新日本
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スポーツ 2016年04月24日 12時00分
新日本4・29熊本大会中止! 棚橋とオカダがメッセージを発表
「日本はね、震災を経験してきて、その中で僕なりに学んだことがあって。日本全体が、元気を失っちゃいけない。1個ずつ、1個ずつ」 17日の甲府大会の試合後に棚橋弘至は熊本地震の被災者に対して力強いメッセージを送った。今から5年前の東日本大震災では、震災の1か月前に仙台大会のメインイベントで当時保持していたIWGPヘビー級王座の防衛戦を行ったばかりということもあり、東京スポーツが主催し、新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアらが参加した「ALL TOGETHER」の日本武道館大会と仙台サンプラザ大会で棚橋がメインを務めている。あの時も新日本は募金活動に限らず、被災者を励ますために選手を被災地に派遣するなど支援を惜しんでいない。 熊本地震は新日本の選手も被災した。13日から4・29グランメッセ熊本大会のプロモーションで現地入りしていた本間朋晃が無事に帰京したが、マスコミの取材に対して「死ぬかと思った」と震度7の恐怖を語った。甲府大会では試合前にオカダ・カズチカが自ら志願する形で、会場に募金箱を置き、詰めかけたファンに募金を呼びかけている。 新日本では、4・29熊本大会の開催について協議を重ねてきた。しかし「熊本地方を中心に発生した震災の甚大な被害状況や、観客の安全確保、さらに会場となるグランメッセ熊本の破損状況の報告」を考慮した結果、18日に正式に中止を発表した。熊本大会は今シリーズ5・3福岡国際センターと並ぶビッグマッチだったことから、タイトルマッチやスペシャルマッチが数多く組まれていたが、IWGPインターコンチネンタル選手権試合のケニー・オメガ<王者>vsマイケル・エルガン<挑戦者>、スペシャルマッチ棚橋弘至vsバッドラック・ファレは4・27博多スターレーン大会に、NEVER無差別級選手権試合の柴田勝頼<王者>vs永田裕志<挑戦者>、IWGPジュニアタッグ選手権試合ロッキー・ロメロ&バレッタ<王者組>vsリコシェ&マット・サイダル<挑戦者組>は5・3福岡大会にそれぞれ振り分けられた。 熊本大会の中止を受けて棚橋とオカダは次のとおりコメントを発表している。 棚橋弘至「今回の件に関しては、両方の意見があったと思います。まず、選手としては、『現地の方にプロレスを観て頂いて、エネルギーや活力を与えたい』という気持ち。一方、会社としては、大会を開催するのであれば、お客さんの安全確保を第一に考えなければいけないという部分。ニュース等で見聞きするに、熊本地方は余震もまだまだ多いようですし、4月29日という10日後のことは誰も予測できない状況です。残念ですけど、安全を第一に考えたら、今回は中止という結論になったのだと思います。新日本プロレスのレスラーは心の中で『熊本が早く復興するように』と祈ってますし、それは全国のプロレスファンも一緒の気持ちだと思います。いま、会場では熊本地震の義援金活動も行っていますけど、2011年の東日本大震災の時にも仙台や東北、各地のファンからそういったプロレスファンの絆を強く感じました。自分は、こんなときこそ全員が下を向いてはダメだと思うんです。よく身体にたとえて言うんですけど、ケガをした部分を治すには、その周りの細胞が元気にがんばって、いい血流を送りこむことが大事なんです。ボクらは精一杯、プロレスをして盛り上げていきます。そして必ず、熊本に戻ります。熊本の皆さん、その日まで待っていてください!」 オカダ・カズチカ「やっぱり、プロレスができる状況であったら、できれば熊本現地の方に自分たちのプロレスを観てもらいたかったです。それができないというのが会社の判断だったわけで、そこは残念でしたね。ただ、プロレスはできないですけど、これからも被災地のことを考えて、新日本プロレスとしても、個人としてもできることをやっていきたいと思います。(開幕戦では)会場での熊本地震の募金活動もやらせてもらいましたけど、やっぱり選手が立っているだけで、お客さんの反応が違うと思いますんで。今後もやれることはやっていきたいです。今回、大会はできなかったですけど、けして二度とやらないわけじゃないですから。新日本プロレスは、また必ず熊本に戻ってきますんで。その時は、このオカダ・カズチカが、カネの雨以上に、みなさんに“元気の雨”を降らせたいと思います!」 このように棚橋が「いい血流を送りこむ」と言えば、オカダは「元気の雨を降らせる」とそれぞれ独特なニュアンスで被災地に対してコメントをしている。木谷高明オーナーは、新日本とブシロードが合同で1,000万円の義援金を送ること、また新日本の今シリーズ終了までと、期間中に開催されるブシロード関連のイベントで募金活動を行うこと、そして必ず熊本大会を再び開催することを発表した。 阪神淡路大震災のときも東日本大震災のときもプロレスは被災者に勇気と希望を与えてきた。今回もプロレスが担う役割は大きいはず。新日本としては5・3福岡大会が被災者に強いメッセージを送る機会になることだろう。<新日Times VOL.15>
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スポーツ 2016年04月17日 12時00分
IWGPヘビー級王座奪取の内藤哲也がトランキーロ政権樹立!
