社会
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社会 2017年02月13日 14時00分
トランプ大統領へ宣戦布告 中国で加速する対米国「第2のスターウォーズ計画」(3)
中国が宇宙の中心であり、その文化・思想が神聖なものであるという中華思想は、こうした宇宙開発にも如実に現れていると言えよう。 前出の宮崎氏が言う。 「中国で宇宙開発の先頭に立っているのは軍ですが、かつては“軍に入る奴はバカだ”という扱いでした。しかし、10年ほど前からエリート集団と化し、理工系に強い集団になっている。今や民間企業より高給が保証され、若者に人気の職業になっているのが現状です」 それもあってか、このところ中国によるサイバー攻撃がクローズアップされている。数年前には米国の原発や鉄鋼、太陽電池関連の企業から情報を盗んだとして、中国軍の将校が米国司法省により刑事訴追された。 世界を脅かすほどにまで成長を続ける中国の宇宙開発。ただし、ここへ来て別の意味での恐怖も囁かれ始めている。 「中国が2011年に打ち上げ、すでに役割を終えている宇宙ステーション『天宮1号』が制御不能に陥り、地球に落下する可能性があるというのです。もともと『天宮1号』は、軌道上を回り続けた後、寿命が来た際に地球からの遠隔操作によって海洋に落下させるか、大気圏中で燃え尽きさせるはずだった。しかし、制御不能となったため、軌道上にも留まることができなくなってしまったのです」(前出・サイエンスライター) 中国政府はこれについて、「ほとんどの部分が大気中で燃えてなくなるはずだ」と主張しているが、「落下は今年の後半」というだけで具体的な日付も分からず、もちろん燃え残った場合の落下地点も定かではない。『天宮1号』の重量は約8トンに及ぶという。果たして、大気圏で燃え尽きるという話は信用できるのだろうか。 宇宙物理学者でハーバード大学教授のジョナサン・マクダウェル氏は、こう警鐘を鳴らしている。 「『天宮1号』がいつ大気圏に突入するかは、数日前になっても予測できないだろう。6〜7時間前になってやっと分かるのがいいところだ。また、大気圏突入がいつか分からないということは、落下地点の予測もできないということだ」 防災ジャーナリストの渡辺実氏も、こう語る。 「地球の70%は海。そのため陸地の住宅地に落ちる可能性は極めて低いだろうが、その可能性はゼロではないということです」 ちなみに宇宙からの落下物はすべて隕石扱いされ、たとえ残骸飛来で被害が出ても中国からは1円たりとも出ない。“自国第一”のワガママさは米中ともいい勝負といったところか。
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社会 2017年02月12日 14時00分
トランプ大統領へ宣戦布告 中国で加速する対米国「第2のスターウォーズ計画」(2)
一方、ISSの開発は、1988年9月に締結された日米欧の政府間協定により着手された。'98年にはロシア、スウェーデン、スイスを加え「国際宇宙ステーション協定」が署名され、現在のISS計画参加国は、日米露、カナダ、欧州宇宙機関(ESA)加盟の各国(ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス)の15カ国。これとは別に、ブラジル宇宙機関がアメリカと二国間協定を結んで参加し、イタリア宇宙機関はESAのほかNASA(アメリカ航空宇宙局)との直接契約で多目的補給モジュールを開発している。 中国は、このISSの参加を打診したことがあるとは発言しているものの、実現はしていないといい、やはり、あくまで単独での宇宙開発を目指したい姿勢が垣間見える。 「ISSは2024年まで運用するが、それ以降は未定です。そのため、中国の宇宙ステーションが'22年に予定通り完成すれば、'24年以降は計画通り“世界で唯一”の立場を勝ち取れる。これに加えて中国は昨年、南シナ海の海南島に新たに建設した文昌衛星発射場から、新型ロケットの『長征7号』を打ち上げている。このロケットの歩みはいばらの道だったとされ、失敗を繰り返す中、1996年には宇宙開発史上最悪とされる大事故を起こした。しかし、それでもめげずに国費を投入して数多くの人工衛星や有人宇宙船を打ち上げ続けてきたのです」(前出・サイエンスライター) 『長征7号』は順調に飛行し、搭載していた新型有人宇宙船の試験機など、合計6機の人工衛星を軌道投入。試験機はその翌日にゴビ砂漠へ着陸し、成功を収めたという。 「つまり中国は『長征7号』の発射において、南シナ海の新しい発射場、新型ロケットと宇宙船の開発と、三つの課題をクリアしたということになる」(同) その状況に科学技術関連記者はこう語る。 「中国の宇宙開発については、軍事転用されると不安視する見方も根強い。ロケットや宇宙船の誘導技術は弾道ミサイルなどの開発にも生かせるのです。中国には、こうした先端技術を自国の安全保障面でも利用しようとの狙いもある上、通信衛星などは世界の経済活動を妨害し、マーケットを大混乱に陥れようとするものだという見方もある。今後もトランプ大統領の強硬な姿勢が続くようであれば、中国側から何らかの攻撃を仕掛ける可能性はあるでしょう」 いまやGPS(全地球測位システム)など宇宙空間を利用した技術は欠かせなくなり、ますます依存度は高くなるばかりだ。中国には宇宙空間の開発でトップを走ることにより、軍事、経済の両面でも世界を制圧する狙いもある。 「それだけではありません。中国は北極や南極、深海、サイバー空間といった“未知の空間”の研究開発にもかなり力を注いでいると言われます。これらは『グローバル・コモンズ(国際公共財)』と呼ばれる手つかずの領域ですが、そうした分野でのデータ蓄積も、やはり近い将来での軍事、経済面で他国を圧倒するための戦略の一つです」(サイエンス誌編集者)
