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高橋四丁目の居酒屋万歩計(1)「Aサイン・バー」(沖縄バー、えーさいんばー)

 小田急線・京王井の頭線、下北沢駅南口から徒歩350歩

 沖縄の首里城には600年前の蒸留酒の記録があるという。400年前にはいまでいう泡盛の製造・貯蔵が始まり、先の沖縄戦で灰燼と化した甕(かめ)の中には、じつに300年前の古酒(クースー)もあったそうだ。沖縄では、いまやっと40年ものが出回り始めたところだが、樹木も古酒も、300歳では自力で逃げられない。
 「中国皇帝の使節である柵封使(さくほうし=爵位を授ける皇帝の命令書を持参した使者)を迎える琉球王朝にとって、軍人、商人など四、五百人にもなる一行」(「焼酎」朝日新聞西部本社社会部編)を厚くもてなすために、宴会用の酒を製造・貯蔵する専門職まで任命していた。泡盛を名乗るための4条件は、(1)原料はタイ米を使用すること、(2)黒麹菌を使うこと、(3)全麹仕込みであること、(4)沖縄で製造することである。
 命名には諸説あるが、甕から汲(く)んだ酒を容器に移す際に、容器に糸状に落とした泡盛が度数が強ければ細かく泡立ち、弱ければ泡は大きくてすぐ消える。そのようにしてアルコール度数を計った。度数を見ることを泡盛といった。やがて酒は泡盛と呼ばれた、というのが好きだ。

 沖縄戦の壊滅的打撃からの復活を余儀なくされた蔵元のひとつが、宮里酒蔵所。三代目である宮里徹氏が満を持して発表した「春雨」は、当初同業者から泡盛ではないといわれた。納得できないで発奮した彼は東京へ販路を求め、東京の評価と実績で沖縄に再上陸した。東京の酔客たちが、よいことをしたことになる。大地に根ざす草木の希望という意味をもつ「春雨」。三代目の定義する「古くも香り高く、強くもまろやかに、辛くも甘い酒」を味わうには、舐めるようにしてでもいいから、ストレートに限る。

 Aサインとは、米軍相手の商売の営業許可証(APPROVED FOR US FORCES)のこと。本土復帰前には大事の大事だった。天井を$札でディスプレイしているバーはビルの3階で、1階は昼食時から営業している、ちゃんぷるー、ソーキソバ、島らっきょう、ラフテーなど沖縄メニューを誇る食事どころ。下北沢で2号店を作る繁盛ぶりだ。

予算1600円
世田谷区代沢5-32-7 阿川ビル3F

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