【尋常じゃない内藤の支持率】 「この会場の雰囲気、この声援、あなたの耳にしっかり届いてますか? 新日本プロレスワールドをご覧の木谷オーナー」 4・10両国国技館大会でオカダ・カズチカを倒し、夢だったIWGPヘビー級王座を奪取した内藤哲也は、渡されたベルトをリングに投げ飛ばしてマイクを掴み、“体制側の象徴”木谷高明オーナーを挑発した。この試合をシンガポールで見ていた木谷オーナーは、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの介入によるタイトル移動に憤り、飲んでいたビールを投げつけたという。しかし、当日もし木谷オーナーが来場していたら、大ブーイングと「帰れ」コールが送られていたのは言うまでもない。 関係者の話によると、今回の両国大会は前売り券の売り上げが順調で、当日券も若干数のみの発売だったという。結果9,078人(超満員札止め)の動員をマーク。今大会用に作られたスペシャルパンフレットも完売した。会場にはロス・インゴベルナブレスグッズを身に付けているファンが数多く見られ、対戦カード発表のオープニング映像が流れた時点から会場は「内藤哲也王座奪取」に向けてすでにムードが高まっていた。 そうしたファンの感情は、メインイベントで内藤の入場テーマ曲が流れると、大・内藤コールとなって爆発。最近の新日本の会場でテーマ曲に合わせてコールが起こるのは珍しい。逆にオカダには入場時からブーイングが飛ぶという異様な空気。これまでどんな選手を相手にしても余裕の表情を隠さなかったオカダだが、どんなに反則をしてもブーイングすら起こらない内藤を前に、徐々に焦りの表情を見せていた。まさに内藤の代名詞である「トランキーロ(焦んなよ)」の術中にハマってしまったというのが正直なところだろう。内藤は予告通りデスティーノでオカダを沈め、2011年1月から5年以上に渡り、棚橋弘至、オカダ、AJスタイルズの3人しか腰に巻いてないIWGPヘビー級王座のベルトを手にした。【新しいパレハはSANADA】 “何かが起こる”春の両国大会で今年も事件が起きた。メインの試合中、オカダがフィニッシュに向けて吠えたところに後ろから忍び寄る覆面を被ったマッチョマン。男はオカダを担ぎ上げるとハワイアン・スマッシャーを喰らわせ、自らマスクに手をかける…。正体は全日本プロレス、WRESTLE-1、アメリカTNAに所属し、現在はフリーとして活動していた真田聖也。前日に大日本プロレス札幌大会に参戦していたことや、髪型をイメージチェンジしたことで、最初は「誰だ?」という声も多く上がっていたが、直後に放ったムーンサルトプレスは名刺代わりというには十分な一発だった。 真田とロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのメンバーには繋がりがある。BUSHIとは全日本時代の同期の仲、EVILとはEVILが渡辺高章だった時代にアメリカでタッグを結成し、カール・アンダーソン&ドク・ギャローズと対戦。そして、内藤とは新日本の入団テストを一緒に受けたというストーリーがある。また、東京スポーツが主催し、新日本、全日本、プロレスリング・ノアの3団体が2011年に日本武道館、2012年に仙台サンプラザで開催した東日本大震災復興チャリティー興行「ALL TOGETHER」では、両大会とも真田と内藤がタッグを結成。仙台大会の試合後に内藤が「もう真田とは同じコーナーに立ちたくない。もう俺を真田の横にくっつけないでくれ」と言えば、真田も「もう次はホント、組むのはないっすね。次は相手のコーナーにいることを望んでいます」と語っていた。同年7月に新日本と全日本が旗揚げ40周年記念として行った「サマーナイトフィーバー in 両国 WE ARE PRO-WRESTLING LOVE!」では内藤がタマ・トンガ、真田がジョー・ドーリングをパートナーに従え対戦し、試合後に握手を拒否したことからシングル対決への期待が膨らんでいた。 こうした経緯があるだけに、あれから4年の月日が経ち、2人が対角線上に立つならまだしも、こんな形で組むことになろうとは全く予想できなかった。真田はSANADAとリングネームを改め、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの新メンバーとして次期シリーズからの参戦が決定。5・3福岡国際センター大会ではオカダとのシングルマッチが組まれた。実はSANADAとオカダはともに28歳で同い年。同世代のライバルが不在だったオカダにとっては、新たな刺激になるのではないだろうか。【内藤の次なる挑戦者は石井】 「俺に決定権があるなら、キャプテン・ニュージャパンと防衛戦30連戦やりますよ」 次期挑戦者が石井智宏だと“会社に決められた”ことを不服とした内藤は、11日に新日本プロレスの事務所で行われた一夜明け会見でこのように発言した。内藤にとって石井は、先月行われた「NEW JAPAN CUP 2016」2回戦で勝った相手であり、「キャプテン・ニュージャパンのIWGP初挑戦の方が見たくないですか?」という内藤の言葉にも頷けてしまう。こうしたファン心理を突いた発言が、内藤が支持率をどんどん上げている一番の理由である。お互いに挑発合戦を繰り返している木谷オーナーとの遭遇も、木谷オーナーが会場を訪れたときに遅かれ早かれ実現するはずで、それを期待する声も多い。しかし、内藤はそんなファンに対しても「トランキーロ!」と言い放つはずだ。 混沌とした時代に生まれた内藤哲也のトランキーロ政権。時代の後押しとともに長期政権となる予感がする。(増田晋侍)<新日Times VOL.14>
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スポーツ 2016年04月10日 12時00分
4年連続開催! 新日本プロレス4・10春のビッグマッチ「INVASION ATTACK」
【3年前、春の両国大会が復活】 新日本プロレスは10日(日)16時から両国国技館で春のビッグマッチ「INVASION ATTACK 2016」を開催する。「INVASION ATTACK」は“春の両国大会復活”と銘打って、2013年に第1回大会を開催。メインイベントでは、「NEW JAPAN CUP 2013」を制したオカダ・カズチカが当時IWGPヘビー級王者だった棚橋弘至に挑戦し、ベルトを奪還した。この大会では田口隆祐とのApollo 55でIWGPジュニアタッグ王座に挑戦したプリンス・デヴィットが、試合後に田口を襲撃。また、海外武者修行中だったキング・ファレが“用心棒”バッドラック・ファレとして乱入しデヴィットに加担。これがバレットクラブの始まりとなった。 翌14年は、そのデヴィットと田口による遺恨清算マッチが実現。試合の途中で、デヴィットがセコンドに付いていたヤングバックスをノータッチトペコンヒーローで蹴散らし、田口と真っ向勝負の末に敗れるも、最後に握手を交わして会場は感動の嵐に包まれた。デヴィットはこの日が新日本ラストマッチだったが、デヴィットと入れ替わるかのように当時のIWGPヘビー級王者、オカダを背後から襲撃し、スタイルズクラッシュでKOしたのがAJスタイルズ。バレットクラブのニューリーダー誕生の瞬間だった。 