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社会 2017年02月11日 14時00分
トランプ大統領へ宣戦布告 中国で加速する対米国「第2のスターウォーズ計画」(1)
トランプ政権誕生により、米中の緊張が一気に高まっている。トランプ氏は米国の貿易赤字の元凶として中国を名指しで批判。台湾問題に関しても“一つの中国”の考えを見直すことを示唆し、さらには南シナ海での人工島建設についても「阻止する」と息巻く。対して中国も外務省報道官を通し、「米国は言動を慎め」と反発した。 「中国がトランプ氏の発言を無視し続ければ、アメリカは金融制裁や南シナ海の海上封鎖などによって本気で中国を潰しにかかる可能性が高い。特に南シナ海の問題においては、両国間で何らかの“事故”が起きてしまえば、それを発端に軍事衝突になりかねません。アメリカはトランプ氏のみならず、政権内に対中国強硬派が多くいることも、その危険性を非常に高めているといえます」(軍事ジャーナリスト) そんな状況の中、中国が加速させているのが宇宙空間での覇権強化だ。 事情に詳しい作家の宮崎正弘氏はこう説明する。 「中国にとっては、宇宙も戦場なんです。その技術開発が、ここへ来て急ピッチで進んでいる。最初はヨチヨチ歩きの状態で人工衛星を飛ばしたり、気象衛星を打ち上げていたが、今ではアメリカやロシアの背中が見えるところまで来ています。数年前には米露が持つ攻撃衛星『キラー衛星』の打ち上げに成功し、世界を驚愕させている。科学技術がそれだけ進んでいるということです」 中国は'92年に有人宇宙船の開発を決定し、無人宇宙船『神舟1号』を打ち上げたのが'99年。2003年には初の有人宇宙船『神舟5号』の打ち上げに成功している。 「さらに昨年10月に打ち上げられた『神舟11号』には、空軍パイロット出身の宇宙飛行士2人が搭乗し、9月に打ち上げ済みの宇宙ステーション『天宮2号』とドッキング。すでに宇宙空間での様々な実験を開始しているのです」(サイエンスライター) この『天宮2号』は、まだ試験機の段階だ。本格的な宇宙ステーションの本体は来年以降に打ち上げ予定で、これを核のモジュールとしてさらに拡張させ、'22年以降には完成させる予定だという。 「中国政府は現在の国際宇宙ステーション(ISS)が役割を終える'24年以降において、『宇宙ステーションを持つ唯一の国になる』と鼻息荒く、'30年頃をメドに“宇宙空間における大国の地位を確立する”と、『スターウォーズ』ばりの計画実行を断言しています。『神舟11号』と『天宮2号』のドッキングは、それに向け大きな進歩を遂げたことになる」(同) 習近平国家主席も、「『神舟11号』打ち上げ成功により、中国人の宇宙探査の歩みをより大きく遠くに延ばし、宇宙強国建設に新たな貢献をするよう希望する」とのメッセージを発信している。 「これまで“宇宙の2強”は米露でしたが、単独で宇宙ステーションを運用できる高度な技術力を身につければ、安全保障面でも優位に立てる。そんな戦略が透けて見えます」(前出・宮崎氏) 確かに、このまま順調に進めば、壮大な戦略も夢ではなさそうな気配だ。
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社会 2017年02月10日 15時00分
幕末再来 トランプ黒船に「安倍幕府」丸腰の土下座外交
「第2の黒船来航」と囁かれている米トランプ大統領は2月10日に決まった日米首脳会談で、安倍首相に対して強烈な“米国盲従”を強いるとみられている。 「日米首脳会談の露払いのようなマティス国防長官来日でしたが、一応、尖閣諸島に日米安全保障条約第5条が適用され、米国の防衛義務があることなどを確認し、これに政府は安堵したわけです。しかし、トランプ外交の最優先事項は日米の通商交渉を有利に進めることです。これまでも米国は日本との間に経済問題が持ち上がると、必ず安全保障問題で攻め立てている。50年代の日米貿易摩擦では日本が繊維で譲歩することで沖縄返還が実現し、TPPでは北朝鮮の脅威から守ってやるからと締結を迫られた。今回は、尖閣防衛の確認をしてやったから手土産を持って来い、という意味合いがあるのは間違いありません」(日米関係に詳しいジャーナリスト) トランプ大統領は選挙期間中から、同盟国について“安保タダ乗り論”を展開してきた。