社会
-
社会 2009年03月13日 15時00分
エマージング投資 今こそベトナムを狙え
発展途上国への投資が再びブームになる? アメリカは金融不況にあえいでいるが、対象しだいではハイリターンが望める投資方法がある。外国預託証券による、経済活動が活発なアジア地域など発展途上国への投資がそれ。今のような時期にこそ狙えるのだ。 「ADR」による「エマージング」投資がそれ。 ADRは米国預託証券のこと。外国企業の株式を信託銀行などの預託機関に預け、これを担保に証券を発行し、米国株式市場で通常の株式と同様に取引できるようにしたものだ。 エマージングとは、金融の世界での発展途上国の洗練された呼称。ミャンマーやカンボジアは、対象にならない。金融市場がないからだ。 世界中の企業が米国市場に上場可能だが、審査が厳しく優良企業だけが参入を許されている。日本企業では、トヨタ、ホンダなど約30社が上場している。 ADRに上場しているエマージングの企業は、厳しい会計基準を通過しているため、その国では優良企業である。その安全性をバックにエマージングのもつ爆発力に期待するわけだ。エマージングの好例にベトナムがある。 2000年7月、ベトナムの首都ホーチミンに証券センターが開設された。02年に外国人の口座開設が許され、04年には外貨規制が緩和された。 そして、06年。ベトナム株が急騰したニュースが世界を駆け巡った。投資家を驚かせ、ベトナム株式を巡る投資バトルが始まることになる。 06年末1カ月で、平均株価は約2倍に跳ね上がった。この時期、日本でもベトナム株ブームが起き、旅行会社はベトナム株式口座開設ツアーを企画した。多くの日本人がベトナムを訪れ、ベトナムの証券口座の半数を日本の個人投資家が占めたともいわれたほどだ。 当時、日本の投資家たちの間では、「ベトナム株は100%儲かるギャンブル」と人気になった。 株式投資で大儲けするためには、まず、急成長する企業を探し当てることだ。しかし、この作業は砂浜でひと粒の米を探し出すようなもの。数多くある企業から一粒の金を探し当てるような確率に等しい。 しかし、ベトナムではエマージングがブレークするタイミングをとらえる方法があり、確率が高く確実だ。冷戦の終結以来、中国、ロシアの自由化、資源国ブラジル、インド、南アフリカの発展を含め「BRICS」と呼ばれる地域の急成長が注目された。その後、次世代の新興市場、「NEXT11」や「VISTA」、「MEANA」が登場している。 株式市場は、その国のGDP成長率を越えて上昇しないという説が説得力を持っている。経済的に成熟した先進国には10%を超えるGDP成長率を望むべくもない。だから、エマージングの経済成長が注目を浴びているといえる。 現在の世界金融危機、同時不況では、エマージングの状況も楽観視はできない。しかし、かろうじて成長を維持している中国、回復が期待できるインド、アジアでもっとも軽傷だといわれているベトナムなど、かってエマージングとして脚光を浴びた国々の中には、再び脚光を浴びる潜在力を維持している国は多い。 (1)人口の平均年齢が若い、(2)豊かさを求める貪欲さ、(3)将来に夢と希望を持っているなど、60年代の日本を髣髴(ほうふつ)させる共通点が多い。 いつエマージングが再びブレークして、ビッグウェーブを起こすか。世界の投資家は虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのだ。
-
社会 2009年03月13日 15時00分
金融豆知識 プライベートバンキング(1) スイス傭兵の報奨金管理が起源
プライベートバンクの本場はスイス。この形態が始まるのは17世紀から18世紀ごろだ。 当時、ヨーロッパでは、フランス、イギリス、オランダなどが領土争いに血道を上げていた。その争いで大いに活躍したのがスイスの傭兵。その強さは評判で、各地で引っ張りだこになったほど。 彼らは、莫大な報奨金を手にしていた。しかし、彼らは傭兵。戦場から戦場をハシゴすることもある。そのため、報奨金を残された家族のために保全・管理する必要が生まれた。 それを引き受けたのが、その地方の有力者や豪商。これがプライベートバンクの始まりといわれている。
-
