新日本
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スポーツ 2016年04月10日 12時00分
4年連続開催! 新日本プロレス4・10春のビッグマッチ「INVASION ATTACK」
【3年前、春の両国大会が復活】 新日本プロレスは10日(日)16時から両国国技館で春のビッグマッチ「INVASION ATTACK 2016」を開催する。「INVASION ATTACK」は“春の両国大会復活”と銘打って、2013年に第1回大会を開催。メインイベントでは、「NEW JAPAN CUP 2013」を制したオカダ・カズチカが当時IWGPヘビー級王者だった棚橋弘至に挑戦し、ベルトを奪還した。この大会では田口隆祐とのApollo 55でIWGPジュニアタッグ王座に挑戦したプリンス・デヴィットが、試合後に田口を襲撃。また、海外武者修行中だったキング・ファレが“用心棒”バッドラック・ファレとして乱入しデヴィットに加担。これがバレットクラブの始まりとなった。 翌14年は、そのデヴィットと田口による遺恨清算マッチが実現。試合の途中で、デヴィットがセコンドに付いていたヤングバックスをノータッチトペコンヒーローで蹴散らし、田口と真っ向勝負の末に敗れるも、最後に握手を交わして会場は感動の嵐に包まれた。デヴィットはこの日が新日本ラストマッチだったが、デヴィットと入れ替わるかのように当時のIWGPヘビー級王者、オカダを背後から襲撃し、スタイルズクラッシュでKOしたのがAJスタイルズ。バレットクラブのニューリーダー誕生の瞬間だった。 同年のメインでは「NEW JAPAN CUP 2014」を制した中邑真輔が、棚橋が持つIWGPインターコンチネンタル王座に挑戦。ベルトを奪われた1・4東京ドームから2連敗中で後がない中邑だったが、ベルトへの執着心が上回り奪還に成功した。試合後には、ダニエル&ホーレス・グレイシーが登場して対戦表明すると、“グレイシーハンター”桜庭和志が中邑のパートナーに名乗りを上げ、5・3福岡国際センターでタッグマッチ、5・25横浜アリーナ大会ではダニエルと中邑のタイトルマッチが実現している。 昨年はメインで「NEW JAPAN CUP 2015」を制した飯伏幸太が、AJスタイルズの持つIWGPヘビー級王座に挑戦。世界最高峰のハイフライヤー対決にファンは歓喜した。終盤、飯伏のパートナーだったケニー・オメガがAJに加担する素振りを見せるも、飯伏と目が合って戸惑う姿が見受けられた。試合後、AJの勝利に沸くバレットクラブの中でも、終始複雑な表情を崩さないケニーが印象的だった。そんなバレットクラブのバッドエンドをブチ壊したのが、この年の1・4ドームで棚橋に敗れてからスランプが続いていたオカダ。オカダはこの日、バッドラック・ファレに完勝し、完全復活をアピール。その勢いでセレモニー終了後に乱入し、AJをレインメーカーでKO。エンディングではオカダがAJを踏みつけながらベルトを肩にかけていた。まさに1年前のお返しをした形だった。【事件が多い4月の両国大会】 このように過去3年を振り返ってみると、乱入、裏切り、王者交代など「INVASION ATTACK」という大会は事件が多い。また、この大会から来年の1・4ドームに向かって走り出す抗争や軍団(ユニット)もあるので、ファンにとっては出来ることならば生で観ておきたい大会と言えるだろう。今年はチケットも前売り発売開始から好調で、春の両国大会が再び定着してきたのは間違いない。今年の全カードは次のとおりだ。「INVASION ATTACK 2016」4月10日(日)16時試合開始1・田口隆祐&ジュース・ロビンソン 対 バッドラック・ファレ&高橋裕二郎2・小島聡&永田裕志&獣神サンダー・ライガー 対 矢野通&桜庭和志&YOSHI-HASHI3・石井智宏&後藤洋央紀 対 EVIL&BUSHI4・IWGPジュニアタッグ選手権試合<王者組>リコシェ&マット・サイダル 対 ロッキー・ロメロ&バレッタ<挑戦者組>5・IWGPジュニアヘビー級選手権試合<王者>KUSHIDA 対 ウィル・オスプレイ<挑戦者>6・NEVER無差別級6人タッグ選手権試合(ヨシタツ復帰戦)<王者組>ケニー・オメガ&マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン 対 棚橋弘至&マイケル・エルガン&ヨシタツ<挑戦者組>7・NEVER無差別級選手権試合<王者>柴田勝頼 対 天山広吉<挑戦者>8・IWGPタッグ選手権試合<王者組>真壁刀義&本間朋晃 対 タマ・トンガ&タンガ・ロア<挑戦者組>9・IWGPヘビー級選手権試合<王者>オカダ・カズチカ 対 内藤哲也<挑戦者> 前半戦の注目はIWGPジュニア王座に挑戦するウィル・オスプレイ。既にCHAOSの新メンバーであることが明らかにされている。185cmの長身ながらハイフライヤー。650°スプラッシュやリバース450°スプラッシュ、コークスクリュー・シューティング・スタープレスなど難易度が高い技を簡単に決めてしまう天才肌。5月から開幕する「BEST OF THE SUPER Jr.」、8月に開催される「スーパーJカップ」参戦に向けて猛アピールしてくるのは必至で、KUSHIDAにとっては厳しい試合になるだろう。 後半は、棚橋&エルガンが復帰するヨシタツをパートナーに仕切り直し的な挑戦となるNEVER無差別級6人タッグ選手権。ヨシタツの欠場前最後のパートナーが棚橋だったことから、このトリオに違和感はないが、ヨシタツが復帰後のビジョンをどのように描いているのかが気になるところ。IWGP獲りを諦めていないエルガンも棚橋の引き立て役になる気はないはずで、自らを“エリート”と言っている王者組がその隙を突いてくるのは確実なだけに、王者組の優位は揺るがない。 現在の新日本の軍団勢力図を見ると、一番勢いがあるのはロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン。CHAOSとバレットクラブは主力の退団により戦力を落としている。後藤洋央紀とウィル・オスプレイの補強に成功したCHAOSはまだしも、バレットクラブは現在のところタマ・トンガの実弟タンガ・ロアしか補強出来ていない。3・27後楽園ホール大会でリーダーのケニーが「タッグのベルトを狙うために新しいパートナーは決めている」とコメントをしており、バレットクラブに関してはさらなる補強があると見ていいだろう。そして「両国から変わる」と宣言している内藤率いるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンも勢いがあるうちに勢力を拡大したいと思うのは当たり前で、こちらの動きも見逃せない。 4・10両国大会を見ずして今年の新日本プロレスは語れない! 今年はどんなドラマが待っているのだろうか。(増田晋侍)<新日Times VOL.13>
