社会
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社会 2009年04月18日 15時00分
永田町血風録 小沢氏立てながら総選挙にらむ民主党
民主党の政策決定機関「次の内閣(NC)」は、このほど「緊急経済対策」という政府の平成21年度第1次補正予算案の対案となる案を持ち寄った会合を開いた。 その席上で代表・小沢一郎は「国民の生活を豊かにすることが日本経済をよくすることになる。わが党の施策を実行すれば、可処分所得の2割程度の増加を実現できる」と訴えた。 とくに経済対策に力を入れる姿勢をアピールしている民主党。小沢は7日、都内の料理店で中堅議員と会食して、こうも愚痴をこぼした。 「自民党には6月の衆院選が有利だろう。だが、麻生(太郎=首相)さんがどう解散について認識しているかわからない。なかなかすぐには解散は難しいな…」と。 その一方で民主党は、やはり早期に解散に追い込みたいとする動きは執行部に根強い。その一例が国対委員長・山岡賢次の「ただ自民党は、民主党のアイデアを政府も含めて経済対策としているのはパクリだ」のように自民党も政府も民主党のアイデアを「ちょっと失礼」という具合にパクリ続けているのは事実。 「補正案が審議入りすると見られる5月の連休明けが大きな闘い。4月から臨戦態勢だ」(民主党国対委員長・山岡賢次) 民主党が補正予算案を争点化するのは、それへの民主党の対応次第で、衆院を解散するというような趣旨を3月末に麻生の首相としての発言があったからだ。 これを受けて民主党を中心にした野党は、「政権交代が最大の景気対策。首相は抵抗する口実をくれた」とする野党の幹部。ただ「抵抗しても首相は解散しないのではないか」(民主党幹部)との疑念は残る。景気悪化のこの時期、やたらと審議の引き延ばしには世論の反発もある。 そんな中、民主党幹事長・鳩山由紀夫は都内の集会に顔を出して、西松建設がらみの代表・小沢の進退に関連して、「大変厳しい世論が出ている。このままでは政権交代ができるかどうか、際どい状況になった」と述べ、あわよくば小沢に取って代わって、党の代表でもなろうか、といったようなニュアンスの言葉を鳩山は吐いている。 各種の世論調査で民主党の支持率が低下していることを踏まえ、小沢を代表から降ろすことが政権交代をしやすくするとは考えにくい。今はあくまでも小沢を前面に押し立てて、粘り腰で反転攻勢をかけたいようだが、鳩山を含めた民主党の幹部たちは、あくまでも「(西松問題で)手負いですから…」とは言いながらも、やはり心の奥深くには衆院の「解散・総選挙」という文字に手を合わせている。 そんな状況を感じながら自民党も政府も、今は民主党の動向にことのほか神経をとがらせているのが実際のところである。(文中敬称略)
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社会 2009年04月17日 15時00分
15歳少女“愛人”集団強姦事件で実刑判決
本紙15〜16日付社会面連載「事件法廷」で報じた通り、2007年9月に当時15歳の女子中学生を3人の共犯者とともに襲ったとして集団強姦、逮捕監禁の罪に問われた鶴岡稔久被告(27)に対する判決公判が16日、東京地裁(秋吉淳一郎裁判長)で開かれ、懲役6年(求刑同9年)の実刑判決が言い渡された。 弁護側はこれまでの公判で、集団強姦があったとされる時間帯には被告は現場から離れていたと主張。被告の“愛人”である女子中学生は自主的に犯行に使われた車に乗ったなどと訴えてきた。 秋吉裁判長は「被害者供述の信用性は高い」と認定。直前に共犯者の暴行にさらされた被害者が「任意に乗車したと解する余地は全くない」と述べて弁護側の主張を退けた。一方、被告の供述には変遷がみられるとして「罪責を免れるための虚偽の供述。反省の態度は全く見られない」と断じた。 グレーのトレーナーに茶色のズボン姿の鶴岡被告は判決文朗読中、しきりに首を横に振るなど納得いかない様子だった。
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社会 2009年04月16日 15時00分