日本は「もし当選したら現実路線を採るだろう」と楽観的な見通しを立てたが、就任したら早速、公約通りにTPP離脱やメキシコ国境の壁建設を実行し、日本のもくろみは見事に外れた。「日本は軍事面でもっと貢献しろ」と要求してくるのは必至だ。 もっと貢献しろとは、もっとカネを寄こせということだが、米軍駐留経費の日本の負担割合は74%で、4割前後の独・韓に比べ突出して高く、これ以上の負担項目はない。つまり第一の手土産は一番高くつく“血”を流せということになる。 「トランプは就任演説で『イスラム国を壊滅させるため、他国との合同軍事作戦を実施する』と表明しています。過去に『ショー・ザ・フラッグ』とか『ブーツ・オン・ザ・グラウンド』と日米安保条約の相互協力をタテに軍事的な貢献を催促してきた米国が、自衛隊の海外派兵を言い出すのは時間の問題でしょう」(軍事ジャーナリスト) すでに日本は安保法を成立させており、これを断れない。この要求を少しでも和らげるためには、貢ぎ物を“献上”するしかない。 「トランプ政権は日米首脳会談に、異例とも言える麻生財務相の同行を求めている。ビジネスマンのトランプにとって、日米間のテーマは尖閣防衛などではなくファイナンス(資金調達)しかありません。麻生財務相に米国債の買い入れを直接打診するハラでしょう」(民間シンクタンク研究員) 第2の手土産は日本の年金資金の差し出しだ。政府は『年金積立金管理運用独立行政法人』(GPIF)に米国のインフラ開発に投資させて、トランプ政権に数十万人の雇用を創出する構想を提案する方針だという。 「GPIFの高橋則広理事長は『(積立金約140兆円のうち)7兆円前後は投資可能と考えている。米国のインフラへの投資もあり得る』と対米投資を否定しませんでした。しかし、GPIFの運用は投資効果を追求するのが大原則で、政府の都合で勝手に運用先を変えられるものではない。首相の舌先三寸に乗ると、また年金資金を溶かしかねません」(同) また、トランプ大統領は、わが日本を「為替操作国」だと名指しで糾弾している。 「アベノミクスの柱、安倍首相と黒田日銀総裁が二人三脚で進めてきた“異次元緩和”を批判し、首脳会談を前に先制パンチを繰り出したわけで『米国を守るためだ。円安誘導を是正しろ』と迫るか、ドル高を是正する目的で為替操作を制限する条項を突き付けてくるか、のいずれかです」(同) 第3は「公正ではない」と毒づきつつ、自動車産業を狙い撃ちにする可能性だ。安倍首相とトヨタ自動車の豊田章男社長が2月3日夜、国会近くのホテルで会談したが、これはトランプ大統領のこうした態度への対応を協議したものだ。 「TPPの事前交渉でも話し合われていた米国車の最低輸入台数の取り決めを求めてくるのではないか。'16年に日本国内で販売された新車は約497万台ですが、そのうち輸入車は29.5万台。その中で米国車のシェアは数%にも満たない。TPPを反故にしたトランプ政権ですが、要求ハードルを引き上げた2国間FTA(自由貿易協定)を日本に迫ってくるのは必至で、これに合意すれば年間10万台規模の米国車が輸入されるようになるかもしれません。さらには、軽自動車の税制優遇撤廃や安全基準を変更させられる可能性もあります」(経済アナリスト) 今回、マティス国防長官が“日韓訪問”を最優先した理由は、ズバリ、東アジアに差し迫った脅威が存在するからだ。 「さらなる弾道ミサイルの発射準備が、金正日、金日成の誕生日である2月16日、4月15日など北朝鮮の祝日に合わせて実行される懸念があるからです。また、北朝鮮とも絡む対中国問題では、中国の南シナ海における活動を強引に抑止するような軍事行動は、中国と北朝鮮の関係強化につながるのではないかという懸念をトランプ政権は抱いており、またその一方で、中国に対して強硬な姿勢を示すことは、中国と北朝鮮の関係強化を阻止する効果を持つとの考えの間で揺れている。いずれにしても、日本にTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)などの迎撃兵器の購入を促すのは間違いないでしょう」(前出・軍事ジャーナリスト) トランプ大統領が、安倍首相の土下座外交を気に入ってくれればいいのだが…。
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社会 2017年02月10日 14時00分
中国人爆買い終了も追い打ち 大逆風の百貨店が生き延びる道
1月20日に日本百貨店協会が発表したデータによれば、'16年の全国百貨店売上高が、実に36年ぶりに6兆円を割り込んだという。すでに全国主要都市の駅前一等地に展開していた百貨店は、ここ1、2年前から次々と撤退せざるを得なくなる“閉店ドミノ”に陥っている状況だ。 例えばセブン&アイHD傘下のそごう・西武百貨店。まず、そごうは、'12年に八王子店(東京都)、'13年呉店(広島県)、さらに昨年9月には、柏店(千葉県)を閉鎖。西武百貨店も'10年の有楽町店閉鎖を皮切りに、'13年に沼津店(静岡県)、昨年は2月に春日部店(埼玉県)、9月に旭川店(北海道)を閉鎖。今年2月には筑波店(茨城県)、八尾店(大阪府)と連続閉鎖する。 「旭川店は約2万4000平方メートルの売り場に約220店のテナントを抱え、市の商店街の核として多くの人に愛され、賑わってきました。