社会
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社会 2017年04月12日 10時00分
韓国大統領選に米トランプがカードを切る 保守派の“ジョーカー”
3月3日、韓国前大統領の朴槿恵容疑者の罷免に伴う5月の大統領選に向け、左派系最大野党『共に民主党』は、各地の予備選で57%の得票率を得た文在寅(64)前代表を党公認候補に選出した。5月9日に予定されている韓国の次期大統領選挙で左派=反日が勝てば、日本政府は対韓政策の全面的な見直しを迫られる。ソウル拘置所に収監された朴槿恵前大統領の有罪は確実な情勢だが、この事態は日本にとって対岸の火事ではない。 「保守本流の流れをくんで誕生した朴槿恵政権が、反対勢力に敗れた結果が今回の弾劾? 収監なのです。というのも、朴大統領の本当の“罪”は、2011年8月に内乱陰謀を画策したとする『統合進歩党』李石基議員に対する逮捕同意要求書を国会に送致したことと、これにより80万人の会員を有する左派系の『民主労働総同盟』と左派の運動圏を一斉に敵に回し、さらに政権批判を繰り返す全国教職員労働組合を非合法団体に指定したこと。つまり、保守派による左派弾圧です。この勢力が『5万にも及ぶ数が韓国に潜伏している』(最高位亡命者:黄長燁談)と言われる北朝鮮工作員と結託して大規模なデモを仕組み、世論を装って朴氏の弾劾を実現させたのが今回の逮捕の真相です」(元ソウル特派員) 世論調査によると、次期大統領選候補者で支持率が33%と最も高いのが野党『共に民主党』前代表で保守派から“極左”と位置付けられる文在寅氏。続いて同党所属で中部忠清南道の安熙正知事(18%)、野党『国民の党』の前共同代表だった安哲秀氏(10%)が追っている。一方、保守陣営候補は大統領弾劾の影響もあり、ことごとく支持率は一桁台。完全な“玉不足”に陥っているのだ。 「つまり保守派は左派乱立の間隙を突くしかないわけで、これには日米韓の北朝鮮包囲網崩壊を恐れる米国も焦っている。CIAは米国経験が豊富な中央日報前会長の洪錫炫氏を担ぎ出そうとしているのです。3月19日付で会長を辞任したのは出馬準備のためです」(朝鮮半島ウオッチャー) 洪氏はソウル大学電子工学部を卒業し、米スタンフォード大学で博士号を取得。駐米大使などを歴任するなど親米派の重鎮だ。 「しかしながら“財閥憎し”の世論を敵に回すことになりかねません。というのも、贈収賄罪で朴氏とともに起訴されたサムスン電子の李在鎔副会長とは姻戚関係。姉が李健熙サムスン会長夫人ですから、李副会長は義理の甥にあたります」(同) 果たして、米国による水面下の工作はどこまで功を奏するか。その答えは1カ月後に出る。文在寅氏は親北政策を進めた盧武鉉元大統領の後継者として、経済的に北朝鮮を潤してきた開城工業団地や金剛山観光の再開も明言している。中国が強く反発する米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備については「次期政権で決めるべきだ」と繰り返し、反対する本音をのぞかせている。 これに対して、トランプ大統領は「力のスペード」か「金のダイヤ」か、どっちのカードを切るのか。それとも相手(韓国)の懐(大統領選)に“隠しカード”(ジョーカー)を持って手を突っ込む気か…。キナ臭いニオイがしてきた。
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社会 2017年04月11日 14時00分
超ド級地震予兆か? 伊豆諸島沖“海水変色”が警告する10m級の東京湾大津波
