スポーツ
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スポーツ 2012年03月16日 11時45分
日本人メジャーリーガーはどうなる? イチロー編
いろいろな意味で2012年は『転機』となるのではないだろうか。シアトル・マリナーズのエリック・ウェッジ監督が明言したように、今季からイチロー(38)は3番バッターとなる。歴代監督が『3番・イチロー』の構想を口にしてきたが、それが実現しなかったのは「1番の打順に強い執着心を持っていたため」とも伝えられてきた。だが、イチローはキャンプ初日の2月18日(現地時間)、「それぞれの打順で、どうあるべきということはない」と語っただけ。『1番への執着心』は、日米メディアの共通認識でもあったのだが…。 今季が転機となる理由は『3番転向』だけではない。『契約』と打撃スタイルの変貌である。 キャンプでの打撃練習だが、イチローは昨季までと違う打撃フォームでバットを振っていた。オリックス時代ほどではないが、イチローは右足を大きく動かしてタイミングをはかるタイプだった。なのに、その右足の動き方が極端に小さくなった。右足を20センチ程度、後に下げるだけ。時にはノーステップでスイングする場面も見られた。 メディアの質問は、打撃フォームの変化に集中した。 「ある動きを省いているということでしょうね」 また、チーム紅白戦では右足を後に引くのではなく、「上」に揚げてタイミングを取っていた。その高さは15センチほど、他打者と見比べても、“ステップ”はかなり小さい。昨季、『11年連続200本安打』に失敗し、打率も2割7分2厘と大きく下げたからだろう。『打撃フォーム』をもう1度、作り直そうとしていた。 試行錯誤の連続、調整段階ではあるが、『打球』を見る限り、ヒットの内容を変えようとしているのではないだろうか。「足で稼ぐヒット」ではなく、内野手の間を抜く、あるいは、その頭上を越える安打を増やそうとしているように見えた。 米国メディア陣の1人がこう予想していた。 「イチローはシーズン中盤以降に調子を上げ、ヒットも量産していくタイプだと思います。今季はマリナーズとの5年契約の最終年ですし、シーズン序盤からヒットを量産すれば、好条件の契約を勝ち取ることもできます」 打撃フォームの改造は契約のためではないが、大きな影響を与えるのは間違いないようだ。メジャーリーグでは契約最終年のシーズン途中に更新されるケースが多い。球団がその選手を残留させたいときはとくにその傾向が強い。また、その交渉が破綻した場合、球団はその選手はシーズン途中に放出し、若手の有望選手との交換トレードをまとめてしまう。イチローとマリナーズのこれまでの関係を思うと、「交渉決裂=放出」はあり得ない。また、トレード拒否権の主張できる『10and5veto』も取得している。 しかし、メジャー球団は過去の実績には高額年俸や複数年契約は提示しない。直近の成績のみを見て判断するといっても過言ではない。昨季、打率を大きく落としているため、マリナーズは新規契約の年俸、期間を決めかねており、「イチローが復調できるのか否か」を見極めようともしている。5月中旬、イチローの打率が3割2分以上をマークしていなければ、「昇給での再契約は難しくなる」(前出・米国メディア陣の1人)とも予想されている。 ただ、イチローの表情は明るい。弟分の川崎宗則がいるからである。3番打者は得点圏に走者を置いた場面で打席がまわってくることも多い。打撃フォームの改造が成功すれば、首位打者のタイトルだけではなく、『打点王争い』にも加わってくるのではないだろうか。 10年連続で受賞してきたゴールデングラフも、昨季は逃した。「守備範囲が狭くなった」「捕球する際のジャンプするタイミングがおかしい」などの指摘も米メディアから聞こえていた。守備面でも復活をアピールしてもらいたい。※メジャーリーグの選手、首脳陣のカタカナ表記はベースボールマガジン社刊『週刊ベースボール』(2012年2月13・20日号)を参考にいたしました。
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スポーツ 2012年03月15日 18時11分
タレントブームで調整不足 なでしこバブル崩壊の危機!