同年のメインでは「NEW JAPAN CUP 2014」を制した中邑真輔が、棚橋が持つIWGPインターコンチネンタル王座に挑戦。ベルトを奪われた1・4東京ドームから2連敗中で後がない中邑だったが、ベルトへの執着心が上回り奪還に成功した。試合後には、ダニエル&ホーレス・グレイシーが登場して対戦表明すると、“グレイシーハンター”桜庭和志が中邑のパートナーに名乗りを上げ、5・3福岡国際センターでタッグマッチ、5・25横浜アリーナ大会ではダニエルと中邑のタイトルマッチが実現している。 昨年はメインで「NEW JAPAN CUP 2015」を制した飯伏幸太が、AJスタイルズの持つIWGPヘビー級王座に挑戦。世界最高峰のハイフライヤー対決にファンは歓喜した。終盤、飯伏のパートナーだったケニー・オメガがAJに加担する素振りを見せるも、飯伏と目が合って戸惑う姿が見受けられた。試合後、AJの勝利に沸くバレットクラブの中でも、終始複雑な表情を崩さないケニーが印象的だった。そんなバレットクラブのバッドエンドをブチ壊したのが、この年の1・4ドームで棚橋に敗れてからスランプが続いていたオカダ。オカダはこの日、バッドラック・ファレに完勝し、完全復活をアピール。その勢いでセレモニー終了後に乱入し、AJをレインメーカーでKO。エンディングではオカダがAJを踏みつけながらベルトを肩にかけていた。まさに1年前のお返しをした形だった。【事件が多い4月の両国大会】 このように過去3年を振り返ってみると、乱入、裏切り、王者交代など「INVASION ATTACK」という大会は事件が多い。また、この大会から来年の1・4ドームに向かって走り出す抗争や軍団(ユニット)もあるので、ファンにとっては出来ることならば生で観ておきたい大会と言えるだろう。今年はチケットも前売り発売開始から好調で、春の両国大会が再び定着してきたのは間違いない。今年の全カードは次のとおりだ。「INVASION ATTACK 2016」4月10日(日)16時試合開始1・田口隆祐&ジュース・ロビンソン 対 バッドラック・ファレ&高橋裕二郎2・小島聡&永田裕志&獣神サンダー・ライガー 対 矢野通&桜庭和志&YOSHI-HASHI3・石井智宏&後藤洋央紀 対 EVIL&BUSHI4・IWGPジュニアタッグ選手権試合<王者組>リコシェ&マット・サイダル 対 ロッキー・ロメロ&バレッタ<挑戦者組>5・IWGPジュニアヘビー級選手権試合<王者>KUSHIDA 対 ウィル・オスプレイ<挑戦者>6・NEVER無差別級6人タッグ選手権試合(ヨシタツ復帰戦)<王者組>ケニー・オメガ&マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン 対 棚橋弘至&マイケル・エルガン&ヨシタツ<挑戦者組>7・NEVER無差別級選手権試合<王者>柴田勝頼 対 天山広吉<挑戦者>8・IWGPタッグ選手権試合<王者組>真壁刀義&本間朋晃 対 タマ・トンガ&タンガ・ロア<挑戦者組>9・IWGPヘビー級選手権試合<王者>オカダ・カズチカ 対 内藤哲也<挑戦者> 前半戦の注目はIWGPジュニア王座に挑戦するウィル・オスプレイ。既にCHAOSの新メンバーであることが明らかにされている。185cmの長身ながらハイフライヤー。650°スプラッシュやリバース450°スプラッシュ、コークスクリュー・シューティング・スタープレスなど難易度が高い技を簡単に決めてしまう天才肌。5月から開幕する「BEST OF THE SUPER Jr.」、8月に開催される「スーパーJカップ」参戦に向けて猛アピールしてくるのは必至で、KUSHIDAにとっては厳しい試合になるだろう。 後半は、棚橋&エルガンが復帰するヨシタツをパートナーに仕切り直し的な挑戦となるNEVER無差別級6人タッグ選手権。ヨシタツの欠場前最後のパートナーが棚橋だったことから、このトリオに違和感はないが、ヨシタツが復帰後のビジョンをどのように描いているのかが気になるところ。IWGP獲りを諦めていないエルガンも棚橋の引き立て役になる気はないはずで、自らを“エリート”と言っている王者組がその隙を突いてくるのは確実なだけに、王者組の優位は揺るがない。 現在の新日本の軍団勢力図を見ると、一番勢いがあるのはロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン。CHAOSとバレットクラブは主力の退団により戦力を落としている。後藤洋央紀とウィル・オスプレイの補強に成功したCHAOSはまだしも、バレットクラブは現在のところタマ・トンガの実弟タンガ・ロアしか補強出来ていない。3・27後楽園ホール大会でリーダーのケニーが「タッグのベルトを狙うために新しいパートナーは決めている」とコメントをしており、バレットクラブに関してはさらなる補強があると見ていいだろう。そして「両国から変わる」と宣言している内藤率いるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンも勢いがあるうちに勢力を拡大したいと思うのは当たり前で、こちらの動きも見逃せない。 4・10両国大会を見ずして今年の新日本プロレスは語れない! 今年はどんなドラマが待っているのだろうか。(増田晋侍)<新日Times VOL.13>
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スポーツ 2016年04月03日 15時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈天国へ舞った天才レスラー〉
プロレスラーのハヤブサ(本名・江崎英治)さんが、3月3日、くも膜下出血のため永眠した。享年47。 2001年、試合中のアクシデントによりケイ椎を損傷。一時は生死の境をさまよい全身不随に至ったが、懸命のリハビリにより、最近では補助付きであれば自力歩行できるまでに回復していた。 リングから離れていた間は“シンガーソングレスラー”として、ライブハウスやプロレス会場での歌手活動を行っていたが、あくまでも目標は現役復帰だった。自ら「'19年にはレスラーとして再びリングに立つ」と宣言していたが、その道半ばでの無念の死となった。 ハヤブサの名が知れわたったのは'94年4月16日、両国国技館で開催された『スーパーJカップ』。当時、インディー団体の勃興により、ことジュニアクラスにおいては新日本プロレス、全日本プロレスにも遜色のないレスラーが頭角を表していた。それらが団体の枠を越えて一堂に会することで、この階級の活性化を図り、ひいてはプロレス人気の底上げにつなげる−−。獣神サンダーライガーの発案により、同大会は開催された。 国内のメジャー、インディーをはじめ、アメリカ、メキシコから全14名が参加したトーナメントの中で、最も知名度の低かったのがハヤブサだった。 '91年、大仁田厚率いるFMWに入団し、期待の新人として将来を嘱望されたが、当時のリングネームは本名の江崎英治。ハヤブサを名乗るのはその後のメキシコ修行中からであり、この大会は一時帰国しての参戦となった。 ハヤブサは1回戦の大トリで、大会の主役であるライガーの相手に抜擢される。 「ライガーが初戦を楽に勝ち上がれるよう、色モノ選手をあてたと見る向きもありましたが、事実はまったく異なります。