「立花陽三球団社長と田中サイドが何度か接触しており、今週中にも最終的な条件提示がされます」(関係者)
その最終的な条件提示とは、田中将大投手が希望する1500万ドル(約15億6000万円)を十分にクリアするものだという。両者の交渉はオンラインをメインに行われてきた。その過程には、三木谷浩史オーナー自らも加わっていたそうだ。
「大きなお金が動く重要案件には、三木谷氏自らが交渉に乗り出してきます。実業家として、大事なことは他人任せにしない人です。また今年は球団にとっても、大切なシーズンとなります。東日本大震災から10年、復興10年目の大事な節目の年なので地元に貢献したいとの気持ちを強く持っています」(前出・同)
各方面の話を総合すると、田中の気持ちは「古巣帰還」に向いているという。
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日米通算177勝、それも、ヤンキースの先発ローテーションを守ってきた“現役バリバリの主力投手”が加わる。東北楽天ゴールデンイーグルスが「打倒・ソフトバンク」の一番手に浮上することになるが、田中慰留を諦めたヤンキースから気になる情報も出始めた。
「ヤンキースは4人の若手を放出し、パイレーツから右の先発タイプのタイロン投手をトレード獲得しました。その時、ヤンキースが何度も確認を求めたのが、タイロンの右ヒジの回復具合です」(米国人ライター)
タイロンは右ヒジにメスを入れており(トミー・ジョン手術)、昨季は全休となっている。
そういう故障明けの投手を獲るくらいなら、田中を残留させた方がマシだが、ヤンキースは少し違う見方をしていたそうだ。
「田中は14年に右ヒジを部分断絶しており、それを抱えながら投げてきました。地元放送局CBSによると、『そのことがヤンキース首脳陣の頭の片隅にあって』と言い、“右ヒジの限界”を暗に示唆していました。田中は落ちる変化球のスプリットを得意としてきましたが、ここ2年はその決め球を痛打される場面もあり、それが強く慰留しなかった原因だと伝えています」(前出・同)
田中サイドからすれば、「右ヒジは完治している、影響はない」と思っているはず。古巣帰還後は快投を続けることで、ヤンキースの評価が間違っていたことも証明するつもりだ。
交渉は大詰めを迎えた。もっとも、田中帰還という“最高の補強”に成功したとなれば、石井一久監督兼GMの責任は重大だ。田中の右ヒジには、さまざまな思いが乗せられているようだ。(スポーツライター・飯山満)