ところが'16年2月期の売上高は約105億円とピーク時の半分以下に落ち込んでいた。そして、ついに踏ん張りきれず、41年という長い歴史に幕を閉じることになったのです。これで北海道から西武は完全撤退、そして道北には百貨店がゼロになってしまった」(経営アナリスト) 百貨店業界の雄、三越伊勢丹HDも、同様の苦戦を強いられている。今年3月、三越は千葉店と多摩センター店(東京都)が閉店する。伊勢丹は昨年11月の中間決算時に、松戸店(千葉県)、府中店(東京都)、広島店、松山店(愛媛県)などの閉店検討のニュアンスを打ち出しているのだ。 こうした事態となった要因は、いったいどこにあるのか。 「西武の旭川店の撤退を見ても明らかです。同店の売り上げ激減は、長引く不景気による消費不振に加え、一昨年3月、大型SC(ショッピングセンター)のイオンモールがはす向かいに開業したことによるもの。SCの低価格の食品や雑貨目当ての客が、イオンに流れたのです。そんな状況を揶揄して一部のアナリストからは『百貨店は何でもあるが何もない』との声も聞こえてくる。客のニーズと少しずれてしまい、SCやユニクロ、ニトリ、さらにはネットショップに流れてしまったことが、百貨店全体の不振にもつながっている。さらに、ここへ来ての中国人観光客の爆買いの陰りが追い打ちをかけている」(同) 別の商業コンサルタントは、こう明言する。 「今や百貨店は、新宿や銀座、日本橋、渋谷など東京の旗艦店と呼ばれる大型店以外は採算を取るのが難しい時代に突入した。その証拠に、'15年度の百貨店売上高トップは伊勢丹新宿本店2742億円、2位は阪急うめだ本店2183億円、3位が西武池袋本店1900億円、4位三越日本橋店1683億円、5位高島屋日本橋店1366億円となっていて、20位ぐらいまでを見てもほとんどが東京、大阪、愛知、京都などの大都市の百貨店なのです。つまり、最低でも人口100万人以上の都市でなければ、百貨店のターゲットである高所得者層は掴めない。逆を言えば、地方においてはそうした客が専門店に分散してしまっているということです」 そのため、新たな顧客獲得に向け攻めの姿勢に打って出る百貨店も多い。 その先頭を切ったのは、東急百貨店。東急不動産など東急グループが総力を上げ、昨年3月、約2000億円を投じて銀座5丁目の数寄屋橋に地下2階地上11階の『東急プラザ銀座』をオープン。125の専門店が入居する。 銀座松坂屋を運営していた大丸松坂屋百貨店やパルコなどを展開するJ・フロントリテイリングも、森ビル、住友商事などと新会社を立ち上げ、銀座6丁目に総額約900億円を投じ、複合施設『GINZA SIX』を今年4月にオープン予定だ。 「ここには松坂屋をはじめ世界のブランド店が進出、さらに観世能楽堂の拠点を設けたり、観光バスの発着所なども設置する。東京五輪を視野に世界のインバウンド客がショッピング、飲食、文化に触れられる一大複合施設になるという。百貨店からさらにスケールを拡げる姿勢です」(前出・経営アナリスト) 不振に喘ぐ三越伊勢丹HDの三越日本橋店も東京五輪までに200億円を投じ、40代に特化した店づくりを目指すという。 「大丸松坂屋は、これまで縮小していた“外商”に力を入れ、医者などの高額所得者をピンポイントで狙う。さらに特別会員向けに高級ホテルで商談会を開催し、オリジナル商品を販売するなど外へ打って出て、ジワジワと売り上げを伸ばしている。この動きに高島屋なども注目し、サイトを立ち上げ外商部門に力を入れ始めています」(同) 果たして、生き延びるのはどこか。
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社会 2017年02月10日 10時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第55回
「決断と実行」をウリに内閣発足から間を置かずに懸案の「日中国交回復」をやり遂げた田中角栄は、これに並行してすでにもう一つの政策課題に挙げていた“格差のない社会”を目指す「日本列島改造計画」の実践に着手していた。首相の私的諮問機関「日本列島改造問題懇談会」を発足させ、「角福総裁選」に向けて発表していた持論「日本列島改造論」に基づきながら、その改善に着手したということだった。 時に、高度経済成長の真っただ中にあり、物価上昇、公害、人口の過疎・過密など、さまざまな弊害が深刻化しだしていたことによるこの「列島改造懇」は、工場を過密な都市から過疎の寒村に移動させて労働力を過疎地帯に呼び戻す、日本列島全体を新幹線や高速道路などの交通ネットワークで結び地方に工業を興す、人口25万人規模の中核都市を全国に作りその都市を中心として公害のない住みよい空間を作るなどとまとめ、田中に提言したのだった。 田中は直ちに工業再配置計画に動き、工場移転促進地域を指定する促進法を政令で制定した。促進地域を東京を中心とする首都圏、大阪を中心とする近畿圏、名古屋を中心とする中部圏などの34地区を過密地帯と定め、逆に工場を誘致すると補助金が出る優遇措置が受けられる誘導地域に、北海道、東北、北陸、九州から27地区を指定した。