なでしこジャパンは『アルガルベ杯』で綱渡りの連続だ。ノルウェー戦(2月29日)、デンマーク戦(3月2日)で連勝したが、ワールドカップで優勝したときの精彩は全く見られなかった。 「チームの精神的支柱でもある澤穂希が故障でスタメンから外れ、本職以外のポジションに入った選手もいました。“底力”はあると言えますが、こんな調子でロンドン五輪は大丈夫なんですかね?」(専門誌記者) 昨夏のW杯制覇以降の“なでしこブーム”は説明するまでもないだろう。CM契約は10社を超え、一部選手の年収は“億超え”を果たしたという。しかし−−。 「なでしこメンバーは『テレビに出過ぎ』との指摘も出ている。テレビ局は彼女たちの特集を組むだけではなく、クイズ形式のサッカーゲームをやらせ、AKB48の衣装で歌まで歌わされた選手もいました。お笑いタレント扱いする局もおかしいですが、断らない選手や、サッカー協会にも問題があるのでは」(同) 司令塔・澤の右ふくらはぎ内側上部肉離れは、“人災”との指摘も絶えない。 澤は2月上旬に、所属するINAC神戸の遠征でスペインに行き、帰国した足で代表合宿に向かうというハードスケジュールになっていたが、先の右ふくらはぎ故障のアクシデントに見舞われ、病院に直行するハメに…。昨年末から「あ〜、疲れた」が口グセで、大きな故障をいつしてもおかしくない状況にあったのだ。 しかし、女子サッカー選手はアルバイトをしながら練習に打ち込んできた苦労人が多く、今日のブームが彼女たちの生活水準を上げたのは間違いない。 「昔は代表合宿に参加するための長期休暇が取れず、アルバイトを辞めなければならなかった選手もいたといいます。移動の飛行機は一般客と一緒、宿泊施設はビジネスホテル以下。男子選手とは雲泥の差です。試合報酬や練習環境が改善されなかったため、タレント稼業で生活しなければならなくなったと言えます」(スポーツライター・飯山満氏) 五輪本番で大敗すれば、元の生活に逆戻り!?
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スポーツ 2012年03月15日 15時30分
阿部は10億円! 巨人が6選手に申し合わせ超える契約金の支払い判明も正当性主張!
3月15日、朝日新聞はプロ野球・読売巨人軍が、球界で申し合わせた新人契約金の最高標準額(1億円プラス出来高払い5000万円)を超える契約を、多数の選手と結んでいたと報じた。 同紙によると、14日現在で確認できたのは97〜04年に契約を結んだ阿部慎之助捕手(00年ドラフト)、高橋由伸外野手(97年)、上原浩治投手(98年=現レンジャーズ)、二岡智宏内野手(現日本ハム)、内海哲也投手(03年)、野間口貴彦投手(04年)の6選手。 契約金の額は阿部が仰天の10億円。高橋と野間口が7億円、上原が5億円プラス功労金1億2000万円、二岡が5億円プラス功労金7000万円及び別の出来高3000万円、内海が2億5000万円だという。 一括支払いだと、高額所得者としてバレてしまうため、1億5000万円を超過する分は、球団が選手に複数年にわたる分割払いを指南。各年の出来高条件の一部をクリアした場合に、支払われる形になっていたもよう。上原や二岡に関しては、退団時に一部を功労金として支払う形態を取っていた。 プロ野球では93年のドラフトから、社会人と大学の選手が入団する球団を選べる逆指名制度(後の自由獲得枠、希望入団枠)を導入。これに伴い、球団間の争奪戦で契約金が高騰するのを避けるため、新人選手の契約金の最高標準額を1億円(94年から1億円プラス出来高払い5000万円)と12球団で申し合わせた。 しかし、07年3月に西武が15選手に最高標準額を超える契約金を支払ったことを公表。同年4月には横浜(現DeNA)が、那須野巧投手(引退=04年ドラフト)に5億3000万円の契約金を支払ったことが明らかになった。ただ、両球団には厳重注意がなされたが、球団や選手への処分はなかった。これを機にプロ野球では同年11月に、新人選手の契約金は1億円プラス出来高5000万円を上限とすることを決め、希望入団枠も廃止した。 