社会
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社会 2015年10月06日 14時00分
激突3秒前! 橋下対SEALDs 新党「おおさか維新の会」潰しへ総動員(2)
脅威を抱いたのは総理周辺も同様だったようだ。自民党の調査担当者が徹底して動き始めたという。 「『SEALDs』のバックには何が付いているのか。大きな組織の影としては、共産党と民主党が何とか彼らを取り込もうと躍起になっているようですが、共産党などは機関紙で彼らをヨイショする程度で、直接的な影響はまだ見えません。しかし、彼らの手法を見ているとプロのにおいもするため、背後をさらに調査中です。特に橋下氏がピリピリする理由は、奥田氏には女性を引き付けるカリスマ性があり、さらに野望を持っていることがハッキリしたからでしょう。彼らは延々と特定の政治活動はするつもりはないと言いつつ、その腹の内が露呈する注目すべき発言をしていますからね」(自民党関係者) 注目発言とは何か。その点を、橋下氏周辺関係者はこう証言する。 「奥田氏が『みんなのニュース』(フジテレビ系)に出演した9月上旬のこと。MCの伊藤利尋アナが『仮に例えば法案が通ってしまったら、次の対抗手段としては野党結集をして『SEALDs』が参院に議席を得る方法を取るとか?』と話を振ると、奥田氏は『明確にそのつもりでホームページでもそれを書いています』と断言したのです。ホームページにはそこまで明確に書かれていないが、その発言で『SEALDs』が来年の参院選で候補者を擁立し、一大勢力を目指していくことが明白になったのです」 となれば、どうなるのか。維新関係者はこう懸念する。 「最も影響を受けるのは、新党を結党し来年の参院選で自らも立候補する可能性のある橋下氏です」 関係者の証言で、その影響理由と橋下氏マイナス効果を羅列するとこうだ。 (1)『SEALDs』の関西組織は大阪中心に活発な動きがあり、中心人物には関西や山陰地方出身者が多いという話がある。東京でガチンコで誰かと戦うよりも、大阪で橋下氏と戦うことを標榜すれば自ずと注目を浴びる。そこから全国展開するなど、奥田氏は本能的にマスコミ操作を心得ているようにも見える。対する橋下新党が『おおさか維新の会』という地域政党名でどこまで戦えるのか。 (2)『SEALDs』は“打倒安倍政権”を標榜している。安倍首相と親しい橋下新党が、“安倍傀儡新党”と叩かれることは必至。 (3)奥田氏らのフレッシュさや斬新さと比較して、橋下氏は府知事、市長とすでに手垢が付き過ぎている。 (4)『SEALDs』は「戦争反対」、「反原発」、「反辺野古」と、多彩な反対項目を掲げる。対する橋下新党は「大阪都構想」とあくまで地域的というインパクトの弱さ。 (5)ラップ以外に、国際平和映像際で賞を取ったこともある映像面や、SNSなど奥田氏が得意とする手段の影響は、'10年から'11年、北アフリカのチュニジアやエジプト、リビアで吹き荒れた民主化運動『ジャスミン革命』にも匹敵する可能性がある。この運動もSNSなどのネットでの拡散が絶大な効力を発揮した。 (6)来年の参議院選挙から18歳以上に選挙権が与えられ、新たに240万人の有権者が増える。その若者たちを『SEALDs』は取り込みやすい。 『SEALDs』が脅威となる可能性が高まる中、次のような情報も飛び交う。 「奥田氏の父親は牧師で、同時に生活困窮者の支援活動中。その父親の同志の弁護士がカジノ法案反対の先頭に立っているという。その意味では、カジノに意欲を持つ橋下氏をターゲットにした戦術も生まれてくる可能性は大」(公安関係者) 対する自民、橋下氏はどう出るのか。
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社会 2015年10月06日 10時00分
排ガス規制不正VW倒産危機 トヨタ“爆売れ”棚ボタ攻勢ぬかりなし!(1)