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スポーツ 2016年04月03日 15時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈天国へ舞った天才レスラー〉
プロレスラーのハヤブサ(本名・江崎英治)さんが、3月3日、くも膜下出血のため永眠した。享年47。 2001年、試合中のアクシデントによりケイ椎を損傷。一時は生死の境をさまよい全身不随に至ったが、懸命のリハビリにより、最近では補助付きであれば自力歩行できるまでに回復していた。 リングから離れていた間は“シンガーソングレスラー”として、ライブハウスやプロレス会場での歌手活動を行っていたが、あくまでも目標は現役復帰だった。自ら「'19年にはレスラーとして再びリングに立つ」と宣言していたが、その道半ばでの無念の死となった。 ハヤブサの名が知れわたったのは'94年4月16日、両国国技館で開催された『スーパーJカップ』。当時、インディー団体の勃興により、ことジュニアクラスにおいては新日本プロレス、全日本プロレスにも遜色のないレスラーが頭角を表していた。それらが団体の枠を越えて一堂に会することで、この階級の活性化を図り、ひいてはプロレス人気の底上げにつなげる−−。獣神サンダーライガーの発案により、同大会は開催された。 国内のメジャー、インディーをはじめ、アメリカ、メキシコから全14名が参加したトーナメントの中で、最も知名度の低かったのがハヤブサだった。 '91年、大仁田厚率いるFMWに入団し、期待の新人として将来を嘱望されたが、当時のリングネームは本名の江崎英治。ハヤブサを名乗るのはその後のメキシコ修行中からであり、この大会は一時帰国しての参戦となった。 ハヤブサは1回戦の大トリで、大会の主役であるライガーの相手に抜擢される。 「ライガーが初戦を楽に勝ち上がれるよう、色モノ選手をあてたと見る向きもありましたが、事実はまったく異なります。ハヤブサの才能を見出し、無名だからこその大化けを期待してのマッチメークだったのです」(プロレスライター) その目算はズバリ的中する。ハヤブサは、長じゅばんを思わせる和テイストのロングガウンをまとって入場。マスクは頭頂部が覆われていないフェースガード風で、目の部分が通常よりも広く開かれ、目には歌舞伎のような鋭い隈取りがなされていた。 先に類を見ない斬新なコスチュームでありながら、奇矯なわけではない。初見となる両国の大舞台にも浮ついた様子はなく、その佇まいは一見して「ただ者ではない」と直感させた。 続いて入場したライガーが満員の観衆に向けて大見得を切っているところへ、ハヤブサは高さのあるドロップキックを2連発。場外に落ちたライガーに向けて、コスチュームのままトペ・コンヒーロを放った。 「リングの照明を背に受けて、ラメ入りのガウンがキラキラと光る。その裾を翻しながら宙を舞う姿はまさに千両役者で、日本のプロレス史上でも屈指の美しさを誇る名場面と言えるでしょう。あの一発でハヤブサは次世代のスターと認知されました」(同) 日本初登場から一気にファン、関係者の期待を背負うことになったハヤブサだが、その後のレスラー生活は決して順風満帆なものとはならなかった。 「所属するFMWは良くも悪くも大仁田の邪道色が濃く残り、ハヤブサの華麗なスタイルが必ずしもマッチしていたとは言えなかった。また身長180センチ強とジュニアにしては大型で、空中戦など跳び技を多用したことの負担は大きく、常に故障がつきまといました」(同) それでもハヤブサに対する周囲の期待は変わることなく、'97年からは全日本にも準レギュラーとして参戦する。 「馬場が直弟子である大仁田の願いを聞いて、ハヤブサを受け入れたというのは表向きの話。高い評価をしていなければ、そもそも馬場は相手にすらしません」(元・全日関係者) 全日ではタッグのベルトを獲得し、東京ドーム大会では馬場のタッグパートナーを務めるまでに至った。内々では全日移籍の誘いもあったことは想像に難くない。それでもハヤブサはFMWのエースとして闘うことを選んだ。 今になって何が正解だったかという話ではなかろう。きっとそれこそがハヤブサの人生だったのだ。
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スポーツ 2016年03月27日 12時00分
やさぐれユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」から感じる“あの匂い”
【俺はロス・インゴベルナブレスだ!】 昨年5月にメキシコCMLLでラ・ソンブラ、ルーシュらが結成したロス・インゴベルナブレスに加入した内藤哲也。ロス・インゴベルナブレスとは本来ベビーフェイス(メキシコではリンピオ)であるにもかかわらず、観客からブーイングをくらっていた選手たちが結成した、いわば“やさぐれ”ユニットである。3年前にG1クライマックスを初制覇してからの内藤もまさに同じような境遇に立たされていただけに、この合流は必然だったのかもしれない。【パレハ(友達)がいる】 ロス・インゴベルナブレス加入後、新日本プロレスマットでは仲間がいないため、しばらくは本隊の選手とタッグを組み、無気力試合を展開していた内藤は、次第にパレハの存在について示唆するようになった。そして、昨年10・12両国国技館の棚橋弘至戦にパレハが登場。EVILというリングネームで紹介されたのは、アメリカで武者修行していた渡辺高章だった。内藤&EVIL組で「WORLD TAG LEAGUE」への出場が決定すると、内藤はさらなるパレハの投入を予告。そして、11・21後楽園ホール大会において長期欠場から復帰予定だったが、直前でキャンセルしていたBUSHIが突如として内藤&EVILのセコンドとして現れる。対戦相手のドク・ギャローズに毒霧を吹いて勝利に貢献、電撃加入すると、ユニット名をロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに改めた。【BUSHI、EVILのタイトル挑戦】 結成当初はリーダーの内藤が「トランキーロ! 焦んなよ!」と、タイトルはおろか勝敗にも興味がない姿勢を見せていたロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンだが、昨年の「WORLD TAG LEAGUE」は準優勝、12・19後楽園大会ではBUSHIがマスカラ・ドラダを破りCMLL認定世界ウェルター級王座を獲得。