この報道に対し、巨人は15日未明、報道各社に声明を出した。その内容は「朝日新聞が問題にした6選手は、いずれも緩やかな目安とされていた時期に入団しており、野球界のルールに反していないこと、税務申告も適正に行っており違法とみなされる点もないこと、従って社会的非難に当たらないと考える」と反論し、正当性を主張した。 確かに該当する6選手が入団した時期は、契約金の上限はあくまでも“申し合わせ”であって、野球協約に違反するものではなく、那須野問題の際も横浜球団は制裁を受けていない。それにならえば、今回の問題も処分の対象にはならないだろう。ただ、巨人が多くの有望選手に対し、カネに物を言わせて、ルール破りで獲得したことは事実で、イメージダウンは避けられない。 巨人にとっての救いは、このうちの5選手が主力として活躍してくれたことだ。近年、トレード説も浮上していた鳴かず飛ばずの野間口に関しては、安易にトレードできない裏事情が、ここにあったことが、はからずもバレてしまったようだ。(落合一郎)
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スポーツ 2012年03月15日 14時00分
プロ野球ウラ契約金記事で朝日と読売全面戦争の裏に清武!?
プロ野球・読売巨人軍の6選手に、桁違いの契約金が総額36億円支払われていたことが発覚した。15日、朝日新聞の1面でスクープしたもので、1997年から2004年に入団した選手との契約に、球界で申し合わせた新人契約金の最高標準額(1億円プラス出来高払い5千万円)を超える“ウラ契約”があったことが、複数の関係者証言と朝日が入手した内部資料から判明したものだという。桁違い契約が判明したのは、高橋由伸、上原浩治(現メジャー)、二岡智宏(現日本ハム)、阿部慎之助、内海哲也、野間口貴彦の6選手と報道された。 一方、巨人の親会社である読売新聞社は未明に記事への反論文を公表。朝日が報じた6選手は、いずれも緩やかな目安だった時期の入団であることから、巨人軍では「球界のルールに反しておらず、税務申告も適正に行っており、社会的に非難されるものではない」としている。読売側の言い分は、新人選手の契約金に上限を設けられ、契約金額は1億円、出来高払いは契約金の50%を上限とすることが決まったのは、2007年11月であり、それ以前に契約した選手を“蒸し返す”のはいかがなものかという態度だ。両社は真っ向対立し、全面戦争の様相を呈してきたが、ここへきて「元巨人GMの清武英利氏が係争中である読売新聞社に仕掛けた“抗争第2ラウンド”だ」という見方も出てきた。 あるスポーツジャーナリストは語る。「当時、明大・一場の栄養費問題などで球界のウラ金問題が露呈し、2007年までにある程度のガイドラインが作られた。でも、朝日がスクープしたのはそれ以前の出来事。スクープというほどのことではない。当時の取材記者なら誰でも知っていたこと。いわば暗黙の了解だったんです。その点では朝日の記事には『何をいまさら』感がぬぐえないんです」。開幕前のこんな時期になぜ、過去の出来事を蒸し返すようなことをするのか? 前出のジャーナリストは「朝日、読売(巨人軍)のどちらの肩も持つつもりはないが…」と前置きした上で「朝日の記事に着目する点は、各選手の詳細なウラ契約の金額です。この数字を把握しているのは読売の中でもごく上層部でしかないはず。だとすると昨年、巨人の渡辺オーナー批判を一席ぶって巨人をクビになり、訴訟沙汰となっている清武氏に真っ先に疑惑の目が向かうというもの。来月裁判を控えている清武氏が読売側になんらかの“ブラフ”をかけているのではないでしょうか」。読売内でも「あの記事はあの人のリーク以外考えられない」ともっぱらだとか。 あす以降、スポーツ紙などのマスコミがこの報道に追随するか黙殺するか現時点では定かではないが、報道次第ではウラにいる人物をいぶり出すことになるかもしれない。
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スポーツ 2012年03月15日 11時45分
闘将・星野が『ボヤキの監督』に一変?