好事魔多し。トヨタ自動車を蹴落とし、今年上半期の世界自動車販売で悲願のトップに躍り出たばかりの独フォルクスワーゲン(VW)が、一転して火ダルマの危機に直面している。 米国で火を噴いた排ガス規制逃れ問題が、欧州をはじめ世界中に拡大。対象車は同社の発表ベースで1100万台に達した。金銭的ダメージは深刻で、2兆円は下らないとされる米国が課す制裁金に加え、株価急落の損失を被った投資家らによる世界規模での訴訟ラッシュが懸念されており、支払い総額がグループの営業利益(1兆7000億円)を大きく上回るのは避けられない。企業イメージの大幅悪化が業績ダウンに直結し、経営の屋台骨を揺るがすのは必至だ。 問題のディーゼル車は、日本国内では230台が登録されているという。正規の輸入ではなく「個人的輸入」(国土交通省)で、VWの日本法人は来年春には中型セダン『パサート』の投入を計画していたが、今回のスキャンダルにより延期を検討せざるを得なくなった。 「日本でディーゼル車の普及が遅れた理由は、東京都の石原慎太郎知事(当時)が真っ黒なススが入ったペットボトルを振りかざし、大気汚染を引き起こすと説明したのを機に『ディーゼルエンジンは環境に悪い』とのイメージが定着したことが大きい。そこで日本のエコカー戦略はハイブリッド(HV)が担ったのですが、欧州では排ガス技術の改良で窒素酸化物など有害物質の排出が極力抑えられるようになったことから、低燃費のエコカーとして5割強のシェアを誇っています」(ディーラー関係者) 世界一の座を固めるべく、VWが「燃費の良いエコカー」として日本市場に正規ルートから風穴を開けようとした矢先、米国から「排ガス試験のときだけエンジンの動作を調整し、有害物質を減らす違法ソフトを開発、搭載した」という衝撃の事実が暴露され、世界中に激震が走ったのだ。 VWの命運と並行して、国内の関心は日本車が受ける影響に移っている。前述したようにディーゼル車はエコカーの“本命”ではなかったが、排ガス浄化技術の進歩に伴い、HV、電気自動車(EV)に次ぐ“第3のエコカー”として、世界中に認知され始めていた。 ところが今回の騒動によりVWがボロボロになる分、国産勢が誇るHV車やEV車、さらには世界的に見てもトヨタが先行する燃料電池車(FCV)が、世界のエコカー市場をリードするのは確実だろう。 「FCVは、欧州では『ガラパゴス』と陰口されていました。自国のみで普及して独自の成長を遂げるが、世界的な普及は望めそうもないとの厳しい見立てです。今年1月、トヨタが5700件にも及ぶ自社のFCVの特許を無償で開放すると派手にぶち上げたのも“トヨタ基準”を一気に世界中に広めようとにらんでのことでした」(経済記者)
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社会 2015年10月05日 14時00分
激突3秒前! 橋下対SEALDs 新党「おおさか維新の会」潰しへ総動員(1)
維新の党からの離脱と新党結成を宣言したばかりの橋下徹大阪市長が、反安保学生団体『SEALDs』の動向に神経を尖らせている。加えて、自民党も同団体について徹底調査を開始。そんなピリピリ感漂う政界裏事情を追った。 そもそも、『SEALDs』とは何者なのか。 全国紙記者が解説する。 「『自由と民主主義のための学生緊急行動』(Students Emergency Action for Liberal Democracys)の頭文字を取って『SEALDs』。明治学院大学4年生の奥田愛基氏が中心となり、一昨年、国会で通過した特定秘密保護法勉強会仲間の学生らが安保法制法案反対のため今年5月に結成され、日本全国で300人前後の無党派層学生の団体と言われる。ツイッターなどSNSとラップ調での訴えを駆使し、無党派層に呼びかけるのが特徴」 そんな素人無党派学生集団に、日本の政治を牽引する橋下氏や自民党はなぜ敏感になっているのか。 「8月初め、自民党の武藤貴也衆院議員(無所属)が『SEALDs』のデモに対しツイッターで『戦争に行きたくない人たちがデモをしている。自分中心で極端な利己的考え』と書き込んだ際、橋下市長は武藤議員を批判していましたが、当時は気にはなるものの五月蠅程度と思っていた。その空気が一変したのは、『SEALDs』主催のデモに1万5000人や3万人、10万人という数字が踊り、共産党の志位委員長、民主党の岡田代表が国会前デモに駆け付けた頃からです」(橋下氏周辺関係者) 橋下氏は表向き『SEALDs』を直接批判しないまでも、彼らのデモを「日本の有権者は1億人。国会前のデモはそのうちの何パーセント? こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザン(オールスターズ)のコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ」と揶揄し始めた。 