ハヤブサの才能を見出し、無名だからこその大化けを期待してのマッチメークだったのです」(プロレスライター) その目算はズバリ的中する。ハヤブサは、長じゅばんを思わせる和テイストのロングガウンをまとって入場。マスクは頭頂部が覆われていないフェースガード風で、目の部分が通常よりも広く開かれ、目には歌舞伎のような鋭い隈取りがなされていた。 先に類を見ない斬新なコスチュームでありながら、奇矯なわけではない。初見となる両国の大舞台にも浮ついた様子はなく、その佇まいは一見して「ただ者ではない」と直感させた。 続いて入場したライガーが満員の観衆に向けて大見得を切っているところへ、ハヤブサは高さのあるドロップキックを2連発。場外に落ちたライガーに向けて、コスチュームのままトペ・コンヒーロを放った。 「リングの照明を背に受けて、ラメ入りのガウンがキラキラと光る。その裾を翻しながら宙を舞う姿はまさに千両役者で、日本のプロレス史上でも屈指の美しさを誇る名場面と言えるでしょう。あの一発でハヤブサは次世代のスターと認知されました」(同) 日本初登場から一気にファン、関係者の期待を背負うことになったハヤブサだが、その後のレスラー生活は決して順風満帆なものとはならなかった。 「所属するFMWは良くも悪くも大仁田の邪道色が濃く残り、ハヤブサの華麗なスタイルが必ずしもマッチしていたとは言えなかった。また身長180センチ強とジュニアにしては大型で、空中戦など跳び技を多用したことの負担は大きく、常に故障がつきまといました」(同) それでもハヤブサに対する周囲の期待は変わることなく、'97年からは全日本にも準レギュラーとして参戦する。 「馬場が直弟子である大仁田の願いを聞いて、ハヤブサを受け入れたというのは表向きの話。高い評価をしていなければ、そもそも馬場は相手にすらしません」(元・全日関係者) 全日ではタッグのベルトを獲得し、東京ドーム大会では馬場のタッグパートナーを務めるまでに至った。内々では全日移籍の誘いもあったことは想像に難くない。それでもハヤブサはFMWのエースとして闘うことを選んだ。 今になって何が正解だったかという話ではなかろう。きっとそれこそがハヤブサの人生だったのだ。
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スポーツ 2016年03月27日 12時00分
やさぐれユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」から感じる“あの匂い”
【俺はロス・インゴベルナブレスだ!】 昨年5月にメキシコCMLLでラ・ソンブラ、ルーシュらが結成したロス・インゴベルナブレスに加入した内藤哲也。ロス・インゴベルナブレスとは本来ベビーフェイス(メキシコではリンピオ)であるにもかかわらず、観客からブーイングをくらっていた選手たちが結成した、いわば“やさぐれ”ユニットである。3年前にG1クライマックスを初制覇してからの内藤もまさに同じような境遇に立たされていただけに、この合流は必然だったのかもしれない。【パレハ(友達)がいる】 ロス・インゴベルナブレス加入後、新日本プロレスマットでは仲間がいないため、しばらくは本隊の選手とタッグを組み、無気力試合を展開していた内藤は、次第にパレハの存在について示唆するようになった。そして、昨年10・12両国国技館の棚橋弘至戦にパレハが登場。EVILというリングネームで紹介されたのは、アメリカで武者修行していた渡辺高章だった。内藤&EVIL組で「WORLD TAG LEAGUE」への出場が決定すると、内藤はさらなるパレハの投入を予告。そして、11・21後楽園ホール大会において長期欠場から復帰予定だったが、直前でキャンセルしていたBUSHIが突如として内藤&EVILのセコンドとして現れる。対戦相手のドク・ギャローズに毒霧を吹いて勝利に貢献、電撃加入すると、ユニット名をロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに改めた。【BUSHI、EVILのタイトル挑戦】 結成当初はリーダーの内藤が「トランキーロ! 焦んなよ!」と、タイトルはおろか勝敗にも興味がない姿勢を見せていたロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンだが、昨年の「WORLD TAG LEAGUE」は準優勝、12・19後楽園大会ではBUSHIがマスカラ・ドラダを破りCMLL認定世界ウェルター級王座を獲得。年明けに陥落したものの、2・14新潟・アオーレ長岡大会でKUSHIDAが保持するIWGPジュニアヘビー級王座に挑戦するなど、ベルトへの意欲を見せた。また「NEW JAPAN CUP 2016」1回戦の3・3大田区総合体育館大会で行われた石井智宏戦で覚醒したEVILは、この試合で手応えを掴んだのか、3・20兵庫・ベイコム総合体育館大会で石井が持つROH世界TV王座に挑戦。結果は連敗を喫するも、あわやのシーンが連発し会場をどよめかせた。試合後、石井は「俺にとって、思ったとおりのあいつだったよ」とEVILの実力を認めるコメントを出している。「NEW JAPAN CUP 2016」を制し、IWGPヘビー級王座への挑戦権を得た内藤については次週の当連載で書きたいと思う。【伝説のユニットとの共通点】 ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを見ていると、90年代後半の新日本マットを席巻し、世間も巻き込んで空前のブームを築いた伝説のユニット、nWoジャパンを思い出す。海外の団体で結成されたユニットを新日本マットにも持ち込んだこと、そしてオリジナルのメンバー編成が3人であることは全く同じである。さらに、リーダーは本隊から独立した内藤が務め(nWoジャパンでは蝶野正洋)、凱旋帰国したばかりのEVILが合流(nWoジャパンでは天山広吉)、そして肝心要なところで試合に介入するBUSHI(nWoジャパンではヒロ斎藤)など、チームバランスに関してもよく似ている。 また、Tシャツやキャップといったグッズがよく売れているのも大きな共通点と言っていいだろう。nWoジャパンはカッコいいヒール軍団を目指して支持を得たのに対して、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンは“窓際族からの逆襲”的な流れで結成されたことが、逆にカッコいいとファンの共感を呼んでおり、新しいダークヒーロー像を築きつつある。 nWoジャパンはその後、武藤敬司(グレート・ムタ)や小島聡、そしてスコット・ノートン、nWoスティングなどの加入により勢力拡大を図ることで一大ムーブメントを巻き起こした。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンもROH世界ヘビー級王者ジェイ・リーサルと共闘するなど、勢力拡大を図っているだけに、これからどんなパレハが現れるのか注目したい。(増田晋侍)<新日Times VOL.11>
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アイドル 2016年03月25日 16時00分
武井壮がNMB48・渡辺美優紀の卒業報道にショック!
