新日本
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スポーツ 2016年06月12日 12時00分
棚橋、中邑不在もトランキーロ! 内藤旋風が大阪城上陸! 新日本6・19大阪城大会展望
新日本プロレス毎年恒例、6月のビッグマッチ「DOMINION」が今年も19日に大阪城ホールで開催される。昨年は21年振りに進出した大阪城ホールの日程に合わせて7月5日に開催したが、今年は会場は大阪城ホールのまま、日程を従来の6月開催に戻して行われる。今週は6・19大阪城大会の見どころをカード毎に書いてみたい。 6月19日(日)大阪城ホール『DOMINION 6・19 in OSAKA-JO HALL』16:00試合開始▼第0試合 ジェイ・ホワイト壮行試合天山広吉&小島聡&中西学 対 ジェイ・ホワイト&ジュース・ロビンソン&デビッド・フィンレー※15:30開始予定■見どころこの大会を最後にアメリカROHマットへ無期限遠征することが発表されたジェイ・ホワイトが第3世代トリオを相手にヤングライオン卒業マッチを行う。若手外国人勢の成長によっては数年後に夢のカードになる可能性もあるので見逃せない。▼第1試合真壁刀義&ヨシタツ&キャプテン・ニュージャパン 対 バッドラック・ファレ&高橋裕二郎&ハングマン・ページ■見どころ“ハンタークラブ”ヨシタツ、そしてキャプテンに強力な助っ人真壁を加えたトリオで、バレットクラブと対決。大阪城ホールでも「ハンターチャンス」が爆発するか?▼第2試合石井智宏&YOSHI-HASHI 対 SANADA&BUSHI■見どころSANADAとの一騎打ちを訴えていたYOSHI-HASHIだが、大阪城ではタッグマッチでの対戦となった。SANADAを破ればYOSHI-HASHIにもG1クライマックス出場の可能性が広がるだけに、この試合に勝ってシングル実現に持ち込みたいところ。▼第3試合 スペシャルシングルマッチ後藤洋央紀 対 EVIL■見どころ昨年11月大阪大会で対戦した時は後藤の反則勝ち、今年5月の福岡大会ではEVILが完勝した。3月の「NEW JAPAN CUP」から覚醒したEVILはロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの仲間であるIWGPヘビー級王者内藤哲也も一目置く存在に成長している。一方の後藤はCHAOS入りしてから重鎮的な存在感を示しているが、本人が目指す変化にまでは至ってない。迫力満点の日本人肉弾対決を制するのは後藤か?EVILか?▼第4試合 IWGPジュニアタッグ選手権試合イリミネーション式4WAYマッチ<第47代王者組>リコシェ&マット・サイダル 対 ロッキー・ロメロ&バレッタ<挑戦者組> 対 カイル・オライリー&ボビー・フィッシュ<挑戦者組> 対 マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン<挑戦者組>※リコシェ&サイダルの初防衛戦※4チーム同時に通常のタッグマッチを行い、敗れたチームから退場。最後まで残ったチームを勝者とする。試合権のある選手が敗れた時点でそのチームは退場。なお、トップロープを越えて場外に転落した場合も退場となる■見どころ大盛況だった「BEST OF THE SUPER Jr・XXIII」最終日の6・7仙台大会で、IWGPジュニアタッグチャンピオンチームのハイフライヤーズに六本木ヴァイス、レッドドラゴンが挑戦表明したことを受け、これにスーパーJr・を怪我で欠場したヤングバックスも加えた形で4WAY戦によるタイトルマッチが決定した。今回は最後の1チームが勝者になる勝ち残りのイリミネーションルール。世界のプロレスファンが羨む夢のカードが大阪城で実現する。▼第5試合 IWGPジュニアヘビー級選手権試合<第73代王者>KUSHIDA 対 ウィル・オスプレイ<挑戦者>※KUSHIDA2度目の防衛戦■見どころ「BEST OF THE SUPER Jr・XXIII」の決勝戦で田口隆祐を破り、初出場にして史上最年少優勝を飾ったオスプレイ。公式戦でのリコシェ戦はスーパーJr・史に残る名勝負だった。チャンピオンのKUSHIDAには新日マットに初参戦した4月の両国大会以来の挑戦となる。王者として夏以降のビッグマッチに臨みたいKUSHIDAにとっては落とせない試合。しかし今のオスプレイには恐ろしいくらいの勢いがある。ジュニア最高峰の試合になるのは間違いない。▼第6試合 IWGPタッグ選手権試合<第70代王者組>タマ・トンガ&タンガ・ロア 対 ジェイ・ブリスコ&マーク・ブリスコ<挑戦者>※ロア&トンガ組初防衛戦■見どころROHからブリスコブラザーズがIWGPタッグ王座に挑戦。GOD(トンガ兄弟)との兄弟タッグ対決に挑む。真壁&本間を相手に完勝して王座を奪取したGODは様々なタッグタイトルを巻いているブリスコブラザーズに勝って、タッグチームとしてのステージを上げたいところだが、一筋縄にはいかないだろう。▼第7試合 NEVER無差別級選手権試合<第11代王者>永田裕志 対 柴田勝頼<挑戦者>※永田初防衛戦■見どころ5・3福岡大会で柴田を破り王座を戴冠した永田だが、試合後には自ら再戦をアピール。柴田にリターンマッチの機会を与えた。この二人の絡みには新日本ならではのストロングスタイルを感じさせる殺伐としたものがあるだけに、今回の試合も死闘になるはず。永田は再び世代の壁を突き放すことができるか?▼第8試合 IWGPインターコンチネンタル選手権試合ラダーマッチ<第13代王者>ケニー・オメガ 対 マイケル・エルガン<挑戦者>※オメガ2度目の防衛戦※リング上に吊るされたベルトを獲得した選手が勝者となる■見どころ棚橋が怪我で欠場することを受けてエルガンが挑戦することになった。ケニーとエルガンは4・27博多大会で外国人ヘビー級対決のベストバウト級の試合を行っているだけに、棚橋の欠場は残念だが、このカードは大阪のファンの心も掴むはずだ。新日マット初のラダーマッチにも注目。▼第9試合 IWGPヘビー級選手権試合<第64代王者>内藤哲也 対 オカダ・カズチカ<挑戦者>※内藤2度目の防衛戦■見どころ4月の両国大会で内藤政権樹立後、新日マットは完全に内藤を中心に動いている。5月の福岡大会では石井を相手に初防衛。試合後にオカダがリターンマッチを要求し、今回の再戦が決まったわけだが、オカダは前シリーズで連日行われた前哨戦でも内藤の余裕を崩すことができなかった。