その後、橋下氏らの神経をさらに尖らせる出来事が起きる。 「テレビは面白がって盛んに奥田氏らを引っ張り出し、それを追いかけるように新聞や夕刊紙も取り上げ始めた。そんな矢先、9月15日に民主党が安保法案を審議する参院特別委員会の中央公聴会の公述人として、法律家や学者らに加えて奥田氏を呼んだことから、俄然注目を浴び始めたのです」(同) 公聴会に出席した奥田氏は、国会議員らに「寝ている議員は起きてください」とガツンと最初にカツを入れた上で、「国会前で10万人、全国では130万人もの人が路上に出て反対の声を上げている」、「その状況を作ったのは『SEALDs』ではなく、与党の人たちの国会での理解しがたい答弁に国民が不安を感じているからだ」、「だから、ある金沢の主婦の方がフェイスブックに書いた国会答弁の文字おこしは、瞬く間に1万人もの人にシェアされた」といった旨の発言をし、最後はこう締めくくった。 「困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は自由で民主的な社会を望み、この安全保障関連法案に反対します」 学生とは思えない堂々とした発言。民主党の蓮舫氏などは「今日の奥田君の公述は胸に響きました」とツイートしたほどだ。 「この模様の一部は、テレビやユーチューブで瞬く間に日本全国、世界に発信された。もちろん批判もあったが、それを上回る賛同と感動したという声が続々と寄せられました。さらに奥田氏ら『SEALDs』メンバー3人が外国特派員協会でも会見し法案反対宣言。こちらも世界に発信され、“Okuda”の名は知れ渡ったのです。この状況に橋下氏などは、それまでの政治的ヤジ馬程度と見ていた『SEALDs』が、とてつもなく大きな影響を持つ政治集団に変質する可能性を感じ始め、綿密な調査を始めたといいます」(全国紙政治部記者)
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社会 2015年10月05日 10時00分
『出光』&『昭和シェル』経営統合難航でドロ沼の石油元売り業界再編
石油元売り2位の出光興産と同5位の昭和シェルが経営統合の交渉を加速すべく、10月1日付で『統合準備室』をそれぞれに設立した。ガソリンをはじめとする国内の燃料油需要が落ち込み続ける中、経済産業省主導による業界再編の圧力がようやく実を結ぶ格好だ。 ところが業界内では「土壇場での白紙撤回もあり得る」との不吉な観測が浮上している。両社は7月30日、経営統合に向けて協議することで合意したとはいえ、昭シェルの特約店には「出光にのみ込まれ、我々の店舗が統廃合のターゲットになる」との警戒心が根強い。そこで昭シェルの統合反対派が親会社のロイヤル・ダッチ・シェルの保有する35%の自社株をソックリ取得し、統合を破談に追い込む。そんなシナリオが密かに囁かれているのだ。 出光は昭シェル株の33.3%相当分をロイヤル・ダッチ・シェルから1691億円で取得する契約を結んだと既に発表している。しかし、独禁法の審査に1年かかることから実際の株式取得は来年の上半期にずれ込む。この時間差を突けば“世紀の大逆転”が決して夢ではないところがミソ。昭シェルの統合反対派が親会社との交渉過程で株価が上昇に転じれば、出光との契約を反故にするとの“期待”もある。 「ロイヤル・ダッチ・シェルは液化天然ガスへのシフトを進めている。まして日本では、低燃費車の普及でガソリン市場が縮小に向かっている。これが撤退の決め手になったのは間違いない。彼らは損得計算だけで生きているも同然だけに、出光が裏切られたとしても不思議じゃない」(経済記者) そんな背景を踏まえれば、旗揚げしたばかりの『統合準備室』に対する出光、昭シェルそれぞれの温度差が歴然とする。 「統合で基本的に合意しているとはいえ、具体的な形は何も決まっていません。ブランドをどうするかも含め、全て白紙です。今後、双方の準備室が詰めの作業に入る過程で、激しい応酬が予想されます」(石油担当の証券アナリスト) 波乱は避けられない。
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社会 2015年10月04日 14時00分
秋の交通安全特集 新型ETC 本当に便利になるのか(2)
