社会
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社会 2009年03月18日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(13)
仕事が忙しいと、職人たちは夕食後も夜遅くまで作業をする。小腹が空くとお金を出し合って何か買って食べた。使いに出されるのはいつも徳次や兄弟子だった。 夜更けの道の怖さを紛(まぎ)らわすために、徳次は大声で歌いながらお使いに行くのを常とした。ある晩、真っ暗な路地を戻ってくると何か空からぶら下がっているものがあり、ゴツンと突き当たった。暗いのでそのまま店に戻ったが、翌朝、人が騒いでいるので駆けて行ってみると、昨夜のゴツンは首をくくって自殺した人だったことがわかり、驚いたこともあった。 奉公に入って何年か経ち、独学で読み書きを身につけた。休日や夜の空いた時間に技術方面の記事を好んで読んだ。兄弟子たちの読む講談や小説にはあまり興味がなかった。 また、浅草の古本屋で見つけて6銭で買った伝記に夢中になった。そこには外国人実業家の、苦難に耐えた生涯が詳しく描かれていた。その主人公たちは、ある者は町の鉄工場の見習い、あるいは機械工、印刷工などだった。皆、貧困に耐えながら、それぞれに技術を習得し、やがて機会をつかんで活躍を始めるのだ。 彼らの絶えざる努力、チャンスを逃さない機転に富んだ判断力は、徳次に明るい希望を与え、将来の仕事への空想を駆り立てた。ぼろぼろになるまで、この本を読んだものだった。 徳次は働き者で、理解も早かったので芳松夫妻や職人たちに可愛がられた。自身も、希望を抱いて仕事に臨んでいた。そんな徳次も一度だけ、奉公先を逃げ出そうかと思ったことがあった。 日本橋の問屋まで地金を取りに行く仕事が、小柄な体にはどうしても辛かった。電車はもちろん、自転車さえない頃のことだ。仕事場から地金問屋までの片道約1里半、往復約3里(1里は約4キロ)を歩く。行きはいいが、帰りには20〜30キログラムもの重さの地金を担いでいる。へとへとになって店に帰るのが常であった。
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社会 2009年03月18日 15時00分
千葉県知事選 白石陣営“助っ人タレント議員”で森田氏に対抗
混戦模様の千葉知事選は、29日の投開票日に向け各候補とも必死の選挙戦を繰り広げている。知名度で勝る元衆院議員で俳優の森田健作氏(59=無所属)を追う関西大教授の白石真澄氏(50=同)は17日、市川市内で個人演説会を開き、“ユニークな助っ人”を登場させた。 応援に駆け付けたのは、ヤンキー先生こと義家弘介参院議員(37=自民)と、ミスターの物まねで知られるプリティ長嶋・市川市議(54、本名=片岡馨)の2人。500人を超す有権者が異色の顔合わせに盛り上がった。 義家氏にとってモリケンは母校、明治学院大学の先輩に当たる。しかし義家氏は「普通なら森田さんにつく。それでも私は白石さんを選んだ。千葉の教育問題に取り組めるのは白石さんしかいません」と猛プッシュ。 プリティ長嶋氏もまた芸能界では大先輩のモリケンに対し、「同じタレント議員でも中身のない人」とチクリ。真っ向勝負を挑む構えをみせた。 同知事選で公明党県本部は白石氏を支援。引退する堂本暁子知事は、いすみ鉄道前社長の吉田平氏(49=民主、社民、国民新推薦)を後継指名している。 自民党県連は森田、白石、吉田各氏に割れて統一候補擁立を断念、自主投票となった。ほかに社会福祉法人理事長の八田英之氏(64=共産党推薦)、元県議の西尾憲一氏(58=無所属)が立候補している。
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社会 2009年03月17日 15時00分
石原伸晃幹事長代理 ポスト麻生急浮上