それどころか、オカダ推しの木谷オーナーを訪ねるためにシンガポールに行ったり、本隊時代に最もブーイングを浴びた大阪のファンに対し「手のひら返しはしないで欲しい」と述べるなど、内藤の勢いは内外ともに止められない状況になっている。当日は木谷オーナーの来場も決定。内藤の言葉とは裏腹に内藤へ大声援が送られるのは間違いない。恐らくそれも内藤にとっては想定内なのだろう。ここまでは内藤の思惑通りに進んでいる。オカダはどんな秘策を持って内藤と対峙するのか?IWGP王者としてG1クライマックスに出場するのは内藤か? オカダか? その答えもトランキーロ! (焦んなよ!)である。 今大会は棚橋が怪我の治療に専念するため欠場となった。現在の体制になってから棚橋と中邑(現WWE)の2人がいないビッグマッチは初めてだが、内藤が旋風を巻き起こしたことにより、チケットも順調に売れている。既に1階席は完売し、若干数となった2階席も増席した。2年連続で大阪城ホールを超満員札止め(昨年は11,400人を動員)にすることが濃厚な情勢だ。新日本プロレス上半期の集大成大会とした「DOMINION」は今年も浪速を熱狂させる。(増田晋侍)<新日Times VOL.21>
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スポーツ 2016年06月11日 16時00分
プロレス解体新書 ROUND5 〈究極の兄弟弟子対決〉 流血ファイトの末に涙の抱擁
“原爆頭突き”の大木金太郎。やはりヘッドバットを得意とするボボ・ブラジルですら思わず顔をしかめたという必殺技を、アントニオ猪木は自ら頭を突き出すようにして受けてみせた。 新弟子時代からの互いの思いがリング上で交錯した。 力道山=日本プロレスの正統後継者というときに、まず名前が挙がるのはジャイアント馬場であろう。 力道山亡き後の日プロでエースの座を担い、また独立して全日本プロレスを旗揚げした後も、日プロゆかりのインター王座やアジアタッグなどのベルトを発展継承していった。 だが、力道山への思慕の強さ、精神面において最もその背中を追い続けたのは、大木金太郎ではなかったか。 力道山に憧れて韓国から密入国しての日プロ入門。 「朝鮮人はパッチギ(頭突き)が強い」と、当時、広くいわれていたイメージからこれを鍛えるよう力道山に命じられると、昼夜を問わず一心不乱にサンドバッグめがけて前頭部を打ち込んだ。 力道山の死後は、帰国して『大韓プロレス』を旗揚げ。韓国では本名のキム・イルとして闘った大木の人気は、師の力道山に迫るものがあったという。 試合のテレビ中継が始まると、街中に設置された白黒テレビの前に大勢の人が押し寄せたものだった。 ちなみに、この頃の敵役は欧米人のほかに日本人を名乗る選手もいたようで、その詳細はよく分かっていないが、多くは日本人を名乗る日系選手か、レスラーとは名ばかりの素人であったと思われる。 まっとうな日本人プロレスラーとしては、1965年にソウルで行われた『5カ国親善プロレス』に、大熊元司が参戦した記録が残っている。 なお、このときの大熊は、相撲から転向してデビュー3年目だった。それでいて日本代表とされた上に、大木と並ぶ韓国のスター選手・張永哲を過度な攻め(逆エビ固め)で潰したとして、セコンドが大挙乱入。あわれ大熊は報復の集団リンチを受けるハメになった。 ともかく、韓国でスターの座を獲得しつつあった大木であったが、'66年には日プロに復帰することになる。 アントニオ猪木が東京プロレスに参加したため、その穴埋めとして日プロからの要請を受けてのことだった。 大木が韓国でのエースの座を捨ててまで、日本で馬場の二番手になることを選んだ動機は、やはり「力道山先生の創った日プロを潰すわけにはいかない」という点が大きかった。 その後、日プロに猪木が復帰して、中堅に甘んじた大木に対し、国際プロレスからトップ待遇でのスカウトがかかった際も、結局は残留を選んでいる。 日プロ崩壊寸前の最末期に、NET(現在のテレビ朝日)が坂口征二を介して新日本プロレスとの合併を持ち掛けた際も、大木は坂口を「裏切者」呼ばわりして追放し、日プロ単独での生き残りを図った。 これらは、すべて師・力道山のためであった。 大木のそんな思いも空しく日プロが崩壊すると、当初は馬場の全日へ身を寄せたが、待遇への不満から早々に離脱する。大木の保持していた、力道山から続くインターヘビー、アジアヘビーの防衛戦が組まれなかったことが、大きな原因の一つだった。 しかも韓国においては、先に大熊に潰された張が「プロレスはショーである」と暴露したことの影響で、人気が急降下。興行の規模は縮小し、テレビ中継も打ち切り状態となって、大木は日本に活路を求めるしかなかった。 そこに声を掛けたのが、猪木の新日本プロレスである。日プロを飛び出したという点では猪木もまた裏切者だが、大木の猪木への思いは、馬場や坂口に対するものとはやや異なる。 新弟子時代の2人は、入団当初からスターを約束された馬場と違って、師匠の力道山からイジメにも近いしごきを受けていた。また大木は猪木が当初、日系ブラジル人とされていたプロフィールを信じ込み、“在日仲間”として親しみを感じていたともいう。 「猪木にしても、大木が晩年に体調を崩して長期入院していた頃、最初にテレビ番組の企画で訪れた後も、何度か韓国まで見舞いに訪れていて、100万円の見舞金まで渡していたそうです。猪木の人情味あるエピソードは珍しく、やはりどこか大木への特別な思いがあったのでしょう」(プロレス記者) そんな2人の対戦は、勝った猪木はもちろん、敗れた大木にとっても生涯屈指のベストバウトとなった。 '74年10月10日、蔵前国技館。 序盤のヘッドバットをめぐる攻防から、徐々にペースをつかんだ大木が頭突きを連発。これを受けきった猪木がバックドロップで大木を下すと、両者はリング上で固く抱き合い、人目もはばからずむせび泣いた。このときの両者の心情はいかばかりであったか。 なお、大木はこのときの新日参戦で、因縁深き坂口とは感情むき出しのセメントマッチを繰り広げている。それだけにいっそう猪木との好勝負は、裏に秘められた互いの情感を想起させるのだ。
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スポーツ 2016年06月05日 12時00分
新日ジュニアに新時代の到来! リコシェとオスプレイが奏でた16分47秒の神試合!
