社会
-
社会 2015年09月30日 16時00分
黒字の介護事業を売却! ドロ沼ワタミいまわの際…
居酒屋チェーン『和民』などを運営するワタミの“英断”が衝撃を与えている。同社は創業以来の主力である居酒屋事業に加えて介護、配食(食事宅配)の3部門を展開している。不振の居酒屋事業を尻目に、いまや最大の収益を上げているのが介護事業だ。ところが9月10日、ワタミはその命綱を売却すべく協議していると発表したのだ。 「その手の情報は7月末ごろから半ば公然と囁かれ、8月12日には株価が年初来安値を付けるほど売り込まれた。最大の稼ぎ頭を売却すれば経営が成り立たなくなる。会社が発表したのは、交渉先から情報がリークされかねなくなったため、これ以上の隠し事ができなくなったと判断したからのようです」(大手証券投資情報担当役員) 実際、ワタミの業績不振は目を覆うばかりだ。今年3月期は128億円の最終赤字で、2期連続の赤字塗れだった。財務状況は急速に悪化しており、来年3月期に今年と同レベルの赤字を垂れ流せば債務超過に転落しかねない。だからこそワタミは今年3月期の決算短信で、企業存続に“イエローランプ”が灯ったとして「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じ…」とする文言を初めて記載した。何せ2年前に25.4%あった自己資本比率は今年3月期末には7.4%まで落ち込み、これが6月末には6.2%に低下したのだ。 破綻寸前の危険水域にドップリ浸かった最大の理由は居酒屋事業の不振である。「ブラック企業」の烙印を押されたこともあって業績は急降下し、今年3月期は36億円の営業赤字だった。それもムベなるかな。厳しい業績の落ち込みからピーク時には626店あった店舗のリストラにのめり込み、昨年度は100店を閉鎖。今年度は85店を閉鎖する計画だ。 大幅な戦線縮小に加えて最近は牛丼各社が“ちょい呑み”を始めたこともあって熾烈な競争が避けられず、ワタミの居酒屋事業がジリ貧のスパイラル地獄に陥るのは確実とみられている。 これに対し、2004年に参入した介護事業は今年3月期に24億円の営業利益を確保した“ドル箱”事業。高齢者市場の拡大をにらんで'08年に参入した宅食事業も今年3月期に16億円の営業利益を確保するなど、ピーク時に比べれば落ち込んだとはいえ大健闘している。 企業再生のセオリーに従えば不振事業から撤退し、儲かっている事業に資本とエネルギーを特化すべきである。ところが、ワタミは最大の稼ぎ頭を売却し、不振のドン底事業(居酒屋)との道連れを決め込んだ。なぜ“自爆”の道を選択したのか。 背景には横浜銀行など取引銀行と交わした合意事項がある。ワタミは今年の7月、金融支援を要請する過程で従来の財務制限条項付きの契約を改め、「連結ベースの純資産額を2015年3月期末に対して100%以上を維持する」との主旨に変更した。すなわち、今年度も大赤字になれば純資産が減少する。これを回避するには黒字化が絶対条件というわけだ。 だが、赤字の居酒屋事業では買い手は見つからない。ならば“虎の子”の介護事業を売却するしかない。これぞ冷酷な資本の論理が導き出した回答だったのだ。 そう解釈すれば介護事業の売却見込み額が「200億円」と一斉に報じられたことも理解できる。前述したように、ワタミは今年3月期が128億円の最終赤字だった。希望通り200億円で買い手が付けば、居酒屋事業が相変わらず赤字を出そうとも、まず黒字決算に浮上する。結果、銀行はもう少しワタミの延命に協力するだろう。 「今年の3月に就任した清水邦晃社長は内心、そう考えてニンマリしたに決まっている。しかし、そう簡単に問屋が卸すかどうか」と、金融筋は指摘する。 「買い手だってワタミの窮状は先刻承知しており、よほどの物好きでなければ言い値で買うわけがない。多分、足元を見抜いて値下げ交渉するだろうし、嫌ならば買わなくてもいい。何もワタミに義理立てする必要はありません。当然、ワタミは値下げに応じます」 買い手の最終候補として、すでに損保ジャパン日本興亜ホールディングスと調整に入り、詳しい条件を詰めた上で10月上旬の基本合意を目指しているという。しかし、たとえワタミの希望通り高値売却にこぎ着けたとしても、ドロ船と化した同社の前途は多難である。 「居酒屋事業が立ちいかなくなれば白旗を掲げるしかない。介護売却と今後の生き残り策をめぐって清水社長は創業者の渡邉美樹・元社長(自民党参院議員)に相談しているでしょうが、彼だって苦慮している。来年3月決算を乗り切ったとしても、その先は文字通り“お先真っ暗”です」(証券アナリスト) 窮余の策として企業イメージの刷新を狙った「社名変更」シナリオが密かに囁かれている。