小沢一郎代表の献金スキャンダルで民主党の支持率は低下したが、麻生内閣の支持率も一向に上昇の兆しがない。それだけに「やはり麻生首相では衆院選は戦えない」との声が与党内で強まっている。そこで「ポスト麻生」に与謝野馨財務相、小池百合子元防衛相らの名前が挙がっている。数多い有力候補の中で、にわかに注目されてきているのが石原伸晃幹事長代理だ。 「ポスト麻生には与謝野財務相、小池元防衛相、石原幹事長代理、石破茂農水相、舛添要一厚労相、野田聖子消費者行政担当相などの名前が挙がっているが、表立った動きは目立っていない。西松建設の違法献金事件で民主党小沢代表が叩かれているときに“麻生降ろし”をやったら利敵行為になるからね。ただ『麻生首相では衆院選を戦えない』は与党内の共通認識だから、水面下でポスト麻生の動きはある」(自民党関係者) 報道各社の世論調査でも麻生内閣の支持率は低迷が続く。小沢氏の秘書逮捕で民主党の支持率は低下しているが、それが必ずしも追い風になっていないのだ。それもこれも一連の発言のブレなどで、麻生首相のリーダーとしての資質が問題にされているからだ。 麻生降ろしの急先鋒と見られる武部勤元幹事長が「新しい総裁を選び、新しい政策を国民に見てもらう」と都内の講演でぶち上げたのも、仕掛けのタイミングを探っているからだろう。追加景気対策で麻生内閣の支持率が上昇しなければ、麻生降ろしがマグマのように噴出するのは避けられない。 実際、“麻生離れ”は確実に進んでいる。例えば、立候補予定者が別の有力政治家らと一緒に写る「政党用ポスター」に、それが表れている。衆院議員の任期満了まで半年を切ると、立候補予定者の単独ポスターの掲示が禁止される。そこで「選挙の顔」になるはずの首相とのツーショットになるのだが、「人気のない麻生首相を敬遠する候補者が少なくない」(政界ウオッチャー)のだそうだ。その代わりに、ポスト麻生に名前が挙がる石原幹事長代理や舛添厚労相ら、有権者に人気がある政治家を選ぶ候補者も目立っている。いわゆる“麻生切り”だ。 ツーショットに選ばれたポスト麻生候補たちも「次の首相候補」と持ち上げられて満更でもなさそうだ。中でも注目度が高いのは石原幹事長代理だ。昨年9月の自民党総裁選にも出馬したように、総理の座への意欲はもともと強い。麻生首相と違い、若くて清新なイメージもある。 石原氏は周囲に「次は与謝野さん」と漏らしているようだが、これはあくまで表向きの発言。前出の自民党関係者はこう解説する。 「本音はやる気ありだと思いますよ。世論調査の“首相にふさわしい候補”でも、常に上位にランクされているように、有権者の人気も高い。石原氏を担ごうとする動きが出ていても不思議ではない。ただ、現在は幹事長代理だし、あまりに早く名乗り出ると、それをつぶそうとする動きも出てくるからね」 昨年の総裁選で支持してくれた議員に「次も出る」と漏らしたとも伝えられているし、若手議員からも「人気があるし、もちろん有力候補の一人」と清新なイメージを買う声が少なくない。 「所属派閥のドン、山崎拓氏も『伸晃クンを総理にしたい』と、水面下で石原擁立を探っている。石原首相誕生となれば山拓がキングメーカーとして腕をふるえる可能性が大だ」(政治部記者) また、「いざとなれば石原慎太郎都知事が、長男の伸晃氏のために動くのは確実。表立った応援はなくとも、仲の良いキングメーカーの森喜朗元首相にバックアップを頼むはず」という支持者の声もある。 ポスト麻生を意識しているのか、最近はテレビでの露出も増えている石原氏。有力候補として、にわかに注目を集めているのは確かなようだ。今後の石原氏の動きには目が離せない。
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社会 2009年03月17日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(12)