5月27日に後楽園ホールで行われた「BEST OF THE SUPER Jr.XXIII」公式戦。メインイベントには、リコシェとウィル・オスプレイによる外国人対決がラインナップされた。世界を代表するハイフライヤー同士の対決に戦前から注目が集まっていたが、ゴングが鳴ると両選手はいきなり立体殺法を繰り出し、お互いにヘッドシザースドロップで着地しただけで後楽園ホールは大爆発。スワンダイブ式フライングボディアタックセカンドロープからのトルニージョ(きりもみ回転式のプランチャ・スイシーダ)ハンドスプリング式スピンキックスワンダイブ式フライングフォーアームトルニージョ式サスケスペシャル変型カナディアンハンマーリバースフランケンシュタイナーその場飛びスパニッシュフライ 次々に飛び出す難易度が高い技の数々に対してファンは「This is awesome!!」(これは凄い)チャントを送るなど、盛り上がりが尋常ではなかった。気がつけば、リコシェのパートナーであるマット・サイダルも客席の後ろから目を輝かせながら2人の攻防に一喜一憂している。他にヘビー級の選手も含め、多くのレスラーたちがインタビュールーム前に設置されているモニターの前に椅子を並べてこの試合を見ていたそうだ。 試合はリコシェがオスカッターをキャッチして変型のジャンピングパワーボムで叩きつけてから一気に仕掛け、変型ノーザンライトボムからのブレーンバスター、その場飛びシューティングスタープレスを敢行。さらにトップロープからの630°スプラッシュを放つも自爆し、高角度の変型DDTを喰らってしまう。最後はコークスクリューキックからの必殺オスカッターでオスプレイが勝利を収めた。試合時間は16分47秒。 試合の途中からは勝敗のことなど吹っ飛んでいたファンが多かったのではないだろうか。試合後、リコシェが再戦をアピールし、オスプレイが握手で応えると大きな拍手と歓声がリング上の2人を包み込んでいた。さらに印象的だったのは、選手が退場しても観客がなかなか帰ろうとしなかったこと。私がインタビュールームから戻った時には、リングの撤収作業が行われていたのだが、まだ残っているファンが多数見受けられた。何人か話しかけてみると「あまりにも凄いものを見てしまったので呆然としてしまいました」「もう少しこの余韻に浸りたい」「今年のベスト興行」といった賞賛の声を聞くことができた。リコシェとオスプレイによる16分47秒の闘いは、新日ジュニアに新時代の到来を感じさせるには十分な内容だったのだから、当然だろう。 ここ数年、KUSHIDAを中心に築き上げてきた新しい新日ジュニアのブランドは外国人選手にもしっかりと根づいている。かつての新日ジュニアも獣神サンダー・ライガーを中心に築き上げ、外国人選手が広げていくことでブランド化した。 この試合は新日本プロレスワールドを通じて世界に同時配信されたが、これを見た元新日本プロレスのエース外国人だったビッグバン・ベイダーや、元新日本の常連外国人で現在WWEのウィリアム・リーガルなどがTwitter上で賛否両論を唱えており、世界中のプロレスラーにインパクトを与えた試合になったようだ。反響が大きいことを受けて新日本は、スーパーJr.の決勝が行われる6月7日までの限定ながら、新日本プロレスワールドとYouTubeで同試合の完全ノーカット版を無料配信することを決定。YouTubeでは6月1日現在、6万回を超える再生を数えている。良いものはより多くの人に見てもらいたいという新日本の柔軟な姿勢は評価するべきだろう。実況が入っていないこともあり、当日の会場の熱い雰囲気がストレートに伝わってくるのもポイントが高い。 試合後、敗れたリコシェが「俺たちは何回も闘ったことがあるから、お互いの技をわかっているんだ」と言えば、勝ったオスプレイは「リコシェは新しい時代を切り開いたハイフライヤーだが、俺は乗り越えてみせる」とコメント。この2人がアリーナクラスや東京ドームで対戦したらどんな試合になるのだろうか。こんなワールドクラスのカードが新日本マットで見られる幸せを噛み締めた5・27後楽園大会だった。(増田晋侍)<新日Times VOL.20>
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スポーツ 2016年06月04日 15時00分
プロレス解体新書 ROUND4 〈日米王者の友情物語〉 “東洋の巨人”と“人間発電所”
ジャイアント馬場の好敵手であると同時に真の友人だったともいわれるのが、“人間発電所”の異名を取ったブルーノ・サンマルチノだ。 自身が王者のWWWF(現WWE)が新日本プロレスと提携してもなお、ライバル団体である馬場の全日本へ参戦を続けていた。 米国における英語のニックネーム“パワーハウス”も、やはり発電所を意味する単語ではあるが、これはサンマルチノの力自慢と“パワー”の部分を掛けたニュアンスからのもの。 日本のプロレスマスコミはこれを直訳して“人間発電所”としたが、まさに無尽蔵に力が生み出されるかのごときサンマルチノの肉体を象徴する、秀逸なニックネームといえるだろう。 身長182センチと当時のプロレスラーとしては決して長身ではないが、分厚い胸板から繰り出される明快なパワーファイトは説得力十分。 1963年、初代WWWF王者のバディ・ロジャースをわずか48秒で下して2代目王者になると、以後は通算10年以上の長きにわたって王座に君臨し、“MSGの帝王”とも称された。 試合開始からパワー全開、短時間のうちに相手を叩き潰すというファイトスタイルは、のちのハルク・ホーガンやアルティメット・ウォリアーらにも受け継がれる伝統様式とまでなっている。 重爆ストンピングからベアハッグ、あるいはカナディアン・バックブリーカーで締め上げて勝ち名乗りをあげる。