海上保安庁によると3月24日昼ごろ、伊豆諸島南方にある海底火山「明神礁」付近で、海面が黄緑色に変色しているのが見つかったと報じた。東京から南へ約408キロの位置にある青ヶ島沖の「ベヨネース列岩周辺と、硫黄島沖の福徳岡ノ場でも海水の変色が確認され、伊豆・小笠原諸島周辺の火山活動の活発化が懸念されていた。「明神礁」は伊豆諸島の青ヶ島の南にある海底火山の一部で、周辺は戦後、数年おきに噴火を繰り返している。 ベヨネース列岩は青ヶ島の南南東約65キロ付近。海面下約1500メートルの直径8キロほどの海底カルデラの縁上にある。この近辺では1970年までの100年間に11回の噴火が発生し、'46年の噴火では新しい島が複数生まれ、その年のうちに沈下。'52年から翌年にかけて繰り返された爆発的な噴火でも、新島の出現と水没が続き、その後も海底での火山活動が続いていたという。 「この'52年の噴火では、海底火山を調査していた観測船の第5海洋丸が巻き込まれ沈没。調査員や乗組員計31人が死亡する事故が起きたことでも有名です」(サイエンスライター) 一方、ベヨネース列岩よりさらに南に位置する硫黄島沖の福徳岡ノ場は、水深約200メートルにある海底火山だ。最近では2005年7月に噴火し、100メートル以上の水柱が噴出、高さ1キロ、直径50〜100メートルの水蒸気柱も立ち上ったという。 今回の火山活動の活発化で気になるのが、巨大地震との関連だ。伊豆・小笠原諸島を震源とした巨大地震を予想する、琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏はこう言う。 「私が想定する巨大地震は、ベヨネース列岩の火山活動の延長にあると思います。小笠原諸島沖のプレート境界付近のストレスは相当なものでしょう」 この近辺は、日本列島側に潜り込む太平洋プレートとフィリピン海プレートの境目にあたる。フィリピン海プレートからの圧力は東日本大震災によって一部解消されたが、伊豆・小笠原諸島近辺では解消されない地震の“空白域”として残っているという。木村氏はその巨大地震の規模をM8.5クラスと予測。時期は2012±5年としており、いつ発生してもおかしくない状況だが、その場合、怖いのは揺れよりも津波だ。 「この地域で地震が起きても、本州での地震動はさして大きくないはずです。問題は津波で、おそらく10メートル近い巨大津波が発生し、東京湾内に入ってくる可能性もある。東京湾岸では今後、東京五輪に向け急ピッチで会場の建設が進められる。そこへまったくのノーマークだった津波が襲うこともありうるのです」(同) 南海トラフ巨大地震が起きた場合、千葉県館山市で11メートル、神奈川県鎌倉市で10メートル、東京都の臨海部にも2メートル以上の大津波がやってくる。江東区で2.48メートル、中央区で2.46メートル、品川区で2.44メートル、港区で2.40メートル、大田区で2.37メートル、江戸川区で2.07メートル、東京湾埋立地で1.88メートルと予想される。海水変色が巨大地震の前兆現象でないことを祈るばかりだが、東京五輪で選手村の建設が予定されている晴海にも、想定外の津波がやって来る可能性があるというから、その甚大な被害は計り知れない。
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社会 2017年04月11日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 もう一つの忖度
森友学園に国有地がタダ同然で払い下げられた事件は、安倍昭恵総理夫人に対して、財務省が忖度をしたのかどうかが、大きな焦点になっている。もちろん、財務省は忖度を全面否定しているから、真相究明は難しいかもしれない。 ただ、私は安倍総理が追及されるべき忖度は、もう一つあると思う。それは、日銀による金融緩和の大幅な縮小だ。 「トランプ相場」で活況を呈した日本の株式市場が、今年に入って低迷を続けている。 3月27日には、一時1万8985円と、終値ベースでは2月9日以来の1万9000円割れとなった。原因は円高だ。トランプ相場で、昨年12月半ばに1ドル=120円近くまで円安に進んでいたのだが、3月27日には1ドル=110円と、じわじわと円高が進んでいるのだ。 実は、これはおかしな事態だ。米国の連邦準備制度理事会のイエレン議長は、3月15日に記者会見し、米国の短期金利を0.25%引き上げて、0.75から1.00%にすると発表した。しかも、年内にあと2回利上げする方針だという。 米国が利上げをすれば、ドルを欲しがる人が増えるために、ドルが高くなる。つまり円安が進むはずなのに、為替は逆の動きをしているということだ。それは一体なぜなのか。 そこで、日本の動きをみると、驚くべき事実が浮かび上がる。 