スポーツ
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スポーツ 2012年02月28日 15時30分
キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 横浜DeNA編
ベイスターズのキャンプは、中畑清・新監督のダジャレで始まる。巨人時代の同僚でもある宮本和知氏が待ち構えていた22日は、とくにノリノリだった。気心の知れた仲だからだろう。宮本氏は報道陣に混じって入り口付近で身構えていたのだが、中畑監督とは数メートル前から眼が合っていた。宮本氏がタイミングを見計らい、目の前に来るのと同時に「中畑さんです、どうぞ〜」と歌謡ショーの前振りのような喋りでマイクを向ける。中畑監督は「待ってました!」と言わんばかりに、吉幾三の『雪国』を歌い出す。宮本氏の後ろにはTVカメラが…。TV視聴者へのサービスというよりも、宮本氏への配慮だろう。そのカメラクルーは氏がレギュラー出演するTV番組から派遣されたスタッフだった。これだけノリノリのパフォーマンスを見せれば、宮本氏も番組スタッフに対して顔が立つ。中畑監督の気配りである。現役時代からその明るさばかりがクローズアップされてきたが、本当は繊細で、周囲に気を遣ってくれる人なのである。 中畑監督がダジャレを連発しているのは、「ベイスターズの露出度」を高め、選手たちをノセるためだとも聞いているが…。 中畑監督が『素の顔』を見せたのは、18日の対楽天戦(練習試合)。一瞬だが、報道陣の前で、『明るい指揮官』を演じるのも忘れてしまうくらい、怒っていた。 「デーブの声が、うっせえんだよ…」 大久保博元コーチのことである。横浜DeNAは完封こそ免れたが(スコアは3対1)、拙攻やミスの連発で全く良いところがなく、その度に大久保コーチがキツイ野次を飛ばしていたのだ。中畑監督の怒りは頂点に達していた。もっとも、「うっせえ」と吐き捨てた後、すぐにダジャレを言ってその場を繕ったが、ペナントレースでは『明るい指揮官』を演じきれないのでないだろうか。 ただ、投手陣、打撃陣を分けて見てみると、昨年よりは確実に練習の中身が濃い。とくに投手陣に至っては“鬼コーチ”デニー友利が睨みを効かせているせいか、ブルペン、投内連携プレーではキビキビとした動きが見られた。打撃陣にしても、同様だ。守備練習においても、白井和幸コーチはテキトーな送球さえ許さない。戦力的にはまだまだだが、そう遠くない未来に優勝戦線にも加わってくるのではないだろうか−−。そう思える練習光景だった。 しかし、こんなこともあった。某若手投手が打撃投手役で登板したときのことだ。中畑監督は褒めていたが、友利コーチは「全然ダメ! コントロールも…」と、全く違う評価を下していた。投球内容を見る限り、友利コーチの言葉の方が正しいような気がする。 また、中畑監督が最下位脱出の具体策として、『グリーンライト作戦』を挙げている。その名の通り、“青信号”。「各位が走れると判断したら、フリーに盗塁せよ」というものだ。昨季のチーム盗塁数が僅か31に終わり、「100盗塁」までレベルアップさせることで、チーム得点力を高めたいとしている。21日の練習試合(対ハンファ)では「1試合7盗塁」と改善の兆しも見えたが、3回裏の攻撃はとくに興味深かった。先頭の1番・荒波翔が四球を選び、“グリーンライト”で盗塁。相手の失策も三塁まで進むと、3番・石川雄洋の内野ゴロの間に荒波が本塁生還。ハンファ守備陣は前進しており、それをかいくぐってのホームインである。「荒波のスピード」は、確実に武器になる。無安打で得点を挙げられたのは大きい。 この荒波が中堅の定位置を獲るとすれば、左翼手は4番を予定しているラミレスだから、右翼手の選び方が難しくなる。打撃力なら吉村裕基、機動力なら啓次朗と二軍調整中の下園辰哉もおり、森本稀哲、中日から帰還した小池正晃、好打の金城龍彦といった強者も控えている。外野の選手層は厚くなった。 新外国人選手のサラサーはちょっと面白いと思った。走攻守全てにおいて、そつなくこなしていた。良く言えば、三拍子揃った逸材だが、平均点ばかりで特徴のない選手とも言えなくはない。しかし、ストライクゾーンから「ボール・ゾーン」に曲がる外角の変化球にも対応できていた。打球そのものには“外国人パワー”は感じられなかったが、磨けば光る日本球界向きの選手かもしれない。筒香嘉典の復帰が遅れるとしても、『右翼・啓次朗、一塁・吉村(中村紀洋)、三塁・サラサー』の攻撃的布陣も編成できそうだ。 期待の若手投手・国吉佑樹は体力不足なのか、疲れているようにも見えた。中畑監督が称賛するほど順調ではない(2月24日時点)。投手陣のやり繰りに苦労させられ、『明るい指揮官』でいらなくなるかもしれないが、昨季のような大敗はないだろう。
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スポーツ 2012年02月27日 12時05分
UFC日本大会 秋山もKIDも負け!
