CLOSE
トップ > 社会 > 幕末再来 トランプ黒船に「安倍幕府」丸腰の土下座外交

幕末再来 トランプ黒船に「安倍幕府」丸腰の土下座外交

 「第2の黒船来航」と囁かれている米トランプ大統領は2月10日に決まった日米首脳会談で、安倍首相に対して強烈な“米国盲従”を強いるとみられている。
 「日米首脳会談の露払いのようなマティス国防長官来日でしたが、一応、尖閣諸島に日米安全保障条約第5条が適用され、米国の防衛義務があることなどを確認し、これに政府は安堵したわけです。しかし、トランプ外交の最優先事項は日米の通商交渉を有利に進めることです。これまでも米国は日本との間に経済問題が持ち上がると、必ず安全保障問題で攻め立てている。50年代の日米貿易摩擦では日本が繊維で譲歩することで沖縄返還が実現し、TPPでは北朝鮮の脅威から守ってやるからと締結を迫られた。今回は、尖閣防衛の確認をしてやったから手土産を持って来い、という意味合いがあるのは間違いありません」(日米関係に詳しいジャーナリスト)

 トランプ大統領は選挙期間中から、同盟国について“安保タダ乗り論”を展開してきた。日本は「もし当選したら現実路線を採るだろう」と楽観的な見通しを立てたが、就任したら早速、公約通りにTPP離脱やメキシコ国境の壁建設を実行し、日本のもくろみは見事に外れた。「日本は軍事面でもっと貢献しろ」と要求してくるのは必至だ。
 もっと貢献しろとは、もっとカネを寄こせということだが、米軍駐留経費の日本の負担割合は74%で、4割前後の独・韓に比べ突出して高く、これ以上の負担項目はない。つまり第一の手土産は一番高くつく“血”を流せということになる。
 「トランプは就任演説で『イスラム国を壊滅させるため、他国との合同軍事作戦を実施する』と表明しています。過去に『ショー・ザ・フラッグ』とか『ブーツ・オン・ザ・グラウンド』と日米安保条約の相互協力をタテに軍事的な貢献を催促してきた米国が、自衛隊の海外派兵を言い出すのは時間の問題でしょう」(軍事ジャーナリスト)

 すでに日本は安保法を成立させており、これを断れない。この要求を少しでも和らげるためには、貢ぎ物を“献上”するしかない。
 「トランプ政権は日米首脳会談に、異例とも言える麻生財務相の同行を求めている。ビジネスマンのトランプにとって、日米間のテーマは尖閣防衛などではなくファイナンス(資金調達)しかありません。麻生財務相に米国債の買い入れを直接打診するハラでしょう」(民間シンクタンク研究員)

 第2の手土産は日本の年金資金の差し出しだ。政府は『年金積立金管理運用独立行政法人』(GPIF)に米国のインフラ開発に投資させて、トランプ政権に数十万人の雇用を創出する構想を提案する方針だという。
 「GPIFの高橋則広理事長は『(積立金約140兆円のうち)7兆円前後は投資可能と考えている。米国のインフラへの投資もあり得る』と対米投資を否定しませんでした。しかし、GPIFの運用は投資効果を追求するのが大原則で、政府の都合で勝手に運用先を変えられるものではない。首相の舌先三寸に乗ると、また年金資金を溶かしかねません」(同)

 また、トランプ大統領は、わが日本を「為替操作国」だと名指しで糾弾している。
 「アベノミクスの柱、安倍首相と黒田日銀総裁が二人三脚で進めてきた“異次元緩和”を批判し、首脳会談を前に先制パンチを繰り出したわけで『米国を守るためだ。円安誘導を是正しろ』と迫るか、ドル高を是正する目的で為替操作を制限する条項を突き付けてくるか、のいずれかです」(同)

 第3は「公正ではない」と毒づきつつ、自動車産業を狙い撃ちにする可能性だ。安倍首相とトヨタ自動車の豊田章男社長が2月3日夜、国会近くのホテルで会談したが、これはトランプ大統領のこうした態度への対応を協議したものだ。
 「TPPの事前交渉でも話し合われていた米国車の最低輸入台数の取り決めを求めてくるのではないか。'16年に日本国内で販売された新車は約497万台ですが、そのうち輸入車は29.5万台。その中で米国車のシェアは数%にも満たない。TPPを反故にしたトランプ政権ですが、要求ハードルを引き上げた2国間FTA(自由貿易協定)を日本に迫ってくるのは必至で、これに合意すれば年間10万台規模の米国車が輸入されるようになるかもしれません。さらには、軽自動車の税制優遇撤廃や安全基準を変更させられる可能性もあります」(経済アナリスト)

 今回、マティス国防長官が“日韓訪問”を最優先した理由は、ズバリ、東アジアに差し迫った脅威が存在するからだ。
 「さらなる弾道ミサイルの発射準備が、金正日、金日成の誕生日である2月16日、4月15日など北朝鮮の祝日に合わせて実行される懸念があるからです。また、北朝鮮とも絡む対中国問題では、中国の南シナ海における活動を強引に抑止するような軍事行動は、中国と北朝鮮の関係強化につながるのではないかという懸念をトランプ政権は抱いており、またその一方で、中国に対して強硬な姿勢を示すことは、中国と北朝鮮の関係強化を阻止する効果を持つとの考えの間で揺れている。いずれにしても、日本にTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)などの迎撃兵器の購入を促すのは間違いないでしょう」(前出・軍事ジャーナリスト)

 トランプ大統領が、安倍首相の土下座外交を気に入ってくれればいいのだが…。

社会→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

社会→

もっと見る→

注目タグ