麻生首相笑顔の裏で、衆院選マル秘マニフェスト隠密作成中
国民のだれもがわかるほど余裕の出てきた麻生太郎首相が、その笑顔の裏で次期衆院選用のマル秘マニフェストをこっそり作成していることが16日までに分かった。関係者によると、民主党の敵失に乗じて本当は大っぴらに作って国民にアピールしたいもよう。しかし、“解散風”を吹かせるのは時期尚早とみて、仕方なく隠密でシコシコやっているという。 笑顔のまぶしさが逆に鼻につく麻生首相は15日夜、記者団に囲まれて不敵な笑みを浮かべた。次期衆院選のマニフェスト(政権公約)作成をめぐる自民党内の動きについて質問を受けると、「選挙が遠いとか近いとか、勝手に結びつけないほうがいいよ」とぴしゃり。暗黙のうちにマニフェストを隠密作成中であることを認めた。 永田町関係者は「すっかり血色がよくなった麻生首相は、“麻生降ろし”の風が2度と吹かぬよう、党内の求心力を高めることに全力を注いでいる。本当は余勢をかって堂々とマニフェストを作成し、解散・総選挙に向けた戦闘ムードを醸成したいところ。しかし、ヘタをすると『解散風』をあおることにもつながりかねないので慎重に作業を進めている」と指摘する。 マニフェスト作成をめぐる自民党内の微妙な空気は、幹部の言動からもわかる。 古賀誠選対委員長は14日、菅義偉選対副委員長を座長とする政権公約プロジェクトチームを設置する方針を記者団に表明。ところが翌15日、細田博之幹事長は記者団に「まだ決まっていない」とあっさり否定した。その上で「公約づくりを始めると、議員は『すわ選挙だ』と驚いて走り回る。大型連休前は政策、法案成立に向かって努力する」と沈静化に躍起だった。 ちぐはぐな隠密作成の背景には、解散をめぐる首相のフリーハンドを確保したいとの考えがある。西松建設事件による民主党の敵失で内閣支持率は上昇傾向。選挙で浮き足立つことは国会審議も含め政権運営にマイナスでしかない。一度でも「解散風」が吹けば、消費税率などをめぐって党内対立を招くおそれも。 麻生氏は9日の日本記者クラブでの質疑で、マニフェスト作成に関して「既にスタートしている。新聞社に分からないようにやるのが大事だ」とけむに巻いた。実際には、10日の役員連絡会で細田氏がひそかにマニフェストを策定する場を検討するよう指示したのがスタート。バレバレの隠密作戦遂行に、麻生氏はニヤけ笑いをこらえられずにいる。
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社会 2009年04月16日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(31)
母の日記から姉の嫁ぎ先と思われる浅田家を訪ねた徳次。渡された身元証明書と写真を手に、洋次郎は徳次の話を黙って聞いていた。洋次郎は徳次よりだいぶん年長のようだった。養家のこと、坂田の店のこと、最近の考案のことなど、徳次は今までの自分の来歴を話した。早川花の明治19年の日記を昨年2月に養家で偶然みつけ、この人が実母であると確信したこと、父や姉もいるようだとわかったこと、自分が一人前になるまでは肉親に会わずにおこうと気持ちを抑えていたが、どうしても会いたくて伺ったということも伝えた。 自分の想像では浅田家に姉が嫁いでいるようなので一度会わせていただきたい、それからあらためて父母にも会いたい、古い日記を見ただけなので詳しいところは全くわからないので、いろいろと教えていただきたい、どうか力になってください、と徳次は懇願した。洋次郎に話しているうちに徳次は自分が肉親の情にどれだけ飢えていたか、あらためて実感していた。 洋次郎は徳次が話し終わると、「私はお前さんのことをよく覚えている。本当によく来てくれた」と言った。そして今度は洋次郎が話し始めた。父母は2人とも他界していた。「2人とも死んだのですか…。そうですか…」とすっかり力を落としている徳次を洋次郎はいたわるような眼で見ていた。そして話題を変えるようにして、次々といろいろな事実を教えてくれた。 姉と言ってもそれは徳次の姉ではなく、自分の母親が徳次の父・政吉の姉であること。つまり徳次と洋次郎とは従兄弟同士だった。 政吉と花のそれぞれの実家のことや、徳次の姉、兄のこと。洋次郎は知っていた。「花叔母さんは和歌や漢詩に英語も習っていた。政吉叔父さんと一緒になる前は明治の初年に愛媛県知事を務めていた関新平という佐賀の生まれの人の元に嫁いでいたんだ」。洋次郎の話では、花は関家で娘を一人産んだ後、娘を残して実家に戻されたそうだ。 「政吉叔父さんは若いころ、大和屋に見習い番頭として奉公していた」