約11年ぶりとなるUFC日本大会が26日さいたまスパーアリーナで行われた。 第9試合に登場した秋山成勲は元ストライクフォース世界ミドル級王者ジェイク・シールズと対戦。3連敗で後が無い秋山は積極的に前に出て柔道技の大外刈りで豪快に攻めたてるものの終始シールズに主導権を握られ3-0の判定で敗れた。秋山は「日本の皆さん、韓国の皆さん、応援してくれた皆さん、すいませんでした。これが自分の実力です。このままウェルター級でやっていくかどうかは、少し考えたいと思います」と超満員となったファンに謝罪した。 日本人選手は日沖発、五味隆典、福田力、田村一聖が勝利を収め、秋山成勲、岡見勇信、光岡映二、山本“KID”徳郁、水垣偉弥は敗れた。(アミーゴ・タケ)
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スポーツ 2012年02月27日 11時45分
日本陸連面目丸潰れ! 市民ランナーに続き今度は“無職ランナー”が東京マラソンで好成績!
男子マラソンのロンドン五輪代表選考会となる東京マラソンが、2月26日に開催され、現在無職の“苦労人”藤原新(30=東京陸協)が日本勢トップの2位でゴール。タイムは07年12月の福岡国際マラソンでの佐藤敦之(33=中国電力)以来、約4年3カ月ぶりの2時間7分台となる日本歴代7位の2時間7分50秒の好記録で、五輪代表の座を確実にした。 藤原は長崎県立諫早高校、拓殖大学を経て、JR東日本に入社。08年2月の東京マラソンで2時間8分40秒の自己ベストをマークし、同年の北京五輪代表補欠となった。同年12月の福岡国際マラソンで3位(2時間9分47秒)、10年2月の東京マラソンで2位(2時間12分34秒)の成績を残したが、同年3月にJR東日本を退社。同年7月に健康用品の製造・販売をするレモシステム株式会社(本社・大阪市)と3年間のスポンサー契約を結び、プロランナーとなった。しかし、同社の経営難により、給与が支払われなくなり、昨年11月で契約解除。所属先がない藤原は日本陸協所属として、今レースに出場した。現在、貯金を切り崩しながら練習に明け暮れている無職の藤原は、「賞金(2位で400万円)に目がくらんだ」と冗談とも取れぬコメントを残した。 五輪代表選考会の昨年12月4日の福岡国際マラソンでは、公務員の市民ランナーである川内優輝(24=埼玉県庁)が日本勢トップの3位(2時間9分57秒)となったが、皮肉にも五輪代表選考会において、2戦連続で実業団に属していない選手が日本勢トップとなった。日本陸連にとっては選手育成の点で、まさに面目丸潰れ。日本陸連の坂口泰男子マラソン部長は「素直に認めないといけない。マラソンには色んなやり方がある。実業団は従来のやり方だけじゃなく、現実を見て、新たな感覚を取り入れないといけない」と白旗宣言。 その川内はより良いタイムを残すため、東京マラソンにも強行出場したが、給水失敗も響き、2時間12分51秒で14位に終わった。藤原が好タイムを残し、五輪代表を確実にしたため、残り2枠。最後の五輪代表選考会は3月4日のびわ湖毎日マラソンで、07年福岡国際マラソン3位の佐藤、2時間9分台の記録を持つ堀端宏行 (25=旭化成)、中本健太郎 (29=安川電機)、佐藤智之 (31=旭化成)、昨年12月の福岡国際マラソン4位の今井正人 (27=トヨタ自動車九州)らが出場予定。同レースの成績上位者と川内、東京マラソン6位(2時間8分38秒)の前田和浩(30=九電工)あたりとの争いとなるが、日本陸連強化委員会の河野匡副委員長は、川内について「福岡は練習の一環で、東京を狙っていたというのが事実」と語り、注目の市民ランナーには厳しい状況となったことを示唆した。 なお、東京マラソンには多数の有名人、著名人が参加。東国原英夫前宮崎県知事(4時間7分14秒)、AKB48・秋元才加(5時間34分13秒)、元K-1王者のアーネスト・ホースト(5時間16分46秒)、オードリー春日(5時間44分50秒)、猪瀬直樹東京都副知事(6時間40分29秒)、TBSアナウンサー・久保田智子(3時間55分21分)、日本テレビアナウンサー・水卜麻美(5時間24分14秒)らが完走した。(落合一郎)
