猫は五輪代表権獲得を懸けて、2月5日、大分県下で開催された別府大分毎日マラソンに出場。50位ながら、自己ベスト2時間37分43秒を7分以上更新する2時間30分26秒の好タイムを記録した。
大会前、同委員会は08年北京五輪代表のヘム・ブンティン(26)の昨季最高タイム2時間31分58秒を上回る記録を内定の基準としており、そのタイムを1分以上超えた猫は当確と思われた。ところが、同委員会は「自己ベストを更新したのは良いニュースだ」としながらも、「五輪代表には2時間25分程度の記録を期待している」と手のひら返し。
五輪に参加するためには五輪参加標準記録B(マラソンは2時間18分0秒)をクリアする必要があるが、ひとつの国・地域で陸上のどの種目も標準記録を破れなかった場合、男女1人ずついずれかの種目に出場できる特例がある。猫はこのケースを狙って、国籍まで変えて五輪を目指してきた。
もう1人の候補は北京五輪代表のブンティン。昨季最高は2時間31分58秒だが、09年12月にラオスで2時間25分20秒の国内記録をつくった実績がある。同事務局長は2人の記録について「大きな違いはない」とコメント。ブンティンは現在、ケニアで練習中。レースに出る予定はなく、待機状態。
ブンティンは北京五輪のマラソンで76人中73位に終わったが、開会式でカンボジア選手団の旗手も務めた。やはり、五輪には日本人の猫より自国人を送り込みたい同委員会の意図も見え隠れする。関係者によると、今月下旬から3月上旬頃に同委員会が代表を決定するもようだ。果たして、劣勢を覆して、猫の五輪出場の夢はかなうのか?
(落合一郎)