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少ない資金で世界資産分散できる究極の投資ETF

 投資に興味があれば、ETFに魅力を感じたことがあるのではないか。株式市場がバブル以来の最安値をつけたこともあり腰が引けそうになるが、安い今こそ仕込みどきともいえる。対象が多彩なETFの賢い投資術にスポットを当ててみた。

 先日、日本経団連は株価対策として、TOPIXなどに連動するETFに転換する権利のついた政府保証債を公的機関が発行し、市場から買い取るべきとの案を発表した。
 御手洗富士夫経団連会長は、「大幅に発想を変えた大胆で即効性のあるものでなければならない」と強調している。
 究極の投資といわれるETFだからこそだ。
 ETFとは、「Exchange Trade Fund」の略。証券取引所に上場された投資信託が対象になる、主に株式指数(インデックス)に連動する商品が多い。しかし、そのなかには金価格に連動したものもある。
 本場アメリカの証券取引所には700本を超えるETFが上場されている。世界株式証券指数、金や石油などの商品指数、世界のREIT(不動産投資信託)指数など、じつに多彩で投資家のニーズを刺激する。
 モダンポートフォリオ理論の登場以来、資産運用の世界では、プロのファンドマネージャーの運用するアクティブ運用と、インデックス運用を中心とするパッシブ運用の優劣が議論されてきた。
 「市場が効率的であれば、どんなアクティブ運用も長期間に渡って市場平均を上回ることはできない」との理論は、繰り返し統計的にも証明されている。

 しかし、いかに数学的に正しくとも、投資家のウォーレン・バフェットのように、明らかにマーケットを打ち破った投資家が出現している。市場が100%効率的だと言い切ることはできないわけだ。
 最近のネットワーク理論では、株式市場は標準偏差の範囲内で安定した値動きをするのではなく、時として暴騰や暴落を繰り返すとされる。緊密な網の目で結ばれた複雑系のシステムで、市場に綻(ほころ)びがあるのなら、それを利用してマーケットに打ち勝つことも不可能ではないといえる。
 これらを実質的に無意味にしたのがETF。基本的には株価指数に連動しているのでパッシブ運用といえるが、同時に不動産、商品、通貨などさまざまな指数に連動しているものもある。国債分散投資をするとき、ポートフォリオを作成するツールとして利用すれば、アクティブファンドを利用するのと同じ効果が得られることになる。
 証券会社で違いがあるが手数料は3%前後、無料のところもあるように投資家にとってコストは低い。
 従来、プライベートバンクやヘッジファンドの専売特許だった世界資産分散=世界ポートフォリオを、少ない資金で作ることが可能になったことになる。裁定取引1億円といったプライベートバンク、限られた投資家しか参加できなかった世界ポートフォリオを、一般の個人投資家がETFを使うことによって同じ手法で投資することが可能になったのだ。
 経済ジャーナリスト・竹内幸男氏は「かつて容易ではなかった世界ポートフォリオの作成は、今は子供でも近くの証券会社に行き、MSCコクサイインデックスに連動するETFを買うだけで完成します」という。
 MSCとはモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が算出する世界の株価指数。北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの主要23市場の大型株への投資も可能なわけだ。これから日本株を除いたものがMSCコクサイ株価指数で、金融機関では「MSCセレクト」「海外株インデックス」などの名称で販売している。
 資金の少ない投資家でも、IWRD(SPY+EFA)80%+EEM20%、TOK75%、EEM25%で世界株式をほぼカバーできる。まさに究極の投資である。

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