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スポーツ 2012年02月27日 11時45分
キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 オリックス編
2月20日の東京ヤクルトとの練習試合で、T-岡田に“技アリ”の一発が出た。昨季は不振に苦しんだが、3回にも鋭いライト前ヒットを放っており、李大浩との4、5番コンビはかなりの脅威となるだろう。 この日の一撃を“技アリ”と称したのには、理由がある。今季はパワーではなく、スイング(技術)で打球を運ぼうとしているようである。前述の本塁打を放った後も打球の方向を確認しており、試合後も「イメージと(打球が)ちょっと違う」と話していた。考えすぎるのは良くないが、今年のT-岡田は「本塁打という結果だけでは満足していない。大人になった」という印象を受けた。 岡田彰布監督は『5番最強論者』でもある。4番が歩かされた後に、「5番バッターがガツンと一撃を食らわす」のが理想で、早い時期から「4番・李大浩、5番・T-岡田」の構想を語っていたのは、「チームの中心はT-岡田」と見ているからでもある。実際、20日のヤクルト戦で出たT-岡田の満塁弾は4番・李大浩が歩いた直後に出たもの。同日、岡田監督がご満悦だったのはそのためで、『理想のチーム像』に近づきつつもあるようだが、T-岡田は「5番=昨季の不振による降格」と捉えているようにも感じられた。試合後の囲み会見で『打順』に関する質問が出た際、「(4番を)奪い返したい」と語っていた。岡田監督は自身の構想を、もう1度説明するべきだろう。 打撃陣全体では、昨年と比べ、『打撃ゲージの右打席』が華やかになった。李大浩の加入はもちろんだが、前巨人・高橋信二、故障から復帰を目指す北川博敏も元気で、バルディリカス、大引啓次も彼らに刺激され、快音を響かせていた。 また、即戦力野手として獲得したドラフト1位・安達了一(東芝)と、同2位・ 縞田拓弥(JR東日本)の2人が、内野のレギュラー争いを激しくしていた。ともに守備面では安定しているが、フリー打撃を見る限りでは、縞田の方が「上」かもしれない。大学、社会人でバットマンタイトルを獲得していた経歴はやはりダテではなかった。打球が伸びるのだ。安達もフルスイングしたときの打球は初速が速い。ただ、空振りも少なくないのだ。シート打撃などの実戦形式の練習になると、球種なのか、コースなのかは分からないが、『読み』が外れたような大きな空振りをする。2ストライク後の「ストライクか、ボールなのか判断しにくい」際どいコースに来たボールをファールにする技術も持っていたが、遊撃手のレギュラー争いが打撃勝負になった場合は「縞田有利」という印象を受けた。 当然、現遊撃手・大引も例年以上にバットでアピールしていたが、このショートのレギュラー争いのなかで、異彩を放っていたのが高卒2年目の三ツ俣大樹だ。“年上の後輩”安達、縞田とは違って、バットコントロールで安打を放つ『俊足小技のタイプ』である。首脳陣も「将来のリードオフマン候補」として見ているのだろう。昨年は二軍で唯一、規定打席に到達している。守備範囲がもっとも広いのは、この三ツ俣である。打撃力、守備における送球等の安定感は年上の後輩たちの方が「上」だが…。岡田監督は誰に開幕ショートを託すのだろう。これだけ守備力の高い内野手がいえば、攻撃面での選択肢も確実に増す。代打、代走、守備固め。救援陣の平野、岸田も順調に仕上がっていた。ここに前西武・ミンチェも加わり、今季のオリックスは試合中盤以降に仕掛けてくるスタイルになりそうである。 投手陣で目を引いたのは、やはり新加入の白嗟丞(31=元パドレス)。「速い」というより、「ごっつい」「重そう」といった直球がガンガン投げ込んできた。ただ、コントロールは良くない。今季はリリーバーが安定しそうなので、「打者2巡の6回」を目安に投げてくれば、2ケタは計算できそうだ。マクレーンは昨季よりも真っ直ぐが速くなった。この時点で「いちばん調子の良い投手は?」と聞かれたら、間違いなく、マクレーンである。ライバル球団が「優勝もあり得る」と警戒を強めていたが、今年は期待してもいいのではないだろうか。