社会 2009年03月13日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(10)
熊八は遂(つい)に徳次を政吉のところに行かせなかった。 徳次は後年、熊八のこの時の心境を“当時の出野は貧乏で、行かせてやろうにもちょっとした外出着の用意もない。養父は行かせたかっただろうし、気の毒にも思っただろうが、自分の状態に肩身の狭い思いをしながら断ったのだろう”と想像している。 明治39(1900)年の春、市立筒井尋常小学校1年生になった。毎日、包みを持って通う。学校にいるとまるで別世界のように楽しく、人並みに初めて自由に呼吸をし、伸び伸びと振る舞うことができた。 徳次にとって学校で過ごす時間は何物にも代えがたいものであった。義母を恐れてびくびくする必要もなく、同じ年頃の子供たちと遊ぶこともできた。文字を覚え、数を習うことも嬉(うれ)しくて仕方がなかった。 家に帰れば、うず高く積まれたマッチ箱貼(は)りが待っていた。ずっと座って作業を続けたまま夜になる。薄暗いランプの下で仕事を続けて、夜中の12時になっても義母は寝ていいとは言わない。やがて1時になる。弟妹たちはもちろん、熊八だってとっくに眠っている。徳次もだんだん睡魔に襲われ、マッチ箱を取り落とすようになる。 結局、寝るのはいつも、徳次がどうにも眠くて起きていられなくなった時だった。それも義母に口汚く罵(ののし)られながら寝床に倒れ込むのだ。もっとも義母はたいてい先に寝ていた。こんな調子で、徳次は朝の早い牛乳屋の音を耳にする日さえあった。 日本人にとって牛乳が一般的になったのも明治維新後のことだ。明治政府は維新で失職した武士の失業対策の一つに畜産を奨励し、東京にも各所に牧場ができた。当初は大きなブリキ缶によって配達する量(はか)り売りだった。ビン入りになったのは明治20(1887)年以降。徳次が早朝に聞いたのはビンが触れあうカチャカチャという音だっただろう。
-
-
社会 2009年03月13日 15時00分
緊迫!日本上空に「宇宙平和」祈願ミサイル
北朝鮮が「人工衛星ロケット」と主張するミサイル発射計画の詳細が13日までに分かった。4月上旬、日本海と北太平洋の一部に危険区域を設定。日本海側に向けて発射されるという。金正日総書記の第3期体制スタートに合わせた“祝砲”であり、北朝鮮は国際機関に対して「宇宙平和」を祈願した衛星打ち上げとの主張で押し切るつもりらしい。 ミサイル発射が宇宙平和につながるものか。北朝鮮は12日、国際民間航空機関(ICAO)と国際海事機関(IMO)に必要な資料を提出したと発表。その中で発射目的を「宇宙の平和利用のための衛星打ち上げ」と主張していることが分かった。そんな身勝手な理屈が国際社会に通用するはずもなく、ますます批判が高まりそうだ。 共同通信によると、日本政府は北朝鮮がこれら国際機関に通報した内容を同日確認済み。4月4〜8日の午前11時〜午後4時まで、日本海と北太平洋の一部に危険水域を設定し、日本海に向けてぶっぱなす計画という。ミサイルは2段式で、1段目が日本海、2段目が太平洋に落下する。 ロンドンに本部のあるIMOは危険区域の詳細な位置情報を公開。1段目が落下するとみられる日本海の危険水域の東端は、青森と秋田の日本海沿い県境付近から西に約130キロしか離れていない。2段目は千葉県から東に約2150キロの洋上に落ちるもよう。つまり、北太平洋に落下するミサイルは日本列島をまたぐことになる。IMOは船舶の安全確保のため、ミサイル発射などの事前通報を義務付けている。 河村建夫官房長官は「人工衛星であれ、発射が行われた場合、国連安全保障理事会決議に違反する」として発射中止を強く求めた。当然だろう。 北朝鮮は最高人民会議第12期代議員選挙を受けて4月上旬に誕生する金正日総書記第3期に合わせてミサイルを発射。国内の求心力強化につなげると同時に、国際社会に長距離ミサイルの開発能力を誇示する狙い。
-
社会 2009年03月13日 15時00分
千葉県知事選告示 モリケン全開「やんちゃになろうぜ」 白石真澄氏は家計簿チェックで対抗
