「契約内容など詳しいことは帰国後の会見に持ち越されました」(スポーツ紙記者)
1月28日午後3時ごろ、各メディアにも「田中帰還」の一報が入り、確認作業が始まった。現時点で分かっているのは、球団発表の「2年契約」、推定年俸は「9億円以上、プラス出来高払い」、背番号は渡米前と同じ「18番」に決まったこと。後のことは、本当に会見が行われるまで分からない。
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米国の野球メディアもトップニュースとして扱っていたが、日本野球機構(NPB)はちょっと違う反応を見せていた。
「前例がない」――。
いや、メジャーリーグから日本球界に帰還し、その後も活躍した日本人選手は大勢いたはずだが…。
「田中の2年契約にはオプトアウトが認められたようです。つまり、21年シーズンを終えて、田中のメジャーリーグ再挑戦を楽天球団が認めているんです。ということは、ポスティングシステムが使われます。移籍交渉が成立した選手の2度目の活用というのは、初めて」(球界関係者)
不成立などで2度、ポスティングシステムを使った選手はいた。成立した選手の2度目は、初めてになる。
NPBもこういったケースを想定していなかったのか、その点については何も書かれていない。シーズン中の12球団実行委員会などで草案を作り、オーナー会議で承認という流れになるだろう。
「ポスティングシステムでのメジャー移籍となれば、旧所属球団に譲渡金が発生します。楽天は田中の移籍で2度、譲渡金を得ることになります。メジャーリーグ挑戦が珍しくなくなったので、『2度目のポスティングシステム』に対する反対意見は出ないと思います」(ベテラン記者)
13-14年オフ、楽天球団は同制度で2000万ドルを得た。
「楽天球団は田中との交渉において、今年は東日本大震災から復活10年目であることを伝えました。東北に強いメッセージを送ること、その言葉で、田中には日本帰還が左遷ではないと思えたようです」(前出・球界関係者)
ちょっと気の早い話だが、楽天の開幕カードは北海道日本ハムファイターズ戦だ。田中は開幕投手の有力候補でもあるが、夏の甲子園大会を沸かせた元ライバルは、一軍に残れるかどうかのレベル。
「開幕投手」と「敗戦処理のような中継ぎ」での再会なんてことにならなければいいのだが…。
13年オフ、田中帰還も想像できなかった。時の流れとは残酷であり、不思議なものだ。21年の主役・田中の会見に注目が集まっている。(スポーツライター・飯山満)