そんなパワー一辺倒の戦いぶりは、カール・ゴッチらレスリング巧者からは「ニューヨーク以外では通用しない」と軽んじられた。 しかし、こと日本においては、とりわけ馬場との試合でその色合いを異にしている。 '67年、ファン待望の初来日を果たしたサンマルチノは、馬場の持つインターナショナル選手権に2度挑戦。いずれも結果は引き分けであったが、蔵前国技館での2戦めは時間切れのドロー。 「腰痛のためバックブリーカーを使えなかったというが、それでもベアハッグとパンチ、ストンピングで試合を組み立て、フルタイムを戦ってみせた。もともとは重量挙げの選手でレスリング技術はなかったかもしれないが、それでも存在感は抜群。観客に魅せる技術はやはりトップクラスだった」(ベテラン記者) 日本での馬場とのシングル対決は計10戦。中でも名勝負といわれるのが、2度目の来日時、やはり馬場のインター王座に挑戦した'68年8月7日、大阪球場での試合だ。 雨天順延となりながら1万4000人の大観衆を集めて行われたこの一戦。 サンマルチノがバックブリーカー、馬場が32文ロケット砲とそれぞれの必殺技で1本ずつを取り合うと、3本めは場外乱闘から馬場がサンマルチノを鉄柱へぶつけて、カウントアウト直前にリングイン。勝利を収めた。 「リングアウトとはいえ、現役世界王者のサンマルチノに完全勝利を収めたことは、当時としてはとんでもない快挙。力道山ですらNWA在位中のルー・テーズには勝てなかった。これ以降、馬場自身はもちろん、インターベルトに対しても、メディアやファンからの評価はグンと上昇することになった」(同) プロレス界において、今とは比較にならないほど世界王者の価値が高かった時代。これを成し遂げたのは、もちろん馬場の政治力があってのことだが、加えて両者の信頼関係というのも重要なポイントだろう。 '74年にWWWFと新日本プロレスが提携した後、王者サンマルチノが単独で全日のリングに上がり続けたのも、それがあってのことといわれる。 「新日の敵対団体である全日に参戦するなどは、新日からすれば重大な契約違反。ただ新日としては、それを黙認してもWWWFの外国人ルートを必要としていたし、またサンマルチノも長年の功績からわがままを言えるだけの存在だった」(同) “東洋の巨人”として米マットを席巻した馬場の武者修行時代、キャリアが同等だったことからサンマルチノとの間に友情関係が芽生えた−−というのがプロレス界の定説。サンマルチノが馬場に、自前のキャデラックをプレゼントしたとのエピソードもよく知られたところだ。 馬場も自著で、数少ないレスラーの友人の一人としてその名を挙げている。 ただし、馬場は後年まで英語がつたなく、両者の会話は通訳を介して行われていたというから、いわゆる純粋な友情となるとどうだったか…。 「馬場は全日旗揚げ時、外国人選手を確保するために相当な金をアメリカマット界にばらまいたともいわれている。サンマルチノにしても、新日に出れば所属団体と新日の契約。でも、全日なら個人の契約だから、そのぶん実入りが多くなるというのはあったんじゃないか。もちろんその根底には、馬場への信頼があったことには違いないのだろうけどもね」(同)
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スポーツ 2016年05月29日 15時00分
プロレス解体新書 ROUND3 〈ジャンボ鶴田の偉業〉 AWA王者として全米ツアー
本場アメリカで最も活躍した日本人レスラーは誰か。人によって評価の基準は異なろうが“格式”という点ではジャンボ鶴田だ。 世界三大タイトルAWAのメジャー王者としてベルトを巻いただけでなく、米国内でツアーまでこなした日本人は、これまでに鶴田ただ1人なのである。 鶴田ほどに現役当時の実力と人気が乖離していたレスラーはいないだろう。 アメリカにおいての人気や知名度ではグレート・ムタやババ・ザ・ジャイアント(ジャイアント馬場)に引けを取るかもしれないが、鶴田はメジャー王者だったのだ。王者として巡業することは、つまり団体の命運を握ることであり、その責任の重さは計り知れない。 そのAWAのベルトを奪取したのが1984年2月23日、蔵前国技館でのニック・ボックウィンクル戦。鶴田の持つインターナショナルヘビー級王座とAWAの二冠戦として行われた。 鶴田がそのインター王座を獲得した前年8月のブルーザ・ブロディ戦で、師匠の馬場は「今日からおまえがエースだ」と勝利を讃えている。 それでも当時は、まだまだ“馬場の全日本”であり、タイガーマスクや維新軍などの新風に沸く新日本とは、大きく水を開けられていたのが実情だった。 鶴田を確固たるエースとしてファンに認めさせるには、それまでの海外一流選手と好勝負はしても勝ちきれない、“善戦マン”との評価を変える必要があった。 そのためにまず行われたのが、ルー・テーズによる“へそで投げるバックドロップ”の伝授であり、続いてのインター王座獲得。そうして迎えたAWA戦は、鶴田にとって必勝が義務付けられていたといっても過言ではない。 「ただし、いくら世界戦とはいえ、ニックと鶴田で大会場を埋めるのは難しいというのが会社の判断で、特別レフェリーには前年に引退試合を行ったテリー・ファンクが配された。さらに、セミファイナルでは、天龍源一郎とリッキー・スティムボートのUN世界王座決定戦も組まれました」(元・全日関係者) ちなみにこのUN王座はデビッド・フォン・エリックが保持していたが、防衛戦のため来日した直後に急死。急きょ決定戦に変更されて、天龍悲願の初タイトル獲得となっている。 メーンの鶴田vsニックは30分を超える熱戦となった。ニックの執拗な腕攻めなど老獪なテクニックに翻弄されながらも、鶴田は随所にパワーを発揮し、最後はテーズ直伝のバックドロップで仕留めてみせた。 