年明けに陥落したものの、2・14新潟・アオーレ長岡大会でKUSHIDAが保持するIWGPジュニアヘビー級王座に挑戦するなど、ベルトへの意欲を見せた。また「NEW JAPAN CUP 2016」1回戦の3・3大田区総合体育館大会で行われた石井智宏戦で覚醒したEVILは、この試合で手応えを掴んだのか、3・20兵庫・ベイコム総合体育館大会で石井が持つROH世界TV王座に挑戦。結果は連敗を喫するも、あわやのシーンが連発し会場をどよめかせた。試合後、石井は「俺にとって、思ったとおりのあいつだったよ」とEVILの実力を認めるコメントを出している。「NEW JAPAN CUP 2016」を制し、IWGPヘビー級王座への挑戦権を得た内藤については次週の当連載で書きたいと思う。【伝説のユニットとの共通点】 ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを見ていると、90年代後半の新日本マットを席巻し、世間も巻き込んで空前のブームを築いた伝説のユニット、nWoジャパンを思い出す。海外の団体で結成されたユニットを新日本マットにも持ち込んだこと、そしてオリジナルのメンバー編成が3人であることは全く同じである。さらに、リーダーは本隊から独立した内藤が務め(nWoジャパンでは蝶野正洋)、凱旋帰国したばかりのEVILが合流(nWoジャパンでは天山広吉)、そして肝心要なところで試合に介入するBUSHI(nWoジャパンではヒロ斎藤)など、チームバランスに関してもよく似ている。 また、Tシャツやキャップといったグッズがよく売れているのも大きな共通点と言っていいだろう。nWoジャパンはカッコいいヒール軍団を目指して支持を得たのに対して、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンは“窓際族からの逆襲”的な流れで結成されたことが、逆にカッコいいとファンの共感を呼んでおり、新しいダークヒーロー像を築きつつある。 nWoジャパンはその後、武藤敬司(グレート・ムタ)や小島聡、そしてスコット・ノートン、nWoスティングなどの加入により勢力拡大を図ることで一大ムーブメントを巻き起こした。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンもROH世界ヘビー級王者ジェイ・リーサルと共闘するなど、勢力拡大を図っているだけに、これからどんなパレハが現れるのか注目したい。(増田晋侍)<新日Times VOL.11>
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アイドル 2016年03月25日 16時00分
武井壮がNMB48・渡辺美優紀の卒業報道にショック!
一部報道などで、NMB48のみるきーこと渡辺美優紀が近日中に同グループを卒業するのではと話題になっているが、タレントの武井壮がショックを受けていることがわかった。 自身のツイッターで武井は、「みるきー卒業のインパクトはオレ的にはジェラードのリバプール退団と同等レベル、いや中邑真輔の新日本退団、いやテリー・ウィットフィールドの西武ライオンズ退団と同等レベル、いやうまい例えが見つからないけどそんな衝撃なんだよ。。。」とコメントした。 渡辺美優紀は今年の総選挙を辞退したことなどから、ファンの間で、「卒業するのでは?」と話題になっており、一部スポーツ紙も、「みるきー卒業か」と報じている。しかし、渡辺本人や運営側からはまだ正式な卒業発表はまだない。
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スポーツ 2016年03月20日 12時00分
4・10両国に向けて動き出した新日本、棚橋の巻き返しはあるか?
「NEW JAPAN CUP 2016」(以下NJC)は、内藤哲也が後藤洋央紀を決勝で破り初優勝。試合後にはロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに襲撃された後藤をオカダ・カズチカ、石井智宏らCHAOSが救出。後藤は先月の大阪大会終了後よりオカダからCHAOSに勧誘され続けていたが、オカダが差し伸べた手を握り返したことで、ついにCHAOS入りが決定的となった。NJC覇者の内藤は、オカダが保持するIWGPヘビー級王座への挑戦を“上から目線”で選択。4・10両国国技館大会での対戦が決まった。 また、真壁刀義&本間朋晃が保持するIWGPタッグ王座への挑戦表明をしていたタマ・トンガは、実兄のタンガ・ロアをバレットクラブの新メンバーとしてパートナーに指名。こちらも4・10両国大会での挑戦が決定した。タンガ・ロアは、アメリカのWWEやTNAでカマーチョのリングネームで活躍した大物。実父のキング・ハクも1・4東京ドーム大会、1・5後楽園ホール大会にバレットクラブTシャツを着て参戦しており、バッドラック・ファレも含めて新日本マットにサモア旋風が吹き荒れそうだ。 さらに、第三世代に対して「ケツの青い先輩たち」と挑発を続けていたNEVER無差別級王者・柴田勝頼が、12日の青森大会で田口隆祐と組み、天山広吉&小島聡のテンコジタッグと激突。パートナーの田口が小島のラリアットでスリーカウントを許しただけでなく、試合後には自身も小島からラリアットを食らってリング上で大の字に。小島がNEVER挑戦を堂々と表明すると、バックステージに戻った柴田は、小島がNEVERへの挑戦権も掛けられていたNJCを2回戦で敗退したことについて苦言を呈した上で、挑戦を受諾。3・19愛知県体育館での対戦が決定した。 3・3大田区大会で、今年のNJCベストバウトと言ってもいい死闘を演じたROH世界TV王者の石井智宏とEVIL。この試合で開花したEVILは、12日の青森大会にてパートナーBUSHIの毒霧援護があったとはいえ、必殺技EVILで石井からスリーカウントを奪った。試合後にはリング上で石井のベルトを手にしアピール、バックステージでは「オイ! 無様な負け方だったな、石井! この後どうすんだ!? 答えは見えてんだろ」と凱旋帰国後、最も長い“日本語”でまくし立てた。この結果、3・20尼崎大会での挑戦が決定。EVILにとっては大チャンス到来である。 3・20尼崎大会では、もうひとつ気になるタイトルマッチが組まれた。それはケニー・オメガ&マット・ジャクソン&ニック・ジャクソンに棚橋弘至&マイケル・エルガン&ジュース・ロビンソンが挑戦するNEVER無差別級6人タッグ選手権試合だ。今年に入ってからの棚橋は、重要な試合で負けが込んでいる。1・4ドームでのオカダ戦、2・14新潟大会のケニー戦、そして3・3大田区大会でのファレ戦。