一部報道などで、NMB48のみるきーこと渡辺美優紀が近日中に同グループを卒業するのではと話題になっているが、タレントの武井壮がショックを受けていることがわかった。 自身のツイッターで武井は、「みるきー卒業のインパクトはオレ的にはジェラードのリバプール退団と同等レベル、いや中邑真輔の新日本退団、いやテリー・ウィットフィールドの西武ライオンズ退団と同等レベル、いやうまい例えが見つからないけどそんな衝撃なんだよ。。。」とコメントした。 渡辺美優紀は今年の総選挙を辞退したことなどから、ファンの間で、「卒業するのでは?」と話題になっており、一部スポーツ紙も、「みるきー卒業か」と報じている。しかし、渡辺本人や運営側からはまだ正式な卒業発表はまだない。
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スポーツ 2016年03月20日 12時00分
4・10両国に向けて動き出した新日本、棚橋の巻き返しはあるか?
「NEW JAPAN CUP 2016」(以下NJC)は、内藤哲也が後藤洋央紀を決勝で破り初優勝。試合後にはロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに襲撃された後藤をオカダ・カズチカ、石井智宏らCHAOSが救出。後藤は先月の大阪大会終了後よりオカダからCHAOSに勧誘され続けていたが、オカダが差し伸べた手を握り返したことで、ついにCHAOS入りが決定的となった。NJC覇者の内藤は、オカダが保持するIWGPヘビー級王座への挑戦を“上から目線”で選択。4・10両国国技館大会での対戦が決まった。 また、真壁刀義&本間朋晃が保持するIWGPタッグ王座への挑戦表明をしていたタマ・トンガは、実兄のタンガ・ロアをバレットクラブの新メンバーとしてパートナーに指名。こちらも4・10両国大会での挑戦が決定した。タンガ・ロアは、アメリカのWWEやTNAでカマーチョのリングネームで活躍した大物。実父のキング・ハクも1・4東京ドーム大会、1・5後楽園ホール大会にバレットクラブTシャツを着て参戦しており、バッドラック・ファレも含めて新日本マットにサモア旋風が吹き荒れそうだ。 さらに、第三世代に対して「ケツの青い先輩たち」と挑発を続けていたNEVER無差別級王者・柴田勝頼が、12日の青森大会で田口隆祐と組み、天山広吉&小島聡のテンコジタッグと激突。パートナーの田口が小島のラリアットでスリーカウントを許しただけでなく、試合後には自身も小島からラリアットを食らってリング上で大の字に。小島がNEVER挑戦を堂々と表明すると、バックステージに戻った柴田は、小島がNEVERへの挑戦権も掛けられていたNJCを2回戦で敗退したことについて苦言を呈した上で、挑戦を受諾。3・19愛知県体育館での対戦が決定した。 3・3大田区大会で、今年のNJCベストバウトと言ってもいい死闘を演じたROH世界TV王者の石井智宏とEVIL。この試合で開花したEVILは、12日の青森大会にてパートナーBUSHIの毒霧援護があったとはいえ、必殺技EVILで石井からスリーカウントを奪った。試合後にはリング上で石井のベルトを手にしアピール、バックステージでは「オイ! 無様な負け方だったな、石井! この後どうすんだ!? 答えは見えてんだろ」と凱旋帰国後、最も長い“日本語”でまくし立てた。この結果、3・20尼崎大会での挑戦が決定。EVILにとっては大チャンス到来である。 3・20尼崎大会では、もうひとつ気になるタイトルマッチが組まれた。それはケニー・オメガ&マット・ジャクソン&ニック・ジャクソンに棚橋弘至&マイケル・エルガン&ジュース・ロビンソンが挑戦するNEVER無差別級6人タッグ選手権試合だ。今年に入ってからの棚橋は、重要な試合で負けが込んでいる。1・4ドームでのオカダ戦、2・14新潟大会のケニー戦、そして3・3大田区大会でのファレ戦。“エース”にとってこの3連敗は痛いだろう。棚橋がこれから巻き返しを図るためには、どこに照準を絞ればいいのか? そんな中、今回組まれたタイトルマッチは、挽回のキッカケを掴む機会となるかもしれない。 棚橋がNEVERブランドに絡むのは今回が初めてのこと。本稿執筆時点で棚橋からコメントが出ていないので、あくまで推測に過ぎないが、その先にはケニーが保持するIWGPインターコンチのベルトがあるのは言うまでもないだろう。2年前に中邑真輔を破ってインターコンチのベルトを巻いた時、「オレの色に染める」と宣言していたが、結果的にそれは実現できなかった。そして中邑の離脱に際し、「鬼の居ぬ間にオレの色に染めますよ」と言って臨んだケニーとの王座決定戦でも完敗を喫してしまう。棚橋の中で「3度目の正直」という思いがあるのと同時に、まずケニーに勝たなければ巻き返しは図れないという気持ちもあるはずだ。 王者であるケニーの口からも「タナハシが挑戦してきても問題ない」という言葉があるように、棚橋に2連勝すればバレットクラブの新しいリーダーとして磐石の地位を築けるという計算があるはず。この2人に加え、IWGPヘビー級王座獲りを諦めていないエルガンや、LION'S GATEでノアの中嶋勝彦を相手に大善戦したロビンソン、そしてIWGPジュニアタッグ再戴冠を狙うヤングバックスが絡むこのタイトルマッチは、4・10両国、5・3福岡国際センター、そして6・19大阪城ホール大会までを占うカードになる可能性を秘めている。 巻き返しを図るエースが、初夏に向かう新日本の鍵を握っているのは間違いなさそうだ。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.10>
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スポーツ 2016年03月13日 12時00分
