ただ、良い面だけではなく、ファミコンがきっかけで犯罪に手を染める若者も多く存在した。特に1988年にソフト『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が発売されたころには「ドラクエ強盗」と呼ばれる窃盗団も生み出された。
この妙な犯罪はファミコンブーム真っ盛りの1987年に愛知県内で発生した。
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2月、愛知県警は県内の小学校の理科準備室を荒らした罪で、近くに住んでいた中学3年生の男子生徒2人を不法侵入の罪で補導した。
生徒2人は午前2時ごろ、小学校に忍び込み2階の理科準備室にある硫酸と塩酸など薬品を奪って逃走した。
硫酸といえばあらゆるモノを溶かす劇物として知られている。腐食性が強い塩酸は、皮膚に触れると、ただれて痛々しい傷痕を残す。その恐ろしさはよく知られていることだろう。
この中学生2人は一体、どうして硫酸を盗み出したのか。実は彼らが硫酸を持って向かった先は……なんと小学校の近くにあるおもちゃ屋だった。
彼らは閉店中のおもちゃ屋の鉄製シャッターを濃硫酸で溶かし、店の中にあるファミコンを持ち去ろうと画策したのだ。
だが、しょせんは中学生の浅知恵。10センチ近くある厚みのシャッターを溶かすには硫酸のびん1つでは全く足りず、表面が少し焦げただけで終わった。
盗んだ硫酸が全く使えないことを知った彼らはその場から逃走し、余った薬品は店から少し離れたため池にまとめて捨てたが、これが災いし3日後にあえなく補導された。
中学生らしい結末と言えるが、それだけ当時の「ファミコン熱」が異常だったとも言えそうだ。