“エース”にとってこの3連敗は痛いだろう。棚橋がこれから巻き返しを図るためには、どこに照準を絞ればいいのか? そんな中、今回組まれたタイトルマッチは、挽回のキッカケを掴む機会となるかもしれない。 棚橋がNEVERブランドに絡むのは今回が初めてのこと。本稿執筆時点で棚橋からコメントが出ていないので、あくまで推測に過ぎないが、その先にはケニーが保持するIWGPインターコンチのベルトがあるのは言うまでもないだろう。2年前に中邑真輔を破ってインターコンチのベルトを巻いた時、「オレの色に染める」と宣言していたが、結果的にそれは実現できなかった。そして中邑の離脱に際し、「鬼の居ぬ間にオレの色に染めますよ」と言って臨んだケニーとの王座決定戦でも完敗を喫してしまう。棚橋の中で「3度目の正直」という思いがあるのと同時に、まずケニーに勝たなければ巻き返しは図れないという気持ちもあるはずだ。 王者であるケニーの口からも「タナハシが挑戦してきても問題ない」という言葉があるように、棚橋に2連勝すればバレットクラブの新しいリーダーとして磐石の地位を築けるという計算があるはず。この2人に加え、IWGPヘビー級王座獲りを諦めていないエルガンや、LION'S GATEでノアの中嶋勝彦を相手に大善戦したロビンソン、そしてIWGPジュニアタッグ再戴冠を狙うヤングバックスが絡むこのタイトルマッチは、4・10両国、5・3福岡国際センター、そして6・19大阪城ホール大会までを占うカードになる可能性を秘めている。 巻き返しを図るエースが、初夏に向かう新日本の鍵を握っているのは間違いなさそうだ。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.10>
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スポーツ 2016年03月13日 12時00分
新日本の選手が実名で登場! 『タイガーマスク』3度目のアニメ化へ
新日本プロレス3・3大田区総合体育館大会の試合前にリングに登場した木谷高明オーナーは、アニメ版『タイガーマスク』の企画が進行中であることを明らかにした。 「私と同世代のかたは、昔のプロレスや野球、サッカー、すべて実名のスポーツ選手が出ていたアニメやコミックの記憶があると思いますが、いまはもはやそういうことができない時代になってます。ただ、新日本プロレスは違います! そのアニメの中で選手が次々、実名で登場します」 場内のビジョンにはタイガーマスクと対峙する“アニメ版”オカダ・カズチカの姿が映し出されていた。アニメ版の『タイガーマスク』は、1969年から71年まで、日本プロレスが全面協力のもと、よみうりテレビ・日本テレビ系列にて放送され、大ヒットした。アニメの中ではジャイアント馬場がグレート・ゼブラに変身している。そして、81年から82年までは新日本プロレスが全面協力のもと、『タイガーマスクII世』をテレビ朝日系列で放送。アントニオ猪木、山本小鉄からスタン・ハンセン、アンドレ・ザ・ジャイアントなど当時の常連外国人選手も実名で登場した。これに伴いデビューしたのが、初代タイガーマスク(佐山聡)である。このメディアミックスは大成功し、昭和の新日本プロレス黄金期を支えた。歴代の“プロレスラー”タイガーマスクのコスチュームは『II世』のデザインがベースになっている。 「このアニメは世界にくまなくネット配信や番組販売で広がり、世界中から引き合いがあるはずです。そのことによって、タイガーマスクというコンテンツと、新日本の選手が世界中に広まるんじゃないかと考えています。ブシロードという会社は、どちらかというと二次元中心で活動していますが、今はやはり二次元から三次元に入るという男性、女性が非常に増えています。このアニメを放送することで、アニメから入って新日本のファンになる人もいるんじゃないかと思います」 木谷オーナーは、3度目となるアニメ版『タイガーマスク』を新日本世界戦略用のコンテンツのひとつとして捉えている。日本のアニメ文化は、クールジャパンとして世界でも認められており、親会社のブシロードとしても得意なジャンル。現在、新日本は台湾で興行を行っているが、今年は香港やシンガポールでの開催も視野に入れており、アジアツアーに向けても強力なコンテンツになる可能性を秘めている。 「真壁(刀義)さんなんか自分でできるんじゃないですかね」と語った木谷オーナー。選手自らが声優を担当することに関しては、スケジュール等との兼ね合いもあるが、声優向きの選手に関しては可能性が残されているようだ。 「(提供スポンサーは)新日本とブシロードになるかもしれませんが、まだ決まってないです。そこはおもちゃや音楽、いろんな業界に広がってほしいなと思います。(放送開始時期については)編成の話なので言えないですが、そんなに遠くないはず」 最後に放送局などに関する具体的な質問が飛んだものの、木谷オーナーは調整中の部分に関しては明言を避け、「内容は今風になっていて面白い。女性ファンが増えるのではないか」と語った。ブシロードはかつてTOKYO-MXで再放送された『タイガーマスク』の1社提供スポンサーになった実績もある。『タイガーマスク』と『タイガーマスクII世』、アニメ版タイガーマスクはいずれもプロレスファンを爆発的に増やしてきただけに、今回も1人でも多くの目に触れる環境下での放送に期待したい。どのような形でプロレス界に還元されるのか、派生するさまざまな展開も含めて非常に楽しみである。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.9>
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スポーツ 2016年03月06日 13時00分
新日本の育成プロジェクト『LION'S GATE』を紐解く4つのワード
