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激安弁当戦争レポート

 昼食代をケチらなければならないほどの不況がサラリーマンを襲っている。そんな中、全国各地で弁当の価格競争がヒートアップ。最大の激戦区とされる東京・池袋の現場に直行すると、平日の昼間は雨だというのに長蛇の列ができ、さながら激安弁当戦争の様相だった。

 東京都豊島区の南池袋公園に近い、オフィスビルや学校が立ち並ぶ都心の一角。お昼どきになると弁当を買い求めるサラリーマンや学生が行列をなす。どの店を見ても「弁当350円均一」と、とにかく値段が安い。
 人気店の一つ「江戸っ子弁当」は全品350円(以下、すべて税込み価格)。毎日500個を完売するボリューム重視の弁当店だ。若鶏の唐揚げ弁当、メンチカツ弁当と揚げ物が多く、ボリューム満点。量で勝負しているだけあって男性客が圧倒的に多い。日雇い派遣で働く労働者から根強い人気を誇る。
 その50メートル先で激安競争にしのぎを削るのが、味にこだわる「おべんとうや」だ。3畳ほどの狭い店内では瞬く間に人気メニューが売り切れていく。周辺には美容・福祉系の専門学校が多く、白衣姿で弁当を買いに来る女子学生の姿も。
 ごったがえす店内で丁寧に接客していたのは店長夫人の小松ひろ子さん、小柄な60代のおばあちゃんだ。

 「看板商品の栃木産黒毛和牛のサーロインステーキ丼(350円)は開店してすぐに売り切れちゃうの。ごめんね。次は早く来てね」
 意外にもそこには価格競争に躍起になる野心メラメラの店主の姿はなかった。むしろ家庭的なみんなのおばあちゃんといった感じだ。
 こだわりは手作りと良質な食材。サーロインのみならず、米はこしひかり、魚は築地から直送と、この価格で驚くほどの豪華さ。客が殺到するのもうなずける。
 そこからさらに10メートル離れた所に「旬太」がある。数カ月前に店を出した新規参入組だ。
 「この競争ですか? さぁ、誰が始めたんでしょうね。どこか一店舗が値を下げたら皆がそれを追っかけちゃいますよね。向こうの店(おべんとうや)なんか350円ですよ。うちは400円が限界です」(保谷茂店長)
 しかし売上については「この不況が訪れてからというもの、確かにお客さんはどっと増えましたね」と喜びを隠さない。今後も景気悪化や企業の派遣切りが増えれば、この地区のような激安ストリートが全国に飛び火する可能性もある。
 間もなくこの界隈も世界同時不況以来、初めての桜の季節を迎える。春の陽気に誘われて「今日は外で弁当でも」という人の数はますます増えるだろう。サラリーマンにはうれしいこの弁当戦争、さらに激化しそうだ。

○黒毛和牛を使ったビビンバ丼は絶品!!
 試食したのは激安店のなかでも一番の列をつくる「おべんとうや」のビビンバ丼(500円)。ハイレベルなこの界隈だけあって店には電子レンジの備え付けが当たり前。遠慮なくチンしよう。
 たっぷりのった黒毛和牛がぜいたく。気になるお味の方は、これが文句なしにうまい。牛肉はあまりに美味しすぎて最後までとっておこうかと思うほど。新鮮なシャキシャキの大豆モヤシが味にアクセントを付ける。
 さらにはそのボリューム。コンビニ弁当などは買ってみたら上げ底だったなんてことがよくあるが、男性でも十分すぎるほどぎっしり御飯が詰まっていた。ガテン系の人たちが常連なのもうなずける。

○問い合わせ(詳しくは紙面で)
「江戸っ子弁当」。営業午前11時半〜売り切れまで。
「おべんとうや」。営業午前11時20分〜午後2時。
「旬太」。営業午前11時半〜売り切れまで。

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