「うちの選手は優しいが、グラウンドでも優しさが出てしまっている…」 星野仙一・楽天監督(65)はそんなふうにチームを評していた。これは、東日本大震災の犠牲者に黙祷を捧げた3月11日の試合後に出たセリフ。東北に勝利を報告できなかった悔しさもあったのだろう。しかし、「優しい選手たち」を『戦う集団』に変えるのも、指揮官の務めではないだろうか。 チーム総得点432(リーグワーストタイ)、チーム打率2割4分5厘(同5位)、総本塁打数53(同5位)。この数値を見れば分かる通り、2012年のチーム課題は『打撃力のアップ』だった。また、チーム合計セーブ数28もリーグワーストだ。これに対し、完投試合数23はリーグトップ。田中将大(23)が1人で14試合を稼いているが、要するに、4番バッターとクローザーが見つかれば、楽天は確実に「強いチーム」に変貌できるのだ。 「星野監督とフロントの考え方の違いでしょうね。大型補強に批判的なフロントと、外部補強をチームの起爆剤としてきた星野監督の…。楽天はマー君に3億5000万円を提示したように、活躍した選手にそれ相応の年俸を出しますが、大金で選手を集めることはしません」(プロ野球解説者) 星野監督は『オフの補強』で勝利してきた指揮官でもある。その“主戦場”で活躍できなかったからだろうか。キャンプ、オープン戦を見る限りでは「闘将」と呼ばれた迫力はまるで伝わってこない…。開幕戦を目前に控えたこの時期になっても、ベンチに深く腰掛け、気難しい表情で試合を見ているだけだ。 逆転負けを喫した3月4日の横浜DeNA戦もそうだった。スコアは3対4。しかし、打線は7安打3得点で、3併殺で好機を失った場面をエンドランのサインを送るなどの“ベンチワーク”を見せていれば、勝敗結果は違っていたかもしれない。試合後、星野監督は「今は自由は振らせている」と“ノーサイン”であることを認めていたが、「ホームランバッターでないやつがホームランを狙ったスイングをしてゲッツーだ」ともボヤいていた。 これでは、アーリーワークや居残り特打でバットを降り続けた選手が報われない。また、打撃陣を指導していた大久保博元コーチも、フルスイングの必要性を唱えてきた(練習で)。この時期になって指導内容を否定するような言動はチームの士気にも影響が出兼ねない…。 星野監督は同日の試合をこうも評していた。 「ボールに食らいついてライナーを勧めるなど、自分で考えてやってくれないと…」 選手たちが「何も考えずに打席に入っている」とも指摘していた。その通りかもしれないが、試合後、選手に改めて指示を送ることもせず、コーチスタッフやスコアラーを集めるわけでもなかった。 「中日、阪神時代からそうでしたが、星野監督は攻撃面において細かいサインを送るタイプの指揮官ではありません。選手が自分で考えて行動するのは理想ですが、走者を進める右方向への打撃が必要なら、そういう指示を出して試合に臨むべき」(前出・同) 指揮官の選手たちの間に『溝』があるような気がしてならない。 過去、星野監督は就任2年目にリーグ優勝する傾向もある。だが、今の楽天を優勝候補と予想する声は皆無に等しい。大型補強がされなかったのも事実だが、優勝候補に挙げられない理由は指揮官の『迫力』が伝わってこないからではないだろうか。
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スポーツ 2012年03月14日 15時30分
日本人メジャーリーガーはどうなる? 和田毅編