-
社会 2015年09月29日 16時00分
熊谷市連続殺人事件 姉の自殺・兄の狂気を目の当たりにしたペルー人男の闇
埼玉県熊谷市の民家3軒で、小学生を含む6人の男女が相次いで刺殺された事件は、現場に残された足跡やDNAなどから、一時、意識不明の重体となったペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン容疑者(30)の犯行が裏付けられつつある。 ナカダ容疑者は神奈川県藤沢市の人材派遣会社の紹介で、今年8月15日から群馬県伊勢崎市の弁当製造工場に勤務していた。運営する『グルメデリカ』(埼玉県所沢市)によれば、午前5時から午後2時までのシフトで、野菜を切り、容器に詰める作業などを担当。同じラインで働いていた女性によれば、「真面目に働く人だが、いつも一人。毎日、寮から自転車で黙々と通っていた」という。 「ペルーの首都・リマ郊外で10人兄弟の末っ子として生まれたナカダ容疑者は、家が貧しく幼い頃から働かされ、父親や兄の虐待を受けながら育ったようです。そんな中、'03年に日本国籍を持つ者に800ペルー・ヌエボ・ソル(=約3万円)を払い日系二世の身分を手に入れた。兄2人と姉2人が来日後、ナカダ容疑者は'05年4月に来日。工場等を転々として働いていたのです」(全国紙社会部記者) ところが'05年から'06年にかけ、ペルーに残っていた4番目の兄が、「世界を浄化するため神の命令で薬物中毒者、売春婦、同性愛者らを掃除する」と、拳銃で25人を射殺し、ペルー史上最悪とされる連続殺人事件を起こした。 「ナカダ容疑者は同年に一時帰国し、この事件の顛末を目の当たりにしている。ペルーには死刑制度がないため、兄は17人分の殺人の罪に問われ懲役35年の判決を受け服役。これが在日ペルー人の間でも有名となり、再度来日したナカダ容疑者は同胞とも交わることなく、さらに孤立していったのです」(同) ペルーでは“死の死者”とも呼ばれるこの兄は、昨年から刑務所で妄想型統合失調症と診断され、医療刑務所で治療中だという。 「加えて姉の一人は19年前にペルーで手首を切り自殺しているのですが、その際、噴き出した血で『こんな世界は嫌だ。神様、許して下さい』と鏡にメッセージを残し息絶えている。ナカダ容疑者も今回、殺害された夫婦の家に血文字を残しており、取り巻く環境から生まれた狂気とも見られているのです」(同) 被害者にとっては悲劇としか言いようがない。
-
社会 2015年09月29日 10時00分
首都直下は近いぞ! 東京震度5弱9・12を当てた地震学者が発する「緊急警報」
首都直下型巨大地震の前触れなのか。9月12日早朝、東京湾を震源とする強い地震が発生し、調布市で震度5弱が観測された。千葉、埼玉、神奈川の各県でも震度4を記録。震源の深さは約57キロ、マグニチュード(M=以下同)は5.2と推定され、中野区の女性(83)がベッドから転落し太腿を骨折するなど、1都3県で計15人がケガをした。 今回の地震に関し、武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏が説明する。 「もし震源が浅い場所で起きていれば、揺れはもっと強く、被害はその程度では済まなかったでしょう。今年5月30日、小笠原でM8.1の地震が発生した際、私は東京湾、房総沖などで地震を誘発するかもしれないと警告を発していた。首都圏直下には、ユーラシアプレートの下に東から太平洋プレートが、南からフィリピン海プレートが沈み込んでいる。このようにプレートが3つも衝突しているのは世界でここしかないのです。しかも、そこへ3000万以上の人が住んでいる。国が想定している直下型地震はM7.2で、エネルギーは今回の一千倍にもなります。いつ発生しても不思議はないので、東日本大震災の教訓を忘れず、今から備えておくべきです」 '05年にも千葉県北西部を震源としたM6の地震があり、足立区で震度5強を記録。