鶴田の完勝によるAWA奪取と、その3日後の大阪での防衛戦は、ファンにとって意外なものだった。 「たとえ鶴田が勝っても、特別レフェリーのテリー絡みのトラブルで“タイトル移動がなくなるのでは?”との予測が外れたのがまず一つ。さらに2度試合が組まれていることから、馬場のNWA王座と同様、もし獲っても“すぐに陥落するレンタル王者に終わるのでは?”との見方です。いずれも杞憂に終わりました」(プロレスライター) この直後からアメリカに渡って3度の防衛戦をこなすと、帰国してさらに3戦。再度アメリカでツアー参戦し、5月にリック・マーテルに敗れるまで計16度の防衛を重ねることになる。 今に至るまで日本人プロレスラーの誰も成し遂げたことのない、まさに偉業である。 この米国防衛ロード、全日本側には鶴田格上げのためとの明確な理由があったが、ではAWA側が、なぜ未知数の日本人を王者に迎えたのかといえば、それにも理由はあった。 「80年代に入り激しさを増したWWFの攻勢に、AWAは大きな危機感を覚えていた。それでテリトリーを日本にも拡大しようという意図から、鶴田を王者に抜擢したわけです」(同) ところが、そんな両者の目論見はもろくも崩れる。 まず、当初の予定で鶴田は日米を股にかけ、長期王者として君臨するはずだったが、あまりのアメリカでの不人気で、その予定を変更せざるを得なかったのが誤算だった。 「異国人の鶴田ではベビー(善玉)は張れないし、かといって分かりやすいヒール(悪玉)でもない。アメリカの試合ではレフェリーの隙をついたラフファイトを見せたり、それを注意されるとリック・フレアーばりの『NO! NO!』もやりましたが、やっぱりそれだけでは受け入れられませんでした」(同) さらに国内では、長州力率いるジャパンプロレスの全日参戦が始まり、そちらに注目が集まることになる。その長州とのシングル戦で、鶴田は余裕の戦いぶりで格上感を見せつけたものの、逆に“本気を出していない”とファンの反感を招いたりもした。 また、AWAもWWFの大量引き抜きにより弱体化。日本では新日本とも提携するなど存続を模索したが、1991年には事実上の活動停止を余儀なくされた。
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スポーツ 2016年05月29日 12時00分
約7年ぶり! “ジュニアオールスター戦”スーパーJカップの出場枠が決定! 気になる「X」は?
3月3日の新日本プロレス大田区総合体育館で、木谷高明オーナーから約7年ぶりとなるスーパーJカップ(以降Jカップ)の開催が発表された。Jカップは過去5回行われているが、毎回ホスト役を務める主催団体を持ち回り的に変えることで、業界全体の大会であることを打ち出している。過去の大会の主催団体と優勝選手は次のとおりだ。1st STAGE 新日本プロレス(1994年) <優勝>ワイルド・ペガサス2nd STAGE WAR(1995年)<優勝>獣神サンダー・ライガー3rd STAGE みちのくプロレス(2000年)<優勝>獣神サンダー・ライガー4th STAGE 大阪プロレス(2004年)<優勝>丸藤正道5th STAGE 新日本プロレス(2009年)<優勝>丸藤正道 今回は「スーパーJカップ2016」というタイトルになり、Jリーグのブームにあやかって付けられた「STAGE」という名称がタイトルからはずれた。また主催団体はプロレスリング・ノアと新日本が共催することになった。トーナメント1回戦は7月20日に後楽園ホール(8試合)が行われ、2回戦、準決勝、決勝をノアのお膝元でもある有明コロシアムで8月21日に行う。有明コロシアム大会ではジュニアのスペシャルマッチも組まれる予定だ。 また団体(または軍団・ユニット)別の出場枠も決定し、発表された。新日本プロレス 本隊 3新日本プロレス CHAOS 1全日本プロレス 1プロレスリング・ノア 3鈴木軍 2ドラゴンゲート 1KAIENTAI DOJO 1琉球ドラゴン プロレスリング 1ROH 1CMLL 1X(未発表) 1計16選手 Jカップは第1回大会から普段絡みがない団体や選手による対戦が注目されるが、今回は全日本の参戦がサプライズと言ってもいいだろう。3月の時点で全日本は出場団体に入っていなかった(逆に名を連ねていたゼロワンは外れている)。全日本は世界ジュニアヘビー級王者である青木篤志が参戦すれば久々にノア&新日本の選手と絡む可能性があり、楽しみが膨らむ。 出場選手は参加各団体に委ねられており、KAIENTAI DOJOはJカップへの出場権を懸けた予選を行うことが発表されている。代表のTAKAみちのくは第1回Jカップが自身の出世試合だったので、思い入れが強いのだろう。層が厚い新日本は本隊とCHAOSを合わせて4枠あるが、ROHやCMLLの代表選手も新日本への参戦経験者が出場することが濃厚で、新日本ジュニアという括りでは6枠。IWGPジュニア王者はもちろん、21日から開幕した「ベスト・オブ・ザ・スーパーJr.」の上位選手がラインナップされるのは間違いない。 ノアも現在ノアマットに参戦している鈴木軍を含めれば、ノアジュニアから5枠という見方もできる。TAKAみちのく、タイチ、エル・デスペラードといった鈴木軍のジュニア部隊は昨年1月、ノアに戦場を移してから新日本ジュニアの主力とはシングルを行っていない。特にデスペラードはノアで自信を深めているだけに、何としてでも出場したいはずだ。 前大会でYAMATOが出場したドラゴンゲートは今回も若手の有望株を送り込んで来ることが予想される。Eitaあたりが出場すれば話題を呼びそう。