「他団体選手の招聘を含めて、ファーム(2軍)のようなモノを作りたい。イメージ的には小さな興行をやっていくと考えてもらってもいい。ファームの所属選手や、いろんな他団体を含めたトライアル、負傷欠場していた選手の再チャレンジの場所だったり、いろんなモノを試す場になればいいと思うし、いまの新日本は非常にレベルが高いリングなので、いきなりは上がれない場合もある。国内でこういう場が少なくなっているので、トライアル、チャレンジの場を作っていきたい」 昨年7月に行われた新日本プロレスの戦略発表会で、木谷高明オーナーはこのように「ライオンズゲート計画」をブチ上げた。その第1弾となる「LION'S GATE PROJECT 1」が先月25日に新宿FACEで開催され、467人(超満員札止め)のファンを動員。通常興行に比べて、チケット料金は安く設定され、逆に試合数は9試合と多く組まれたが、どの試合も内容が素晴らしく順調な船出を飾ったと言っていいだろう。次回大会も5月19日に同所で開催されることが会場で発表された。 これまでも新日本は「夢☆勝ちます」「ライオンズロード」「NEVER」などヤングライオン(新日本に所属している若手選手)はもちろんのこと、他団体やフリーの若手選手にも門戸を開放して育成を目的とした興行を開催してきたが、ブシロード体制になってからは初の試みとなる。今回のプロジェクトは“ファーム(2軍)”“所属選手”“他団体”“再チャレンジ”という4つのワードがポイントと言えそうだ。第1回大会では、それらを紐解く要素がたくさん散りばめられていた。 第1試合前には、アマレスの育成チーム「ブシロードクラブ」からプロレスデビューに向けて歩み始めた岡倫之と北村克哉が、レスリングのエキシビションマッチを行った。両選手ともにレスリング元全日本王者の実績を持っており、2人のヘビー級選手にも見劣らない肉体と潜在能力の高さを見たファンからは、即戦力として期待する声が数多く上がっていた。この試合でレフェリーを務めたのは、自身もアマレスの育成チーム(当時新日本が設けていた「闘魂クラブ」)からデビューした永田裕志。永田は「LION'S GATE PROJECT」のプロデューサー的な役割も担っている。 「この2人の潜在能力を、皆さん見ていただけましたでしょうか? 2月から新日本プロレスの道場に入って、目下、猛トレーニングをやっている最中であります。いずれこの『LION'S GATE』の舞台で2人はデビューすることになりますので、皆さん、その時までご声援よろしくお願いします」 試合後にマイクを持ち、岡と北村のデビューの場が通常興行ではなく『LION'S GATE』であることを明らかにした永田。興行終了後に改めて2人のデビュー時期について聞かれるとこう語った。 「僕は入門して4か月だったので、そういうの考えたら、どんどん早くていいんじゃないですかね。中西(学)さんなんて1か月半ですから。なんにもできないのに、急遽抜擢されて。受け身もできないのに、それでも壊れずにシリーズを完走しちゃった。(スコット・)ノートンやトニー・ホームやバンバン・ビガロとやっても(笑)。そういう怪物性が北村や岡にもある気はする。ただ、受け身とか最低限のものは覚えてくれないと、人材を壊すことになるので、習得すべきことは早く習得させたいですね」 “青い目のヤングライオン”ジェイ・ホワイトに胸を貸したプロレスリング・ノアの小川良成は、試合後にこんなコメントを残した。 「俺が新日本に上がるなんて想像もできなかったので、ちょっといい刺激をもらいました」 試合前にはノア期待の新人、清宮海斗と対戦する田口隆祐に小川が「しょっぱいから厳しくやってくれ」と話していたことも、田口のコメントから明らかになっている。 第1回大会は全試合で新日本vsノアというカードが組まれ、リングアナやレフェリーも両団体からそれぞれ務めた。第1試合では本城匠のデビュー戦の相手を“他団体”のマイバッハ谷口が務めたというのも異例である。現在のノアは昨年より新日本から乗り込んで来た鈴木軍と激しい抗争を繰り広げており、前日の後楽園大会で鈴木みのるに勝利し、杉浦貴が持つGHCヘビー級王座への挑戦権を獲得した中嶋勝彦は、鈴木に破壊された右腕の怪我を押しながらもガチガチにテーピングをして強行出場。ジュース・ロビンソンと今大会ベストバウト級の試合を行った。 「いつもの緑のマットとは違う熱が、ここにはあると思う。ぜひ2回目も開催してほしいですね。価値のある刺激が、このマットにあると思います。ノアも負けてられない」 試合後の中嶋はロビンソンとの対戦を振り返った後に『LION'S GATE』の継続開催を提唱した。中嶋に限らず、若手選手に胸を貸した両団体のトップ選手は新人選手との闘いを純粋に楽しんでいるように見えた。カード的には新日本vsノアという図式であるにもかかわらず、対抗戦というムードはなく、出場選手たちが団体の枠を超えてこのプロジェクトの趣旨を理解した上で試合に臨んだことが、大会を成功に導いた大きな要因ではないだろうか。 「試合の前の日、当日の朝までずっと、俺は『LION'S GATE』で何が必要か考えて、答えが出ないまま大会を迎えた。それで第1試合からずっと観てたら、ひたむきさとかがむしゃらとか、俺がとっくの昔に忘れてしまったこと、それを若い選手が見せてくれた。これが今日のテーマなんだって改めて思い知った」 これは天山広吉とのテンコジタッグで、平柳玄藩&キャプテン・ノアと対戦した小島聡のコメント。全9試合の中でこの試合だけチャレンジマッチという形ではなかったため、小島は試合直前まで己のテーマを見出すのに苦労したようだ。永田、中西とともに第3世代のテンコジだが、かつて開催されていた「夢☆勝ちます」には、彼らもヤングライオン時代にチャレンジする立場で出場している。通常興行でなかなかアピールする場がない第3世代にとって、『LION'S GATE』はあの頃とは違う意味で“再チャレンジ”できるチャンスなのだ。 「これから若い人材を、いろんなところから引っ張ってきたいと思います。最後は僕を打ち破って、若い選手が勝つのがいいんじゃないかと。ただ、僕の壁を打ち破るのは相当厳しいので、そこは覚悟しないとダメ」 メインでノアの北宮光洋と対戦した永田は、第1回大会をこのように総括した。永田としては、団体を問わず胸を貸すことに関して「いろんな選手とやるのはやぶさかではない」という。普段交わることがない他団体の若手選手にとって、永田を筆頭とする経験豊富な新日本の第3世代と対戦できることは財産であり、まさに第3世代の存在が『LION'S GATE』の価値を高めていくことになる。 興行面においてはプロ野球のファームのように、いずれは通常興行の日程に関係なく別動隊として『LION'S GATE』を開催していくのがベストだろう。新日本の大会が開催されている会場から離れていれば、同日開催でも問題ないだろうし、年に数回、後楽園ホールで“親子”興行を昼夜で開催しても面白い。『LION'S GATE』には、選手の育成に加えて、プロレス人口を増やすために小規模な地方会場でのシリーズ開催など、フットワークの軽さも期待したい。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.8>
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スポーツ 2016年02月28日 12時00分
新日本“春のG1”ニュージャパンカップ大予想! エルガン悲願のIWGP王座挑戦なるか?