適応能力の高さなら、日本人選手のなかでも「ナンバー1」ではないだろうか。 和田毅(31)は逆境を楽しむというか、アウェイの状況に置かれても、自分を見失わない投手でもある。 その精神力の強さは、大学時代から一目置かれていた。大学・日本代表チームに選出され、アメリカに遠征したときのことだ。日本チームは練習場を与えられなかった。正確に言うと、野球場ではなく、陸上競技場しか確保してもらえなかったのだ。不平不満を口にする選手もいれば、引率の指導者から練習の指示を待つ選手もいた。しかし、和田はそうではなかった。走り幅跳びの踏み切り板をピッチャープレートに見立てて、投球練習を始めた。「どうすれば、練習ができるのか」−−。和田はそんな発想の転換をした。その精神力の強さ、応用力の高さに引率の指導者はもちろん、米球界のスカウトも「自分の練習プログラムを持ったプロ選手のようだ。本当に大学生か!?」と舌を巻いていたという。 和田は働き甲斐のある球団を選んだ。MLBデータを見ると、ボルティモア・オリオールズは、昨季のチーム防御率が4.89。アメリカン・リーグのワーストである。投手難に泣かされた経緯をさらに探ってみると、ア・リーグ東部地区は右の好打者も多く、その餌食にされた。左投手の頭数も足らず、バック・ショウォルダー監督は「右打者を苦にしない左の先発投手」を補強の最優先項目に挙げていた。同監督とダン・デュケットGMが和田に興味を抱いた理由は「コントロール」と「チェンジアップ」だった。 これはオリオールズだけではないが、日本人左腕が米球界で通用するには「チェンジアップが使えるかどうか」が、1つの着目点にされているという。一般論として、米球界は外角のストライク・ゾーンが日本よりも広い。その右打者の外角に「チェンジアップが投げられるかどうか」という評価があり、岡島秀樹、高橋尚成もその条件をクリアしてきた。 また、ホークス時代から伝えられてきたが、和田の投球フォームはボールの出所が見にくい。球速は140キロそこそこだが、ボールに強烈なバックスピンも掛かっているため、打者の手元に来て浮き上がるような軌道を見せる。ショウォルダー監督も先発枠の一角を託せると評価したのである。 しかし、不安要素もないわけではない。バックスピンの強い投球は『被弾の危険性』が常につきまとう。体力面でも「フルシーズンを投げきれるのか?」と疑問視されている。メジャーの先発投手の平均登板数は32試合。和田は26試合に先発したのが最高だ。昨季の成績を見ても、「26試合登板185回3分の2」、完投は僅か4試合。メジャーではスターター(先発)、セットアッパー(中継ぎ)、クローザーと投手の分業制が日本以上に確立されているが、「中4日のローテーションが務まるのか?」と不安視されている。『和田獲得』に二の足を踏んだメジャー球団が出たのは、そのためだ。 古巣・ホークスの関係者によれば、和田は「オフの間、カットボール系の新しい変化球をマスターしようとしていた」という。右打者への外角球(=チェンジアップ)を際立たせるため、反対の内角を突く球種を増やしたいのだろう。 和田は豊富な変化球の1つ1つを、持ち前の応用力でウイニング・ショットに使えるものとそうでないものを分けてくるだろう。 疲労感がピークとなる夏場を乗り切れることができれば、2ケタ勝利も十分可能である。※メジャーリーグの選手、監督首脳陣等のカタカナ表記は共同通信社刊『記者ハンドブック新聞用事用語集』と、ベースボールマガジン社刊『週刊ベースボール』(2012年2月13・20日号)を参考にいたしました。
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スポーツ 2012年03月14日 11時00分
“貯金”も底が見えた48億円超の大赤字で寒すぎる協会のフトコロ事情
再び不祥事が起こったら、協会のサイフは間違いなくパンクだ。2月22日、相撲協会は理事会と評議員会を開いて、平成23年度の収支決算を公表した。4年連続の赤字で、その赤字幅がなんと過去最大の48億8600万円だった。 「去年は八百長問題で春場所が中止に追い込まれた上、続く夏場所も技量審査場所として無料公開にした。NHKの中継も取り止めになるなど、2場所で1銭も収入がなかったので、協会関係者もある程度の赤字は覚悟していたようです。しかし、これほどの大幅赤字は予想外で、みんな驚いていました」(相撲担当記者) 収入減はこの2場所分だけにとどまらない。再開された7月の名古屋場所や9月の秋場所、11月の九州場所もファンに見放されて館内は閑古鳥状態。