琉球ドラゴンはライガーとも対戦経験がある代表のグルクンマスクが初出場か? そして気になるのは今回「X」となっている未発表枠。団体数の増加に加えて日程などの都合もあり、なかなか全ての団体のジュニア選手が一堂に会するのは難しい。個人的にこの「X」で期待したい選手がいる。それは今年1月の「ファンタスティカマニア」後楽園ホール大会で、一夜にして旋風を巻き起こしたカマイタチ(高橋広夢)だ。現在カマイタチはROHなどに出場している。「X」枠で出場するに値する選手なのは言うまでもない。帰国後はジュニアを背負う覚悟があることもインタビューなどで明らかにしているだけに、Jカップでの本格凱旋に期待したい。 過去の大会ではいろんな夢を見せてくれたJカップの復活はプロレス界にとっても喜ばしいことだ。これを機に4年一度、オリンピックイヤーの定期開催検討を願っている。(増田晋侍)<新日Times VOL.19>
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スポーツ 2016年05月23日 16時00分
プロレス解体新書 ROUND2 〈A猪木vs藤原喜明〉 思惑が入り乱れた末の師弟対決
「この1年半のUWFの闘いがなんであったかを確認するために、新日本に来ました」 1985年12月、両国国技館のリング上から、前田日明のあいさつとともに新日本プロレス復帰参戦を表明したUWF。翌年明けからアントニオ猪木への挑戦権をかけたUWF勢によるトーナメント戦が始まり、これを勝ち上がったのが藤原喜明であった。 猪木への挑戦者決定戦となった藤原vs前田。その結着のゴングが鳴らされた瞬間、会場は低いどよめきに包まれた。そもそもどちらが勝ったのかが判然としない。 マットに伏せ倒れているのは藤原だが、一方の前田も脚を引きずり顔をしかめている。結果、レフェリーにより勝ちを告げられたのは藤原であった。 テレビ解説の山本小鉄は、「藤原に足首を極められた前田がギブアップした直後、藤原は前田のスリーパーで締め落とされた」と、不透明な結末への補足説明をした。だが、勝った藤原への歓声はまばらで、それよりも前田敗退への落胆の溜息が会場のあちこちから漏れ聞こえることになる。 この試合が前田の地元大阪で行われたため、というばかりではない。当時、選手の大量離脱など暗い話題の多かった新日において、前田はファンの“希望”だったのだ。 この頃、新日の常連外国人といえば、すでに猪木とは格付けの済んだ感のあったディック・マードックにマスクド・スーパースター。エリック兄弟はまだ若く、猪木よりも藤波辰爾らのライバルと見られていた。 唯一、猪木と完全決着がついていなかったのはブルーザー・ブロディだが、前年暮れのMSGタッグリーグ決勝をボイコットし、新日離脱が濃厚視されていた(以後、いったん新日に復帰した後、再度離脱して全日本プロレスへ)。 そんな中にあって、前田は猪木の敵役として、また次代のエースとしても、その活躍が渇望されていた。しかし、その期待は藤原の勝利により、先送りとなってしまった。 そうして2月に行われた猪木と藤原の試合は、名目上は“新日とUWFの頂上決戦”とされたものの、かつて両者が師匠と付き人の関係にあったことはコアなファンならば先刻承知。そのため当初から、藤原の下剋上を期待する声は薄かった。 猪木もまた、あくまでも自分が格上であることを意識した試合運びで、藤原のアキレス腱固めには「極める角度が違う」と上から目線のアピール。さらには局部への蹴りや顔面へのストレートパンチとやりたい放題の末に、藤原をスリーパーで締め落としてみせた。 これに怒ったのがセコンドの前田で、勝ち名乗りを上げる猪木に駆け寄ってハイキック一閃。マットに崩れる猪木を尻目に、「猪木なら何をしても許されるのか!」と吐き捨てたその姿は、プロレス新時代の到来を予感させるに十分だった。 「この時点で新日は、猪木vs前田を将来のドル箱カードとして見据えていました。そのことはもちろん猪木も納得済みです。そうでなければ前田のキックを食らったりはしない。次につながるストーリーがなければ、ただの蹴られ損ですから」(当時の新日関係者) では、なぜこのカードは実現しなかったのか。 「というか、あの時点で実現したとして、いったいどっちが勝つんですか? かねてから『ワールドプロレスリング』中継を担うテレビ朝日は、あくまでも猪木がトップでなければ、テレビ放送する価値がないとの構え。だからといって、将来のエース候補である前田を簡単に潰すわけにもいかない」(同) やる以上は、前田がトップに立つことをファンや関係者に納得させた上で、最低でも猪木と互角以上の闘いを見せなければならないわけである。そうして、そんな要望に応えるかのごとく、前田は着実に実績を重ねていった。 タッグ戦ながら猪木にリングアウト勝ちを収めると、ドン・中矢・ニールセンとの異種格闘技戦でも激勝を果たす。これにより、いよいよ世代交代が現実味を帯びてきたかに見えたのだが、そこで思わぬ横やりが入る。 新日vsUWFの対抗戦は、ライトなファン層からすると関節技主体の攻防が地味に映ったのか、コアなファンの熱狂とは裏腹に、テレビ中継の視聴率はむしろ対抗戦以前よりも低くなってしまったのだ。 そのためテレビ朝日の要望で、『全日本プロレス中継』(日本テレビ系)を活性化させた立役者である、長州力の新日復帰工作が始まった。 長州路線で行くとなれば、もはや猪木と前田が闘う必然性はない。前田を新エースの座に就かせる“大河ドラマ”は、シナリオ変更を余儀なくされてしまったのだった。
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スポーツ 2016年05月08日 12時00分
誰がKUSHIDAを止めるのか? 新日本プロレスジュニアの祭典出場選手決定!
