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西田隆維の映画今昔物語 第44幕「羅生門」

<今日のテーマ>リアル

 芥川龍之介の小説「藪の中」と「羅生門」より作られた黒澤明監督の作品です。第12回ヴェネチア映画祭のグランプリ、第24回アカデミー賞名誉賞を受賞した作品です。

 時代は平安時代、豪雨の中、半壊している羅生門の下で三人の男性の一人が、ある事件の話をし出します。ある事件とは、藪の中で起こりました。多襄丸(三船敏郎さん)が藪の中で昼寝をしている所、横を侍夫婦が通りかかりと、多襄丸は侍の妻に好意を持ってしまいます。好意を持った多襄丸は侍を上手く騙して、藪の中から山へ連れて行き、まんまと騙された侍は縄で縛り上げられてしまいます。そして侍の妻は強姦されてしまいました。しばらくすると侍の死体が発見され、この殺人事件を巡り目撃者の男性、、捕らえられた多襄丸、侍の妻、巫女さんを通じて呼び出されている侍の霊の証言により事件の真相を暴こうとしますが、それぞれの話が全く食い違い役所の審問も真実が分からない状態となっていましたが…やはり真実は暴かれる!!

 この時の証言の一つで侍と多襄丸の刀を使った決闘シーンは私個人的にかなり好きでした。私が映像や舞台で目にする圧倒的に多い綺麗な立ち振る舞いではなく、滑稽な動きをした戦いです。その中にリアルを感じました。命のやり取りの中には、もちろん肝が座っている侍さんもいたと思いますが、恐怖を感じて、練習通りの綺麗な刀裁きできなかったと侍さんもいたと思います。その滑稽な戦いを繊細に演じている役者さんに目を惹かれました。リアルってこんな感じが多かったのかな〜…と想像してしまいます。
 ラストシーンは事件とは全く違った登場人物により、絶望から希望に変わる心情の変化が分かり易いお坊さんにも注目です。

監督:黒澤明
原作:芥川龍之介
キャスト:三船敏郎、森雅之、京マチコ、志村喬、千秋実、上田吉二朗、本間文子

<プロフィール>
 西田隆維【にしだ たかゆき】1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
 陸上超距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。
 09年2月、現役を引退、俳優に転向する。10年5月、舞台『夢二』(もじろう役)でデビュー。ランニングチーム『Air Run Tokyo』のコーチも務めている。

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