新日本プロレス春の風物詩「ニュージャパンカップ」(NJC)の組み合わせが発表された。今週は今年のNJCの展望について書いてみたい。組み合わせと日程は次のとおりだ。『NEW JAPAN CUP 2016』◎1回戦(3・3大田区総合体育館)▼ブロックA棚橋弘至 対 バッドラック・ファレ天山広吉 対 マイケル・エルガン▼ブロックB真壁刀義 対 タマ・トンガ永田裕志 対 後藤洋央紀▼ブロックC本間朋晃 対 小島聡矢野通 対 高橋裕二郎▼ブロックD石井智宏 対 EVILYOSHI-HASHI 対 内藤哲也◎2回戦(3・4後楽園ホール)各ブロックの勝者が対決◎準決勝(3・12新青森県総合運動公園マエダアリーナ)ブロックAの勝者 対 ブロックBの勝者ブロックCの勝者 対 ブロックDの勝者◎決勝戦(3・12新青森県総合運動公園マエダアリーナ) 真夏の最強決定戦「G1クライマックス」がリーグ戦で行われるのに対してNJCはトーナメントで開催されるのが特徴のひとつで、優勝者には4・10両国国技館大会でIWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル、NEVER無差別級のいずれかのタイトルに挑戦する権利が与えられるため、各王者は参加しない。 優勝した場合、各選手はどのベルトに挑戦表明するのだろうか。予想をしてみた。◆IWGPヘビー級王座(王者 オカダ・カズチカ)ファレ、エルガン、永田、後藤、内藤 バレットクラブの中でもシングル志向なファレ、2・20後楽園でオカダに挑戦表明したエルガンは間違いなくIWGPを指名するだろう。永田は柴田の挑発もあり、NEVERの可能性もあるが「常に狙っているのはIWGP」との姿勢は崩していないので、優勝すればIWGPを指名するのではないだろうか。2・11大阪でオカダに敗れCHAOSに勧誘されながらも、精彩を欠いている後藤だが、NJPを過去3度制している“春男”。優勝すれば9度目のIWGP挑戦を選択すると予想した。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを結成してからベルトには興味がないスタンスを貫いている内藤だが、以前から因縁深いオカダからIWGPを獲りたい気持ちは誰よりも強いと思いたい。 この中で最もIWGPへの挑戦願望が強いのは先日挑戦表明したばかりのエルガン。昨年のG1から新日本へのレギュラー参戦でファンからの支持も厚いだけに期待したいところだが、一昨年のNJCでは柴田勝頼がオカダのIWGP戦が濃厚なムードの中、敗退したためカードが流れた経緯もあり、負けたら終わりというトーナメントならではの難しさがNJCにはある。◆IWGPインターコンチネンタル王座(王者 ケニー・オメガ)棚橋、トンガ、矢野、EVIL 2・14新潟でケニーとの王座決定戦に敗れた棚橋だが、パートナーのエルガンがIWGPに挑戦表明したことや「インターコンチを俺の色に染める」との公約も果たせていないことから、インターコンチと予想。外国人相手にも好勝負を繰り広げている矢野もインターコンチと予想した。EVILは同王座が生まれたアメリカから凱旋帰国したこともあり、このベルトを狙う資格は十分にある。 そしてトンガ。王者のケニーとは同じバレットクラブではあるが、AJスタイルズを追放してからアンダーソン&ギャローズ(2・20後楽園で離脱)、ファレ、トンガら初期メンバーと、ケニー&ヤングバックスからなるThe ELITEとの間にはお互いにセコンドに付かないなど、隙間風が吹いているように見える。トンガが優勝した場合はケニーとの対戦を要求し、モヤモヤを清算するのではないだろうか。トンガはバレットクラブの新メンバーとIWGPタッグ王座への挑戦も表明し受諾されており、1回戦の真壁戦は前哨戦も兼ねている。アンダーソン&ギャローズが抜けたことはトンガにとって大きなチャンス。NJCで飛躍することが出来るか?◆NEVER無差別級王座(王者 柴田勝頼)天山、真壁、本間、小島、裕二郎、石井、YOSHI-HASHI 前王者・石井が種を撒いた効果もあり、今年のNJCで一番指名されそうなのがNEVER無差別級王座だ。王者の柴田が第3世代を挑発したことにより、天山と小島もこの輪の中に加わることが予想される。 また4年振りにNJCの出場権を獲得したYOSHI-HASHIは、CHAOSの先輩だった中邑真輔が抜けたことで今大会からの飛躍が期待されている1人。1回戦はデビュー戦以来の対戦となる内藤哲也だが、タッグで対戦した2・19後楽園では内藤への怒りを露わにしており、この試合を突破出来るかどうかがポイントになりそうだ。今まで優勝選手がNEVERを指名した例がないだけに、そこも含めて注目である。 気になる優勝争いだが、ブロックAに棚橋、ファレ、エルガンといった優勝候補の3選手が入っており、順当に見ればここを制した選手が決勝まで進むのではないだろうか。反対側のブロックを見ると、石井と内藤が同じブロックDに入っており、このブロックを制した選手が決勝に進出すると予想する。その中でもやはりエルガンを推したい。優勝すればジャイアント・バーナード以来外国人選手としては2人目の快挙となるが、新日本のスタイルに順応出来るスーパーヘビー級外国人という面でもバーナードと被るところは多い。バーナードが棚橋のライバルであり続けたように、エルガンはオカダのライバルになり得る逸材だ。このチャンスをモノにして4・10両国のメインでオカダに対峙することを期待したい。◎NEW JAPAN CUP 歴代優勝者2005年 棚橋弘至2006年 ジャイアント・バーナード2007年 永田裕志2008年 棚橋弘至2009年 後藤洋央紀2010年 後藤洋央紀2011年 永田裕志2012年 後藤洋央紀2013年 オカダ・カズチカ2014年 中邑真輔2015年 飯伏幸太(増田晋侍) <リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.7>
