユーザーから「処分が甘すぎる。1時間15分も飛行機の運行を止めて執行猶予がつくなんて」「執行猶予内におとなしくしていれば、刑は執行されないも同然。ジェットスター側が過敏な対応をしたとも言えなくないけど、乗客を守るためには致し方ない。それがこんな甘々な判決でいいのか」と処分の甘さを指摘する声が上がる。
「弁護士も陽性はウイルス性の下痢なんていう小学生レベルの主張を裁判でしたのか。間違っている」「弁護士の仕事って、事実を捻じ曲げて依頼者の主張を通すことなのか。失望した」と弁護士にも怒りの声が向けられた。
新型コロナウイルスの不安が広がる最中で「陽性」と告げられれば、コロナだと思ってしまうのも致し方ない。「ウイルス性の下痢だった」という言い訳が認められたようにも思える判決に、違和感を覚える人は多かった。