新日本の選手が実名で登場! 『タイガーマスク』3度目のアニメ化へ
新日本プロレス3・3大田区総合体育館大会の試合前にリングに登場した木谷高明オーナーは、アニメ版『タイガーマスク』の企画が進行中であることを明らかにした。 「私と同世代のかたは、昔のプロレスや野球、サッカー、すべて実名のスポーツ選手が出ていたアニメやコミックの記憶があると思いますが、いまはもはやそういうことができない時代になってます。ただ、新日本プロレスは違います! そのアニメの中で選手が次々、実名で登場します」 場内のビジョンにはタイガーマスクと対峙する“アニメ版”オカダ・カズチカの姿が映し出されていた。アニメ版の『タイガーマスク』は、1969年から71年まで、日本プロレスが全面協力のもと、よみうりテレビ・日本テレビ系列にて放送され、大ヒットした。アニメの中ではジャイアント馬場がグレート・ゼブラに変身している。そして、81年から82年までは新日本プロレスが全面協力のもと、『タイガーマスクII世』をテレビ朝日系列で放送。アントニオ猪木、山本小鉄からスタン・ハンセン、アンドレ・ザ・ジャイアントなど当時の常連外国人選手も実名で登場した。これに伴いデビューしたのが、初代タイガーマスク(佐山聡)である。このメディアミックスは大成功し、昭和の新日本プロレス黄金期を支えた。歴代の“プロレスラー”タイガーマスクのコスチュームは『II世』のデザインがベースになっている。 「このアニメは世界にくまなくネット配信や番組販売で広がり、世界中から引き合いがあるはずです。そのことによって、タイガーマスクというコンテンツと、新日本の選手が世界中に広まるんじゃないかと考えています。ブシロードという会社は、どちらかというと二次元中心で活動していますが、今はやはり二次元から三次元に入るという男性、女性が非常に増えています。このアニメを放送することで、アニメから入って新日本のファンになる人もいるんじゃないかと思います」 木谷オーナーは、3度目となるアニメ版『タイガーマスク』を新日本世界戦略用のコンテンツのひとつとして捉えている。日本のアニメ文化は、クールジャパンとして世界でも認められており、親会社のブシロードとしても得意なジャンル。現在、新日本は台湾で興行を行っているが、今年は香港やシンガポールでの開催も視野に入れており、アジアツアーに向けても強力なコンテンツになる可能性を秘めている。 「真壁(刀義)さんなんか自分でできるんじゃないですかね」と語った木谷オーナー。選手自らが声優を担当することに関しては、スケジュール等との兼ね合いもあるが、声優向きの選手に関しては可能性が残されているようだ。 「(提供スポンサーは)新日本とブシロードになるかもしれませんが、まだ決まってないです。そこはおもちゃや音楽、いろんな業界に広がってほしいなと思います。(放送開始時期については)編成の話なので言えないですが、そんなに遠くないはず」 最後に放送局などに関する具体的な質問が飛んだものの、木谷オーナーは調整中の部分に関しては明言を避け、「内容は今風になっていて面白い。女性ファンが増えるのではないか」と語った。ブシロードはかつてTOKYO-MXで再放送された『タイガーマスク』の1社提供スポンサーになった実績もある。『タイガーマスク』と『タイガーマスクII世』、アニメ版タイガーマスクはいずれもプロレスファンを爆発的に増やしてきただけに、今回も1人でも多くの目に触れる環境下での放送に期待したい。どのような形でプロレス界に還元されるのか、派生するさまざまな展開も含めて非常に楽しみである。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.9>
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スポーツ 2016年03月06日 13時00分
新日本の育成プロジェクト『LION'S GATE』を紐解く4つのワード
「他団体選手の招聘を含めて、ファーム(2軍)のようなモノを作りたい。イメージ的には小さな興行をやっていくと考えてもらってもいい。ファームの所属選手や、いろんな他団体を含めたトライアル、負傷欠場していた選手の再チャレンジの場所だったり、いろんなモノを試す場になればいいと思うし、いまの新日本は非常にレベルが高いリングなので、いきなりは上がれない場合もある。国内でこういう場が少なくなっているので、トライアル、チャレンジの場を作っていきたい」 昨年7月に行われた新日本プロレスの戦略発表会で、木谷高明オーナーはこのように「ライオンズゲート計画」をブチ上げた。その第1弾となる「LION'S GATE PROJECT 1」が先月25日に新宿FACEで開催され、467人(超満員札止め)のファンを動員。通常興行に比べて、チケット料金は安く設定され、逆に試合数は9試合と多く組まれたが、どの試合も内容が素晴らしく順調な船出を飾ったと言っていいだろう。次回大会も5月19日に同所で開催されることが会場で発表された。 これまでも新日本は「夢☆勝ちます」「ライオンズロード」「NEVER」などヤングライオン(新日本に所属している若手選手)はもちろんのこと、他団体やフリーの若手選手にも門戸を開放して育成を目的とした興行を開催してきたが、ブシロード体制になってからは初の試みとなる。今回のプロジェクトは“ファーム(2軍)”“所属選手”“他団体”“再チャレンジ”という4つのワードがポイントと言えそうだ。第1回大会では、それらを紐解く要素がたくさん散りばめられていた。 第1試合前には、アマレスの育成チーム「ブシロードクラブ」からプロレスデビューに向けて歩み始めた岡倫之と北村克哉が、レスリングのエキシビションマッチを行った。