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スポーツ 2016年02月22日 18時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈ド迫力の外国人“頂上決戦”〉
「出る前に負けることを考えるバカがいるかよ!」(アントニオ猪木) 「時は来た。それだけだ…」(橋本真也) 今ではこれらセリフとともに振り返られることの多い1990年2月10日の新日本プロレス東京ドーム大会。当初、大会の目玉とされていたのは、米国WCWで看板スターとなったグレート・ムタの凱旋マッチだった。 対戦相手も新日初参戦となるリック・フレアーという豪華カードで、新日ファンに限らず注目を集めていた。しかし、これが突如、一方的にWCW側からキャンセルされる。 「同年4月に開催予定のWWF興行『日米レスリングサミット』に新日が協力することになり、これに対し米国でWWFと興行戦争を繰り広げていたWCWが難色を示したのです」(プロレスライター) 最大の売り物を失ったのでは、大会開催そのものが危うい。新日の社長に就任したばかりの坂口征二にとっては、最初の大仕事でミソをつけることにもなる。 そこでひねり出したのが全日本プロレスへの協力要請という、当時としては誰も想像すらしていない離れ業だった。これにジャイアント馬場は二つ返事でOKを出す。 しかも、坂口の申し出は、かつて新日でも人気を誇ったスタン・ハンセンを借り受けたいというものだったが、馬場からの返答は「ジャンボ鶴田や天龍源一郎も貸し出す」という予想外の大盤振る舞いだった。 「表向きには“坂口の社長就任祝い”でしたが、その裏には馬場なりの計算もありました」(同) 実はフレアーの新日参戦が決まったとき、これに先立って新日と全日との間で結ばれた『引き抜き防止協定』に引っ掛かるとして、問題が生じていたのだ。 日本においては全日側が権利を持つフレアーを新日が招聘するにあたり、馬場が代償として要求したのはスティーヴ・ウィリアムスの移籍だった。 「フレアーの新日参戦がなくなれば、その移籍話も消えてしまう。しかし、馬場としては以前から目をつけていたウィリアムスを、どうしても獲得したかった。そのため、新日に恩を売るにしても、ハンセンの1回きりの貸し出しでは釣り合わないと考え、鶴田や天龍もと言い出したわけです」(同) 思惑はどうあれ、初の全日と新日による本格対抗戦は、ファンにとってムタの凱旋以上のインパクトを与えることになった。 発表と同時にチケットは完売。試合当日には東京ドーム周辺に、入場できないファンが層をなした。 水道橋駅からドームへ向かう陸橋では、大勢のダフ屋が「5万!」「7万!」と威勢のいい声を上げていた。 大会も中盤となる第7試合。花道に鶴田が登場すると、ドームが割れんばかりの大歓声で迎えられ、日本のプロレス界では初めてとなる観客席でのウエーブも巻き起こった。 ただし、試合そのものはやや低調に終わる。鶴田&谷津嘉章vs木村健吾&木戸修は、格の違いから鶴田組の圧勝。続く天龍&2代目タイガーマスクvs長州力&ジョージ高野は、どこかチグハグで噛み合わない試合となった。 顔合わせの新鮮さ以外に見どころの少ない展開に、やや冷めかけたファンの気分を再度燃え上がらせたのは、続いてのビッグバン・ベイダーvsスタン・ハンセン。両団体トップ外国人の激突であった。 試合開始早々、両者殴り合いの中で、ベイダーは右目眼窩底骨折の重傷を負う。その痛みからマスクを脱ぎ捨てると、場内ビジョンに、ベイダーの腫れ上がったまぶたが映し出された。 しかし、どよめく観客席をよそに試合は続行! 負傷のハンデもなんのその、ベイダーはコーナー最上段からのベイダー・アタックとボディーへの重爆パンチで畳み掛け、ハンセンの予告ラリアットもドロップキックで迎撃してみせる。 これにハンセンもブルファイトで応戦。一瞬の隙をついた不意打ちラリアットで両者場外へ転落すると、果てをも知らぬ乱闘へとなだれ込んでいった。 結果、両者リングアウトとなったが、平成版トップ外国人対決のド迫力は、大いに観客を満足させたのだった。
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スポーツ 2016年02月21日 16時00分
小橋建太「青春の握り拳」インタビュー いま蘇る四天王時代と全身全霊のプロレス愛!
