複数のレースでの結果をもとに選ぶため、毎回、物議をかもすマラソンの代表選考だが、今回もまたスッキリしない結末となった。2月の東京マラソンで2時間7分48秒の好タイムで、日本勢トップの2位となった“無職ランナー”藤原は文句なし。2番手は3月のびわ湖毎日マラソンで一般参加ながら、競技場内でのラストスパートで中本を抜いて、日本勢トップの4位となった山本も、2時間8分44秒の上々のタイムで、雨というバッドコンディションだったことが評価されての選出。
問題となったのは“3番手”で、中本、堀端、川内の名が挙がったが、昨年9月の「世界選手権」(韓国)10位(日本勢で2位)=2時間13分10秒、びわ湖毎日で5位(日本勢で2位)=2時間8分53秒の安定性を買って、中本が選ばれた。
補欠は暑い中の「世界選手権」で日本勢トップ(総合7位)=2時間11分52秒=の堀端と、昨年12月の福岡国際マラソンで日本勢トップ(総合3位)=2時間9分57秒=の川内の比較となったが、「世界選手権の結果と、びわ湖毎日での積極的な走りを、世界で闘う流れをつかんでいると考え、補欠にした」(河野匡強化副委員長)との理由で、堀端となった。
確かに、選考レースのなかで、中本が安定した走りを見せた。しかし、1度も日本勢トップになっておらず、五輪でメダルを狙えるかというと疑問。堀端はびわ湖毎日では、失速して11位だった。その点、川内は「世界選手権」18位、東京14位と惨敗を喫したが、福岡国際や昨年2月の東京(選考外)などでは日本勢トップになった爆発力も秘めている。自己ベストタイム(2時間8分37秒)も、中本、堀端より上で、川内ならメダルを狙える可能性も十分あった。
東京で惨敗した時点で白旗を掲げていた川内は、落選の報を聞いても、「公正な選考が行われたと思います。実力が足りなかった。もっと頑張らなければいけない」と潔く敗北を認めた。
男子3番手、補欠の選考については、異論も多いことだろう。正直、川内は市民ランナーで、陸連の育成方針に沿って出てきた選手ではない。現在もフルタイムで仕事をこなしながら、独自の練習を続けている。そんな選手が五輪代表や補欠になってしまっては、陸連の面目は丸潰れだ。意図的に川内をはずしたとはいわぬが、実業団選手に有利な選考になった“疑惑”は残る。
とはいえ、川内も選考会で、藤原や山本のように、文句がいえないような結果を出せなかったのも事実。今後も仕事はそのままで、市民ランナースタイルを続けるという川内。腐ることなく、4年後のリオデジャネイロでは、市民ランナーが五輪で走る姿を見せてほしいものだ。
なお、陸連は補欠の扱いについて、08年の北京五輪同様、現地には派遣せず、JOC(日本オリンピック委員会)に派遣選手の名簿を提出する6月29日以降は変更しないことを決めた。北京では男女とも故障で欠場者が出たが、今五輪もそれ以降に欠場者が出た場合は選手の変更はない。
(落合一郎)