ために、特に促進地域の地価は平均で18%上昇、誘導地域では軒並み20%を超え、合わせて東北新幹線や東北縦貫道路の計画も手伝って、例えばその“沿線”となる岩手県盛岡市などは実に40%近くの地価暴騰を見たのであった。 こうした中で、田中は「日中国交回復」の余勢とこの工業再配置計画に自信を見せ、この年11月、衆院の解散に打って出た。 しかし、田中の思惑とは異なり、12月の投開票で自民党は前回総選挙の300議席を大きく割り込み公認候補の当選271、無所属当選11人を入党させて、かろうじて282議席を確保したが、この271という数字は昭和30年11月15日の自民党結党以来、最低のそれであった。 ちなみに、この選挙で田中は延べ1万キロを率先遊説、33万人近くに語りかけたものであった。意気込みは知れたのである。 よもやのこの総選挙敗北が決まった直後、田中は首相就任後初のお国入りをした。新潟県長岡市では、それでも次のような強気の演説をブッたのである。 「仕事をすれば、批判が起こって当然なんですッ。何もしなければ、叱る声さえ出ないッ。信濃川に橋を架ける場合でも、『架ける、架ける』と言っている段階ではみんなに喜ばれるが、いざ架けてみると下流の人からは『上流に架け過ぎた』、今度は下流に架ければ上流の人が同じことを唱える。皆さん! ですから学者の中には、『田中さん、せっかくの田中ブームを長続きさせるためには、あまりせっかちに仕事をしない方がいいですよ』などと言ってくれる人もいるんです。しかし、ムードで政治はできんッ。どうか、これから私の人気が悪くなったら、『ああ田中は仕事をしているんだ』と、まぁこう思っていただきたいのであります!」 この強気の言葉通り、田中はなお「仕事」に手を緩めることはなかった。選挙から日を置かずの昭和48年度当初予算案は「列島改造予算」と言われたように、大盤振る舞いの積極財政策が取られた。新幹線、道路など公共投資を前年度比34%増、14兆2800億円を計上、とりわけ新幹線予算を握る運輸相、道路予算を握る建設省(後に両省は現・国土交通省に再編)はウハウハ、田中総理サマサマで、同時に両省はさらに「田中官庁」の色合いを強めることになったのである。 しかし、総選挙敗北後、年が明けて通常国会に入ると、あの明朗闊達で鳴っていた田中の表情が一変するようになった。口数は少なくなり、周囲にはピリピリした空気が漂った。首相になったことで政務は官邸のみとなり、派閥や個人事務所に立ち寄る議員も、まためっきり少なくなった。それでも、夕方になると田中は必ず個人事務所に立ち寄り、好きなオールド・パーの水割りを口にした。「国の運命を左右する決断を1人で下さなければならない孤独感が、ヒシヒシと伝わってきた」と、秘書の佐藤昭子が後日、筆者のインタビューに答えてくれたものだ。 これは余談だが、田中の前任の首相だった佐藤栄作は官邸に隣接する公邸住まいをしていた時期があったが、筆者は妻・寛子へのインタビューで、“総理の孤独”についてこう聞いたことがある。 「深夜、一つの座敷だけに電灯がついている。覗いてみると、栄作が背中をこちらに向けて1人トランプ占いをやっていたのです。ゾッとした瞬間でしたが、それくらい総理は緊張感を強いられ、孤独なんです」 あの田中にして、その孤独感が知れたということである。一方で、孤独感の背中を押していたのは、はやジワリ「田中ブーム」に陰りが出始めていたことでもあったのだった。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2017年02月09日 14時00分
窃盗仏像だけではない! 盗人猛々しい韓国が掠め取る日本ブランド農産物栽培
長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像『観世音菩薩坐像』を、韓国の大田地裁は証明しようもない700年前の倭寇(わこう:13世紀から16世紀にかけて朝鮮半島や中国大陸の沿岸部などで活動した貿易商人)による略奪を根拠に、同国内の浮石寺の所有物と認定した。明らかに“反日世論”に迎合した司法判断だ。 「この窃盗事件は観音寺の他、同じ対馬市の海神神社から国指定の重要文化財『銅造如来立像』が、また多久頭魂神社の長崎県指定文化財である『大蔵経』が盗まれています。ほどなく犯人は逮捕され、韓国に持ち込まれた2体も売買される間一髪のところで回収されたことから、盗品として返還されるはずでした。ところが、窃盗犯の実刑が確定後、2体のうち『立像』は海神神社に返還されたものの、『坐像』の方は韓国に留め置かれたままだったのです。『大蔵経』は行方不明のままです」(地元紙記者) 韓国では、日本の文化のほとんどが「日本人が朝鮮半島から盗み出したもの」という韓国起源説がまん延しているため、「日本に略奪された韓国文化を取り戻しにいく」という名目で、組織的な窃盗団によって計画的に盗み出される事例が数多い。 「実は窃盗団は日本の重要な文化財の“リスト”を持たされているプロで、背後に国家的な黒幕がいます。怒りを禁じえないのは、例えば2001年に愛知県豊田市の隣松寺から盗まれた『絹本著色観経曼荼羅』が、韓国では国宝クラスと評価されていることです。