会合は環境や社会保障、雇用など10のテーマ別にテーブルを設け、麻生首相や与謝野馨財務相ら関係閣僚と計83人にのぼる各界の第一人者が集中討議する。しかし、1人当たりの持ち時間はわずか10分程度。どこまで突っ込んだ意見交換をできるかは甚だ疑問であり、ただ意見を聞くだけに終わる可能性が高い。
そんな会合への出席を打診された竹中氏は、やはり断ってきた。「麻生首相とは考えが合わない」とけんもほろろだったようだ。竹中氏は小泉元首相のブレーンであり、是非はともかく“聖域なき構造改革”を推進してきた立場。当然ながら麻生政権に対しては「改革をとん挫させた」と批判的論調で、それゆえ竹中氏が参加すれば批判勢力取り込みに弾みがついた可能性もあった。
小泉元首相が「笑っちゃうくらいあきれている」とまで麻生氏を批判したように、竹中氏もまた意見してどうこうなるレベルではないとの認識なのだろう。会合の実りが期待できないばかりか、パフォーマンスとしてもひどい有り様となった。
さて、初日となった16日夜の会合には、学者8人が参加。麻生氏は冒頭「デフレ下の世界同時不況で日本の実体経済にも大きな影響が出ている。異常事態には異例の対応が必要で、永田町や霞が関には意見を政策に生かしたい」と訴えた。
政府は、有識者の意見を「有効」と判断すれば、今後政府・与党で取りまとめる追加経済政策に反映させるという。麻生氏は各分野の第一人者を集めることですっかり満足しており、「オールジャパン」(首相)と位置付けている。オールジャパンと呼ぶにふさわしいのメンバーを集められたとしても、ヘボ監督では結果は見えたようなもの。要は麻生政権の経済運営に「お墨付き」がほしいだけなのだ。
会合では、伊藤元重東大大学院経済学研究科長が高齢者貯蓄を景気刺激に活用するため「年限を区切って贈与税の免除を認めるべきだ」と提案。リチャード・クー野村総合研究所主席研究員は大規模財政出動を訴えた。