現在、日銀は金融緩和のために年間80兆円の国債を買い入れることを目途にしている。トランプ大統領が誕生した昨年11月まで、日銀の国債保有増は、10カ月間の平均で7兆2314億円、年率になおすと実に87兆円だった。目標を上回るペースで国債を買っていたのだ。 ところが、昨年11月から今年2月までの3カ月間の平均は、3兆4929億円、年率換算で42兆円となっている。つまり、金融緩和のペースが半減しているということだ。いったいなぜ、こんなことが起きているのだろうか。 世界で最も早くトランプ大統領との会談を実現し、仲良く2人でゴルフまでした安倍総理だが、もしかしたら、為替を円高に誘導する、少なくとも円安にはしないという密約を結んだのではないだろうか。 もともとトランプ大統領は、“日本と中国が通貨安を誘導して、それが米国企業の競争力を奪っている”という非難を繰り返していた。 安倍総理や菅官房長官は、「日本の金融緩和は、物価目標達成のために行っているもので、円安誘導の目的はない」と反論したが、もちろんそれは建前だ。金融緩和に円安誘導効果があることは、誰もが知る経済理論の常識だからだ。 当然ながら、金融政策は、日銀が政府から独立して決めることになっている。しかし、それも建前に過ぎない。 日銀総裁の任命権は、政府が握っているのだから、日銀は政府の意向と異なる判断はできないのだ。それは、金融緩和を頑なに拒んできた白川方明前総裁から、いまの黒田東彦現総裁に代わった瞬間に、異次元金融緩和が始まったことからも明らかだろう。 ただ、日銀の忖度によって金融緩和が封じられたのだとすれば、デフレの再来で、アベノミクスの失速は確実だ。
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社会 2017年04月10日 14時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第63回
「米国の“差しガネ”で三木(武夫)にやられたッ」と「ロッキード逮捕」の憤怒をブチまけていた田中角栄は、その三木が総選挙敗北で首相の引責辞任を余儀なくされた後、渋々ながら政敵の福田赳夫の「後継」をのんだ。 この「福田後継」には、裏があった。福田は三木退陣を受けての総裁選のとき、「ここは僕がやる。次は君だ」と対立候補たる田中の「盟友」大平正芳に約束、田中も世論が“田中バッシング”が強かったこともあり、田中、そしてその力を借りざるを得ない大平もやむなくこれをのんだということだった。しかし、総理・総裁にして最高権力者のイスに座った福田は、この大平との「密約」を反故にした。これはいかに権力とは魔物であり、一度、手にしたらなかなか手放せないものだという証左でもあった。政権移譲の「密約」などは、戦後政治史上、一度として果たされた試しがない。 ここから田中の“逆襲”が始まり、以後、しばし政権誕生を左右する「キングメーカー」として君臨、「闇将軍」の道を突っ走ることになるのである。 まず、福田をおろして念願の大平を政権の座に就け、その大平が急死すると「本籍・田中派、現住所・大平派」ともっぱらだった鈴木善幸にバトンタッチさせ、その後に首相になりたくて仕方のなかった中曽根康弘を担ぐといった具合だった。鈴木はモロ「鈴木角影内閣」と、中曽根は「田中曽根内閣」とヤユされたが、田中の政権への影響力の強さを指したものであることは言うまでもなかった。 中曽根について、田中は一方で評価はしてたものの「食えない男」、「遠目の富士山。近づけばガレキの山」と口にしたこともあった。田中派の支援を受けて総裁選を圧勝した中曽根は、組閣に当たり“恩”を返すべく田中派から実に7人を登用、自派から出すのが常識とされる官房長官も田中派の後藤田正晴を起用するなど、まさに「田中曽根内閣」としてホロ苦いスタートを切ったものだった。 一方で、「キングメーカー」「闇将軍」の田中は自民党内反主流派の反発を買い続け、しかし、一歩たりとも譲らぬガチンコ勝負で渡り合った。それは、元来、人と争うことが嫌いな大平が福田から政権禅譲の待ち姿勢を取り続けたのに対し、「戦うしかない。勝負だ」と大平のケツをたたいた際にも見られた。 