90年代の全日本プロレスのリングには、「四天王」と呼ばれる男たちがいた。三沢、川田、田上、小橋。男たちが命を削って繰り広げた激しい闘いは「四天王プロレス」と呼ばれ、多くのファンを感動させ、勇気づけた。あれから約20年−−。四天王の一角であった小橋建太(当時、健太)が、あの“熱狂の時代”を、アツく振り返る−−。 −−発売されたばかりの『小橋健太、熱狂の四天王プロレス』(ワニブックス刊)、読み応え抜群でした! 小橋(笑顔で)ありがとうございます。 −−「四天王プロレス」の時代から、既に20年近くが経過していますが、なぜ今、四天王プロレスをクローズアップしたのでしょうか? 小橋 最近、プロレス人気が復活したといわれていますけど、四天王プロレスを知らない世代も増えている。その人たちにも「今のプロレス界全体に多大な影響を与えた、こういうプロレスもあったんだよ」ということを知ってほしかったのが一番ですね。今はユーチューブでも試合が見れますし、とにかく僕たちが“命を懸けてやっていたプロレス”を風化させたくないという気持ちが強かった。 −−実際、四天王プロレスは、今見ても色あせない激しい試合ばかりです。 小橋 でも、中には「危な過ぎた」とか「やりすぎだった」という声もあるんです。現在、四天王は誰もリングに上がっていないため、四天王時代のプロレスが選手寿命を短くしたという人もいますが、僕は結局25年やったし、まったくそんなことはない。「あのときのプロレスのせいで」と言われるのがすごく嫌なんです。だいたい、プロレスに「やりすぎ」なんてない。 −−やり切ってこそのプロレスだと。 小橋 はい。じゃあ、やりすぎないのがプロレスだというなら、なんのためにリングに上がっているんだって話ですよね。選手がリングに上がって一生懸命やれば、試合はどんどん激しくなるし、それを見てファンも熱狂する。この熱狂が生まれてこそ、選手と観客の間に一体感が生まれて、試合も白熱するわけですよ。四天王プロレスはそういう熱狂を生むプロレスだったし、僕たちも誇りと自信を持ってやっていた。そこに後悔はまったくないんです。 −−なるほど。時を超えるアツさが伝わってきます。 小橋 昔、ある方が「こんなプロレスを続けていたら10年持つ選手生命が1年で終わってしまう」と言っていましたけど、僕は長く続けることより、自分の思いをぶつけられるプロレスをして、悔いを残さないことの方が何倍も有意義じゃないかと思ってやっていました。 −−ただ、小橋さんは四天王の中では一番若手で、なかなか結果が伴わない時期もありましたね。 小橋 そうなんですよ。この本の巻末で対談した(レフェリーの)和田京平さんにも「負けてるイメージの方が強い」って言われたくらい(苦笑)。四天王時代の最初の頃は、勝てませんでした…。 −−そういう時期もあったからこそ、小橋さんに強い思い入れを持って見ていたファンも多かったのでは。 小橋 やっぱりファンの声援が何よりも力になりましたし、背中を押してくれました。だからなのか、逆に四天王時代の後半は負けてない。僕は四天王同士の三冠戦では、田上(明)さんには2戦2勝。川田(利明)さんには1勝2分けなんです。ただ、三沢(光晴)さんにだけは、三冠戦では一度も勝てませんでした…。 −−話は変わりますが、なんでも四天王時代の小橋さんのトレードマークでもあったオレンジのタイツは、松山千春さんに薦められたんだとか。 小橋 そうですね。最初は、赤いタイツをはいてたんですよ。馬場さんに「オマエ、赤はけ」って言われて。その頃、僕は馬場さんの付き人だったので、控え室に行ったら、そこに来ていた千春さんが「オマエ、若いんだからさぁ、オレンジの蛍光色とかそういうのはいた方が恰好いいよ〜」って言ってくれてね(笑)。オレンジにしたのは、そこからなんです。 −−オレンジというと、新日本時代の武藤(敬司)さんのイメージも強いですが、武藤さんよりも先だとか。 小橋 そうなんです! 武藤さんは「俺の方が早い」って勘違いされていたので、以前、トークショーで一緒になったときに、ちゃんとそこは言いました。「ムーンサルトは武藤さんの方が早いけど、オレンジタイツは俺の方が早いんです」って(笑)。 −−そんな会話もされているんですね(笑)。ところで小橋さん、今のプロレス界で、もし自分が現役だったら闘ってみたい選手はいますか? 小橋 そうですね…この答えは面白くないかもしれませんが、誰と闘いたいというよりも、今の全日本であったり、ノアを盛り返したい。やっぱり最近の新日本さんのブレイクぶりと比べると、あまりにも寂しいものがあるので。 −−やはり古巣が気になりますか? 小橋 というよりも、もっと昔の新日本と全日本のように、対抗勢力同士がお互い元気になってくれないと、プロレス界全体が繁栄しないですからね。 −−では、最後になりますが、本誌の読者にメッセージをお願いします。それこそ、現役時代は幾度もの手術からカムバックし、腎臓がんも克服するなど、不屈の闘志で復活を遂げられた小橋さんから、何かアドバイスをいただければと。 小橋 はい。僕ががんになったのは39歳。働き盛り、まだまだこれからってときで、なんとか復帰できたものの、本調子に戻ることは二度とありませんでした…。まして40、50代というのは、これまでの無理が体に出てくる時期。だから、そういう現実を一度受け止めて、その上で、また前に進めばいいと思います。「俺は若いんだ、俺は大丈夫」という気持ちは分かるんですよ。僕もそうでしたから。でも、大丈夫じゃないんですよね。 −−もう若くはないですからね。 小橋 ただ、40代、50代っていっても、まだまだこれからも青春ですから! −−いくつになろうと常に青春はできると? 小橋 はい。40、50代になっても楽しみはまだまだあります。 −−小橋さんは今、何をされているときが楽しいですか? 小橋 今は、娘と一緒に笑ってるときが一番ですかね。 −−女の子なら、プロレスラーにはなる可能性は低そうで一安心ですね(笑)。 小橋 男の子だったとしても、あまりプロレスラーにしたくはないんです。だって、僕が命を懸けてやってきた世界じゃないですか。プロレスに命を懸けられる覚悟がなければ、プロレスはやれないですから。 −−確かに、小橋さんの試合にはその覚悟がありありと見えていました。本の中で、「試合のフィニッシュのときに意識が飛んでいた」とありましたが、あらためてその映像を見ると、完全に意識がないのが分かります。 小橋 そうなんですよ。レフェリーのカウントが「ワン、ツー、スリー」と入った後に、京平さんに手を上げられたんですが、僕は朦朧としていたそうです。勝ち名乗りを受けて、(秋山)準に肩車されたあたりで、やっと意識が戻ったというか、状況が把握できた。 −−あれこそ覚悟というか、小橋さんのプロレス人生における背景を本で読んでから見ると、感情移入ができて泣けてしまいました。だから、この本はそういう楽しみ方もできるのかなと。 小橋 いいですね。みなさんにも、そういう楽しみ方をしてもらえたら素晴らしいですし、この本が、僕らが誇りを持ってやっていたプロレスを見てもらうキッカケになってくれればうれしいです。小橋建太=1967年3月27日生まれ。京都府出身。90年代後半から一世を風靡した元プロレスラー。『全日本三冠ヘビー級王座』『世界タッグ王座』『GHCヘビー級王座』など、多くのタイトルを獲得。現在は大学講師、スポーツ救命協会講師にも就任し、スポーツ全般の普及に努めている。2月14日13時〜女子レスラーの宝城カイリと、17時〜現役レスラーの潮崎豪とのトークイベントを開催。詳しくは公式HP=http://www.fortune-kk.com/まで。