井上せいは、これから奉公を始める坂田芳松親方に徳次を引き渡すと、よろしく仕込んでやってくれと何度も頼み、やがて一人で帰って行った。 主人の芳松は昔気質(むかしかたぎ)の職人肌の人だった。口は悪いが竹を割ったような性格で情も厚い、下町育ちの生粋(きっすい)の江戸っ子だ。徳次は後年、芳松によって技術への眼を開けてもらったと同時に、人の世の情けを授かったと語っている。 井上せいが去ると、おかみさんは着物と“坂田”と両衿(えり)に染め抜いてある印半纏(しるしばんてん)を徳次に渡した。着替えると仕事場に連れて行き、兄弟子たちに紹介してくれた。仕事場は10畳ほどの板敷だった。 坂田は江戸時代から続く錺(かざり)屋で、芳松は当時34歳、腕のいい職人だった。ただし徳次が奉公に入った頃には昔ながらの仕事は減っており、当時としてはハイカラな人の持物だった洋傘の金属部分を製作するのが主な仕事だった。 坂田の家での徳次の一日は、まだ暗いうちに起き、眠い目をこすりながら家の内外の拭き掃除をすることから始まる。やがて職人たちが起きてきて、朝食の前に一作業する。朝食は7時頃で、まず職人、そして兄弟子たちが食べ終わってから徳次の食べる番が回ってくる。 その頃には鍋の味噌汁は実も何もない底だまり、ご飯はお焦(こ)げばかりになっていた。それでも3度の食事を遠慮せずに食べられる。熊八の家にいる時よりずっとましだった。 坂田の店には当時、職人が5、6人いた。徳次のように奉公中の者も合わせると20名近い大所帯だった。職人、兄弟子それぞれがあれこれと用事を言い付ける。おかみさんの台所の仕事も言い付かるので、一番の新入りである徳次は一日中、目が回るほど忙しかった。 休憩時間などないので、食事の時にやっと少し体を休めるだけだった。
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社会 2009年03月17日 15時00分
永田町血風録 国民のホンネは「選挙より生活」
金融不安の再燃や景気の先行き不透明感など、懸念材料だらけの経済界。それに輪をかけているのが、二階俊博経済産業相の西松建設に絡む献金疑惑だ。 担当大臣の身辺がこんなていたらくでは、国民も定額給付金を貰ったくらいでは金融不安同様に安心はできない。しかも、東証では終値がバブル後、最安値を記録。金融不安に加えて、政情は不安定極まりない。国民の間に、フラストレーションがたまるばかりなのだ。 経済と政治が連動することは日本だけでなく、世界各国も同じ。しかもそういう場合、大抵、汚職が絡む。今回の西松建設問題は、下請け社員を使って献金を装ったり、パーティー収入を偽装したりするなど、まさに犯罪行為に等しい。 そんな出口の見えない状況を、さらにややこしくしたのが検察の捜査見通しについて、自民党議員への波及を否定したことで集中砲火を浴びている漆間巌官房副長官。警察庁外事第一課長を経て、大阪府警本部長時代には元日本赤軍幹部の重信房子の逮捕など、大きな事件に関与していた。 「当然のように警察関係者には顔が利く。しかも情報は取れる。そんな立場で知り得た情報をオフレコとはいえ数多くの記者の前で喋(しゃべ)れば、必ず外に漏れてしまうことぐらいは知っていなければ、官房副長官は務まらない」(民主党元議員) また、金融アナリストは代議士先生を、こう皮肉る。 「自民党の国会議員というのは、ちょっと偉くなると、すぐに余計なことを喋る。麻生首相も言わなくてもいいことをペロリと喋る。だから信用が置けない、と支持率は上がらないんだ。その麻生のところで、またいろいろな事件や事故が起き始めると、経済はことのほか敏感になる。当然のように26年ぶりの低水準になってしまった」 前出の民主党元議員が言う。 「両党とも、ここらあたりで仕切り直ししてはどうかね。民主党の顔は小沢一郎ではなく、自民党も麻生太郎をすげ替えないと選挙は戦えないよ。国民は選挙のことよりか、雇用問題を含む最悪の社会状況をなんとか払拭(ふっしょく)してほしいという気持ちの方がはるかに強い」 選挙は、二の次なのだ。口を開けば、解散総選挙と叫んでいた民主党の鳩山由紀夫幹事長も、このところ選挙のセの字も言わなくなったのも無理からぬことか…。 大阪で大相撲春場所が始まった。相撲になぞらえれば自民VS民主ががっぷり四つに組む選挙戦も予想されたが、土俵さえつくれそうにない。 国民の最大の関心事は生活をどうにかしてほしいということ。それを第一にうたった、どこやらの政党も意気消沈ぎみ。バブル後初の金融不安は、いつ解決のめどが立つのやら。これこそ政治家が、与党野党を離れてやらなければならない喫緊の課題だ。(文中敬称略)
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社会 2009年03月17日 15時00分