ちなみに、このときの総裁選から、自民党では三木が提案していた「総裁予備選方式」が採用され、まず一般党員による予備選挙で候補者を上位2名に絞り、次の本選で党所属衆参両院議員が投票して選出するということになっていた。当時を取材した党担当記者のこんな証言が残っている。 「この予備選には、大平のほか福田赳夫、中曽根康弘、河本敏夫(元通産相)が立ち、1位大平、2位福田が本選に進んだが、大平の勝利に向け田中のなりふり構わずが目を見張った。自らの強大無比の人脈を生かし、各都道府県の政界、経済界の有力者に“大平支持”懇請の手紙を書いたり、電話をかけまくって票集めに奔走していた。 また、予備選を勝ち上がるためには大票田の東京を制さなければと、選対委員長に指名した後藤田正晴を督励、田中の号令のもとでの一致団結ぶりが知られていた田中派秘書軍団を、戸別訪問などでフル稼働させた。田中の大平勝利への凄まじい執念だった」 勝利した大平は、翌昭和54年9月、よほど自信があったのか福田派など反主流派の反対を押し切って衆院を解散した。 しかし、この選挙期間中に自ら放った「一般消費税導入」発言が響いた形で、自民党は過半数をギリギリ確保するのが精一杯であった。また、ここで福田派など反主流が態度を硬化、「われわれの反対を押し切って解散するからこんなことになった。責任を取るべき」と大平の退陣を要求、首班指名の特別国会直前となっても誰を首班に立てるのか決着はつかなかった。自民党はあわや分裂の一大危機を迎えたのであった。これが、自民党史上に残る権力の争い「40日間抗争」の始まりであった。 一時は、このモメにモメた首班候補は「国会の暴れん坊」ハマコー(浜田幸一衆院議員)の“活躍”で、田中・大平連合が求めていた衆参両院での議員総会開催により、大平が党としての首班候補に指名された。 しかし、一方のこれで収まらぬ反主流派は、別の会合で福田赳夫を首班候補に決定するなど、もはや自民党は1歩も抜け出せぬ泥沼状態となった。 結局、特別国会では自民党から2人の首班候補が名を連ねるという異例の事態となったが、激しい多数派工作のなか、僅差で大平が福田を抑えて首相続投となった。 しかし、主流派vs反主流派の抗争はなお尾を引き、大平は史上初の衆参ダブル選挙を打つことで勝負に出た。「ダブル選で行け。必ず勝てる。政権基盤も固まる」。大平にチエをつけたのは、もとより田中だったのである。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2017年04月10日 11時00分
「JMオーシャンアベニュー・ジャパン」 孫志民社長が日本企業と調印式
2014年の開設以来、急成長を続けるネット通販サイト「JMオーシャンアベニュー・ジャパン」(孫志民社長)と同社の会員制ECサイトに出品・販売する日本企業との契約の調印式が9日午後1時から、東京都文京区の椿山荘で開かれた。 同調印式には、同社関係者、商品提供をする複数の日本の健康食品会社の他、医療、旅行関係業者が参加し、“戦略的パートナーシップ協定”を締結した。 調印式を終えた孫志民社長は、「すばらしい日本の文化、技術、日本の商品を私たち、ささやかな力ですが、中国、世界の隅々に普及させてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします」とコメントした。 調印式の前の7日には文京区の椿山荘で、協定を締結した日本企業関係者らを招き、「JMオーシャンアベニュー・ジャパン」の親会社「南京中脉科技発展有限公司」の周希検会長らを歓迎する懇親パーティーが開催された。8日には「JMオーシャンアベニュー・ジャパン」の上野の新オフィスビルのテープカットが行われた。
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社会 2017年04月08日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第216回 プライマリーバランスという呪縛