ほか埼玉県南部、千葉県北西部と南部、神奈川県東部でも震度5弱だった。成田、羽田の各空港は点検のため一時、滑走路を閉鎖。東海道など各新幹線も運転を見合わせ、山手線など主要在来線や東京メトロもストップしている。島村氏はこれを「今回の地震の兄弟のような地震」と言う。 また、さらに規模の大きい南関東を震源とした直下型の地震も、定期的に発生している。 サイエンスライターが言う。 「相模トラフを震源とした関東地震を除く、南関東を震源として起こる直下型地震を総称して、首都直下地震と呼ぶ。最近では千葉県東方沖地震(M6.7)があり、これが1987年。さらに2012年にも起きています(M6.0)」 30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を記した、全国地震動予測地図(地震調査研究推進本部発表)では、M6.8以上の地震が生じうる24の断層帯を選定し発生確率を示している。それを見ると、横浜市役所78%、さいたま市役所51%、千葉市役所73%、東京都庁でも46%。 かなり高い数値に思えるが、理由は東京直下において、それまでフィリピン海プレートの下に潜り込んでいる太平洋プレートの深さがどれくらいなのかが分かっていなかったためだ。“恐らく30〜40キロ”程度と思われていたものが、現在では20〜30キロとされている。 「それには東日本大震災の影響もあります。巨大地震によって日本列島の基盤岩は東へ5メートルも動いた。東京で動いたのは30センチ〜40センチ。この“ねじれ”を取り戻すために、関東地震も早く来るのではないかと言われているのです」(前出・島村氏) また、関東地震は220年の周期で起こるとされる。大正期の関東大震災から92年。その定説に従えば今後100年は大丈夫ということになるが、誘発を考えれば、10年以内の発生の可能性も高まっているというわけだ。 「大きな地震を誘発する地震があるとは考えられるが、日本では件数が少ない。1933年の昭和三陸地震では、その数年前にオホーツクで深発地震があった。首都直下地震では、それぞれのプレートが単独で地震を起こしたり、プレート同士の相互作用によって地震を起こすケースもある。今回の地震が誘発を引き起こすかどうか定かではありませんが、巨大地震の発生リスクは非常に高まっていると言えます」(同) 海の向こう、南米チリでは日本時間で17日午前7時54分、昨年に続く巨大地震が発生した。震源は中部イジャペルの西54キロで、震源の深さは25キロ。チリでは全土に津波警報が発令され、実際に4.8メートルの津波を記録。この影響で、日本の太平洋沿岸でも50センチ程度の津波が観測された。 「2000年のスマトラ島沖地震の後、太平洋の周囲を取り巻く環太平洋造山帯の活動が活発です。今回のチリ地震は、スマトラから1万キロ以上離れているプレートで起きた地殻変動ですが、今世紀に発生した主なM8以上の大地震を見ていくと、太平洋を挟んであたかもキャッチボールをするかのように起きていることが分かります」(前出・サイエンスライター) '00年に太平洋の西側で7.9の大地震が発生すると、翌年、東側のチリ付近でM8.2の地震が発生。その後、'03年と'07年には西側に戻り、北海道方面で大地震が発生した。さらに'09年、同じ西側のニュージーランド北方で発生したM8.1の地震後の'10年に、チリ地震(M8.5)が起きている。 「東日本大地震はその翌年。同じ西側(ニューギニア方面)では'13年にM8.1の地震が発生している。さらに昨年4月、東側のチリ沖で大地震が発生した。そして今年5月に小笠原でM8.1が発生。それに呼応するように、チリで今回の地震が起きている。なぜそのような現象になるのか。いまだメカニズムは解明されていません」(同) 次は関東直下型となるのか。
-
-
社会 2015年09月28日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 “保身”が日本を壊す