「それは便利だ!」と思ったあなた。確かにその通りだ。でもよく考えると、これらのサービスには莫大な税金が投入されている。本当に利用者にメリットがあるのなら大賛成だが、すでに市場に普及しているスマートフォンを利用すれば、同じことができるんじゃないかと思う人も多いだろう。 「最近のスマホはGPSも搭載されていますし、アプリを利用すれば瞬時にリアルタイムの渋滞情報も分かります。また、災害時は注意報が鳴り、注意を呼び掛けるのは、すでに所有者なら体験済みでしょう。グーグルマップを使ったナビゲーションは、もはやカーナビ専用機の機能を凌駕するほど高機能で、実際、カーナビメーカーはスマホ普及後、軒並み市場規模を縮少し続け、赤字を余儀なくされています。これもスマホのナビ機能を利用する人が増えたのが大きな原因と言っていいでしょうね」(IT雑誌記者) 実際、検索大手のヤフーも昨年、カーナビ市場に参入。無料アプリとしては国内で初めて道路交通情報通信システム(VICS)に対応。リアルタイムで渋滞情報を受信し、渋滞回避ルートを検索できる機能を付けた。さらには付近の駐車場の空き具合やガソリン価格を反映させたガソリンスタンド検索にも対応しているとあって、取り付けに手間と工賃が掛かり、本体自体も最低数万円はするカーナビにとっては手ごわいライバルだ。 日進月歩のIT業界。1年、いや物によっては半年で新型機を投入してくるような業界が次々と便利なサービスを提供してくる中で、あえて巨額の税金を投入してまでETC2.0を進めようとする国交省の思惑とは何なのだろうか? 「確かにETC2.0でできることは手持ちのスマホでも十分可能でしょうね。とはいっても、スマホでできるからといって国の方針として長期的に進めている計画を簡単にやめるわけにはいかないのが現状でしょう。さらには2011年から敷設しているITSスポットを早く活用していきたいから、という思惑もあると思います」(全国紙記者) ITSスポットとはETC2.0と双方向通信する装置。全国の高速道路上や道の駅などに段階的に設置されていて、すでにその数は1600にも上る。もちろんこれは国家プロジェクトとして多額の税金が投入された設備。設置したはいいが活用しなければ意味がないので、国交省としてはなるべく多くのドライバーにETC2.0を使ってほしいと思っているのだ。 安全運転支援、渋滞回避支援、災害時支援、これらを軸に普及を目指すETC2.0。さらには2016年春ごろをめどにゲートバーを廃止して、一定速度で通過できるETC2.0専用レーンの設置も計画されている。その効果を国交省は、どの程度見込んでいるのか。 「今までのETCは料金所の料金支払い機能に限定されていました。しかし、ETC2.0ではITSスポットと双方向通信することで幅広い情報をドライバーが受け取ることができます。カーナビに機能追加することで“1つの車載器”で各種支援機能を利用できるようになり、渋滞回避などストレスのない車社会への可能性が広がると考えています。現在、ETCは90%の普及率がありますが、今後は車の乗り換えや機種の入れ替え時などに順次ETC2.0に切り替えていただき、サービスの導入と利便性を向上させていきたいですね」(国交省・道路局ITS推進室) ここで言う“1つの車載器”とは、スマホなどを利用するのではなく「車に設置した機器1つですべての機能が利用できますよ」という意味らしい。どうやらスマホなどで同じようなサービスが手軽に利用できることは十分把握しているが、国交省としてはあくまでも国策としてETC2.0の普及を目指しているようだ。 都心の慢性的な首都高渋滞も、中央環状線(高速湾岸線〜高速3号渋谷線)の開通で都心環状線の交通量は約5%減少、また中央環状線内側の渋滞は約5割も減少した。このような分かりやすい渋滞緩和効果を、果たしてETC2.0は挙げられるのだろうか。 「民間のIT企業が臨機応変に便利なアプリを次々開発する中、長時間の議論と税金を掛けた国家的な政策が、時代の移り変わりの早さに追従できないのは仕方ありません。だからといって、簡単に計画を取りやめるわけにはいかない。多くの市民が望むことは『税金のムダ遣いだけは避けてもらいたい』というのが本音でしょう」(前出のIT雑誌記者) 奇しくも東京オリンピックの新国立競技場建設問題など、ずさんな計画が明るみになったばかり。果たしてETC2.0は、どれほどわれわれに恩恵を与えてくれるのか。本格的な運用が始まれば、その答えもすぐに出るだろう。
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社会 2015年10月04日 10時00分