政府有識者会合に竹中平蔵氏参加拒否 麻生首相“批判勢力”取り込みに失敗
政府は16日夜、民間の知恵を拝借する「経済危機克服のための『有識者会合』」を首相官邸で開いた。19日をのぞく21日までの5日間で、各界の第一人者83人から意見を聞く予定。麻生太郎首相の号令で、政府に批判的な有識者にも声をかけたが、小泉元首相のブレーンだった竹中平蔵・慶応大教授には参加を拒否された。意見は聞きっぱなしで提言などをまとめないため、その効果には疑問符をつけざるを得ない。そのうえ批判勢力取り込みにも失敗、グダグダのパフォーマンスに終わりそうだ。 会合は環境や社会保障、雇用など10のテーマ別にテーブルを設け、麻生首相や与謝野馨財務相ら関係閣僚と計83人にのぼる各界の第一人者が集中討議する。しかし、1人当たりの持ち時間はわずか10分程度。どこまで突っ込んだ意見交換をできるかは甚だ疑問であり、ただ意見を聞くだけに終わる可能性が高い。 そんな会合への出席を打診された竹中氏は、やはり断ってきた。「麻生首相とは考えが合わない」とけんもほろろだったようだ。竹中氏は小泉元首相のブレーンであり、是非はともかく“聖域なき構造改革”を推進してきた立場。当然ながら麻生政権に対しては「改革をとん挫させた」と批判的論調で、それゆえ竹中氏が参加すれば批判勢力取り込みに弾みがついた可能性もあった。 小泉元首相が「笑っちゃうくらいあきれている」とまで麻生氏を批判したように、竹中氏もまた意見してどうこうなるレベルではないとの認識なのだろう。会合の実りが期待できないばかりか、パフォーマンスとしてもひどい有り様となった。 さて、初日となった16日夜の会合には、学者8人が参加。麻生氏は冒頭「デフレ下の世界同時不況で日本の実体経済にも大きな影響が出ている。異常事態には異例の対応が必要で、永田町や霞が関には意見を政策に生かしたい」と訴えた。 政府は、有識者の意見を「有効」と判断すれば、今後政府・与党で取りまとめる追加経済政策に反映させるという。麻生氏は各分野の第一人者を集めることですっかり満足しており、「オールジャパン」(首相)と位置付けている。オールジャパンと呼ぶにふさわしいのメンバーを集められたとしても、ヘボ監督では結果は見えたようなもの。要は麻生政権の経済運営に「お墨付き」がほしいだけなのだ。 会合では、伊藤元重東大大学院経済学研究科長が高齢者貯蓄を景気刺激に活用するため「年限を区切って贈与税の免除を認めるべきだ」と提案。リチャード・クー野村総合研究所主席研究員は大規模財政出動を訴えた。
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社会 2009年03月16日 15時00分
テリー伊藤氏の漢字誤読ツッコミに麻生首相自爆答弁
麻生太郎首相(68)は15日、NHK「総理にきく」に生出演し、演出家のテリー伊藤氏(59)に漢字誤読を突っ込まれて“自爆答弁”をしてしまった。 直前に散髪して男前になった首相に対し、テリー氏は冒頭から容赦なく「しゃべりの脇が甘いんですよね」と、失言癖や漢字誤読など国民のだれもが抱く疑問をストレートにぶつけまくった。 テリー氏が「一国のトップなのだから、事前に振り仮名でも振っておけばよかったのに…」と突っ込むと、首相は「原稿をみてしゃべるということをあまりしないというのが大きい。もう少し原稿に目を落とすようにしないといかんかなあというのは、反省としてはある」と答えた。 この釈明は納得できない。これまで首相は「未曾有(みぞう)」を「みぞゆう」、「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」などと読み違えている。原稿を見なかったがために「みぞゆう」「ふしゅう」と述べたというのであれば、なおさら“おバカ”。そんな日本語はない。“ウソつき太郎”が露見した格好だ。
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社会 2009年03月16日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(11)