政府の未来投資会議に民間人(民間議員ではない)として出席している人材派遣大手『パソナ』取締役会長である竹中平蔵氏は、筆者が知る限り、経済財政政策担当大臣時代に三つの「指標の変更」を行い、日本経済のデフレ化の背中を押した。 一つ目はデフレギャップ(需給ギャップ)や潜在成長率計算時の「潜在GDP」について、最大概念の潜在GDPから、平均概念の潜在GDPに変えてしまったことだ。潜在GDPとは、日本経済の労働力や設備(資本)がフル稼働した際に生産可能なGDPである。 フル稼働、である以上、労働力でいえば「完全雇用」時に生産可能なGDPこそが、潜在GDPになるはずだ(これを最大概念の潜在GDPという)。ところが、竹中大臣(当時)と内閣府が、潜在GDPの定義を「過去の平均的な労働力、設備の稼働率において生産可能なGDP」に変更してしまったのだ(これを平均概念の潜在GDPという)。結果、わが国の潜在GDPは小さく見えるようになり、デフレギャップ(総需要の不足)が少なく計算され、デフレ対策が打ちにくくなってしまった。 二つ目は日本経済の将来を予測する際の「マクロ経済モデル」について、先進国型である「需要重視モデル」から、発展途上国型の「供給重視モデル」に変えてしまったことだ。マクロ経済モデル変更により、日本はデフレという総需要の不足に苦しんでいるにもかかわらず、「緊縮財政」「供給能力拡大のための規制緩和」といった「インフレ対策」しか採れなくなってしまった。結果、日本国民は世界史上最長のデフレ、貧困化に苦しむ羽目に陥った。 そして三つ目が財政指標として「基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下PB)」という概念を持ち込んだことである。現在の安倍政権もこだわり続ける「2020年 PB黒字化目標」も、竹中氏が財政健全化指標としてPBを言い出したことに端を発する。 そもそも、財政健全化とはPB黒字化でもなければ、政府の負債を減らすことですらない。政府の負債対GDP比率を引き下げることだ。政府の負債が増えたところで、それ以上に名目GDPが拡大すれば「財政が健全化している」と判断される。 そして、政府の負債対GDP比率は、「名目GDPの成長率」「国債金利」「PB」という三つの指標の組み合わせで決まる。PBが赤字になったとしても、国債金利が低く(今の日本は事実上のゼロ金利だ)、名目GDPが成長していれば、政府の負債対GDP比率は下がり、財政は健全化する。 ところが、竹中氏が財政健全化目標にPBを持ち込んだことで、政府は政府の負債対GDP比率引き下げのための経済成長(GDP拡大)の追求ではなく、短期的なPB黒字化を目指すようになってしまった。 短期的にPBを黒字化するためには、政府の支出を削減し、増税をするしかない。日本政府はPB黒字化にこだわるあまり、消費税を増税し、診療報酬や介護報酬、公共投資を減らす緊縮財政を繰り返し、デフレを長期化させた。 誤解している人が少なくないが、安倍政権は緊縮政権である。しかも、かつての橋本龍太郎政権を超える「超・緊縮政権」なのだ。 過去の日本政府のPBをグラフ化すると、下図(※本誌参照)の通りとなる。 ちなみに2020年PB黒字化目標を最初に閣議決定したのは、2010年の菅直人政権である。当時は、世界的に「財政健全化」が重視され、G20において各国が財政目標を設置することが決定された。菅政権はG20の流れを受け、日本のデフレを深刻化させるPB目標を設定したのである。そして、自民党に政権交代した以降も、安倍政権はPB目標を破棄せず、毎年、閣議決定することを続けている。 図の通り、安倍政権は'14年以降、着実にPBの赤字を縮小している。特に消費税を増税した'14年の赤字縮小幅は、対前年比10兆2831億円と史上最大である。 金額で見る限り、安倍政権は文句なしで「日本史上最悪の緊縮政権」なのだ。 むしろ、これだけの緊縮の中、日本経済がギリシャのように「GDP急収縮」の状況にならないことに驚かされる。デフレ下に「史上最悪の緊縮財政」を実施してすら、日本経済は何とか横ばいの状況を維持している。わが国の経済は、本当に頑健だ。 それはともかく、実は現在の日本は主要先進国の中で最も「財政余力」がある。