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社会 2009年04月16日 15時00分
永田町血風録 ミサイル対策めぐる社民、共産党の時代錯誤
北朝鮮の“飛翔体”は、やはりミサイルだった。北朝鮮は7日、東北部・舞水端里(ムスダンリ)の基地から5日に長距離弾道ミサイルが発射された瞬間の映像を公開した。 このミサイル発射について北朝鮮は“大成功”としているのに、米国は“失敗”だったと異なった見解を述べている。いずれにしろ北朝鮮は、日本と米国を“敵”に回しての挑発であったのは事実。 この北朝鮮の挑発を受けた日本は、早速、7日の衆院で「北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議」を自民党、公明党、民主党、国民新党の4党の賛成多数で採択した。北朝鮮と“友党”関係にある日本共産党と社民党がそれぞれ反対、棄権をしたことは、この両党が「いわば国民の敵」ということになる。 「バカだね、日本共産党と社民党は。やはり思想の根っこにあるのがマルクス主義だから致し方ないとはいえ、この両党は時代錯誤もはなはだしい。だから選挙のたびに議員の数が減っていくのだよ」というのが街の声の大半であろう。 そのいい例が、今回の決議に関する両党の言動だ。決議は自民、公明両党の共同提案で、「飛翔体」ではなく「ミサイル」と明記。発射は国連安保理決議に「明白に違反し、断じて容認できるものではない」とした。 そして両党は、政府に対して「さらなるわが国独自の制裁を強めるべきである」と求め、国連安保理が新たな決議を採択するように努力を促した。言い換えると、これが日本国民の“総意”として。 しかし、北朝鮮が発射したミサイル映像としてそれが流れても、「世界がこれはミサイル(共産圏は別だが)と確認していない」として衆院での北朝鮮への決議の文言のうち「国連決議に違反」とする表現の削除などを両党は強く主張した。 たまたま時を同じにして、野党間の国会運営について協議していた野党のうち民主党と国民新党の両党は、この野党間の協議を中断して、与党案に賛成したが、共同提案に加わらなかった。 民主党の場合、7日は党本部で小沢一郎の代表就任から丸3年にあたるので政権交代への衆院選対策など、記者会見をしていた。身内のことの重大さがあったか、「北朝鮮は絶対的な独裁の下、人民はもとより国民の生活も確保できていないのに、弾道ミサイルや核を切り札にして、世界情勢をもてあそぶことは絶対に許されない」と、今回の北朝鮮のミサイル発射について厳しい対応を迫るべきといいながらも、日本のこの発射誤報に関して「慌てふためいてお粗末な限り」と批判した。 与野党ともそれぞれ意見があるが、これを次なる選挙の材料にするには少々早計かも…。(文中敬称略)
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社会 2009年04月16日 15時00分
森田知事告発グループが打ち明ける“告発状受理”の手ごたえ