今年で23回目を迎える新日本プロレスジュニアヘビー級選手の最強決定戦「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア23」(以下BOSJ)の出場選手が3日福岡国際センター大会の休憩前に発表された。<出場選手> 【Aブロック】KUSHIDA(7年連続7回目)※第73代IWGPジュニアヘビー級王者、2015年優勝田口隆祐(11年連続12回目)※2012年優勝カイル・オライリー(2年連続2回目)※2015年準優勝マット・サイダル(初出場)ロッキー・ロメロ(5年連続6回目)外道(2年連続10回目)BUSHI(2年振り4回目)マット・ジャクソン(2年振り2回目)【Bブロック】獣神サンダー・ライガー(16年連続20回目)※1994年、2001年優勝タイガーマスク(15年連続15回目)※2004年、2005年優勝ボビー・フィッシュ(2年連続2回目)バレッタ(2年連続3回目)ニック・ジャクソン(3年連続3回目)リコシェ(2年振り3回目)※2014年優勝ボラドール・ジュニア(初出場)ウィル・オスプレイ(初出場) 5月21日後楽園ホールで開幕戦を行い、各ブロック総当りで対戦。最終戦の舞台として今年は6月6〜7日に仙台サンプラザでの2連戦が決定している。2014年の飯伏幸太、2015年のケニー・オメガと当時のIWGPジュニアヘビー級王者が2年連続で出場しなかったため、6月(昨年は7月)の「ドミニオン」で優勝者が挑戦する流れになっていたが、今年は福岡大会で行われたタイトルマッチの前にメンバーが発表され、チャンピオンのKUSHIDAも、挑戦者のライガーも名を連ねていたため、3年振りにIWGPジュニア王者が出場することになった。 Aブロックは福岡大会でライガーを相手に4度目の防衛に成功したIWGPジュニア王者KUSHIDAに対する包囲網が敷かれるのは間違いない。KUSHIDAは7月18日から開幕するヘビー級の最強決定戦「G1クライマックス」や8月21日に有明コロシアムで開催されるジュニアオールスター戦「スーパーJカップ」の出場を視野に入れており、「スーパージュニアは2連覇。夏前に独走する」と絶対王者になるためにも連覇は不可欠と捉えている。しかし、最近はKUSHIDAのサポートに回っている田口や昨年決勝を争ったオライリー、初出場のサイダル、そしてKUSHIDAを付け狙うBUSHIと難敵が待ち構えている。KUSHIDA本命は揺るがないが、団子状態になると意外な選手が勝ち上がる可能性もあるだろう。 Bブロックは福岡大会でKUSHIDAに敗れたものの「ライガー最終章」という言葉をKUSHIDAに再挑戦する日まで封印すると宣言した“世界のレジェンド”ライガーが20回目の出場。福岡大会の試合後、改めて「ライガー(を出来るの)はあと5年」と話しているだけに、最後のスーパージュニア優勝も狙っているはずだ。ただ近年の実績や勢いから予想するとこのブロックは2014年にKUSHIDAを破り優勝しているリコシェを本命に推したい。サイダルとのハイフライヤーズではIWGPジュニアタッグ王座を福岡大会で再度奪還するなど今ノリに乗っている。注目はCMLLから初出場するボラドール・ジュニアと、同じく初出場のオスプレイが何処まで星を伸ばせるか? 彼らにとってはまさに生きる伝説であろうライガーとの対決も楽しみだ。 1・4東京ドーム大会でケニーを破りIWGPジュニア王座を奪取してから完璧とも言える防衛ロードを築き上げているKUSHIDA。ライガーも「ジュニア最強のチャンピオン」と称賛していたが、2013年のプリンス・デヴィット以来、3年振りのチャンピオンとしてBOSJ制覇、そして連覇となると2004年〜2005年のタイガーマスク以来の快挙となる。はたしてKUSHIDAの時計の針を止めることができる選手はいるのか? 今年もBOSJが見逃せない。(増田晋侍)<新日Times VOL.17>
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スポーツ 2016年05月01日 12時00分
新日本5・3福岡は豪華6大タイトルマッチに! 永田、ライガーと泣けるか!? 大会展望
今年も「レスリングどんたく」の季節がやって来る! 新日本プロレスは5月3日に毎年恒例のビッグマッチ「レスリングどんたく2016」を福岡国際センターで開催する。4・29グランメッセ熊本大会が中止になったことで、タイトルマッチが当大会に振り分けられたことに加えて、NEVER無差別級6人タッグ選手権の開催も急遽決定。全10試合中、豪華6大タイトルマッチにスペシャルマッチが2試合とまさに東京ドーム大会級のラインナップとなった。今回は5・3福岡大会の全対戦カードの見どころを掲載する。1.キャプテン・ニュージャパン&ジュース・ロビンソン vs バッドラック・ファレ&高橋裕二郎 ヨシタツにハンタークラブ入りを直訴したが保留されているキャプテン。ここはバレットクラブ相手に結果を出したいところ。バレットクラブは最近大人しい裕二郎の奮起に期待したい。2.タイガーマスク&田口隆祐&ジェイ・ホワイト&デビット・フィンレー vs 桜庭和志&YOSHI-HASHI&ウィル・オスプレイ&外道 注目は福岡初登場のオスプレイ。8人タッグなので何処まで予測不能な難易度が高い空中殺法が飛び出すかわからないが、まだ荒削りながらも今後新日ジュニアの中心に間違いなく入って行く選手なので、その一挙手一投足に注目してもらいたい。3.IWGPジュニアタッグ選手権試合<王者組>ロッキー・ロメロ&バレッタ vs リコシェ&マット・サイダル<挑戦者組> 4・10両国大会のリターンマッチ。外国人によるIWGPジュニアタッグ戦は本当にハズレがない。この絡みが新日本マットで見られるのは本当に幸せなことである。両国でも熱を生んだこのカードが福岡でも爆発するのは間違いなく、勝敗に関しては当日運が良かったチームが最後にベルトを巻いているのではないだろうか。それだけ両チームの実力は拮抗している。最初から最後まで目が離せない。4.NEVER無差別級6人タッグ選手権試合<王者組>棚橋弘至&マイケル・エルガン&ヨシタツ vs ケニー・オメガ&マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン<挑戦者組> この試合も4・10両国大会のリターンマッチだが、4・27博多スターレーン大会でファレとの激戦を制した棚橋が、ケニーが保持するIWGPインターコンチネンタル王座への挑戦表明(ケニーは拒否)したことにより、棚橋がケニーを振り向かせることができるのか注目される。