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日本はデフレ、アメリカはインフレ

 朱里です。半年ぶりに日本に帰ってきています。平均的に1年で3回は帰郷しているのですが、この何年か肌で感じている事があります。それは、日本では全ての小売価格が、アメリカの同じものと比べて逆転したと勘違いさせられるくらいに、今のアメリカでは少々インフレ気味で、いろいろなモノの値段がずいぶんと上がっているということです。例えば、日本ではお馴染の牛丼チェーンで朝定食は490円キッカリで食べることが出来ますが、アメリカの大手レストランチェーンで3.99ドルの朝食プレートにコーヒーとオレンジジュースを追加したら7ドル、そこに税金とチップ付加したら9ドル近くになります。朝からこんな感じなのです。

 また、3種類あるガソリン価格のうち、一番廉価なレギュラーは現在1ガロン(3.8リットル)が平均3ドルです。最近の為替で、1ドル約90円と計算すると、1リットルあたり71円です。日本の価格と比べれば、まだまだ安いです。しかし、原油卸売価格が急上昇した一昨年の2008年6月あたりには、1ガロンが4.5ドルにもなりました。ただし、その半年後の12月には、2.5ドルくらいまで急降下しましたが。その頃、日本でも同じように2008年の夏あたりには1リットル180円を超えましたよね。その後は、下がり続けてちょうど、今から1年前あたりで110円を割ったと記憶しています。しかし、昨日たまたま通りかかった西池袋のスタンドでは1リットル123円の値段でしたから、1年をかけてジワジワと約10%値上げしたようです。
 さて、私が住んでいるカリフォルニア州レドンドビーチ市ですが、近所のスタンドでは、現在の平均が1ガロン3ドルですから、去年の今頃の2.5ドルから比べて20%値上がりしていることになります。ところが、私がアメリカに移住した年の1991年には1ガロン1.10〜1.15ドルか、安いところでは1ドルを切っていましたから、この20年で3倍近くになった計算です。また映画鑑賞が趣味の私には、チケットが値上げをしている事に、とても閉口してしまいます。1991年に初めて「ターミネーター2」をサンタモニカの映画館で見たときは、入場料はわずか4ドルくらいだったと思いますが、今では2倍の8ドル以上です。さすがに日本では、ガソリン価格や映画館の入場料は、20年前と比べても殆んど変っていないはずです。そして、私自身は10年以上も前にようやく止められたタバコですが、アメリカの近所のリッカーストアでは、平均的に1パック4.5ドルで売っています。これも20年前と比べて、2倍ほどの値段になりました。ただし、これに関しては、タバコメーカーが裁判に負けて支払うことになった賠償金が上乗せされていますから、映画やガソリンとは少し性質が異なるとは思います。それでも日本では同じブランドが320円、でも6月から20円値上がるそうですね。しかし、20年前の値段から比べても、日本ではせいぜい20%くらいの値上がりです。

 私がロスアンゼルスで19年前くらいから、ずっとお世話になっているグラス製品を作っている会社の社長は、知り合った頃によく「日本のモノはなんでも、アメリカのモノの3倍はするからな」と言っていました。もの凄く大げさな例えだ、と当時は感じていたのですが、今のような事態になってみると、成程であったと思わされます。ということは、20年先にはもしかして、日本の物価はアメリカの3分の1に…という事はないでしょうが、きっと半分くらいになるのでしょうか。それを考えると、老後はアメリカに居るのが良いのか、日本に戻ってくるのが良いのか、迷うところです。

(川村朱里 レドンドビーチ市在住 ハウスウエアデザイナー)

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