昨年11月にヤンキースをFAとなって以降移籍先が決まっていなかった田中を、今年1月28日に年俸9億円(推定)プラス出来高の2年契約で獲得した楽天。今回の番組で石井監督は獲得の裏側や口説き文句について語った。
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田中はプロ入りした2007年から2013年にかけ楽天で活躍し、2014年から昨季まではヤンキースでプレーした。石井監督は田中の獲得について「本当に五分五分という感じでした」としつつ、「彼がどういうふうにこれから野球を続けていくのか、ストーリーを完結に向けていくのかというところで、メジャーというのは絶対条件の中にあったので、日本を選択してくれたことに感謝しています」と古巣復帰を選択してくれたことに感謝した。
ヤンキースをFAとなって以降、石井監督は継続的に声をかけていたという。ただ、「田中選手も(1月30日の入団)会見で言ってましたけど、腰掛けで帰ってきてるということではないんですよね」と田中は“仕方なく”復帰を決断したわけではないと主張した。
続けて、「僕も調べてましたけど、本当に大きい(MLB球団との)契約が何個かあって。その中で別に日本をチョイスしなくてもよかったんですけども、今年は震災から10年という中で、『自分のパフォーマンスを出して優勝に導くぞ』という覚悟がすごく見えたので頼もしく感じてます」とコメント。田中はMLB球団からのオファーもあった中で楽天を選んでくれたと明かしたが、MLB球団からどのような条件のオファーが来ていたのかは触れなかった。
番組の中で石井監督は、田中との交渉で口にしたという口説き文句について「本当に特別で大事なシーズンに帰ってこれるというのは、僕はスーパースターの宿命みたいなものだと思っている。(だから)『スーパースターとしての田中が求められるものが東北に今あるんだ』と言った」と発言。震災から10年を迎える今季を特別なシーズンにしてほしいと訴えかけたという。
前回所属時は「175登板・99勝35敗3セーブ・防御率2.30」といった通算成績を残し、2013年には「28登板・24勝0敗1セーブ・防御率1.27」をマークしチームを創設以来初のリーグ優勝・日本一に導いた田中。石井監督は「(田中に求める)数字は特にはないんですけどとにかく勝ちに導ける、20回投げたら20回全て『勝てるかもしれない』という試合を続けていただきたいなと思います」と、投げる試合は全て勝機を見いだせるような投球を期待したいと述べた。
今回の番組を受け、ネット上には「MLB残留のメドがたたないから復帰したと思ってたらそんなわけじゃなかったのか」、「契約終わり、もしくは途中でMLBに戻る予想も多いけど、腰掛けじゃないっていうのが本当なら楽天にとっては物凄く大きいな」、「震災から10年の節目っていうのはやっぱり大きいんだろうな、マー君も会見で意味のあるタイミングって言ってたし」、「前回の24勝はさすがに求め過ぎだけど、10勝、15勝してくれるようなら優勝もグッと近づきそう」といった反応が多数寄せられている。
一方、「MLBからのオファーについてもう少し詳しく語ってほしかった、どのくらい条件差があったのかも気になるし」、「復帰した田中がいつ頃キャンプに合流するのかは話してくれないのか」と、他にも語ってほしかった内容があるというコメントも複数見受けられた。
震災から10年がたつ今季、8年ぶりにNPB・楽天に復帰した田中。石井監督やファンの期待に応える投球を披露することはできるだろうか。
文 / 柴田雅人