9月8日午前、自民党の野田聖子前総務会長が総裁選への出馬断念の会見を開き、安倍総理の無投票再選が決まった。野田氏は、「ぎりぎりまで精いっぱいの努力」をし、「奇跡的な数字をいただいた」と強調したが、結局、立候補に必要となる20人の推薦人を集めることはできなかった。 官邸の締め付けは相当厳しかったようだ。反旗を翻せば、内閣改造後のポストがおぼつかなくなるし、選挙での公認も危うくなる。少なくとも自民党の国会議員の大多数がそう思っていたからこそ、すべての派閥が安倍再選を支持し、無投票再選につながったのだ。 そう思わせる兆候はあった。例えば、自民党女性局長の三原じゅん子氏は、8月に発表された参議院選挙の一次公認リストからもれている。前回の総裁選で石破茂氏支持の中心メンバーだったからだと言われている。議員は選挙に落ちればただの人になるが、選挙に出られなくてもただの人になってしまうのだ。 石破茂大臣は、安倍再選が決まった直後に、自身を支持する同党国会議員で構成する「無派閥連絡会」を母体として、通常国会終了後に派閥を結成する意向を明らかにした。「いまは風向きが悪いので次を期す」ということなのだろう。しかし、それは保身以外の何物でもない。何しろ、安倍総理の暴走によって国民の6割以上が反対する、憲法違反の安全保障関連法案が強行採決されようとしているのだ。いま見識を示さなければ、政治家としての見識を示すときはないだろう。 実は、みなが保身に走って独裁に屈服する事態は、官僚の世界でも同じだ。先日、地方で講演した時に、話かけてきた農家の男性が私にこう言った。 「つい最近まで、農水省の役人は農家の味方だった。ところが、安倍内閣になってから全中解体とかTPP交渉での聖域開放など、農家の足を引っ張ることばかりやるようになった。どうやら、農家の敵に回らないと出世が望めないようだ」 私も昔、2年ほど霞ヶ関で働いたが、そのときの農水官僚は、国益よりも農家の利益を考えているような人ばかりだった。だから私には、最近の農水官僚の態度は、農家への裏切りとしか思えないのだ。 実は、同じようなことは、私の周りのコメンテーターの世界でも起きている。私が知る限り、多くのコメンテーターが、このまま安倍総理が続いたら日本が危ないということを認識している。「だったら、安倍政権を倒しに行きましょう」というと、「時期がきたら一緒にやりましょう」と言うだけ。いま反政権の声を上げれば、あっという間に干されてしまうから、時を待つということなのだろう。 しかし、声を上げなければいけないのは、まさに今だ。私は、安倍政権の初年度に行った金融緩和は支持してきたが、そこで安倍総理の役割は終わったのだ。金融緩和でパイを大きくしても、それが庶民の所得に回らなければ経済は成長しない。だからいまやるべき経済政策は、消費税の減税と企業や富裕層の増税だ。 安倍政権は、真逆の政策を続けようとしているのだから、すぐに止めないと経済が失速してしまう。日本中が保身に走るなかで、来年夏の参議院選挙が国民に残された最後のチャンスになるのではないか。
-
社会 2015年09月27日 14時00分
太陽光パネル乱立で進む森林伐採に揺れる山梨県北杜市シニア別荘地
八ヶ岳の南麓・山梨県北杜市。人口4万5000人ほどのこの街は、サントリーブランド『南アルプスの天然水』や『白州』の採水・蒸留工場が立地し、豊富で清涼な水資源を有する場所としても有名だ。また、清里高原などの別荘地もある土地柄に加え、市内明野地区は「日照時間日本一」のタイトルホルダー。その風光明媚な北杜市で、太陽光発電を巡る一大騒動が持ち上がっている。 エコでクリーンなイメージの太陽光発電が、実は“環境利権”の巣窟であることはあまり知られていない。日照時間が長いのを良いことに、同市は今やそのターゲットとなり、破壊的とも言える環境破壊が進行しているのだ。 「同市は高齢者人口比率が高く、農林業の後継者不足も深刻なため、以前から市長の白倉政司氏が再生エネルギー導入に積極的だった。そんな中、地元住民には『余っている土地はないか』、『太陽光に投資しないか』と嵐のような業者からの電話攻勢が続いていた。結果、観光資源でもある森林がことごとく伐採され、そこへ太陽光発電パネルが林立する状況になったのです」(地元記者) 太陽光などで発電した電力は、再生可能エネルギーとして電力会社が全量引き取る仕組みが'12年からスタートしている。この「再生エネルギー特別措置法」は、菅直人政権時代に作られたものだが、福島第一原発事故で世論が一気に再生エネルギーに傾き、その比率を高めるべく、同法案に「3年間は事業者の利潤に特に配慮する」といった、利益保証を確保する一項まで付け加えられた。 