達人政治家の処世の極意 第十九回「春日一幸」
理屈は後で貨車でくる。まず動くことで勝機が出る。“後で気が付く寝小便”では遅いのだ。 「自社」両党対決の時代といわれた昭和30年代半ば、当時の社会党の右派系が党を割って誕生したのが民社党。春日一幸はその委員長を務めた。 委員長になったころの春日の風貌は前額部がはげ上がり、脂ぎった顔は見るからに精力家、熱血漢を醸していた。民社党を小政党のままでどうすれば、どう存在感を示せるか、生かせるかに策謀、エネルギーを注ぎ込んだ人物であった。ために、その政治手法は「機先を制す」がモットー。情熱がほとばしりすぎてか、すぐ頭に血が上る「瞬間湯沸かし器」のアダ名も何のその、まず自らが先頭に立って動くのが常であった。 表記の言葉は、委員長を退任後、筆者がインタビューで直接耳にしたそれであった。多少の意見の違いなどは事が成立すれば後でどうにでも理由付けができ、妥協、まとめることができるのだということである。 一方、青年時代は小説家志望で、当時、当代一流の売れっ子作家だった『放浪記』の林芙美子のところに原稿を持ち込んだが、軽くあしらわれたという経緯もあった。そのくらいだから例え話、造語にも巧みで、表記の「“後で気が付く寝小便”では遅い」の他、サッパリするの意で「大川でケツを洗った如く…」など枚挙にいとまがなかったものだ。 さて、春日は民社党という小政党の生きる道を、どう模索したか。やったことは小政党の団結、大政党にくっついてその尻馬に乗ることであった。 例を挙げる。大平(正芳)政権で、公明党を誘って民社党ともども自民党の河野謙三(後に参院議長)を担いで「保革連合」での政権入りに動いた。また、中曽根(康弘)政権と民社党との連立工作、社会党、公明党、民社党との新党を模索したりと、ひたすら動いたのである。 しかし、これらはすべて実らなかった。さらには、田中角栄が首相に就任、日中国交回復に動く前、春日は民社党委員長に就任するや機先を制するように一足先に中国側に国交回復を打診、だが、これも中国側から断わられている。 なぜ、せっかくの「機先を制す」の春日流は実らなかったのか。教訓は、残念ながら情報力の弱さということであった。当時の田中派担当記者が言っていた。 「田中角栄と向かい合ったものは、ことごとく敗北している。春日は一つの情報チャンネルで動いて行き詰まったのに対し、田中はあらゆる情報チャンネルを作動させていたので勝負にならなかったということだ。保革連合、新党の画策も、結局は動きを察知した野党への人脈豊かな田中に、見事に先を越されたということだった」と。 機先を制するのはいいが、春日は事を起こすにはあらゆる情報チャンネルを作動した結果でなければ失敗するという、もう一つの教訓を残したということでもあった。これはあらゆる社会、組織で有用な教訓となる。 数々の画策失敗の春日ではあったが、憎めない人柄は愛され、女性からもモテモテだった。当時の田中派中堅議員の弁がある。「政界での女性のモテぶりは田中先生と春日先生が双璧でしょう。春日先生は夫人、愛人を含めて5人の女ばかりのお子さんがいたが、先生は『わが春日家はなぜかタマ不足、まさに握りキンタマ玉スダレでありますナ』と呵々大笑でした。“人生派”の政治家でもあった」。なるほど、こちらの方も“熱血漢”だったのだ。 ちなみに、春日の一連の熱血漢ぶりは国会に出る前の愛知県議の時代にも見られる。当時、GHQ(連合国軍)がデモ規制のための公安条例の制定を愛知県議会に押し付けてきた。断固反対の春日は牛歩戦術ならぬ“牛タン戦術”をとったのである。牛タンとは牛の舌で、とてつもない長広舌を振るったということである。 本会議で実に午後2時からエンエン5時の会期切れまでの3時間、ひたすら反対演説をしたのだった。「…であります。しかるに…でありまして、…には賛成しかねる。よって…」。最後は体力だけ。何を言ってるのかよく分からなかったがついに5時となり、同僚議員たちの万雷の拍手の中、本会議は散会、条例は廃案となったのだった。許せぬものは許せぬとの、「人生派」の面目躍如の場でもあったのである。 春日は筆者のインタビューに、こうも「春日節」を残していた。「明治維新前夜、期せずして維新の同志が現れたように、これが正念場と思ったら恥を知り、名を惜しむ者は出会え、出会えということでありまする。まず、動いてみることじゃ」と。一考に値する言葉である。=敬称略=■春日一幸=1952年、右派社会党公認で旧愛知1区から出馬し初当選。左右再合流後の日本社会党を経て1960年1月の民主社会党(後の民社党)結成に参加。党国会対策委員長、書記長、副委員長、委員長を歴任。小林吉弥(こばやしきちや) 永田町取材歴46年のベテラン政治評論家。この間、佐藤栄作内閣以降の大物議員に多数接触する一方、抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書多数。