これでは親方や力士たちが役員報酬の自主返納や賞与をカットしても追いつくはずがない。2億円あまりは節約したものの、人件費の総額が108億5700万円にも上り、これに春場所の相撲案内所や巡業中止による勧進元(主催者)への補てんが4億円近くも重なったため、赤字額が拡大した。これをどう補てんするのか。 「相撲協会には、現金だけで30億円近い貯金があり、両国国技館の土地、建物などを含めると、評価額で375億8700万円もの財産がある。これぐらいの赤字額ではビクともしないよ」 と胸を張るノーテンキな親方もいるが、今回もその貯金を11億円以上も取り崩したため、残高は17億円にまで下がるなど、もうフトコロはかつてのヌクヌク状態ではない。 このピンチを切り抜けるには、1日も早くファンの信頼を回復し、観客増を図るしかない。1月末、再登板した北の湖理事長が真っ先に3月11日から始まる春場所担当部長に人気者の貴乃花親方を任命したのもそのためだ。 「ここで、周囲の期待に応えて場所を成功に導けば、貴乃花親方は一躍大ヒーロー。将来の理事長への展望も大きく開けるだけに、自ら吉本新喜劇に乗りこんでPRに励むなど、必死です。北の湖理事長も、よくがんばっているじゃないか、と目を細くしていますが、まだ貴乃花親方が公約した15日間オール満員御礼にはほど遠い状態。ヒーローになる道は簡単ではありません」(協会関係者) 傾いた屋台骨を立て直すのは容易ではない。
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スポーツ 2012年03月13日 18時30分
公務員の“市民ランナー”川内優輝は五輪補欠も落選! やはり日本陸連は選びたくなかった!?
注目を集めていたロンドン五輪の男女マラソン代表が決まった。日本陸上連盟は3月12日、五輪のマラソン日本代表を発表。男子は藤原新(30=東京陸協)、山本亮(27=佐川急便)、中本健太郎(29=安川電機)で、補欠に堀端宏行(25=旭化成)。女子は重友梨佐(24=天満屋)、木崎良子(26=ダイハツ)、尾崎好美(30=第一生命)で、補欠に赤羽有紀子(32=ホクレン)が入った。最大の関心事となっていた公務員の“市民ランナー”川内優輝(25=埼玉県庁)は落選し、補欠にすら選ばれなかった。 複数のレースでの結果をもとに選ぶため、毎回、物議をかもすマラソンの代表選考だが、今回もまたスッキリしない結末となった。2月の東京マラソンで2時間7分48秒の好タイムで、日本勢トップの2位となった“無職ランナー”藤原は文句なし。2番手は3月のびわ湖毎日マラソンで一般参加ながら、競技場内でのラストスパートで中本を抜いて、日本勢トップの4位となった山本も、2時間8分44秒の上々のタイムで、雨というバッドコンディションだったことが評価されての選出。 問題となったのは“3番手”で、中本、堀端、川内の名が挙がったが、昨年9月の「世界選手権」(韓国)10位(日本勢で2位)=2時間13分10秒、びわ湖毎日で5位(日本勢で2位)=2時間8分53秒の安定性を買って、中本が選ばれた。 補欠は暑い中の「世界選手権」で日本勢トップ(総合7位)=2時間11分52秒=の堀端と、昨年12月の福岡国際マラソンで日本勢トップ(総合3位)=2時間9分57秒=の川内の比較となったが、「世界選手権の結果と、びわ湖毎日での積極的な走りを、世界で闘う流れをつかんでいると考え、補欠にした」(河野匡強化副委員長)との理由で、堀端となった。 確かに、選考レースのなかで、中本が安定した走りを見せた。しかし、1度も日本勢トップになっておらず、五輪でメダルを狙えるかというと疑問。堀端はびわ湖毎日では、失速して11位だった。その点、川内は「世界選手権」18位、東京14位と惨敗を喫したが、福岡国際や昨年2月の東京(選考外)などでは日本勢トップになった爆発力も秘めている。自己ベストタイム(2時間8分37秒)も、中本、堀端より上で、川内ならメダルを狙える可能性も十分あった。 