「結果、1kWあたり43円というベラボウに高い買取価格(EUの3倍の水準)が決まった(現在は34円)。一方、太陽光発電のコストは劇的に下落し、現在は約20円/kWh。単純計算で1kWhの発電(売電)で20円以上の利益が出る。しかも“20年間の買取保証”というオマケ付き。北杜市はシニア層の移住先にもなっているため、それを狙う異業種からの参入も相次いでいるのです」(同) 結果、突如チェーンソーで森の伐採が始まり、あっと言う間に発電所が造られるわけだが、「3年前から“法的拘束力のある規制を”と住民の運動は始まっているが、市側の反応は鈍い」(地元住民)という。 こうした問題は全国各地で起き始めているという。“環境に優しいエネルギー”が自然を破壊するのであれば、本末転倒も甚だしい。
-
-
社会 2015年09月27日 11時00分
達人政治家の処世の極意 第十八回「小泉純一郎」
自民党をぶっ壊す! 過去の路線にとらわれず、“恐れず、ひるまず、とらわれず”だ。 このスピード化が猛烈な勢いで進み、価値観がコロコロ変わる時代、上司の部下に対する長広舌の説得、叱責などは似合わない。「もっと簡単にやってくれよ」と、部下のカゲ口が聞こえてくるのがオチである。そうした時代背景を見据えたように、時に断定調、絶叫、理屈抜きの短いセンテンスのキャッチ・フレーズを国民にぶつけ、拍手喝采を受け、首相の座に就いてしまったのが、表記の言葉に代表される“人気者”小泉進次郎・復興大臣政務官の親父、小泉純一郎元首相であった。 それまでの首相は圧倒的多くが言葉を選び、小難しい永田町用語で国民を説得するという、言うなら「重い首相」だったが、小泉のそれは国民受けのする分かりやすさがウリで、平成13年4月の内閣発足時の支持率は実に87%(読売新聞調査)と歴代内閣最高を記録した。スピード化、世の中の変化が急な中で、この「軽い首相」の手法は国民にある種の期待を持たれたということであった。表記の言葉以外にも、「そんな公約、大したことではない」「そんなこと常識だ」などと、異論はことごとく一蹴、ついには田中真紀子元外相から「変人」の“愛称”を頂戴したものであった。 さて、この「小泉流」の簡明な言葉の効用についてである。これには、これまた長話が大嫌いだった田中角栄元首相のそれを例に引くと説得力がある。どんな厄介な陳情でも平均3分で受ける、受けないのイエス、ノーの決断を下したのは有名な話だが、筆者はかつて長く田中の秘書を務めていた早坂茂三(後に政治評論家)からこんな話を聞いたことがある。 「オヤジ(田中)の話というのは、常に簡潔、平易、明快が特徴だ。話に起承転結などはなく、ズバッと結論から入る。例え話もまたうまく、説得力も抜群だから、仮に短時間の結論でノーと言われても誰もが不満を引きずることがない。一度、若い政治家の相談が終わったあとに、オヤジに聞いたことがある。『もう少し、ジックリ聞いてやればいいじゃないですか』と。オヤジの言葉は、こうだった。『いいか。どんな話でも、ポイントは結局一つだ。そのポイントを見抜けば、物事は3分あれば片付く。あとはムダ話にすぎない。忙しいオレが、そんなムダ話に付き合っていられるか』と」 ちなみに、田中の「簡潔、平易、明快」は若いころのラブレターの類いでも同じであった。「何月何日何時、どこそこにて待ち合わせたし。何時までは会っていられる」と、実にソッ気ないのである。田中いわく、「愛してるだの、好きで夜眠れないだのは、逢ったときに言えばいいじゃないか」と。何とも“合理的”この上なかったのだった。 この田中の言う「3分間」という時間は、実は意味がある。例えば、かつて多かった公衆電話などは、あるときから「一通話」は3分間となった。筆者は、なぜ3分間に設定したのかを電話局に聞いてみたことがあるが、こんな答えが返ってきた。 「詳しい経緯は分からないが、どうやら人間の会話、コミュニケーションのポイントは3分間ほどにあるということのようです。3分間あれば、大方の用事は片付くということから来ているようです」と。 もっとも、小泉の首相在職中の実績と言えば郵政民営化、拉致被害者の一部帰国は実現させたものの、大きな成果はなかった。内政は「聖域なき構造改革だ」と絶叫したが、政策の多くに「理念」が稀薄で多くは中途半端に終わった。