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社会 2015年10月03日 14時00分
秋の交通安全特集 新型ETC 本当に便利になるのか(1)
今やすっかりおなじみとなった高速道路でのETC利用。料金所で支払いをする際に停止することなく通過でき、渋滞緩和に多大なる効果をもたらした。ETCを利用することによって休日割引や平日朝夕割引などの特典も用意されており、今や高速道路を利用する人のほとんどが、その恩恵を受けていると言っても過言ではない。 普及に拍車を掛けたのは2006年にハイウェイカードの利用が全面的に停止されたのがきっかけ。また、民主党政権下の'09年には“1000円で高速道路走りたい放題”政策があり、週末ドライバーもこぞってETC車載器購入に走った。 「当時は車載器が品切れになり、価格が高騰しました。中には2カ月も装着の順番待ちをした方もいます」(都内カー用品販売店) ETCの利用率は年々高まっており、累計セットアップ数は平成27年7月までに約6790万件。サービスが始まった平成13年には0.9%だったものが、およそ15年を経て89.9%(共に国土交通省調べ)にまで上昇した。実際には料金支払い用のクレジットカードを持っていない人や、高速道路を利用しない人もいるため、利用率の上限は95%程度とも言われているので、現段階でほぼ行き渡ったと言っていいだろう。 最近では新車購入時にほぼETCの装着が前提となっているし、中古でもすでに装着済みの車も多い。 ここまで普及率が高まれば、後はいかに安定して運用していくことが課題かと思われるのだが、実は国土交通省がさらなる進化版『ETC2.0』を導入し始めているのをご存じだろうか。2.0? 進化版? いったい、今のETCと何が違うのだろう。 「ETC2.0とは、道路に設置されているITSスポットと呼ばれる装置と車側の対応カーナビや車載器で高速・大容量のデータ通信を行い、さまざまな道路交通情報をやり取りできるシステムです。今までのETCは利用区間の計測と料金の支払いに使用していましたが、新型ではこれに加えて双方向通信できるところが特徴。道路上の事故情報や落下物の注意喚起、最新の渋滞情報を受けての最適ルートの提示、災害時の支援情報などが即座に受けられます」(自動車専門誌ライター) なるほど、ただ料金を支払うだけの機能から、車載のカーナビなどと連動させてより多くの有益な情報をやり取りすることができるようだ。実際に高速道路上で地震などの災害が発生した場合には「地震発生、通行止めです。後方を確認しハザードランプを点け、ゆっくり左側に停車して下さい」などという音声が流れるという。 また、渋滞時には連動ナビによるアナウンスによって、その手前でいったん、一般道へ誘導。渋滞を回避後、近くのインターから再度高速に乗るといったナビゲーションも可能になり、このための割引制度も導入するという。
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社会 2015年10月03日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第143回 災害列島
9月10日から11日にかけ、台風18号の影響で関東地方と東北地方に豪雨が降り注いだ。利根川水系の鬼怒川と、鳴瀬川水系の渋井川の各堤防が決壊。多数の犠牲者を出してしまった。 日本列島は「災害列島」なのである。日本国において、国土強靭化を推進しない政権や、国民を守るための予算を渋る財務省、さらには公共事業の継続的な拡大に異を唱える人は、いったい何を考えているのだろうか? 鬼怒川にせよ渋井川にせよ、予算を渋らず“必要な対策”を事前に講じていれば、洪水被害は防ぐことができた。国土交通省は、鬼怒川の堤防が脆弱であることを把握していたが“予算”の問題で堤防建設工事が遅れていたのである。 