担当大臣の身辺がこんなていたらくでは、国民も定額給付金を貰ったくらいでは金融不安同様に安心はできない。しかも、東証では終値がバブル後、最安値を記録。金融不安に加えて、政情は不安定極まりない。国民の間に、フラストレーションがたまるばかりなのだ。
経済と政治が連動することは日本だけでなく、世界各国も同じ。しかもそういう場合、大抵、汚職が絡む。今回の西松建設問題は、下請け社員を使って献金を装ったり、パーティー収入を偽装したりするなど、まさに犯罪行為に等しい。
そんな出口の見えない状況を、さらにややこしくしたのが検察の捜査見通しについて、自民党議員への波及を否定したことで集中砲火を浴びている漆間巌官房副長官。警察庁外事第一課長を経て、大阪府警本部長時代には元日本赤軍幹部の重信房子の逮捕など、大きな事件に関与していた。
「当然のように警察関係者には顔が利く。しかも情報は取れる。そんな立場で知り得た情報をオフレコとはいえ数多くの記者の前で喋(しゃべ)れば、必ず外に漏れてしまうことぐらいは知っていなければ、官房副長官は務まらない」(民主党元議員)
また、金融アナリストは代議士先生を、こう皮肉る。
「自民党の国会議員というのは、ちょっと偉くなると、すぐに余計なことを喋る。麻生首相も言わなくてもいいことをペロリと喋る。だから信用が置けない、と支持率は上がらないんだ。その麻生のところで、またいろいろな事件や事故が起き始めると、経済はことのほか敏感になる。当然のように26年ぶりの低水準になってしまった」
前出の民主党元議員が言う。
「両党とも、ここらあたりで仕切り直ししてはどうかね。民主党の顔は小沢一郎ではなく、自民党も麻生太郎をすげ替えないと選挙は戦えないよ。国民は選挙のことよりか、雇用問題を含む最悪の社会状況をなんとか払拭(ふっしょく)してほしいという気持ちの方がはるかに強い」
選挙は、二の次なのだ。口を開けば、解散総選挙と叫んでいた民主党の鳩山由紀夫幹事長も、このところ選挙のセの字も言わなくなったのも無理からぬことか…。
大阪で大相撲春場所が始まった。相撲になぞらえれば自民VS民主ががっぷり四つに組む選挙戦も予想されたが、土俵さえつくれそうにない。
国民の最大の関心事は生活をどうにかしてほしいということ。それを第一にうたった、どこやらの政党も意気消沈ぎみ。バブル後初の金融不安は、いつ解決のめどが立つのやら。これこそ政治家が、与党野党を離れてやらなければならない喫緊の課題だ。(文中敬称略)