理念の窺えない法律、政策は“生命力”を持たないのが永田町の常である。外交もまた、しかとした国家観が窺えなかった。要するに、発酵させた政策でなく、惜しむらくは、言葉は踊ったが場当たり的なそれが目立ったということである。しかし、「小泉流」の言葉が一時は国民をあれだけ引きつけたものだったということは、それなりに生きている。 世の中の森羅万象のポイントは、枝葉を取れば意外と簡明にできている。真理は、常に簡明である。「我惟(おも)う。故に我在り」で知られるフランスの哲学者にして数学者だったデカルトは言っている。「よく考え抜かれたことは、極めて明晰な表現をとる」と。「小泉流」は、決して“無謀”ではないことを知りたい。=敬称略=■小泉純一郎=第87、88、89代内閣総理大臣。厚生大臣(第69、70、71代)、郵政大臣(第55代)、外務大臣(第132代)、農林水産大臣(第38代)などを歴任。平成21年、二男の小泉進次郎氏を後継指名し政界を引退。小林吉弥(こばやしきちや) 永田町取材歴46年のベテラン政治評論家。この間、佐藤栄作内閣以降の大物議員に多数接触する一方、抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書多数。
-
社会 2015年09月26日 14時00分
鬼怒川堤防決壊 民主・蓮舫代表代行「スーパー堤防仕分け」に被害住民が怨嗟の声・声・声(2)
さらに、前出の被災住民は蓮舫氏らの“仕分け隊”を単に感情的に怒っていたのではない。背景には当時、蓮舫氏が所属する民主党の菅直人政権が進めた「太陽光政策」が今回の水害の根っこにあるのでは、という疑惑もあるからだ。 前出の被災住民がこう言う。 「とっさに蓮舫、スーパー堤防の話がパッと浮かんだのには理由がある。実は、最初に堤防を乗り越え、水が常総市内に大量に流れ込んだ箇所は、決壊場所から上流5キロ先の若宮戸地区で、越水の始まりは9月10日の午前6時半前後だった。9時前後、仕事に出ようとしたら、目の前の道路に水が溢れ、走って逃げたんです。その越水箇所は、前からソーラー業者が自然堤防となっていた山を削り取ったため危ないと、市民の間でも問題になっていた。菅政権の目玉事業だった太陽光発電が、決壊の誘因だともっぱらです」 若宮戸地区には、堤防のない個所が約1キロある。だが、ここには昔から民間地の自然の小山があり、堤防の役割を担ってきた。ところが昨年春先、そこに太陽光発電業者がソーラーパネルの設置のため、約150メートル、高さ2メートルが削られた。そのため付近の住民が国交省や市議会議員に連絡し、市議会でも大問題となった。 当時の市議会議事録を見ると、市会議員が小山が削られたことに「鬼怒川の増水時に洪水の恐れはないのか」とズバリ質問。それに対し当時の都市建設部長は自然堤防が掘削されたことを認め、国交省と折衝し大型土嚢を積む準備を進めているとした上で、こう述べていた。 《台風の大型化や異常気象によるゲリラ豪雨など、いままで想定されなかった大きな災害が全国で発生しております。したがいまして、無堤防の築堤を一刻も早く実施するよう国交省に要望したい》 要請を受けた国交省は土嚢を積み上げ、堤防設置の準備を始めた矢先だった。 「例えば、その越水で濁流の流れが変わり、下流の決壊箇所に影響を与えてないと誰が言い切れるのか。今は河川周辺ばかりか山の傾斜地を削り太陽光パネルがいたるところに設置されている。高値で太陽光を買い取る菅政権の再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度が、乱開発の太陽光パネル設置に拍車をかけている。今回の大災害の背景に、管-蓮舫時代の政策があると怒るのも、そういう理由です」(前出・被災住民) 事業仕分けによって一旦ストップし、再度計画が進み始めているスーパー堤防設置予定の荒川にも、治水上、弱点箇所がある。そこが決壊すれば、都心の千代田区や中央区も水没の危険にさらされるという。 すでに後手後手に回った災害対策の責任は誰が取るのだろうか。
-
社会 2015年09月25日 16時00分
なぜかゲイ話触れず傍聴人も「?」だった大阪堂山町売り専ボーイ殺害事件