任期満了に伴う千葉県知事選が12日告示され、いずれも無所属新人の5氏が立候補を届け出た。与野党の次期衆院選を占う大事な前哨戦と位置付けられる中、17日間にわたる激戦に突入した。 目下、最有力候補と見られるのは、元衆院議員で俳優の森田健作氏(59)。千葉市中央公園の出陣式には300人を超える団塊世代の男女が集い、その第一声に黄色い声援が送られた。 「中央(国政)に物を言えるヤンチャな千葉県民になりましょうよ。今こそ私たちの意識のチェンジです!」 そう高々に宣言しつつお約束のオバマ節も炸裂させたモリケン。だるまの目入れの際には両目とも書きこんでしまうなど、「青春の巨匠」は初日からアクセル全開だ。 そんなモリケンにまったをかけるのが関西大学教授の白石真澄(50)氏だ。唯一の女性候補者らしく「県が抱える2兆6千億円の借金を減らすため、財布のひもを締めていく。千葉の家計簿を徹底的に見直す」とアピール。羽田・成田間のリニアモーターカー実現など拡大路線を掲げるモリケンに真っ向から対立する姿勢だ。 その他に立候補したのは、社会福祉法人理事長の八田英之氏(64)=共産推薦、元県議の西尾憲一氏(58)、元いすみ鉄道社長の吉田平氏(49)=民主・社民・国民新推薦=の3氏。投開票は29日に行われる。
-
-
社会 2009年03月12日 15時00分
麻生首相 “ヒット・エンド・ラン”作戦を実行か
西松建設の巨額献金事件で混乱する永田町で、麻生改造内閣の奇手が盛んにウワサされている。事件前、自民党内の「麻生降ろし」封じでアップアップだった麻生太郎首相(68)は、すっかり血色もよくなって完全復活。民主党の“敵失”に乗じて内閣を改造し、即解散・総選挙に突入する“ヒット・エンド・ラン”のシナリオを検討し始めているという。 民主党・小沢一郎代表(66)は捜査の進展を見守りつつ、その座に固執することが政権奪取の邪魔になると判断すれば辞任するという。麻生首相は手をたたいて喜んでいるらしい。 「ようやくツキが回ってきたとばかり、麻生首相は実にイキイキとしている。閣僚に重大疑惑がかけられていることなど忘却の彼方。そのせいもあってか、小沢氏が代表を辞任する前に内閣を大幅改造し、支持率を底上げして即解散に打って出るという情報が取りざたされている。改造に走ると同時に解散する“ヒット・エンド・ラン”作戦なんだって。アホくさ」(全国紙政治部記者) しかし、浮かれたくなる気持ちは分からないでもない。昨秋、「景気対策優先」を口実に解散を先延ばししたというのに、肝心の経済閣僚は崩壊寸前。お友達の中川昭一前財務相(55)の“へべれけ辞任”によって、「ポスト麻生」の呼び声高い与謝野馨氏(70)に経済財政相・財務相・金融相を兼務させるハメになった。当然ながら支持率も急降下。「完全に与謝野内閣状態」(前出の記者)だったのだ。 ところが、西松建設事件で小沢氏の公設第一秘書・大久保隆規容疑者(47)が逮捕されたことで形勢は一気に逆転した。二階俊博経済産業相(70)側にも捜査の手が伸び、漆間巌官房副長官(63)の「自民党議員に波及する可能性はない」発言が暴露されても政権は決定的なダメージを受けていない。 永田町関係者は「確かに麻生降ろしの動きはピタリとやんだ」と指摘。次のように解説する。 「すでに内閣支持率が下がりようのないところまで落ちていたのが幸いした。民主党政権誕生は避けられないと観念していたところで事件が弾けたため、自民党内はいまはヘタに動かないほうが得策と様子見している。しかし、小沢氏が辞任すれば麻生降ろし再燃は間違いない。麻生首相は内閣改造否定論者だが、二階氏と漆間氏の問題も出てきたから改造するにはいいチャンス」 政権交代となれば“入閣候補”にとって大臣の椅子は遠のく。これまでの麻生氏といえばやることなすこと、すべて裏目に出ていたため、改造しようにも許されない状況にあった。改造内閣への入閣をちらつかせ、求心力を高めるのは有効な手立てではある。 一方、民主党は小沢氏の条件付き続投宣言をしっかりと受け止め、ポスト小沢を模索する動きすら見せない。 小沢氏は11日、元秘書の石川知裕衆院議員が東京地検に参考人聴取されたことに関し、「国会会期中で任期満了まで半年という時期だ。選挙妨害以外の何ものでもなく、権力の乱用だ」と厳しく批判。潔白を訴える小沢氏を支える挙党態勢が続いている。 もちろん、捜査の行方によって与野党とも状況は大きく変わるだろう。麻生首相が二階氏の任命責任を追及される可能性も十分ある。 前出の永田町関係者は「うまく改造に踏み切れば10%ぐらいは支持率が上がるはず。でも、麻生首相はそこで間髪入れずに解散できないんじゃないか」と見る。さて、どうなるか。