これは中国の元朝由来のものであるにもかかわらず、韓国文化財管理局によって『日本所在韓国仏書図録』にリストアップされており、このような状況がありながら、当時の民主党の菅直人内閣は在韓日本文化財については完全に無視しておきながら、朝鮮半島由来の文化財の引き渡しを決定したため、さらに彼らを増長させる結果を招いたのです。何しろ窃盗団は公判で『日本が奪ったものを探し出したのに罪になるのか。韓国の文化財を保存しろ!』と逆に韓国政府を叱る始末でしたから」(政府機関関係者) 日本の敗戦のドサクサに紛れて、日本の神社仏閣に奉納されていた貴重な文化遺産の多くが韓国に持ち出されていたという事実がある。こうした盗品の保管先は『韓国国際平和財団』などの公益法人だが、先の窃盗団などは“リスト”に基づき、貴重な日本のレガシーを狙い撃ちしているのだ。 つまり彼らは、韓国の闇ビジネスの住人に雇われて犯行を重ねていると、この関係者は指摘する。 「韓国には、日本作家作品目録や平安時代の歌人による書のリストがあります。どれも国宝や重文クラスの物です。日本では、道端にお地蔵さんがあったり、どこにも仏像などがありますが、その由来などについてはほとんど関心がない。知的財産に対する保護という点では大きく後れを取っているのです。そこは反省すべきです」(同) 韓国文化財庁は、韓国国外に流出した文化財の総数が18カ国、10万7857点に及ぶとし、このうち日本が半数以上の6万1409点を“盗んだ”と主張している。ところが、先週号でお伝えした『脱北者少女像問題』と同じく、大国には媚びへつらう様が見て取れる。 「フランスは、韓国にとっては貴重な文化財である『外奎章閣』を所有し、ミッテラン大統領が返還を約束しながら履行を10年以上も棚上げにしたため、韓国の市民団体が返還を求めてフランスの裁判所に訴訟を提起したことがあります。これに対しフランスは『これは国有財産であり、取得の状況や条件はこの事実に影響を与えない』と、韓国の主張をバッサリ棄却したのです。この言い分に韓国は沈黙し、フランスに何の抗議もしませんでした。その後、李明博、サルコジ両大統領との間で、フランスから『貸与』という形で決着しています」(同) 今や似たような“窃盗”は、日本の宝であるブランド農産物にも及んでいる。 「栃木県が県をあげて品種改良したイチゴの『とちおとめ』が韓国から日本に逆輸入されて店頭に並び、県が文書で注意した例があるのです。農水省が専門家に委託調査させた『東アジア包括的育成者権侵害対策強化事業報告書』によると、この他にも『あまおう』や『紅ほっぺ』を栽培している韓国農家があると指摘しています」(知的所有権に詳しいジャーナリスト) 国内の研究機関が育成して品種登録されたブドウ『シャインマスカット』が、一昨年から中国で無断栽培・販売されていることも発覚した。他にも菊やバラなどの花卉類や柑橘類など、日本で育成されブランド化した品種が海外で権利侵害されている事例は続々と報告されており、まさに日本のお宝は盗まれ放題なのだ。 「日本では種苗法が『新たに植物品種を育成すれば、国に出願・登録して育成者権(知的財産権)を得て、登録後販売などを独占できる』と定めています。一方、品種登録後は海外でも登録しなければならないのです。これを農業者などに周知徹底していないことから、国際的には日本由来の種苗などが保護されない状況に陥っています。特に日本の知的財産権に対して、意図的に保護概念がない韓国に、この不備を突かれた格好です」(同) 仏像から農産物まで…、日本は、油断すれば即掠め取る連中に囲まれているのだ。
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社会 2017年02月09日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第208回 保護主義の時代、来たれり
1月20日、新たにアメリカ大統領に就任したドナルド・トランプは、就任演説において、「Protection will lead to great prosperity and strength.(保護主義は大いなる繁栄と強さをもたらす)」 と、アメリカ国民や企業、市場を「保護する」政策に転換することを宣言した。保護主義の時代、来たれり、だ。 保護主義の逆、グローバリズムあるいは自由貿易主義とは、政府による規制、保護を可能な限りなくすことを「善」とする考え方だ。特に、国境におけるモノ、ヒト、カネの移動について制限をかけない。各国が自由にモノやサービスを輸出入し、移民を奨励。資本移動についても自由化し、政府の規制を最小化することが経済成長をもたらすという「イズム」なのである。 当たり前の話だが、すべてを自由にする「究極の自由主義」と、すべてを政府が規制する「究極の保護主義」との間には、無限のバリエーションがある。トランプ大統領は演説において、過去数十年のアメリカでは、 「ワシントンの主流派たちは、自分たちは守ったが、アメリカ国民は守らなかった」 と、アメリカ第一主義を貫き、二つの単純なルール、「バイ、アメリカン。ハイアー、アメリカン」を採用することを明言した。 