大阪で発生した中1殺害事件で、逮捕された山田浩二容疑者(45)が逮捕前に立ち寄っていた、ゲイタウンとして有名な堂山町。この街では今年1月にも陰惨な事件が起きていた。元売り専ボーイ、加藤健太被告(26)が知り合いの売り専(ゲイ風俗)オーナーMさん(39=当時)を殺害し、金品を奪ったとして逮捕されたのである。 8月、その加藤被告に対する強盗殺人などの裁判員裁判が大阪地裁で開かれたが、公判では事件の舞台が“ゲイタウン”であることを頑なに伏せられたため、法廷内は異様な雰囲気となった。 加藤被告が売り専ボーイを始めた昨年6月頃、客として知り合ったのが、別の売り専オーナーMさんだった。しかし、初公判の冒頭陳述では「昨年6月頃に知り合い知人関係にあった」(検察側)、「被告人がやっていたバイトの一つである派遣マッサージ店の客がMさんだった」(弁護側)と、出会いの詳細からボカされまくる。加藤被告もこの“派遣マッサージ店”について「オイルを使って背中やお尻を手でほぐすという形のマッサージをしていました」と被告人質問で語っており、何がなんだか…。 「被害者の知人や被告の勤めていた店の人間らしき調書も読み上げられましたが、その素性を紹介されないままで、事情を知らない傍聴者なら意味が分からなかったかもしれません。それなのに、被告人質問で一度だけ検察官が『あなたとMさんの間に性的関係はなかったんですね?』などと問いかける場面はありました」(司法記者) 事件は、加藤被告が当時交際していた女性との間に子どもができ結婚話が持ち上がったが、定職に就いていない状態だったため、「金を持っていそうな人だった」(加藤被告談)Mさんに狙いを定め、殺害したというもの。 9月2日に開かれた判決公判では求刑通りの無期懲役となったが、「ご遺族に頭を下げる様子も見られず、反省しているのかもよく分からなかった」(傍聴人)という加藤被告。モヤモヤばかりが残る裁判となった。
-
社会 2015年09月25日 14時00分
鬼怒川堤防決壊 民主・蓮舫代表代行「スーパー堤防仕分け」に被害住民が怨嗟の声・声・声(1)
7000戸近い家が浸水し、未曾有の大災害となった茨城県常総市の鬼怒川堤防決壊被災地で、かつて“仕分けの女王”ともてはやされた民主党の蓮舫代表代行に怨嗟の声が上がっている。 濁流が引いた直後の常総市を記者が訪れると、市の中心部はメチャメチャ、商店街付近の道路のアスファルトはズタズタ。いまだ水が引かないところもあり、流された車があちこちで横転しているなど水害の爪痕が生々しい。そんな被災地で自宅1階が水没した50代の男性が、こう恐怖を語る。 「2メートル、2メートルの水だよ。濁流が! 2階までの水。1階は全滅。車3台も水没してしまった。とても怖かった。周りには行方不明者もいる。濁流に流され俺も一歩間違えば死ぬところだった」 1階の畳も床も、すべてドロドロの上にボー然と長靴姿でたたずむ男性。そして、その失意の中、こう蓮舫氏を非難し始めた。 「民主党時代に蓮舫が仕分けでスーパー堤防を廃止しましたよね。一時、公共事業を次々と止めた影響がまわりまわって鬼怒川堤防修復の遅れにつながったのでは、と思えてならない」 「スーパー堤防」とは、400年に一度の大津波や河川の大氾濫を想定して国交省が進めてきた事業。具体的には、'87年から首都圏及び近畿圏の大規模河川に巨大堤防を建設してきたが、蓮舫氏らがこれを一時、廃止に追い込んだ。 国交省担当記者がこう語る。 「もともと同事業は12兆円を投じ、400年間を掛けて完成させるというものだった。それを民主党が政権を取った'09年以降、蓮舫ら“仕分け隊”は、『400年に一度の災害にカネをかけているのはヘン! 10年、20年の目先の災害にカネを使え!』と、廃止に追い込んだのです。もっとも、その後、東日本大震災を機に事業は一部復活しています」 前出の被災住民が怒る。 「決壊したのは、もともと10年に一度の大雨で危険視されていた箇所。国交省も堤防のかさ上げや拡幅工事の予定はあった。しかし、20キロ下流の利根川合流地点から上流に向け工事は順番に行われていたものの、予算が少なくて改修に必要な4割しか達してない。決壊場所も昨年から用地買収に入ったばかりだったのです。つまり、危ないと分かっていながら工事が遅れていた。あの“仕分け”がなければもっと工事は先に進んでいたのでは…」 スーパー堤防と鬼怒川堤防決壊は、確かに直接にはリンクしていない。そのため被災住民の蓮舫氏への怒りは八つ当たりのようにも思えるが、被災住民の怒りは“仕分けの連鎖疑惑”にあるようだ。