また敗れはしたものの、ケニーと大熱戦を演じたエルガン、ハンタークラブ設立に向けて動いているヨシタツと話題を欠かさない王者組に、チームワークに自信がある挑戦者組がどう崩して行くのか。様々なテーマが入り混じったタイトルマッチになりそうだ。5.IWGPタッグ選手権試合<王者組>タマ・トンガ&タンガ・ロア vs 真壁刀義&本間朋晃<挑戦者組> ジュニアタッグと同じく4・10両国大会で王座を明け渡した真壁&本間のGBHが、トンガ兄弟を相手にリターンマッチを行う。ここ数年、IWGPタッグ戦線はなかなか日本人タッグチームが確固たるチャンピオンになれていないだけに、GBHにかかる期待は大きい。またGBHが勝利を収めると会場内が笑顔に包まれることを見ても、ファンから愛されていることがわかる。一発でリベンジして九州に笑顔を与えて欲しい。6.NEVER無差別級選手権試合<王者>柴田勝頼 vs 永田裕志<挑戦者> 小島聡、天山広吉と第三世代を相手に防衛を続けている柴田。天山戦ではダメージから試合後にコメントブースで座り込む姿が見られた。次なる挑戦者は、4・10両国で半ば逆指名される形で永田が登場。柴田は先日の後楽園大会で行われたタッグ戦で中西学も破っており、永田が第三世代最後の砦になる。「もう一度這い上がる」と誓った第三世代にとって永田の挑戦は背水の陣と言ってもいい。リスクを背負う闘いという意味では今大会最も注目のカードだ。7.IWGPジュニアヘビー級選手権試合<王者>KUSHIDA vs 獣神サンダーライガー<挑戦者> 4・10両国でライガーが挑戦表明する形で実現。ライガーは約6年振りのIWGPジュニア挑戦。もし戴冠するとなると2000年7月以来、16年振り12回目の快挙となる。しかしこの後スーパージュニア、スーパーJカップが控えているKUSHIDAは時代を戻すわけにはいかない。8.スペシャルマッチ後藤洋央紀 vs EVIL 昨年11月のEVIL凱旋マッチ以来の対戦。あの時は内藤の介入もあり不透明決着に終わっている。一連の石井戦で覚醒したEVILにとって後藤とのシングルはさらなるステージアップするチャンス。一方の後藤もCHAOSに入り“変化”を誓っているだけに負けられない。二人の肉弾戦は見応えがありそう。9.スペシャルマッチオカダ・カズチカ vs SANADA SANADAはオカダにとってようやく現れた同世代の日本人ヘビー級選手。前哨戦では連日SANADAのSkull EndでオカダをはじめCHAOS勢が絞め落とされて来たが、シングルでは真田聖也時代に使用していた技もいくつか解禁されるはず。ただオカダもSANADAにはまだ手の内を見せていないので、このカードに対する期待値は高い。10.IWGPヘビー級選手権試合<王者>内藤哲也 vs 石井智宏<挑戦者> 内藤の「消化試合」発言に怒り心頭の石井だが、この時点で内藤が主導権を握っている感は否めない。石井が王座を奪取すれば史上最小のIWGP王者が誕生するが、L・I・Jの試合をファンは介入も含めて概ね支持しており、4・10両国のオカダ以上に石井は闘い難いかもしれない。それだけ内藤と石井の立場はこの2か月で逆転してしまった。勝っても負けても試合後の内藤の言動に注目が集まる。 以上、全10カード。今大会の結果は新日本プロレス今年前半戦の大一番、6・19大阪城ホール大会に繋がっていくので、どのカードも結果が重視される大会になるだろう。その中でもベテランの永田とライガーの挑戦は二人がIWGPのヘビー、ジュニアヘビーの王者時代を知るものにとっては感慨深いのではないだろうか。どちらかが戴冠して泣きたいファンも多いはず。はたして福岡で泣けるドラマは起こるのか?(増田晋侍)<新日Times VOL.16>
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社会 2016年04月27日 14時00分
「創価学会の日」に“エリート”“婦人部”に起こる地殻変動の不気味!
公明党の支持母体である創価学会が“もろ刃の剣”に怯えている。 5月3日の「創価学会の日」を控え、東京都新宿区信濃町の創価学会本部周辺は今、ピリピリムードなのだという。 「昨年の安保法制議論以来、学会本部とJR信濃町駅反対側の公明党本部は反対派のターゲットにされてきました。これまではたまに右翼が街宣をかけるのが定番だったんですが、昨年来、目立つのが学会員自身によるアピールです」(警視庁関係者) 今、学会関係者の中で特に注視されているのが、『元創価学会職員3名のブログ』である。これまで学会脱会者の匿名ブログは数多くあったが、このブログの元本部職員は実名で、しかも経歴まで明かし現在の学会指導部を批判しているのだ。しかも、昨年12月と今年1月に「安保法制の容認は創価三代に違背している」などの横断幕を掲げて、創価学会本部(広宣流布大誓堂)前で「サイレントアピール」(無言で立ち続けること)まで断行した。 「実名ブログといい、本部前行動にしても、従来の学会員では考えられないもの。しかも彼らは一般会員ではない。大学卒業と同時に本部職員となった創価エリートそのものです。信仰のあつい彼らの異議申立に対して、池田氏の子息や原田稔会長、谷川佳樹副会長ら幹部連がどんな対応を繰り返したか、実にリアルに記述されているのには驚きました」(学会中堅幹部) こうしたことから、5月3日(池田大作氏の会長就任と香峯子夫人との結婚記念日)に信濃町界隈で何が起きるか、学会側は戦々恐々なのだという。 一方で、婦人部にはこんな動きがある。実は3月中旬、埼玉県のとある中核都市の「新日本婦人の会」活動メンバーのもとに学会婦人部員が夜分、突如訪れた。“すわ法戦か”と身構えるメンバーに、学会婦人部員は、「戦争法案に反対する署名活動をお手伝いしたい」と驚くべき言葉を口にしたという。「新日本婦人の会」は公式否定するものの、共産党系大衆組織で、学会員からすれば“仇敵”。まして署名は個人情報で、氏名や住所を明かすものだ。 「学会婦人部員は数十筆の署名を携えてやってきたといいますが、このような学会組織の地殻変動はかつてないものです。今夏の参議院選挙の学会票が、どんな数字になるのか…。学会の指導へ面従腹背する一般会員の数は、到底読めません」(同)
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