ナカダ容疑者は神奈川県藤沢市の人材派遣会社の紹介で、今年8月15日から群馬県伊勢崎市の弁当製造工場に勤務していた。運営する『グルメデリカ』(埼玉県所沢市)によれば、午前5時から午後2時までのシフトで、野菜を切り、容器に詰める作業などを担当。同じラインで働いていた女性によれば、「真面目に働く人だが、いつも一人。毎日、寮から自転車で黙々と通っていた」という。
「ペルーの首都・リマ郊外で10人兄弟の末っ子として生まれたナカダ容疑者は、家が貧しく幼い頃から働かされ、父親や兄の虐待を受けながら育ったようです。そんな中、'03年に日本国籍を持つ者に800ペルー・ヌエボ・ソル(=約3万円)を払い日系二世の身分を手に入れた。兄2人と姉2人が来日後、ナカダ容疑者は'05年4月に来日。工場等を転々として働いていたのです」(全国紙社会部記者)
ところが'05年から'06年にかけ、ペルーに残っていた4番目の兄が、「世界を浄化するため神の命令で薬物中毒者、売春婦、同性愛者らを掃除する」と、拳銃で25人を射殺し、ペルー史上最悪とされる連続殺人事件を起こした。
「ナカダ容疑者は同年に一時帰国し、この事件の顛末を目の当たりにしている。ペルーには死刑制度がないため、兄は17人分の殺人の罪に問われ懲役35年の判決を受け服役。これが在日ペルー人の間でも有名となり、再度来日したナカダ容疑者は同胞とも交わることなく、さらに孤立していったのです」(同)
ペルーでは“死の死者”とも呼ばれるこの兄は、昨年から刑務所で妄想型統合失調症と診断され、医療刑務所で治療中だという。
「加えて姉の一人は19年前にペルーで手首を切り自殺しているのですが、その際、噴き出した血で『こんな世界は嫌だ。神様、許して下さい』と鏡にメッセージを残し息絶えている。ナカダ容疑者も今回、殺害された夫婦の家に血文字を残しており、取り巻く環境から生まれた狂気とも見られているのです」(同)
被害者にとっては悲劇としか言いようがない。