県議と有権者らでつくる「森田健作氏を告発する会」(井村弘子代表)のメンバーら854人は、本紙昨報通り千葉県知事選で森田健作知事(59)が公職選挙法に違反したとする告発状を15日午後、千葉地検特別刑事部に提出した。反モリケングループによる“さらば知事と言おう”とばかりのアクションは、告発状受理か否かで大きなヤマ場を迎えた。 告発状によると、森田氏が選挙中、「自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部」の支部長でありながら法定ビラなどに「完全無所属」と記し、あたかも政党と関係がないような表記をしたことが公職選挙法の「虚偽の事項を公にした」にあたるとしている。 あわせて、05、06年に献金が禁じられていた外国人や外国法人の持ち株比率が50%を超える企業から寄付を受けていたことが政治資金規正法違反にあたるという。 地検は告発状を受け取ったが、正式に受理するかどうかは明らかにしていない。同会の呼びかけ人の吉川ひろし県議(59)は、「(受け取りの際)通常は事務官や事務課長が出てくるのが普通だが、高瀬一嘉特別刑事部長が直々に受け取ってくれた」と話す。「捜査を十分行う」との発言もあったといい、正式受理に自信をのぞかせた。 就任10日で現職知事が刑事告発されるのは異例のこと。大ピンチの森田氏側は「16日の定例会見でお話しする」としている。(関 淳一)
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社会 2009年04月15日 15時00分
「事件法廷」15歳少女“愛人”集団強姦事件(下)
被告Aを含めた4人がY子(当時15歳)に強姦を行ったとされる小さな公園では昼間、子どもが無邪気に遊んでいた。住宅密集地ではあるが、夜ともなると人通りはめっきり少なくなる。 事件の争点は、Aの共犯の実行の有無とY子の任意性の2点に絞られた。弁護人は、強姦があったとされる時間帯にAは共犯者Bに頼まれて近くのコンビニで買い物をしていたと説明。「仮に強姦があったとしてもその場にいなかった」と主張した。また、Y子についてもAらが車に押し込んだのではなく自主的に乗り込んだのだとして、「逮捕監禁、集団強姦の事実はない」と訴えた。 Y子は法廷に置かれたモニター越しに「(Aから)『一生男とできないようにする。体を傷つける』などと言われた」などと強姦の様子を詳細に語った。事件の約3カ月前にAと出会った直後にもレイプされていたと話し、「(事件当日は目隠しをされていたが)声の感じやすね毛の感じ」からAに強姦されていると分かったと証言した。 物証は出ていないため証言に頼らざるを得ない。弁護人はY子の信用性を崩しにかかった。 弁護人によると、Y子は事件後にブログを開設。そこで自分のことを「ヤリマン」と書き、楽しげに外出している様子などをつづっていた。「強姦の被害者としては、Y子の行動は経験上あり得ない」と迫った。さらにY子は普段から素行が悪く、最近まで少年院に入っていたとも明かした。 攻守交替、被告人質問ではAが検察側の厳しい追及にあった。 「Y子を愛人とし愛情があるなら、なぜB(共犯者)の暴行を止めなかったのか」と質されると、「止めようとしました。でも、Bのバックにヤクザがいたので怖かった」と弁明。捜査段階での供述との矛盾点を指摘されると、答えに窮する場面もあった。 検察側は「AらがY子を性欲処理や自己満足のための単なる道具としてしか見ていなかった」と主張。供述の変遷がみられるなど「反省の情が全くない」とし、懲役9年を求刑した。 弁護人は「Y子はAに恨みを持っていた」ため虚偽の証言をしているとしたが、その恨みが何なのかは明らかにされなかった。 共犯者らはすでに懲役2年6カ月から4年の実刑判決がそれぞれ出ている。 主犯のAに対する判決は今月16日に言い渡される。(おわり=阿部雄二)
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社会 2009年04月15日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(30)