大規模自然災害が頻発し、時に大震災までもが起きる日本国では、「自分だけは大丈夫」は通用しない。経済学者たちが言うように「保険をかけておけばいい」では話は済まないのだ。ことは、自分や家族、友人や同僚の「生命」の問題なのである。 現在の日本国は、公共投資・公共事業の予算を削減し、土木・建設の供給能力が著しく弱体化している。すなわち、防災という安全保障が揺らいでいるわけで、前回取り上げた「亡国の農協改革」に加え、これもまた一つの亡国への道である。 誤解している人が少なくないが、第2次安倍政権が発足以降も、日本の公共事業支出は別に増えていない。つまり、安倍政権は公共事業費を増やしていない。 小渕政権期には14兆円を超えていた日本の公共事業支出は、福田政権期に8兆円を切った。リーマンショックが発生し、麻生政権時代には補正を含めて8兆円水準を回復したが、その後の民主党政権で再び削減。 そして、2度目の安倍政権が始まって以降も、公共事業は確かに当初予算では微増しているが、補正を含めると増えていない。というよりも、補正を含めた公共事業支出は、今や民主党政権期よりも少なくなってしまっている。 ちなみに、2011年と'12年の公共事業の補正予算が大きくなっているのは、もちろん東日本大震災の復興需要の影響である。 今年、新たな補正予算が組まれない場合、'15年の公共事業支出は民主党政権期よりも実績値で小さくなってしまう。これほどまでに自然災害が多発する国において、安倍政権はいまだに緊縮路線を継続しているのだ。まさに、亡国への高速道路を疾走していることになる。 ところで、鬼怒川の決壊を受け、メディアやネットで「民主党の事業仕分けの責任」との言説が広まり、それに民主党側が反論するという状況になっている。もっとも、筆者個人の意見としては、事業仕分けの影響うんぬんと関係なく、「コンクリートから人へ」という、おぞましいスローガンを採用した時点で、民主党などこの世から消えてしまえばいいと思っている。 「コンクリートから人へ」とは本当におぞましいスローガンだ。何しろ、「将来世代のためのインフラ投資(コンクリート)など、どうでもいい。今、自分(人)にカネをよこせ」という意味を持つのである。 日本が経済成長しないのは、国民が「将来のための投資」に否定的になってしまったためだ。投資の縮小は、民間セクター、公共セクター問わず、1998年以降は顕著に見られる特徴となる。 デフレで利益を上げにくい環境下において、民間が投資を絞るのは理解できないでもない。経営者なら誰でも、もうからない環境でリスクを取りたくはない。だからこそ、デフレ期には政府が投資を増やさなければならないのだ。 ところが、わが国では土木・建設業叩き、「国の借金が!」、そして「コンクリートから人へ」といった一連の公共投資叩きキャンペーンにより、公共投資は減り続けた。勘違いしないでほしいのだが、公共投資、公共事業、あるいは治水事業費を減らした主犯は、橋本政権と小泉政権である。さらに、民主党政権「も」減らした、というのが事実なのだ。 民主党を引き合いに出したところで、公共投資の削減を続けた歴代の自民党政権(小渕政権、麻生政権のみが例外)の罪を相対化することはできない。自民党も、民主党も、国民を危険にさらす公共投資削減にまい進したという点で同罪なのだ。 いずれにせよ、わが国では奇妙な「反公共投資キャンペーン」が展開され、デフレ脱却のために必要な需要創出が実現できなかった。結果、名目GDPが成長せず、税収が増えず、政府の負債が膨らみ、「このままでは国の借金で破綻する! 公共投資を削れ!」と、デフレ脱却から遠ざかる公共投資削減が実施され、国民が貧困化し、そして今回の鬼怒川が典型だが、「必要な投資」までもが削られ、国民の生命が危険にさらされてきたわけである。 災害列島である日本国で、しかも需要が不足しているデフレ期に公共投資を削減する。国家的自殺、としか呼びようがない。 最後には、「コンクリートから人へ」というおぞましいスローガンを、日本国民が熱狂的に支持するに至った。自分たちを貧困化させ、危険にさらす政策を支持する。「愚民」以外に表現のしようがない。まずは、災害列島において、国家的自殺を後押ししてきたのは、われわれ日本国民であることを自覚する必要がある。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2015年10月02日 14時00分
