加藤健一事務所30周年記念ラスト公演、世界中が涙した感動のノンフィクション作品「モリー先生との火曜日」が、下北沢の本多劇場で上演中。日々忙しさと戦っている人、心に潤いが欲しい人は、モリー先生のやさしい言葉を聞いてみてはいかが。
人気スポーツライターのミッチ(高橋和也)は、偶然テレビに映る大学時代の恩師モリー先生(加藤健一)がルー・ゲーリック病(ALS)を患っている事を知る。16年ぶりにモリー先生の元を訪れたミッチを、モリーは昔と変わらずやさしく迎えるが…。
ピアニストを志し、やがて華やかなマスコミの世界で成功したミッチ。実は虚勢を張り、どこか自分らしくない生き方をしている。分刻みの時間に追われ、仕事を他のライターに取られまいと必死だ。そんな彼が、毎週火曜日モリーとの静かな時間を過ごしていくうちに鉄壁のような固い心の鎧がはがれ、次第に本来の自分を取り戻していく。体がこわばりやがて動けなくなる難病を抱えた恩師モリーの言葉ひとつひとつに、ミッチにとってのレクチャーが隠されていて、それはモリーの死が近づいていくにつれ、真相に迫っていく。賢く要領はいいが何かが欠けている若いミッチの中に、モリーが見たモノとは…。
1997年にアメリカで出版され、全米で700万部を超えるベストセラーとなった実話。オフ・ブロードウェイをはじめ各国で上演されている作品だが、慎ましやかで情に訴える作風が、非常に日本人の心情にあっている。初共演ながら加藤、高橋の息はピッタリ。この先、二人の代表作になりそうな作品だ。「モリー先生との火曜日」(本多劇場)は15日まで。
「モリー先生との火曜日」上演中、6月15日(火)まで下北沢「本多劇場」 6月19日(土)3時開演「藤沢市湘南台文化センター 市民シアター」
写真撮影:石川純