OECDの最新レポート『USING THE FISCAL LEVERS TO ESCAPE THE LOW-GROWTH TRAP(低成長の罠を逃れるために、財政の梃子を利用する)』によると、先進7カ国の中で、最も財政余力があるのは日本だ(しかも、圧倒的である)。日本は対GDP比で2%超、つまりは10兆円の財政拡大をしても財政は悪化しないと見込まれている。国債金利が主要国最低で、政府の負債が100%日本円建てであるのに加え、日本銀行が量的緩和を継続し、政府の実質的負債が「消滅」している以上、当然の結論だ。 それにもかかわらず、安倍政権は相も変わらずPB目標に固執し、デフレを継続させる緊縮財政から方向転換することができない。まさに、PBの呪縛だ。 今年の6月にも、例により「骨太の方針」がアップデートされる。このとき、政府の財政指標を最凶最悪の経済指標であるPBから、「グローバル基準」である政府の負債対GDP比率の改善に変更できるか、否か。 日本経済の行く末は、すべてその「一点」にかかっているのである。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年04月07日 14時00分
紳士服業界 他業種拡大の生き残り策
紳士服大手各社が、スーツ以外での多角化経営に乗り出し注目されている。 「2012年から断続的に押し寄せた団塊世代の大量定年に不景気、加えてカジュアル化、クールビズなどの多様化もあって、スーツ市場は総務省調査でも10年前より3割も減少しているのです」(経営コンサルタント) 『洋服の青山』を展開する青山商事の中間決算説明会('17年3月期)でも、紳士服(ビジネス、カジュアル=ビジカジ)の売り上げは10年前から55億円減、毎年5.5億円ずつ減少する厳しい現状を報告している。そのため紳士服各大手は、生き残りをかけての多角化を図っているのだという。 各社、どんな方向性を打ち出しているのか。 青山商事の他業種参入と言えば、まず全国180店舗前後を展開する『焼き肉きんぐ』だ。 「100分で3000円を切る食べ放題シリーズで顧客数を増やしている焼き肉店。こちらは成功組と言えるでしょう」(業界関係者) 同じく同社傘下のグループ会社としては、100円ショップ大手の「大創産業」と展開し全国で120店舗近くを構える『100YENPLAZA』。さらに、思い切った他業種参入の典型としては、'15年末に買収した『ミスターミニット』がある。 「主要駅構内で靴やバッグの修理、合鍵作製などで急速に業績を伸ばしていた『ミスターミニット』(ミニット・アジア・パシフィックが運営)を、'15年12月に146億円を投じて完全子会社化。国内の約300店舗に加え、ニュージーランド、東南アジア、中国など海外にも280店舗近くあり、青山が非スーツ化の割合を高める上で大きな可能性を秘めると思われます。同社は近い将来、非スーツの割合を現在の2割台から4割台にまでもっていくとしています」(同) 青山商事とともに紳士服の大きなシェアを占める『AOKI』を運営するAOKIホールディングスも、非スーツ化の構築を急いでいる。 「他の主要同業社より非スーツ化に積極的に取り組んできたAOKIHDは、カラオケの『コートダジュール』、ネットカフェの『快活CLUB』、さらには結婚式場でも、横浜みなとみらい21地区にある日本最大規模のウエディング施設『アニヴェルセルみなとみらい横浜』のほか全国に14施設を展開しています。またフィットネスクラブなどにも分野を広げ、非スーツ化のシェアを着実に4割近くまで上げてきています」(同) コナカは、'98年5月に子会社コナカエンタープライズを立ち上げ、同年10月からフランチャイズチェーン展開を始め非スーツ化に取り組んできた。から揚げ専門店『からやま』や、かつ専門店『かつや』、『大衆食堂 半田屋』、それにインターネットカフェ、漫画喫茶の『自遊空間』、英語の学童保育園『KIDs Duo』などを出店する。 コナカ広報担当者によれば、今後、同社は『かつや』などの飲食店を年間2、3店舗ずつ増やす予定だという。それにしても、様々な多角化の中でなぜ飲食業に力を入れるのか。 前出の経営コンサルタントが言う。 「民間会社による調査では、特にかつ丼市場や焼き肉市場は、3年後の東京五輪までにまだ15%前後は伸びるという報告があるからです。