-
社会 2009年03月12日 15時00分
激安弁当戦争レポート
昼食代をケチらなければならないほどの不況がサラリーマンを襲っている。そんな中、全国各地で弁当の価格競争がヒートアップ。最大の激戦区とされる東京・池袋の現場に直行すると、平日の昼間は雨だというのに長蛇の列ができ、さながら激安弁当戦争の様相だった。 東京都豊島区の南池袋公園に近い、オフィスビルや学校が立ち並ぶ都心の一角。お昼どきになると弁当を買い求めるサラリーマンや学生が行列をなす。どの店を見ても「弁当350円均一」と、とにかく値段が安い。 人気店の一つ「江戸っ子弁当」は全品350円(以下、すべて税込み価格)。毎日500個を完売するボリューム重視の弁当店だ。若鶏の唐揚げ弁当、メンチカツ弁当と揚げ物が多く、ボリューム満点。量で勝負しているだけあって男性客が圧倒的に多い。日雇い派遣で働く労働者から根強い人気を誇る。 その50メートル先で激安競争にしのぎを削るのが、味にこだわる「おべんとうや」だ。3畳ほどの狭い店内では瞬く間に人気メニューが売り切れていく。周辺には美容・福祉系の専門学校が多く、白衣姿で弁当を買いに来る女子学生の姿も。 ごったがえす店内で丁寧に接客していたのは店長夫人の小松ひろ子さん、小柄な60代のおばあちゃんだ。 「看板商品の栃木産黒毛和牛のサーロインステーキ丼(350円)は開店してすぐに売り切れちゃうの。ごめんね。次は早く来てね」 意外にもそこには価格競争に躍起になる野心メラメラの店主の姿はなかった。むしろ家庭的なみんなのおばあちゃんといった感じだ。 こだわりは手作りと良質な食材。サーロインのみならず、米はこしひかり、魚は築地から直送と、この価格で驚くほどの豪華さ。客が殺到するのもうなずける。 そこからさらに10メートル離れた所に「旬太」がある。数カ月前に店を出した新規参入組だ。 「この競争ですか? さぁ、誰が始めたんでしょうね。どこか一店舗が値を下げたら皆がそれを追っかけちゃいますよね。向こうの店(おべんとうや)なんか350円ですよ。うちは400円が限界です」(保谷茂店長) しかし売上については「この不況が訪れてからというもの、確かにお客さんはどっと増えましたね」と喜びを隠さない。今後も景気悪化や企業の派遣切りが増えれば、この地区のような激安ストリートが全国に飛び火する可能性もある。 間もなくこの界隈も世界同時不況以来、初めての桜の季節を迎える。春の陽気に誘われて「今日は外で弁当でも」という人の数はますます増えるだろう。サラリーマンにはうれしいこの弁当戦争、さらに激化しそうだ。○黒毛和牛を使ったビビンバ丼は絶品!! 試食したのは激安店のなかでも一番の列をつくる「おべんとうや」のビビンバ丼(500円)。ハイレベルなこの界隈だけあって店には電子レンジの備え付けが当たり前。遠慮なくチンしよう。 たっぷりのった黒毛和牛がぜいたく。気になるお味の方は、これが文句なしにうまい。牛肉はあまりに美味しすぎて最後までとっておこうかと思うほど。新鮮なシャキシャキの大豆モヤシが味にアクセントを付ける。 さらにはそのボリューム。コンビニ弁当などは買ってみたら上げ底だったなんてことがよくあるが、男性でも十分すぎるほどぎっしり御飯が詰まっていた。ガテン系の人たちが常連なのもうなずける。○問い合わせ(詳しくは紙面で)「江戸っ子弁当」。営業午前11時半〜売り切れまで。「おべんとうや」。営業午前11時20分〜午後2時。「旬太」。営業午前11時半〜売り切れまで。
-
社会 2009年03月12日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(9)
