田中は昨季でヤンキースとの7年契約が満了したが、当初はヤンキースと再契約するのではとの見方が多数。ところが、今オフに入ると残留交渉が難航しているとの報道が複数伝えられた上、ヤンキースが16日(現地時間15日)に先発右腕のクルバーを獲得したため再契約は厳しい状況となっている。
ヤンキースがクルバーを獲得して以降はNPB復帰の可能性が取りざたされるようになった田中。ネット上には「自分のひいき球団に来てほしい」というファンの声が多数見受けられ、古巣である楽天・石井一久監督兼GMも「もし選択が日本ということになれば、帰ってきてほしいと言わない理由がない」と復帰の可能性に言及したことが伝えられている。
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楽天時代に「175登板・99勝35敗3セーブ・防御率2.30」といった数字をマークしていることもあり、仮に田中が復帰となれば活躍は間違いないという見方は根強い。ただ、ここ3年でMLBからNPBに復帰した選手を振り返ると、その全員が活躍を見せているというわけではない。
巨人(1999-2008)、オリオールズ(2009-2011)、レンジャーズ(2011-2012)、レッドソックス(2013-2016)、カブス(2017)を渡り歩いた後2017年11月にカブスをFAとなった上原浩治は、翌2018年3月に古巣の巨人に加入しNPBに復帰。ただ、プロ20年目・42歳のシーズンとなった同年は中継ぎとして36試合に登板したものの、中盤から左ひざ痛を抱えたこともあり「0勝5敗14ホールド・防御率3.63」と黒星が大きく先行。同年オフには左ひざのクリーニング手術をしいられた。
この手術の影響で上原は翌2019年シーズンの開幕一軍入りを逃し、二軍でも調子は上がらず。これを受け上原はシーズン途中の5月に、「二軍で抑えられないようじゃ一軍では抑えられない」として現役を引退する決断を下している。
近鉄(2000-2004)、楽天(2005-2011)、マリナーズ(2012-2018/2018はマイナー)で活躍した岩隈久志は、2018年12月に巨人と契約しNPB復帰。翌2019年はプロ20年目・38歳と既にベテランの域に入っていたが、それまで日米通算170勝を挙げるなど実績は十分だったため「大物が来た」と期待する巨人ファンは少なくなかった。
ところが、岩隈は巨人加入直後からMLB時代に抱えた右肩のコンディション不良に悩まされ、2019、20年と2年連続で一軍登板なし。この不振もあり、岩隈は2020年オフに現役を引退している。
西武(2011-2017)、パドレス(2018-2019/2019はマイナー)でプレーし2019年限りでパドレスを退団した牧田和久は、同年11月に楽天との契約に合意しNPBに復帰。プロ10年目・36歳で迎えた2020年は52試合に登板し、「2勝2敗22ホールド2セーブ・防御率2.16」と安定した数字をマークしている。
牧田は活躍、上原、岩隈は不振という結果となっている直近のNPB復帰選手だが、後者2人は選手としては下り坂である40代前後で復帰。一軍戦力としてのフル稼働というよりは、集客面や指導面でメリットをもたらすことを期待されていた。一方、田中は現在30歳代前半とそこまで年齢を重ねてはいないため、両名のような不振に陥る可能性は高くはないだろう。
ただ、田中は2014年中盤から2015年序盤にかけ右ひじの故障に悩まされ、それ以降も右肩炎症や太ももの張りなどで複数回故障離脱している。上原、岩隈の両名もMLB時代から何度か故障に見舞われNPBでも怪我に泣いているため、この点はNPBへの適応に悪影響を及ぼす不安要素といえるが、コンディションに細心の注意を払えば牧田と同等、もしくはそれ以上の成績を残すことは十分可能と言えそうだ。
田中は1月2日に自身のツイッターに投稿し、「来季プレーをしたいチームを限定しておらず、自分に興味を持ってくださる全ての球団の中から考えています」と来たオファーは全て検討すると表明している。当然楽天をはじめとしたNPB球団のオファーも検討することみられるが、果たしてNPB復帰を決断することはあるのだろうか。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
田中将大の公式ツイッターより
https://twitter.com/t_masahiro18