徳尾錠の特許も取り、大量注文もきた。水道自在器の製造も実を結ぶと、徳次の独立が現実味を帯びてきた。バックルだけでも当分の仕事には十分すぎるほどだ。 冬は洋傘の仕事を坂田の店から下請けし、夏は水道自在器。これで1年間の仕事は確保できるし、バックルを納品すれば利益も上がるので将来の運転資金に回せる、こう考えて、この際、独立しようという気持ちが徳次の中で強まっていった。 一人前の職人になったら肉親と会うと決意した徳次だが、独立を目前に、まだ見ぬ実の両親に会いたくて我慢ができなくなった。1年余り徳次が抑え込んでいた肉親を慕う気持ちが一気に噴出した感じだった。 明治45(1912)年3月25日、徳次は養家で見つけた花の日記からメモした日本橋鉄砲町の浅田洋次郎という人を訪ねることにした。日記からは徳次の姉が嫁いだ先と思える家だ。 浅田家を訪ねる決心をした徳次は、浅草の代書屋で身分証明書を作成した。20年近くもたってしまった今、自分の素性をうまく説明できるか、徳次は不安だった。そこで助けになればと思って、自分の大体の履歴を代書人に作ってもらったのだ。ほかに13歳の時に坂田の店で撮ったものと最近のものと、2枚の写真も用意した。 坂田の店から日本橋鉄砲町の浅田家まで、徳次は歩いた。縞の羽織に角帯、上からマントを着て鳥打帽をかぶった。今では鉄製に架けかえられた思い出深い両国橋を渡る。長屋時代から丁稚奉公のころのことが徳次の胸に浮かんでは消える。やがて浅田家に着いた。 徳次が驚いたことに、浅田家は丁稚時代からよく出入りした地金問屋だった。黒塗りの倉庫造りの威容を放つこの店に、徳次は何度、地金を買いに来たことか。 店の手前でちょっと立ち止まった。お客さんや店の人が忙しそうに立ち動いている。表から訪ねて門前払いをされたくないので、裏手の住まいを訪ねることにした。浅田の表札を確かめて玄関の格子戸を開け「ごめんください」と声を掛けた。
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社会 2009年04月15日 15時00分
森田健作知事の告発状、市民団体きょう提出へ
千葉県の森田健作知事(59)が早くも窮地に立たされた。きょう15日午後、森田氏が公職選挙法と政治資金規正法に違反していたとして市民グループが千葉地検特別刑事部に告発状を提出する。 県議や市民でつくるこのグループは11日、「森田健作氏を告発する会」を設立。統一会派の「市民ネット・社民・無所属」に所属する大野ひろみ(60)、吉川ひろし(59)の両県議が呼び掛け人となっている。 告発の内容は2点。森田氏が選挙中も「自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部」の代表を務めながら、法定ビラなどに「完全無所属」をうたって当選したことが、公職選挙法第235条の「虚偽の事項を公にした」に抵触する疑いがあるとしている。 さらに、同支部が05年と06年に、当時の政治資金規正法で献金が禁じられていた外国人や外国法人の持ち株比率が50%を超えるディスカウント大手のドン・キホーテ(東京都)から計980万円の献金を受けていたことも政治資金規正法22条違反の疑いがあるという。 森田知事は無所属を標榜したことについて「政党の公認や推薦がないかぎり無所属。無所属にしないといけないんですよ」と反論。ドン・キホーテからの献金については「本当に知らなくて驚いた。法に則って事務局と弁護士にやるよう言ってある」と弁明している。 今後は地検が実際に起訴に踏み切るかに注目が集まるが、展開によっては“当選無効・再選挙”に発展する可能性も出てきた。 千葉選管によれば、仮に森田知事が当選無効となった場合は「50日以内に再選挙」となり、再度、18億円前後の県費がかかることになる。(関淳一)
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社会 2009年04月14日 15時00分
潜入!サラ金規制強化で裏ビジネス出現 中古ファミコンソフトを50万円で売るカラクリ