婦人は何も言わずに黙って帰って行った。それが花子だったかどうか、そうであったとも、なかったとも言えない。 もう一つ、徳次の覚えていることがある。小学校に上がる前の年のこと。当時、徳次は義母からマッチ箱を貼(は)る内職をさせられていた。 マッチは、清水誠が明治9(1876)年に東京・本所柳原町にマッチ工場を創設したのが、日本における本格的製造の始めである。金沢藩士だった清水は文部省留学生として滞在したフランス・パリでマッチ製造技術を学んで帰国し、技術の普及に努めた。明治政府は日本の輸出入の均衡を図るため、マッチを輸出の重要品目とする方針であった。マッチ工場は国内各地につくられた。徳次の住まいは日本のマッチ発祥地にも近かった。小学校入学前の徳次にとって、家計を助けるための内職であったが、小さな指先で国策の一端を担ってもいたのだ。 春の初めの風の強い日、徳次は貼り終えたマッチ箱を風呂敷一杯に包むと小さい背中に担(かつ)いだ。問屋に届けるのだ。家を出ようとするところへ、入れ違いに見知らぬ若い人が入って来た。若い人は徳次をしばらくじっと見つめていた。徳次が行き過ぎてちょっと振り返ってみると、若い人はまだ徳次を見ていた。何か気になって、問屋から急いで帰り、熊八に今の人のことを聞いてみた。熊八は「別に誰でもない。お前の知らない人だ」と言った。けれども、これは実は長兄の彦太郎だったのだ。徳次の実の父・政吉は花子の病気に感染して、花子より先に明治32(1899)年3月13日、58歳でこの世を去っている。花子も3年後の明治35年9月28日、39歳で他界する。政吉は死期が近づいた頃、病床でしきりに幼くして別れた徳次のことを気にした。生涯、徳次に実家を名乗り出ないことが養子縁組をした際の約束だったが、政吉の気持ちを察した彦太郎が、せめて死に際に一目だけでも徳次に会わせてやろうと、熊八の了解を得にやって来たのだ。
-
社会 2009年03月12日 15時00分
永田町血風録 自民・民主とも「解散」「総選挙」が禁句に
「低額」。一部のメディアでジョークネタにされていた定額給付金が、全国の自治体で配られ始めた。 首相・麻生太郎の発言の“ブレ”もあって、政党間の“迷走”は、今も続いている。 そして民主党代表・小沢一郎のデベロッパー疑惑は、自民党内にも広がりをみせている。元首相・森喜朗は、西松建設のOBを代表とした政治団体からの献金やパーティ券購入代金を返還する方向だという。また、経済産業相・二階俊博側のパーティー券についても、政治資金規正法違反の疑いがあるとみて、東京地検特捜部が捜査を始めるという。 それを受けて、首相補佐官・山口俊一や国土交通副大臣・加納時男も「西松建設からだとヤバイ…」というわけか、返金することにしたという。 それでも、休日に都内の自宅と個人事務所にこもりきりだった小沢は、民主党・参院予算委員会の冒頭質問で「小沢(一郎)は国民に対する説明責任を果たした。(これからは)小沢を先頭に政権交代への不退転の決意でばく進する」と参議院執行部を代表してこう決意を述べた。 ところが、同じ民主党内にも様々な意見がある。副代表・前原誠司は、小沢や幹事長・鳩山由紀夫の検察行動の批判について「なぜ、この時期に(捜査なのか)という気持ちは、私自身も素直に思う面もある。ただ、国民に検察の在り方というものに疑義を持たれるようなものの言い方は、一般論としては、あまりすべきではないのでは…」と都内で記者団の質問に答えた。 その一方で代表代行・菅直人は「(自民党の)麻生太郎の支持率が下がる中、相対的にわが党の代表の下での政権交代の可能性が高くなりつつあるところでの捜査だった。どう考えても、検察はおかしい」と小沢発言に理解を示した。 これら小沢の「身に覚えはない」という発言に対して、ある関係者は「小沢は、かつての親分だった田中(角栄)と金丸信の悪い面がそっくりそのまま出ている。この親分は共に“犯罪者”として逮捕され、送検された。こういうことを考えると、小沢の身辺も僅かだが、騒々しくなってきた」と話した。 だが、小沢はその所在をはっきりとマスコミに発表していない。 民主党衆院比例東京の長島昭久は「(小沢は)やましいことは一切ないのだから、信じていきたい。ただ、これから『(小沢の)身に覚えがない』という発言をひっくり返すような事実が飛び出せば、別の判断になる」と、話す。 これは長島だけでなく、民主党の各衆院議員の一致した声で、衆議院解散・総選挙を口にしなくなった。 自民党内はというと、この敵失を好機とばかりにあれこれ言う者もいた。確かに、前副総裁の山崎拓は「今がチャンス、5月に解散を断行して国民に信を問うべきだ」と、熱弁を振るった。しかし、相変わらず時機の読めない面を露わにし、「あの人のようなことは言わないように」と、クギを差されている。そのため、自民党内もまた、民主党と同様に解散・総選挙のコメントがタブーになってきた。(文中敬称略)