両選手ともにレスリング元全日本王者の実績を持っており、2人のヘビー級選手にも見劣らない肉体と潜在能力の高さを見たファンからは、即戦力として期待する声が数多く上がっていた。この試合でレフェリーを務めたのは、自身もアマレスの育成チーム(当時新日本が設けていた「闘魂クラブ」)からデビューした永田裕志。永田は「LION'S GATE PROJECT」のプロデューサー的な役割も担っている。 「この2人の潜在能力を、皆さん見ていただけましたでしょうか? 2月から新日本プロレスの道場に入って、目下、猛トレーニングをやっている最中であります。いずれこの『LION'S GATE』の舞台で2人はデビューすることになりますので、皆さん、その時までご声援よろしくお願いします」 試合後にマイクを持ち、岡と北村のデビューの場が通常興行ではなく『LION'S GATE』であることを明らかにした永田。興行終了後に改めて2人のデビュー時期について聞かれるとこう語った。 「僕は入門して4か月だったので、そういうの考えたら、どんどん早くていいんじゃないですかね。中西(学)さんなんて1か月半ですから。なんにもできないのに、急遽抜擢されて。受け身もできないのに、それでも壊れずにシリーズを完走しちゃった。(スコット・)ノートンやトニー・ホームやバンバン・ビガロとやっても(笑)。そういう怪物性が北村や岡にもある気はする。ただ、受け身とか最低限のものは覚えてくれないと、人材を壊すことになるので、習得すべきことは早く習得させたいですね」 “青い目のヤングライオン”ジェイ・ホワイトに胸を貸したプロレスリング・ノアの小川良成は、試合後にこんなコメントを残した。 「俺が新日本に上がるなんて想像もできなかったので、ちょっといい刺激をもらいました」 試合前にはノア期待の新人、清宮海斗と対戦する田口隆祐に小川が「しょっぱいから厳しくやってくれ」と話していたことも、田口のコメントから明らかになっている。 第1回大会は全試合で新日本vsノアというカードが組まれ、リングアナやレフェリーも両団体からそれぞれ務めた。第1試合では本城匠のデビュー戦の相手を“他団体”のマイバッハ谷口が務めたというのも異例である。現在のノアは昨年より新日本から乗り込んで来た鈴木軍と激しい抗争を繰り広げており、前日の後楽園大会で鈴木みのるに勝利し、杉浦貴が持つGHCヘビー級王座への挑戦権を獲得した中嶋勝彦は、鈴木に破壊された右腕の怪我を押しながらもガチガチにテーピングをして強行出場。ジュース・ロビンソンと今大会ベストバウト級の試合を行った。 「いつもの緑のマットとは違う熱が、ここにはあると思う。ぜひ2回目も開催してほしいですね。価値のある刺激が、このマットにあると思います。ノアも負けてられない」 試合後の中嶋はロビンソンとの対戦を振り返った後に『LION'S GATE』の継続開催を提唱した。中嶋に限らず、若手選手に胸を貸した両団体のトップ選手は新人選手との闘いを純粋に楽しんでいるように見えた。カード的には新日本vsノアという図式であるにもかかわらず、対抗戦というムードはなく、出場選手たちが団体の枠を超えてこのプロジェクトの趣旨を理解した上で試合に臨んだことが、大会を成功に導いた大きな要因ではないだろうか。 「試合の前の日、当日の朝までずっと、俺は『LION'S GATE』で何が必要か考えて、答えが出ないまま大会を迎えた。それで第1試合からずっと観てたら、ひたむきさとかがむしゃらとか、俺がとっくの昔に忘れてしまったこと、それを若い選手が見せてくれた。これが今日のテーマなんだって改めて思い知った」 これは天山広吉とのテンコジタッグで、平柳玄藩&キャプテン・ノアと対戦した小島聡のコメント。全9試合の中でこの試合だけチャレンジマッチという形ではなかったため、小島は試合直前まで己のテーマを見出すのに苦労したようだ。永田、中西とともに第3世代のテンコジだが、かつて開催されていた「夢☆勝ちます」には、彼らもヤングライオン時代にチャレンジする立場で出場している。通常興行でなかなかアピールする場がない第3世代にとって、『LION'S GATE』はあの頃とは違う意味で“再チャレンジ”できるチャンスなのだ。 「これから若い人材を、いろんなところから引っ張ってきたいと思います。最後は僕を打ち破って、若い選手が勝つのがいいんじゃないかと。ただ、僕の壁を打ち破るのは相当厳しいので、そこは覚悟しないとダメ」 メインでノアの北宮光洋と対戦した永田は、第1回大会をこのように総括した。永田としては、団体を問わず胸を貸すことに関して「いろんな選手とやるのはやぶさかではない」という。普段交わることがない他団体の若手選手にとって、永田を筆頭とする経験豊富な新日本の第3世代と対戦できることは財産であり、まさに第3世代の存在が『LION'S GATE』の価値を高めていくことになる。 興行面においてはプロ野球のファームのように、いずれは通常興行の日程に関係なく別動隊として『LION'S GATE』を開催していくのがベストだろう。新日本の大会が開催されている会場から離れていれば、同日開催でも問題ないだろうし、年に数回、後楽園ホールで“親子”興行を昼夜で開催しても面白い。『LION'S GATE』には、選手の育成に加えて、プロレス人口を増やすために小規模な地方会場でのシリーズ開催など、フットワークの軽さも期待したい。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.8>
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スポーツ 2016年02月28日 12時00分
新日本“春のG1”ニュージャパンカップ大予想! エルガン悲願のIWGP王座挑戦なるか?