早川家が徳次を出野家に養子に出した時の条件に、普通以上の学業を修めさせることという項目があったが、結局、通い始めて1年で尋常小学校をやめさせられた。出野家には徳次を学校にやる余裕などなかった。 内職に明け暮れるだけの日々だった。遊びたい盛りの年頃なのに戸外で遊ぶことは全くできなくなった。 問屋と長屋の、マッチ箱を背にした往復だけが外に出られる時間だった。途中で同じ年頃の子供達が遊んでいるのを見かけると、羨(うらや)ましく思いながら、見ないふりで通り過ぎる。徳次はあり合わせの材料で手製の玩具を作って気を紛(まぎ)らわせることもあった。 学校をやめさせられてから半年近くが経った。この明治34(1901)年9月15日、徳次は熊八の家を離れる。 学校にも行かせてもらえず、栄養失調の体で内職仕事をさせられている徳次を不憫(ふびん)に思っていた井上せいが、本所の錺(かざり)職人の家で丁稚奉公できるように計らってくれたのだ。 錺というのは金属加工のことで、かつては簪(かんざし)や仏具・神具などの飾りを作っていた。 7年7カ月という長い期限の定められた年季奉公だった。徳次はこの丁稚奉公の話を聞いて心の底から嬉しかった。義母と内職から離れられる。新しい仕事をいろいろ想像してみた。 奉公を始める9月15日、東大工町の長屋から本所北二葉町二番地(現石原2、3丁目付近)の錺職人の家まで、かれこれ1時間ばかりの道のりを、盲目の井上せいに手を引かれて徳次は歩いた。後に、この時のことを述懐してこう記している。 “この時の井上さんに引かれた温かかった手のひらのぬくもりは、今なおこの私の手の中に残っている。私の生涯の門出は、盲目の井上さんによってひらかれたのであった”。(経済ジャーナリスト・清水石比古)
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社会 2009年03月14日 15時00分
少ない資金で世界資産分散できる究極の投資ETF
投資に興味があれば、ETFに魅力を感じたことがあるのではないか。株式市場がバブル以来の最安値をつけたこともあり腰が引けそうになるが、安い今こそ仕込みどきともいえる。対象が多彩なETFの賢い投資術にスポットを当ててみた。 先日、日本経団連は株価対策として、TOPIXなどに連動するETFに転換する権利のついた政府保証債を公的機関が発行し、市場から買い取るべきとの案を発表した。 御手洗富士夫経団連会長は、「大幅に発想を変えた大胆で即効性のあるものでなければならない」と強調している。 究極の投資といわれるETFだからこそだ。 ETFとは、「Exchange Trade Fund」の略。証券取引所に上場された投資信託が対象になる、主に株式指数(インデックス)に連動する商品が多い。しかし、そのなかには金価格に連動したものもある。 本場アメリカの証券取引所には700本を超えるETFが上場されている。世界株式証券指数、金や石油などの商品指数、世界のREIT(不動産投資信託)指数など、じつに多彩で投資家のニーズを刺激する。 モダンポートフォリオ理論の登場以来、資産運用の世界では、プロのファンドマネージャーの運用するアクティブ運用と、インデックス運用を中心とするパッシブ運用の優劣が議論されてきた。 「市場が効率的であれば、どんなアクティブ運用も長期間に渡って市場平均を上回ることはできない」との理論は、繰り返し統計的にも証明されている。 しかし、いかに数学的に正しくとも、投資家のウォーレン・バフェットのように、明らかにマーケットを打ち破った投資家が出現している。市場が100%効率的だと言い切ることはできないわけだ。 最近のネットワーク理論では、株式市場は標準偏差の範囲内で安定した値動きをするのではなく、時として暴騰や暴落を繰り返すとされる。緊密な網の目で結ばれた複雑系のシステムで、市場に綻(ほころ)びがあるのなら、それを利用してマーケットに打ち勝つことも不可能ではないといえる。 これらを実質的に無意味にしたのがETF。基本的には株価指数に連動しているのでパッシブ運用といえるが、同時に不動産、商品、通貨などさまざまな指数に連動しているものもある。国債分散投資をするとき、ポートフォリオを作成するツールとして利用すれば、アクティブファンドを利用するのと同じ効果が得られることになる。 