ラーメン店や他の飲食業と比較すると、とんかつ、から揚げ市場は、まだあまり競合が少なく、場所や地域ではまだ二桁の伸びが期待できるといいます」 それに加えて、出店でのコストが抑えられるという特典もあるという。 コナカ広報担当は、そのあたりをこう回答する。 「郊外型店舗の駐車場、土地の有効活用とシナジー効果(相乗効果)をはかれます」 先の経営コンサルタントも、こう解説を加える。 「既存の紳士服店はたいてい大きめの駐車場を持っている。その紳士服店舗の横に飲食店を出店すれば、駐車場を有効利用できることと、飲食店、紳士服のどちらかに来店した客がどちらにも寄るという相乗効果も期待できるためです。さらに、FC展開であれば共通マニュアルを基にするため、他業種でも運営しやすいというのもあります」 しかし、紳士服大手各社が、スーツ以外の業種に進出すれば必ず成功するという保証はどこにもない。実際、過去には非スーツ業種に進出して、すでに撤退している例もある。しかし、手をこまねいてはいられない状況なのだ。 「大手紳士服業界も人口減の中で、スーツ1本に頼っていてはジリ貧になるのは火を見るより明らか。こうした中で、スーツ5割、他業種5割で運営するのが、サバイバルのカギというのです」(同) 紳士服業界で10年先、生き残っているのは果たしてどこなのか。
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社会 2017年04月07日 10時00分
南海トラフ巨大地震 消える市町村145万世帯(2)
太平洋側の沿岸部には、そのような町が少なくない。 三重県南東部の鳥羽市は'12年、内閣府の発表により南海トラフ巨大地震による最大津波予想高が24.9メートルから27メートルに引き上げられている。 「それまでは“揺れが来たら逃げろ”と呼びかけてきたが、答志島など離島内の道は非常に狭い。それらが家屋の倒壊などで塞がれる可能性が高いため、他の避難路を探したり、高台までは手すりを設置するなどの対策はすでに取っているが、被災後に流出した住民が戻ってくるかどうかは分からない」(鳥羽市関係者) 三重県の志摩市にも最大26メートルの津波が押し寄せるとされ、高台のない低地部には避難タワーの建設や土盛りをした「命山」の築造も検討されている。さらに、被害想定を反映したハザードマップを作成して各戸に配布しているが、人口流出の対応策となると、お手上げなのだ。 しかし、妙案を考え出した地域もある。 「人口流出を防ぐため、徳島県美波町の由岐地区では、あらかじめ復興の方針を決める“事前復興”と呼ばれる取り組みを5年前から町と住民で進め、先頃、計画の素案がまとまったのです」(地元記者) それによれば、住民が移転する高台や、かさ上げする土地などを事前に話し合って決定。例えば、内陸の一部では、地震で家を失った住民のための住宅地が整備できるよう、あらかじめ土地の所有者に許可を得たうえで、分かりやすく模型を作って被災後に整備する住宅地の姿を決めるという。 「住民と町の合意形成を事前に済ませ、いったん人口が流出しても安心して再び町に戻ってこられるようにするのが狙いです。この町はもともと過疎化に悩み続けてきたことから人口流出問題にはナーバスになっており、震災後に地域を継続させるための合意形成をしやすい土壌があったのです」(同) 東日本大震災後、被災地の太平洋沿岸部では、いまだ内陸部へ移転したまま住民が戻らない町が多くある。6年経っても故郷の環境が変わらない現状があるからだ。今回の人口流出のシミュレーションをまとめた東大の広井悠准教授も、「あらかじめ復興の手法や手順をまとめるなど長期的視点に立った対策が必要だ」と話している。 「首都直下型の巨大地震でも同様です。都内に住めなくなった人が地方に疎開することになる。政府の早急な対応が必要なのです」(前出・渡辺氏) 問題は地震や津波そのものだけではないのだ。
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社会 2017年04月06日 14時00分
赤っ恥ニュースを平気で垂れ流す “心の病”を抱えるのは中国よ、アンタだ!