新日本プロレス春の風物詩「ニュージャパンカップ」(NJC)の組み合わせが発表された。今週は今年のNJCの展望について書いてみたい。組み合わせと日程は次のとおりだ。『NEW JAPAN CUP 2016』◎1回戦(3・3大田区総合体育館)▼ブロックA棚橋弘至 対 バッドラック・ファレ天山広吉 対 マイケル・エルガン▼ブロックB真壁刀義 対 タマ・トンガ永田裕志 対 後藤洋央紀▼ブロックC本間朋晃 対 小島聡矢野通 対 高橋裕二郎▼ブロックD石井智宏 対 EVILYOSHI-HASHI 対 内藤哲也◎2回戦(3・4後楽園ホール)各ブロックの勝者が対決◎準決勝(3・12新青森県総合運動公園マエダアリーナ)ブロックAの勝者 対 ブロックBの勝者ブロックCの勝者 対 ブロックDの勝者◎決勝戦(3・12新青森県総合運動公園マエダアリーナ) 真夏の最強決定戦「G1クライマックス」がリーグ戦で行われるのに対してNJCはトーナメントで開催されるのが特徴のひとつで、優勝者には4・10両国国技館大会でIWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル、NEVER無差別級のいずれかのタイトルに挑戦する権利が与えられるため、各王者は参加しない。 優勝した場合、各選手はどのベルトに挑戦表明するのだろうか。予想をしてみた。◆IWGPヘビー級王座(王者 オカダ・カズチカ)ファレ、エルガン、永田、後藤、内藤 バレットクラブの中でもシングル志向なファレ、2・20後楽園でオカダに挑戦表明したエルガンは間違いなくIWGPを指名するだろう。永田は柴田の挑発もあり、NEVERの可能性もあるが「常に狙っているのはIWGP」との姿勢は崩していないので、優勝すればIWGPを指名するのではないだろうか。2・11大阪でオカダに敗れCHAOSに勧誘されながらも、精彩を欠いている後藤だが、NJPを過去3度制している“春男”。優勝すれば9度目のIWGP挑戦を選択すると予想した。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを結成してからベルトには興味がないスタンスを貫いている内藤だが、以前から因縁深いオカダからIWGPを獲りたい気持ちは誰よりも強いと思いたい。 この中で最もIWGPへの挑戦願望が強いのは先日挑戦表明したばかりのエルガン。昨年のG1から新日本へのレギュラー参戦でファンからの支持も厚いだけに期待したいところだが、一昨年のNJCでは柴田勝頼がオカダのIWGP戦が濃厚なムードの中、敗退したためカードが流れた経緯もあり、負けたら終わりというトーナメントならではの難しさがNJCにはある。◆IWGPインターコンチネンタル王座(王者 ケニー・オメガ)棚橋、トンガ、矢野、EVIL 2・14新潟でケニーとの王座決定戦に敗れた棚橋だが、パートナーのエルガンがIWGPに挑戦表明したことや「インターコンチを俺の色に染める」との公約も果たせていないことから、インターコンチと予想。外国人相手にも好勝負を繰り広げている矢野もインターコンチと予想した。EVILは同王座が生まれたアメリカから凱旋帰国したこともあり、このベルトを狙う資格は十分にある。 そしてトンガ。王者のケニーとは同じバレットクラブではあるが、AJスタイルズを追放してからアンダーソン&ギャローズ(2・20後楽園で離脱)、ファレ、トンガら初期メンバーと、ケニー&ヤングバックスからなるThe ELITEとの間にはお互いにセコンドに付かないなど、隙間風が吹いているように見える。トンガが優勝した場合はケニーとの対戦を要求し、モヤモヤを清算するのではないだろうか。トンガはバレットクラブの新メンバーとIWGPタッグ王座への挑戦も表明し受諾されており、1回戦の真壁戦は前哨戦も兼ねている。アンダーソン&ギャローズが抜けたことはトンガにとって大きなチャンス。NJCで飛躍することが出来るか?◆NEVER無差別級王座(王者 柴田勝頼)天山、真壁、本間、小島、裕二郎、石井、YOSHI-HASHI 前王者・石井が種を撒いた効果もあり、今年のNJCで一番指名されそうなのがNEVER無差別級王座だ。王者の柴田が第3世代を挑発したことにより、天山と小島もこの輪の中に加わることが予想される。 また4年振りにNJCの出場権を獲得したYOSHI-HASHIは、CHAOSの先輩だった中邑真輔が抜けたことで今大会からの飛躍が期待されている1人。1回戦はデビュー戦以来の対戦となる内藤哲也だが、タッグで対戦した2・19後楽園では内藤への怒りを露わにしており、この試合を突破出来るかどうかがポイントになりそうだ。今まで優勝選手がNEVERを指名した例がないだけに、そこも含めて注目である。 気になる優勝争いだが、ブロックAに棚橋、ファレ、エルガンといった優勝候補の3選手が入っており、順当に見ればここを制した選手が決勝まで進むのではないだろうか。反対側のブロックを見ると、石井と内藤が同じブロックDに入っており、このブロックを制した選手が決勝に進出すると予想する。その中でもやはりエルガンを推したい。優勝すればジャイアント・バーナード以来外国人選手としては2人目の快挙となるが、新日本のスタイルに順応出来るスーパーヘビー級外国人という面でもバーナードと被るところは多い。バーナードが棚橋のライバルであり続けたように、エルガンはオカダのライバルになり得る逸材だ。このチャンスをモノにして4・10両国のメインでオカダに対峙することを期待したい。◎NEW JAPAN CUP 歴代優勝者2005年 棚橋弘至2006年 ジャイアント・バーナード2007年 永田裕志2008年 棚橋弘至2009年 後藤洋央紀2010年 後藤洋央紀2011年 永田裕志2012年 後藤洋央紀2013年 オカダ・カズチカ2014年 中邑真輔2015年 飯伏幸太(増田晋侍) <リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.7>
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