-
-
社会 2009年03月11日 15時00分
森健氏絶叫「職のないヤツはオレんとこに来い!」
いよいよ明日12日に告示となる千葉県知事選。立候補を表明している俳優で元衆参院議員の森田健作氏(59)が、本紙の独占インタビューに応じ、気合のこもったコメントを連発した。派遣切り問題では「職のないヤツはオレんとこに来い! 千葉県で一緒に頑張ろう」と失業者らにエールを送る一方、「目標? 『青春立国・千葉県』の創設です!」と、なんだかよく分からないながらもノリノリに宣言。熱き青春男・モリケンは知事の椅子獲りに、本気と書いてマジだ! 「ともかく、職がないヤツはオレんとこに来い! 『オレもないけど気にするな』じゃないよ!? オレがこれから作るから! 『千葉・日本一』に向かって一緒に頑張りましょう!!」。人いきれのする事務所に、モリケンの威勢のいい声がこだました。 モリケンといえば先ごろマニフェストを発表。その内容は独創的かつ有権者目線に立ったものだった。「7大政策」と銘打った公約の中で、特に目立つのは「アクアライン800円とリニアモーターカーの実現を!」の項。「アクアライン通行料を800円に値下げすれば、(中略)年間400億円の直接的経済効果が見込めます。(中略)さらに、成田・羽田間にリニアモーターカーを通し、成田空港を世界に誇るハブ空港へ。これらを起爆剤として積極的な企業誘致・新規雇用を創出し、経済全体を底上げします!」としている。 アクアライン通行料の価格破壊と、実現が先延ばしになりっぱなしのリニアモーターカーの導入。奇抜なアイデアばかりが注目されがちだが、むしろ目を向けるべきは後半部分だ。 モリケンは「今大問題になっている『派遣切り』ですが、千葉はそこまで雇用問題がひどくない。ただし、財政はひどい。県民1人あたり約40万円の借金をどうにかしなければなりません。このマニフェストを実現させれば、千葉のみならず首都圏の構造を変える大改革になり、雇用増進にも寄与するはずです!!(ガッツポーズ)」と力説。さらにその口調は熱を帯び、「ともかくねえ、私が言いたいのは『やってください』じゃだめなんだ! 『何がしたい』『何ができる』『森田と一緒にやる』。この3つをきっちり言える人なら、失業者だって大歓迎だよ。もちろん高齢者もね。私は今年還暦だけど、60だって青春! 80歳だって青春だよ〜! 私は『青春立国・千葉』を作る!!(絶叫)」。…そして冒頭のウエルカム発言につながった次第。 ちなみに地元政界通の会社社長は、「東京の臨海副都心から高速に乗りっぱなしで木更津まで来てごらんなさい。何分かかると思う? たった30分ですよ。もちろんアクアラインを使えばの話ですがね。この地の利を千葉県はまったく生かしていない。木更津は相変わらずド田舎だし、アクアラインのたもと周辺には広大な空き地が残されたまま。本当に800円になれば、あそこらは『第2の臨海副都心』として急速に発展するんじゃないか」と話す。地元の期待はかなり大きそうだ。 ところで、モリケンの独演はまだまだ続いた。 「千葉県民は人が良すぎるんだ。国や東京の言うことを言われるままにやってきた。優秀なゴールキーパーではあっても、シュートがないんだ。これからは国にモノ申さなきゃ。チェンジだよ!!」 …「チェンジ」はもちろんオバマ大統領。「国にモノ申す」は橋下徹大阪府知事。おまけにマニフェストには「知事は千葉ブランドのセールスマン!」という記載まであった。これは東国原英夫宮崎県知事…と元ネタ満載だ。話題の政治家へのリスペクトを欠かさないモリケンが、千葉、いや日本全土を青春パワーでチェンジ!! してくれる日が近づいているのかもしれない。<プロフィール>もりた・けんさく 1949年12月16日生まれ、東京都出身。俳優、歌手、元衆院・参院議員。1969年、映画「夕月」で俳優デビュー。71年の日本テレビ系ドラマ「オレは男だ!」の大ヒット以来、イメージが「ザ・青春」に。92年、参議院議員に初当選。98年、衆議院議員初当選。2005年、千葉県知事選に立候補するも、わずか6000票差あまりで現職の堂本暁子知事に惜敗。「青春の巨匠」の県知事リベンジ戦に注目が集まる。