-
-
社会 2015年09月24日 16時00分
元大阪高検公安部長が斬る司法試験問題漏えい“ロースクール失楽園”の前代未聞
明大法科といえば、先だってはOB弁護士が暴漢に“チン切り”されるというおぞましい事件が記憶に新しい。今度は同大学法科大学院の青柳幸一教授(67=9月12日付で懲戒免職)が、自身の作成した試験問題を20代の教え子に漏らし、法務省から国家公務員法(守秘義務)違反罪で東京地検に告発された。元大阪高検公安部長の三井環氏も「法務省本省が身内の検察庁に告発するというのは前代未聞。法曹界に及ぼす影響は計り知れない」と驚きを隠せない。 青柳教授は2002年から13年にわたり司法試験考査委員を務めてきた斯界の著名人で、今年の司法試験の問題作成では、自身の専門である憲法の問題形式を取りまとめる「主査」を務めた。気になるのは、教授が“お漏らし”をした教え子との関係だ。 「教授の年齢からどこまでかは分かりませんが、男女の関係があったのでしょうか? 青柳教授はプライドが高く、女性をひいきすることで有名。それで付いたあだ名が名前の一文字とエッチを引っかけて『ブルー(エッチ)卿』です。女子学生を高級レストランなどに誘うとの評判もあり、実際に行った知り合いもいる。飲み会では女子といちゃついたり、会の終了後に2人で夜の街に消えちゃったことが…という噂もありました。そうしたことで毛嫌いされ、教授の授業を取らない女子学生もいたぐらいです。逆に考査委員だからと教授に近づく女子学生もいましたね」(大学院関係者) 今回、この受験生の論文の解答が教授の模範解答に似過ぎていて発覚したが、これまで漏えいの疑いがありながらスルーされたケースもあるのではないか。前出の三井氏はこう憂慮する。 「この試験問題漏えい事件は、受験生が問題作成者の教え子であることや、青柳教授を13年もの長きにわたり考査委員の職にとどまらせた法務省の体質に問題がある。青柳教授による“余罪”や“氷山の一角”も疑われる。司法の世界では裁判官、検察官、弁護士の法曹三者の同族意識が強く“ムラ”を形成している。法学部や法科大学院の大物教授も、そのムラの住人だ。今回の事件はムラの住人である検察が、村長(法務省)の悪しき体質にメスを入れられるかどうかだが、期待はできない。国会で追及する必要がある」 確かに、司法試験制度の根幹に一石を投じた程度で済ませてはならないだろう。
-
社会
都知事選 石原氏満員電車でGO!
2007年03月23日 15時00分
-
社会
都知事選きょう告示、石原氏ら第一声
2007年03月22日 15時00分
-
社会
桜金造都知事選正式表明
2007年03月20日 15時00分
-
社会
都知事選 黒川氏が石原知事をホリエモン呼ばわり
2007年03月19日 15時00分
-
社会
ホリエモン実刑
2007年03月16日 15時00分
-
社会
丸山弁護士東京都知事選出馬へ
2007年03月09日 15時00分
-
社会
石原カジノ構想消滅!?浅野氏に“追い風”吹く
2007年03月07日 15時00分
-
社会
上層部スタッフが告発 NOVA 怪文書
2007年02月21日 15時00分
特集
-
あかつ、アメリカ・アポロシアターでの「動きで笑わせるネタ」は世界にも テレビに年数回でも出られる自分は「持ってる」
芸能
2025年10月03日 12時00分
-
TKO・木下、篠宮との一件を明かす 目標は「タイと日本のハブ」 挑戦に対する厳しい声には「どうでもいい」
芸能
2025年09月26日 18時00分
-
-
元ボーイフレンド・宮川英二、最大の挫折は「M-1グランプリ」 セカンドキャリアは、芸人やお笑いサークルの学生の就職支援 芸人の給料も赤裸々に語る
芸能
2025年09月18日 17時00分
-
岡平健治「19」解散は「お金の問題じゃない」 岩瀬敬吾、地元に戻るのを「止められてよかった」 今後はバラエティーで「ポンコツっぷりを見て笑ってほしい」
芸能
2025年08月05日 23時00分
-
misono、家族について「マジで気持ち悪い家族」 「⼦ども⾃然にできると思っていたけど……」と不妊治療の再開、明かす
芸能
2025年09月16日 11時00分