東京で惨敗した時点で白旗を掲げていた川内は、落選の報を聞いても、「公正な選考が行われたと思います。実力が足りなかった。もっと頑張らなければいけない」と潔く敗北を認めた。 男子3番手、補欠の選考については、異論も多いことだろう。正直、川内は市民ランナーで、陸連の育成方針に沿って出てきた選手ではない。現在もフルタイムで仕事をこなしながら、独自の練習を続けている。そんな選手が五輪代表や補欠になってしまっては、陸連の面目は丸潰れだ。意図的に川内をはずしたとはいわぬが、実業団選手に有利な選考になった“疑惑”は残る。 とはいえ、川内も選考会で、藤原や山本のように、文句がいえないような結果を出せなかったのも事実。今後も仕事はそのままで、市民ランナースタイルを続けるという川内。腐ることなく、4年後のリオデジャネイロでは、市民ランナーが五輪で走る姿を見せてほしいものだ。 なお、陸連は補欠の扱いについて、08年の北京五輪同様、現地には派遣せず、JOC(日本オリンピック委員会)に派遣選手の名簿を提出する6月29日以降は変更しないことを決めた。北京では男女とも故障で欠場者が出たが、今五輪もそれ以降に欠場者が出た場合は選手の変更はない。(落合一郎)
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スポーツ 2012年03月12日 15時30分
東日本大震災復興支援試合で日本代表に選出された斎藤佑樹 “客寄せパンダ”を自覚
3月10日、東京ドームで被災地へ義援金を送ることを目的とした「東日本大震災復興支援ベースボールマッチ」が開催された。対戦したのは日本代表(侍ジャパン)と台湾代表。試合は日本代表が9-2で快勝したが、斎藤佑樹(23=日本ハム)の出場に違和感を覚えたファンも多いことだろう。 今回、日本代表に選出されたのは、投手8人、捕手3人、内野手7人、外野手6人の計24人。選ばれたのは投手では昨季最多勝の田中将大(23=楽天)、吉見一起(27=中日)、内海哲也(29=巨人)を始め、各団体のエース級と、浅尾拓也(27=中日)と平野佳寿(28=オリックス)の中継ぎエース。野手では本塁打王の中村剛也(28=西武)、首位打者の内川聖一(29=ソフトバンク)、長野久義(27=巨人)、打点王の新井貴浩(35=阪神)らのそうそうたるメンバー。開催要項には「11年度タイトル獲得者を中心とした選手を選抜する」と、しっかり明記されている。 そのなかで、1人だけ実績不足で選ばれたのが斎藤。昨季の勝ち星はわずか6勝(6敗)。投球イニングは107回で規定投球回数にも遠く及ばない。そんな斎藤がなぜ日本代表に紛れ込んでしまったのか。 「建て前上は国際試合の経験が豊富というのがあるでしょう。現実は観客動員アップを狙った選出であるのは明らかです。しかし、これは単なる親善試合ではなく、日本代表の試合ですから、斎藤を選んだことには賛否両論出ています」(某スポーツ紙記者) 幸い、相手が格下の台湾とあって、斎藤は6回から1イニングを投げ、1安打無失点に抑え、実力不足を露呈せずにすんだ。 斎藤は「自分が選ばれたのには、いろいろな理由があると思う」と、“客寄せパンダ”を自覚していた。登板後には「もっともっと力をつけて、本当の実力で日本代表に選ばれたい。世界と闘うとなったときに、本当に自分の力が必要とされるのかということです」と冷静に分析した。 これがWBCであれば、当然、斎藤が選ばれることはあり得なかった。今回は震災チャリティーということで、少しでも多くの観客を動員できれば、それを義援金に回すことができる。この日は、1万2000人の被災者が招待され、ファンサービスの意味でも、人気がある斎藤の選出はやむを得なかった裏事情もあるのだろう。 来年、開催されるWBC。日本の出場はまだ決まっていないが、今後、代表招集があれば、斎藤には実績を上げて、実力で選ばれてほしいものである。(落合一郎)
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スポーツ 2012年03月12日 11時45分
キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 北海道日本ハム編
栗山英樹・新監督(50)に課せられたテーマは、斎藤佑樹と中田翔を一人前に育て上げることだろう。「このチームにとって、何がいちばんプラスなのかを考えている」 これは3月3日のオープン戦後、栗山監督から出たコメントだ。担当記者団が何度か聞かされた発言でもあり、同日先発し、5回3失点(被安打8、与四球2)と結果を出せなかった斎藤佑樹について語っていた最中に出たものだ。 エース候補・斎藤は2年目の飛躍を見せられるか−−。投球フォームが少し変わった。右足を挙げる際、昨季までは両腕を伸ばしきるまで下ろしていたが、みぞおちの辺りで止めている。昨季中盤以降、ストレートのキレ、球速のアップをテーマに掲げており、その一環とされるが、その効果はまだ表れていない。その斎藤の飛躍が「チームにとっていちばんのプラス」なのは間違いないが、「やってもらわなければ困る」というのも、指揮官の切実な願いでもあるようだ。 先発ローテーションを託される6人のうち、実績十分の武田勝、昨季14勝のケッペル、同12勝のウルフまでは名前が浮かんでくる。ここに斎藤を加え、4人。5番手以降が見えてこないのだ。糸数敬作、八木智哉、吉川光夫、乾真大、将来を期待されている中村勝、ベテラン・木田優夫といった名前が浮かんでくるが、投手陣の調整は他球団よりも遅れていた。ブルペン投球を見る限りでは、増井浩俊(27)が良かった。増井は昨季56試合に救援登板したタフネス・リリーバーだが、日本ハムは救援投手層の厚いチームでもある。『先発5、6番手』が結果を出せなかった場合、セットアッパーの誰かを先発に配置換えする可能性もあるのではないだろうか。 また、先発スタッフの現在の力量を考えると、今季は序盤から点を失う試合も多くなりそうだ。栗山監督もそのへんを覚悟しているのだろう。4番も務めた稲葉篤紀(39)を2番に置く打順をテストしていた。大量得点の狙えるビッグイニングを作るためだが、キーマンの稲葉の打撃スタイルも少し変わったように見えた。07年に首位打者、最多安打をマークしたように、もともとバットコントロールの良いバッターである。しかし、フリー打撃では内野手の頭上を抜くようなライナー性の打球が例年以上に多かった。意識して打っていたのか否かは分からないが、打球の方向は狙っていた。1番の打順に入るのは田中賢介か、陽岱鋼。1番バッターが出塁すれば、一・二塁間は広く空く。左打者の稲葉にすれば、右方向へヒットは打ちやすくなる。一発の脅威を秘めたバッターであり、さらに広角に打ち分けるバットコントロールを磨いているとなれば、稲葉の2番は脅威である。その後に、ホフパワー、中田、小谷野栄一、スレッジ、糸井嘉男たちが続く。今季は失点も多いが、「打ち勝つ」というスタイルになるだろう。 ソフトボール出身・大嶋匠の活躍は既報通りだが、4年目の中島卓也(21)も面白い。昨季までのファーム戦で何度か見ているが、スイングが速くなった。同じ内野手で右投左打の田中賢介に似てきたように思う。 今季は大野奨太(25)にも注目していきたい。昨季は“正捕手”鶴岡慎也(30)が開幕前に故障し、自己最多となる102試合に出場した。大野は「将来の正捕手候補」として期待されてきたが、ここまで鶴岡を追い抜けなかった背景にダルビッシュとの相性もあった。鶴岡は『ダルビッシュ専用捕手』とも称されてきたが、現日本ハム投手陣のなかで「特定の捕手との相性」を主張する者は誰もいない。新選手会長に就任した鶴岡も必死だが、大野にとっても今年はチャンスである。栗山監督は斎藤佑樹に「もっとガムシャラな姿を!」と檄を飛ばしているが、大野にもそんな姿を見せて欲しい。 4番定着を目指す中田、斎藤佑樹、大野…。指揮官にとって、もっとも難しいのは勝利と育成を両立させることだ。栗山監督は世代交代の難しい時期にあるチームを託されたようである。(了)