改正貸金業法施行で消費者金融各社は一斉に利下げに踏み切った。一方で、顧客の厳選により融資を受けられなくなる層が多数発生している。そんなサブプライム層をターゲットに巧妙な手口で融資を行う新手の裏金融が現れた。中古ファミコンソフトを何と50万円で販売し、ヤミ金融と違って業者が絶対に損をしない商法。そのカラクリを探った。 商工ローン業界最大手だったSFCG(旧商工ファンド)が今年2月23日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産した。 東証1部上場企業ですら倒産の荒波に飲み込んでしまうこの厳しい経済情勢においては、多くの金融業者が大変な苦戦を強いられている。中小零細業者の中には貸金業に見切りをつけ、廃業を決めた業者も続出しているほどだ。 ところが、百年に一度といわれるこの大不況にもかかわらず、「元手はほとんど掛からない上に絶対に取りっぱぐれはない」とまさに我が世の春を謳歌している裏金融業者が存在するという。さっそく現場に潜入した。 問題の業者は千葉県の郊外に店を構えていた。JR千葉駅から成田線に乗り換えて電車に揺られること約20分、さらにそこからタクシーで10分ほど走ったところにその店はあった。店頭に「お金貸します」といった類の看板は一切掲げておらず、表向きは大型リサイクルショップ。店内には古着や釣り具、DVD、古本、アクセサリー、玩具などが雑然と並べられ、いかにも若者が好みそうな品ぞろえだ。 店内中央にあるレジまで進むと、レジ横には、商品券やプリペイドカードを陳列したショーウインドーがあった。しかし、少し様子が変だ。上から2段目の棚には中古のファミコンソフトが並べられており、付けられていた値札を見て絶句した。左から順に1万円、3万円、5万円、10万円、15万円、20万円、30万円…と金額が上がっていき、最高額は何と50万円だった。とっくの昔に生産が終了し、いくら入手困難になったとはいえ、箱も説明書もない中古ファミコンソフトが1本数十万円とは尋常ではない。 店の真の狙いは何か? ファミコンソフトをショーウインドーから出してもらい手に取って見ると、狙いが透けて見えてきた。そこには“買取保証チケット”なるものが添えられていたのだ。“買取保証チケット”には、「高額買取保証 80%24万円買取 クレジットカードもご利用になれます」とある。 要するに、中古ファミコンソフトをクレジットカードで購入してくれたら、リサイクルショップ側が即座に買い戻して購入額の80%に相当する現金をキャッシュバックしますよという一種の金融であった。 改正貸金業法では「顧客1人に対する貸付額は他社融資分と合算して年収の3分の1以内」と厳しい総量規制がなされている。しかし、クレジットカードのショッピングについては割賦販売法が適用され、貸金業法の規制は受けない。よって、多重債務者でも関係なく利用できるのだ。 一方、リサイクルショップ側からすれば、販売代金は後日カード会社から振り込まれるので確実に回収できる。おまけに客にカードで「販売」した商品は、その場で「買取」をして戻ってくるので使い回しが可能。実質的に仕入れ原価ゼロをキープできるわけだ。 支払いを延滞していない限り、消費者金融でどんなに多額のキャッシングをしていようとも利用できるというカードショッピングの盲点を突いたこの“裏金融”。今後、消費者金融が「貸し渋り」「貸しはがし」をするにおよんで全国的に拡大する懸念もある。◎ニセ中古品で騙せ!? 裏金融をハメようとする詐欺師との攻防 “ファミコンソフト金融”の取材を進めると、千葉県内の系列店では中古の財布、ブランドものの香水からフィギュアまで使い、同様の手口でカード換金を行っていることが分かった。それらの中古市場での取引価格を考えると、3万〜5万円といった値段は明らかに法外だ。 ところが、ここで頭の回る人ならこう考えるかもしれない。「例えば、中古ファミコンソフトを24万円で買い戻してくれるなら、どこかで同一種類のファミコンソフトを安く調達してきて、『この前カードを使って購入したものですが、買い取ってください』とだませば多額の現金が得られるのでは」。つまり、裏金融業者を逆にハメて現金をだまし取る作戦。ちょうど数年前に流行したニセ景品によるパチンコ景品換金詐欺のようなものだ。 ところが、敵もさる者。 「当店では、こういう商品の買い取りは販売当日限り有効、というよりも売り場責任者が買取窓口までお客様に同行します」 とのこと。要するに店員が“付け馬”をすることにより、だまされないように予防線を張っていたのだ。