証券会社で違いがあるが手数料は3%前後、無料のところもあるように投資家にとってコストは低い。 従来、プライベートバンクやヘッジファンドの専売特許だった世界資産分散=世界ポートフォリオを、少ない資金で作ることが可能になったことになる。裁定取引1億円といったプライベートバンク、限られた投資家しか参加できなかった世界ポートフォリオを、一般の個人投資家がETFを使うことによって同じ手法で投資することが可能になったのだ。 経済ジャーナリスト・竹内幸男氏は「かつて容易ではなかった世界ポートフォリオの作成は、今は子供でも近くの証券会社に行き、MSCコクサイインデックスに連動するETFを買うだけで完成します」という。 MSCとはモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が算出する世界の株価指数。北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの主要23市場の大型株への投資も可能なわけだ。これから日本株を除いたものがMSCコクサイ株価指数で、金融機関では「MSCセレクト」「海外株インデックス」などの名称で販売している。 資金の少ない投資家でも、IWRD(SPY+EFA)80%+EEM20%、TOK75%、EEM25%で世界株式をほぼカバーできる。まさに究極の投資である。
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社会 2009年03月14日 15時00分
カーネルおじさん人形カブス入り濃厚
大阪・道頓堀川から引き揚げられた「日本ケンタッキー・フライド・チキン」のカーネル・サンダース人形の争奪戦が勃発し、なんと米メジャーリーグの古豪シカゴ・カブス(本拠地リグレー・フィールド)が獲得しそうなことが14日までに分かった。米紙USAトゥデー(電子版)が報じている。カブスは1908年以来、100年もワールド・チャンピオンから遠ざかっている超人気球団。この“呪い”を解くため、無事引き揚げられたカーネルおじさんの力を必要としている。 イリノイ州シカゴで1871年に創設されたカブスは、ナ・リーグ優勝16回を数える古豪ながら、ここ100年、つまり1世紀優勝がない。カブスファンは、その原因を“ビリー・ゴートの呪い”と思いこんでいる。 いつも山羊を連れて観戦していた熱狂的ファンのビリー氏を本拠地リグレー・フィールドから追い出したのが始まり。カンカンに怒ったビリー氏は「2度とこの球場でワールドシリーズは行われないだろう」と不吉な予言を残して去った。以降、すっかりチームは低迷し、あと一歩のところまで迫っても不幸な偶然に邪魔されるなどして優勝することはなかった。 米紙USAトゥデーが12日付で報じた記事によると、ケンタッキー・フライド・チキン本社のオーナーがそんなカブスに対して、「カーネルおじさん人形を獲得して呪いを解き放つべき」と強く進言したという。 同紙は、ケ社の略称KFCをもじって「Kentucky Fried Cubs the answer?」の大見出しで人形引き揚げのニュースを写真付きで報じている。 「本紙吉報の通り、日本の大阪ではKFCのカーネル・サンダース像がついに見つかったことに対して、多くの野球ファンが喜びの声を上げている」とする続報だ。 1985年の阪神タイガース優勝以来、川に投げ込まれたカーネル像の呪いでタイガースが優勝から遠ざかっている事実を説明。記事は「しかしそのカーネル・サンダースの呪いも川から引き揚げられたことで解けたのだ。でも、この話はここで終わらない。KFCの代表取締役ロジャー・イートンは、カブスのオーナーに『像を借りるべき』と逆オファーの手紙を送った。『我々は親愛なる日本の同僚に像の借り受けを強く求めているところだ。開幕初日までに何としてもサンダース像がほしい』と」と報じている。 カブスには、WBCで連覇を狙う背番号1の福留孝介外野手(31)のほか、フィリーズを退団した田口荘外野手(39)が今季マイナー契約している。 昨季はシーズン序盤の好調を維持できなかった福留選手にとってはWBC中の朗報だろう。