トップアーティストにも飛び火 新国立問題に悲鳴を上げる音楽業界
総工費2500億円超で白紙撤回された新国立競技場の問題が、音楽業界にも波紋を投げかけている。当初、「'15年10月起工、'19年3月開場」の予定だったが、東京五輪開幕前の'20年3月に開場が先延ばしされたため、日本開催の'19年ラグビーW杯まで白紙撤回される可能性が出てきたのは本誌既報通り。これに加えて、“被害者の会”もさらに拡大していきそうなのだ。 「新国立競技場開場時期と前後して、コンサート会場となりうる都内各施設が改修工事に入るのです。新国立の完成が遅れるということは、その間、歌手のコンサート活動も制限されてしまいます。地方の小さな会場しか抑えられない」(レコード会社宣伝部員) 音楽業界では『'16年問題』なる新語も定着しつつあるという。 まず、渋谷公会堂は今年10月から改修工事に入り、その後も、約半年間に横浜アリーナが'16年1月から工事を始め、日比谷公会堂、さいたまスーパーアリーナも同年前半に改修工事に入る予定だ。'17年には国立代々木競技場体育館、中野サンプラザが。さらにまた、“時期未定”としながらも、日本武道館、東京国際フォーラムも近年中の改修工事を予定している。 つまり、新国立競技場の開場遅延に各主要施設の改修工事時期が重なったため、都心はイベント会場不足に陥るわけだ。 「大坂城ホールも来年1月から約3カ月間の改修工事を発表しています。新国立の設計変更にしても、ウチの業界にもひと声かけて欲しかったというのがホンネです。屋根が付くか付かないかで、音響設備やコンサート規模も違ってきます。これをしのぐには、地方巡りをするか、高い競争率の中で東京ドームなどの野球場を抑えるしかないでしょう」(同) 施設会場の供給が狂い、音楽業界は大幅な事業変更を余儀なくされた。「音楽業界に優先的に新国立を貸してくれたら、総工費の返済に貢献できたのに」という声も聞かれたが、安倍首相には東京五輪の問題に振り回される側の声など届いていないようだ。
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社会 2015年10月01日 14時00分
勝負の年末商戦ワンポイント説が流れる『任天堂』新社長の不安
任天堂の社長のイスが空席になって約2カ月。売上高の半分が集中する年末商戦の仕込みを急がなければならない季節になり、ようやく9月16日付で君島達巳常務(65)が新社長に就任した。しかし市場では、早くも「ワンポイント・リリーフで終わるのでは」との観測が飛び交っている。 岩田社長の死去に伴い、ゲーム機開発担当の竹田玄洋専務(66)とソフト開発の責任者である宮本茂専務(62)が社長業務を代行したことから「彼らが“ポスト岩田”の本命、対抗」と目されてきた。一方、旧三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)出身の君島常務はオーナーの山内溥元社長(故人)から「財務を見られる人材としてヘッドハントされたように、モノづくりはズブの素人」(関係者)とあって“大穴”の評価だった。 就任会見で君島社長は岩田前社長の路線を継承し、両専務とのトロイカ体制で経営を主導すると強調した。エリート銀行員ならではの気配りだが、任天堂ウオッチャーは「岩田さんは55歳で亡くなった。その点、両専務を含め3人はそろって60代で、いかにも齢を取り過ぎている。だからこそ君島社長は任天堂に勤務する山内さんの長男につなぐワンポイント、とあちこちで囁かれている」と解説する。 山内さんの長男とは企画部長を務める克仁氏。昭和34年生まれで、9月末には56歳になる。亡くなった父親から株式の一部を相続したとはいえ、まだ任天堂の役員には就いていない。そこで早期に克仁氏を取締役に抜擢し、君島社長の下でしっかり帝王学を学んだ後、社長就任の“大政奉還”を行うとの見立てである。 「君島社長は米国法人の社長を務めたように経営管理に長け、職人畑の両専務とは肌合いが違う。根が銀行員だから岩田社長時代に提携したDeNAとの交渉も無難にこなせるとの期待もある。しかし、発行済み株式の18%近くを取得し、存在感を増している米投資ファンドの対応には苦慮しそうです」(関係者) その解決を花道に、というシナリオを描いているようだと、大きな落とし穴が待っているかもしれない。
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