「アメリカ製品を買え。アメリカ国民を守れ」 という話なのだが、よくよく考えてみるとアメリカ大統領がアメリカ国民を「保護するために働く」のは、当たり前の話だ。大統領や国家が国民を守らないというのであれば、政治家も政府もいらない。 トランプの大統領就任式の3日前、イギリスのテリーザ・メイ首相がロンドンで演説し、 「EUからの移民流入を制限していくため、欧州の単一市場から脱退する」 との方針を表明。イギリス国民を移民流入から「保護する」決意を示した。 EUは世界で最も進化した、別の言い方をすると「各国の主権を制限する」グローバリズムの国際協定である。グローバリズムと一言で言っても、実際には「段階がある」点に注意しなければならない。 穏やかなグローバリズムから、厳しいグローバリズムまで、順番に並べると、 (1)モノの移動の自由化(関税緩和、撤廃) (2)サービスの制度の統一 (3)資本移動の自由化 (4)労働者移動の自由化 (5)法制度の統一 となるだろうか。 もちろん、穏やかなグローバリズムであるモノの移動の自由化にしても、例えば「農業」とそれ以外の製品を同じ土俵で比較するのは間違っている。何しろ、農業が自由化され、国民農業が崩壊すると、その国の食料安全保障が崩壊する。すなわち、何らかの事情で国民が「飢える」確率が高まる。 ちなみにEUの場合、先の(1)から(5)で言えば、最も厳しい「法制度の統一」についてまで踏み込んでいる。イギリス国民はブリュッセル(EU本部所在地)の官僚たちが考案した、不可解な法律の受け入れを強いられていたわけだ。 メイ首相はEUから「完全撤退」すると表明したが、別に鎖国するわけではない。グローバリズムの各段階の「どこまで戻すか?」について今後、検討、交渉していくことになる。 メイ首相は演説において、部分的にEUに残るような中後半端なことはしない、EU域内からの移民を制限すると断言したが、別にEU諸国と「国交断絶」するわけではない。単に「新たな国際関係を模索しよう」という話にすぎない。 例えば、グローバリズムの段階で言えば、EUから抜けたとしても投資協定やEPA(経済連携協定)をEU諸国と結び直すことで、「資本移動の自由」までは互いに認めるという妥協点はある。あるいは、より段階を引き下げ、「モノの移動の自由化についてはこれまで通りで」でも構わない。 トランプ大統領にしてもメイ首相にしても、無限にバリエーションが存在する「究極の自由主義」と「究極の保護主義」との間の適切なポイントを探っているだけという現実を理解しなければ、極論ばかりが横行することになる。 トランプ大統領に話を戻すが、過去何十年間も自由貿易を標榜し、第2次グローバリズムを主導したアメリカの大統領が「保護主義は大いなる繁栄と強さに結び付く」と、就任演説で宣言した。これは、否定することができない事実だ。空前絶後の「レジーム・チェンジ」と表現しても構わないだろう。 トランプ大統領の演説は、その日のうちに日本語訳され、テレビ、新聞各社が「トランプ演説全文」として報じた。そして最初に全訳を公開したNHKが、この「保護主義は大いなる繁栄と強さに結び付く」の一文を省略したため、筆者は愕然としてしまったわけである。 NHKはトランプ大統領の言葉「We must protect our borders.(われわれは国境を守らなければならない)」を「われわれは国を守らなければならない」と訳し、さらに「Protection will lead to great prosperity and strength」という一文を、丸ごと「全訳」からカットした。他紙がNHKに倣った場合、日本国民はアメリカ新大統領の保護主義宣言を知ることがなかったことになる。 筆者をはじめ、内閣官房参与の藤井聡教授などがNHKの悪質な「報道しない自由」を取り上げ、批判を展開した。結果、NHKは翌日にはborderの訳を「国境」に修正し、同時に「保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながるのです」という一文を追加したのだが、これが日本のマスコミの実態である。 例えば、border(国境)を「国」と訳したことについては、「文脈から、そのように意訳した」と強弁できないこともない。とはいえ、演説文において最も重要な「Protection will lead――」の日本語訳を省いたことについては、これは言い訳が利かない。NHKは、トランプ大統領の保護主義宣言を日本国民に知らせたくなかったのだ。 今後の日本においては、アメリカが「アメリカ国民を守る保護主義」に舵を切ったことを認められず、これまでグローバリズムを信奉していた政治家や官僚、学者、評論家、誰も彼もが言論の混乱に陥ることになるだろう。 保護主義の時代、来たれり――。この現実に対応できない場合、わが国の将来は暗澹たるものにならざるを得ない。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年02月08日 14時00分
トランプ大統領に翻弄されない日本自動車メーカーの実力
