夏までに発生すると推測されている巨大余震によって引き起こされる津波から原発をガードするために、防波柵の設置工事が連休明けから急ピッチで進む。その現場要員に40、50代の社員が駆り出されているのだ。
企業戦略としては、子作りの適齢時期を越えており、将来がある程度見えている高齢の社員をピックアップし、危険な現場に送り込むことは苦渋の決断だと言えるだろう。だが、この某有名ゼネコンは、過去に組合運動を熱心にやった社員、高卒以下の学歴の社員、現在の経営陣に反抗的な社員ばかりを選んでおり、意図的な人選ではないかと管轄の労働基準局から睨まれている状態だ。
つまり、「福島原発行き」を言い渡し、拒絶した者を合法的にリストラできる上、東京電力や政府には恩を売れるわけだ。ここ数年業績の悪化からリストラを狙っていたそのゼネコンは、組合に遠慮せず堂々「首切り」と実施できるわけだから、笑いが止まらないだろう。この処分に社内では、「非人道的な人事だ」「特攻隊だ!」「原発事故に便乗したリストラだ」と不満が高まっているらしい。
どちらにしろ中高年の社員に「被ばく覚悟の原発仕事をやるか」「会社を辞めるか」と選択を迫るのは気の毒であろう。