前出の被災住民がこう言う。
「とっさに蓮舫、スーパー堤防の話がパッと浮かんだのには理由がある。実は、最初に堤防を乗り越え、水が常総市内に大量に流れ込んだ箇所は、決壊場所から上流5キロ先の若宮戸地区で、越水の始まりは9月10日の午前6時半前後だった。9時前後、仕事に出ようとしたら、目の前の道路に水が溢れ、走って逃げたんです。その越水箇所は、前からソーラー業者が自然堤防となっていた山を削り取ったため危ないと、市民の間でも問題になっていた。菅政権の目玉事業だった太陽光発電が、決壊の誘因だともっぱらです」
若宮戸地区には、堤防のない個所が約1キロある。だが、ここには昔から民間地の自然の小山があり、堤防の役割を担ってきた。ところが昨年春先、そこに太陽光発電業者がソーラーパネルの設置のため、約150メートル、高さ2メートルが削られた。そのため付近の住民が国交省や市議会議員に連絡し、市議会でも大問題となった。
当時の市議会議事録を見ると、市会議員が小山が削られたことに「鬼怒川の増水時に洪水の恐れはないのか」とズバリ質問。それに対し当時の都市建設部長は自然堤防が掘削されたことを認め、国交省と折衝し大型土嚢を積む準備を進めているとした上で、こう述べていた。
《台風の大型化や異常気象によるゲリラ豪雨など、いままで想定されなかった大きな災害が全国で発生しております。したがいまして、無堤防の築堤を一刻も早く実施するよう国交省に要望したい》
要請を受けた国交省は土嚢を積み上げ、堤防設置の準備を始めた矢先だった。
「例えば、その越水で濁流の流れが変わり、下流の決壊箇所に影響を与えてないと誰が言い切れるのか。今は河川周辺ばかりか山の傾斜地を削り太陽光パネルがいたるところに設置されている。高値で太陽光を買い取る菅政権の再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度が、乱開発の太陽光パネル設置に拍車をかけている。今回の大災害の背景に、管-蓮舫時代の政策があると怒るのも、そういう理由です」(前出・被災住民)
事業仕分けによって一旦ストップし、再度計画が進み始めているスーパー堤防設置予定の荒川にも、治水上、弱点箇所がある。そこが決壊すれば、都心の千代田区や中央区も水没の危険にさらされるという。
すでに後手後手に回った災害対策の責任は誰が取るのだろうか。