選挙公約は本気だったのか――。就任直後からそう思わせる動きをみせている米トランプ大統領。早速、日本の自動車業界に向け「アメリカ車が日本で売れていないのは公平ではない」などと非難し始めた。 「日本に住んでいる我々がアメ車を買わない理由は、ディーラー網の不備や右ハンドル仕様が少なかったり、以前よりよくなったとはいえ、燃費をはじめコストパフォーマンスが国産車よりも劣っているからです。要は、アメ車メーカーの努力不足によるところが大きいのです」(自動車ライター) 今、日本の自動車メーカーはTPP離脱に加えてNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉で関税が上がることに対して懸念を抱いている。メーカーのみならず、多くの部品メーカーはNAFTA加盟国であるメキシコの安い労働力を求めて工場を構えているからだ。 NAFTA加盟国のカナダ、メキシコからの輸入はアメリカの輸入全体の約30%を占め、ほぼ関税なしで輸入されている。実際にNAFTA締結後5年間で、メキシコからの自動車や一般機械の輸入は約200%増加し、メキシコの対米貿易黒字の大半は自動車関連だ。 トランプ大統領はここを問題視している。再交渉が進みメキシコに対する関税が課された場合、当地に進出しているメーカーはアメリカに拠点を移すなどの対応を取らざるを得なくなるかもしれない。 「とはいえ、1月に米デトロイトで開催された北米国際自動車ショーでは、11年ぶりにモデルチェンジを果たしたトヨタの高級車ブランド『レクサス』セダンLSのニューモデル発表会場が一番の熱気に包まれていました。今や米国にとって日本車は高いお金を払ってでも手に入れたいブランドに成長していますから、トランプ大統領の思い付きに一喜一憂すべきではありません」(同) 久々誕生の日本人横綱・稀勢の里にならい、どっしりと横綱相撲を取るべきか。
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社会 2017年02月08日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 白人第一主義
1月21日にワシントンで行われたトランプ大統領の就任式で一番印象的だったことは、観客の大部分が白人だったということだ。つまり、有色人種の多くは、トランプ大統領の就任を歓迎しなかったのだ。その理由は、トランプ大統領のなかに潜む人種差別意識を、米国人自身が敏感に感じ取っていたからではないだろうか。 予感はあった。例えば就任前の記者会見で、トランプ大統領は、貿易不均衡を是正すべき相手として、中国、日本、そしてメキシコを挙げた。いずれも、米国が巨額の貿易赤字を抱える相手国だが、実は重要な国が抜け落ちている。ドイツだ。 なぜ、ドイツが名指しされることが少ないのか。それは、ドイツが白人の国家だからではないのか。メキシコとの国境に壁を作ろうというのも、ロシアと接近を図り、中国を敵対視することも、有色人種差別の表れなのかもしれない。 実は、私は父親の仕事の関係で、1964年に米国のボストンに住んだ。現地の公立小学校に通ったのだが、そこで待ち受けていたのは、激しい差別だった。まだ戦後20年も経っておらず、「リメンバー・パールハーバー」がしっかり根付いていた時期だったこともある。 子供というのは、ストレートに差別をぶつけてくるから、どれだけ取っ組み合いの喧嘩をしたか分からない。もちろんアメリカ人の名誉のために言っておくと、クラスの半分くらいは、私に優しく接してくれた。しかし、そんな彼らも、私をイジメから救ってはくれなかった。 イジメの空気を文章で書くのは難しいが、一つだけ実感したことを書いておくと、イジメをしてくるアメリカ人のなかでは、日本人や中国人といった黄色人種は、黒人よりも地位が低いということだ。だから私は、友達が1人もできなかった。 その後、アメリカは少しずつだが、確実に人種差別を減らす方向に歩みを進めてきた。しかし、トランプ大統領は、就任演説のなかにおいて、「平等」や「民主主義」という言葉を一度たりとも使わなかった。そのため、どうしてもあの時のアメリカのいじめっ子の姿とイメージが重なってしまうのだ。 一方、安倍総理は1月20日に国会の施政方針演説のなかで、「日米同盟こそが外交・安全保障の基軸であり不変の原則だ」と述べ、今後も日米同盟の深化に務める方針を明らかにした。しかし、この態度は、対トランプ大統領の戦略として、正しいだろうか。 いじめっ子に対する基本戦略は、毅然と相手に向き合いながらも距離を置くことだ。いじめに屈服して、何でもかんでも言うことを聞いていると、いじめは、どんどんエスカレートしていく。かと言って、喧嘩を売りにいったら、ますますやられてしまう。 だから、少なくともトランプ大統領の在任期間中は、やむを得ない場合を除いて、なるべく関わり合いを持たないようにすることが一番望ましい。下手に同盟関係を強化しようなどとすると、日本の地位をますます落とすか、トラブルに巻き込まれるだけだ。 アメリカでも、日本でも、ずっといじめられ続けてきた私が言うのだから、間違いない。
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