8月、その加藤被告に対する強盗殺人などの裁判員裁判が大阪地裁で開かれたが、公判では事件の舞台が“ゲイタウン”であることを頑なに伏せられたため、法廷内は異様な雰囲気となった。
加藤被告が売り専ボーイを始めた昨年6月頃、客として知り合ったのが、別の売り専オーナーMさんだった。しかし、初公判の冒頭陳述では「昨年6月頃に知り合い知人関係にあった」(検察側)、「被告人がやっていたバイトの一つである派遣マッサージ店の客がMさんだった」(弁護側)と、出会いの詳細からボカされまくる。加藤被告もこの“派遣マッサージ店”について「オイルを使って背中やお尻を手でほぐすという形のマッサージをしていました」と被告人質問で語っており、何がなんだか…。
「被害者の知人や被告の勤めていた店の人間らしき調書も読み上げられましたが、その素性を紹介されないままで、事情を知らない傍聴者なら意味が分からなかったかもしれません。それなのに、被告人質問で一度だけ検察官が『あなたとMさんの間に性的関係はなかったんですね?』などと問いかける場面はありました」(司法記者)
事件は、加藤被告が当時交際していた女性との間に子どもができ結婚話が持ち上がったが、定職に就いていない状態だったため、「金を持っていそうな人だった」(加藤被告談)Mさんに狙いを定め、殺害したというもの。
9月2日に開かれた判決公判では求刑通りの無期懲役となったが、「ご遺族に頭を下げる様子も見られず、反省しているのかもよく分からなかった」(傍聴人)という加藤被告。モヤモヤばかりが残る裁判となった。