「放射能で汚染された日本の食品が中国に流入している」のだという。中でも『MUJI』ブランドで世界進出している無印良品への攻撃のその“無恥ぶり”には開いた口がふさがらない。 中国の国営テレビ局『中国中央電視台(CCTV)』が毎年、世界消費者権利デーである3月15日に生放送する『3・15晩会』は、中国に進出している外国企業が最も恐れるテレビ番組という。過去にこの番組でやり玉に挙げられたアップルやマクドナルド、ニコンなどは消費者の敵と名指しされ、謝罪や補償に追い込まれている。 《同社製食品(無印良品)のパッケージ上には、中国語で日本の生産地を表示したラベルが貼られているが、そのラベルをはがすとこれらの商品の本当の生産地が『東京都』と記されている。同地は中国が食品輸入を禁止している放射能汚染地区だ》 東京が「生産地」ではないことは、中国人観光客御一行様ならお分かりのはずだ。お分かりでないならバカである。 「案の定、日本や日本企業、日本人を侮蔑するコメントがネット上をにぎわせましたが、無印良品も『食品パッケージに記されている東京都は生産地ではなく、本社所在地であって、今回取り上げられた食品の生産地はいずれも食品輸入を禁止している放射線汚染地区ではない』と反論。他メディアもこれを報じ、結果的にCCTVは赤恥をかいたのです」(現地商社マン) しかも今回、中国メディア間で「互いを攻撃し合わない」という暗黙の了解が破られ、「国営メディアとして基本的な事実確認さえおろそかにしているようでは、あまりにも職業倫理と節操に欠けていると言わざるを得ない」という内容の集中砲火まで浴びた。 「確かによく言えたものだと思いますよ。何しろ中国は欧州各国から『将来のエネルギーインフラを買いあさっている』と批判され、中国企業への情報・技術流失を懸念したドイツ政府からは、昨年来、買収をけん制する発言が行われているありさまです。今年に入り、独仏伊3カ国政府は欧州委員会に対し『中国系企業による欧州企業の買収を無条件で認めるべきではない』との申し立てを行っています。欧州では中国企業による“爆買い”は禁止されているのです」(中国ウオッチャー) 中国の王毅外相は「日本は自らの心の病を治す必要がある」と言ったが、その言葉、そのままそっくりお返しする。このままでは、当分、世界から“信用”の二文字のお墨付きは貰えないだろう。
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社会 2017年04月06日 10時00分
南海トラフ巨大地震 消える市町村145万世帯(1)
近い将来に南海トラフで発生するとされる巨大地震で、太平洋側を中心に人口が変動し、愛知、静岡、高知県などを中心に246市区町村145万6000世帯が“流出”するとの試算を、先頃、東大や名古屋大の研究チームがまとめた。 「東日本大震災では原発事故が発生し、被災地の住民が何の支援もなく着の身着のまま避難しましたが、もし今、南海トラフ地震が起きた場合も、大量の難民が発生する。どこへ行けばいいのか分からず、日本は大混乱に陥ります」 こう語るのは、防災ジャーナリストの渡辺実氏だ。 地震などで甚大な被害が出た場合、応急措置として災害救助法が適用され国費が投入される。同法の所管は現在、厚労省から内閣府に移されているが、仮設住宅の所管は国交省と相変わらず縦割り行政がまかり通っているため、まず法整備が必要だと渡辺氏は訴える。 「南海トラフ巨大地震は超広域で被災するため、直後から難民が発生すると見られますが、とても被災地内で片付く問題ではありません。仮設住宅の建設一つとっても、どこへ作ればいいのか喧々囂々となるでしょう。ところが、現行の法では対応できない。たとえば、被災民が被災地ではない地域に逃げたとしてたら災害救助法が適用されず、地元民の善意に頼るしかないのです」 宮崎、高知、和歌山県などで被災した人は関西圏内で避難するものと見られ、兵庫県には11万1000世帯が流入、福岡県には15万5000世帯が流れ込むという。 「おそらくそれに留まらず、日本海側の市町村にも多くの被災民が流入すると予測される。場合によっては、新幹線が開通した北海道へも避難する人が出てくるはずです。しかし、避難先の自治体も困惑するでしょう。したがって、今からどのような疎開パターンがあるかを十分に考えておくべきで、法整備も必要なのです」(同) 一方で人口が流出する側はどうなるのか。高知、静岡県など、七つの県の沿岸部を併せて30の市町村で50%以上の世帯が流出し、なかには“消える町”も出てくるという。 本州の最南端に位置する和歌山県串本町などは、県から「避難困難地域」に指定されている。わずか数分で津波が到達するため、踏み込んだ内容の被害想定を発表しているのだ。ところが、海に面した集落の住民115世帯のうち約半数は高齢者で、町が試算したところの町内に作れる仮設住宅はわずか100戸足らず。津波も最高で約10メートルの高さまで押し寄せるとされ、諦めの言葉を口にする住民も少なくないという。 「町では津波からの避難を中心に防災対策を進めている。しかし、その後のことなどはまだ考えるまでに至っていないのが現状です。人口流出を考慮すれば、町は存亡の危機に陥る」(和歌山県関係者)
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