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スポーツ 2012年02月27日 11時00分
九重親方ぬか喜びの“ナンバー2”
大相撲の役員選挙が行われ、朝青龍問題、力士暴行死事件、ロシア人力士の大麻事件など一連の不祥事の責任をとって辞任した北の湖理事長が返り咲いた。 ナンバー2の事業部長にはこれまた弟子の不祥事で降格されていた九重親方が就任したというのだから、相撲界はまったく自浄能力がないと言わざるを得ない。 「今回の理事選で一門制はかなり崩れました。というのも、二所ノ関一門を出た貴乃花親方には、同じ一門の阿武松親方らの他に時津風一門の時津風親方や寺尾こと綴山親方らが投票したと見られます。立浪一門では元魁皇の浅香山親方まで1票を投じたという話。これによって、立浪一門の友綱親方、伊勢ヶ浜親方は落選しました」(相撲関係者) そんな中、九重親方は次期理事長の一番手とも言われる「事業部長」の就任にご満悦だという。 「北の湖親方が理事長に就任するに当たっては九重親方や貴乃花親方が推したといわれます。これによって“ポスト理事長”の最有力候補は自分だと九重親方は嬉しくて仕方ない。しかし、果たしてそうなるかどうか」(スポーツ紙記者) 九重親方は唯我独尊。現役時代の数々の実績を背に傲慢との声も聞かれる。 「あれだけの実績を残しながら、長らく理事になれなかったのは親方衆に人望がなかったから。加えて、“あの人が理事長になったら何をやるかわからない”という危機感を皆持っているんです」(前出の相撲関係者) 八百長問題で揺れた大相撲。最も世間受けするのはガチンコ相撲で22回もの優勝を遂げた貴乃花親方だろう。しかし、一門制に一石を投じた貴乃花親方には年配の親方衆が総スカンとの話も聞こえてくる。 ただ、理事の世代交代が進めば協会内部の貴乃花親方に対する評価も一変する可能性があるという。 「次の役員選挙の頃までには石頭の親方衆がすべて定年。役員候補のメンツも変わり一門制にあまりこだわりのない親方衆が顔を揃えるかもしれない。そうなると、貴乃花理事長が実現するでしょう」(元力士) 九重親方のぬか喜びはいつまで続くか。
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スポーツ 2012年02月26日 11時00分
吉本新喜劇に貴乃花親方参戦 暴力団スキャンダルの腐れ縁
なりふり構わず−−。2月1日の相撲協会の人事異動で春場所の総責任者である担当部長に任命された貴乃花親方(39)が切符売りに大阪中を走り回っている。 3月11日から大阪府立体育会館で始まる春場所は去年、大相撲界の根幹を揺るがした八百長問題で中止になったため、なんとしても成功に導きたいところ。貴乃花担当部長の出現は3年半ぶりに理事長に返り咲いた北の湖理事長の秘策人事と言っていい。 「貴乃花親方にとっても望むところ。これまで審判部長などを歴任していますが、まだこれといった実績はあげていません。地方場所の担当部長はミニ理事長のようなもの。場所を成功させるためにありとあらゆる手を尽くさなければいけない。将来の理事長候補として、ここでしっかりポイントを稼ぐという思いでやっている。『やるからには15日間、オール満員御礼を目指したい』と就任直後の記者会見で語った言葉にも表れていました」(大相撲担当記者) 失敗はできない。そのため、就任翌日の2月2日に大阪入りすると、入場料値引きなどの特典を設ける和装デーを発案したり、15日間、通しでマス券を購入した客には自ら自宅まで切符を届けに出向くなどのサービスを打ち出すなど、ユニークなアイデアを次々に捻り出している。 「とにかく1枚でも多く切符を売りたいと必死なんですよ。前売り開始日の5日には、陣中見舞いに東京からやってきた景子夫人も電話口に出てフジテレビアナ時代の美しい声で対応していましたよ」(協会関係者) ただ、いまどき少々値引きしたぐらいで和服の客がドッと押しかけるはずもなく、1マスを15日間通しで買えば60万円もする。いくら平成の大横綱が自ら足を運んでチケットを届けるといっても、したたかな大阪人の財布のヒモが緩むとはとても思えない。「いかにも世情にうとい横綱商売」と周囲からは冷ややかな声も。 9日には、さっそうと大阪市役所に乗り込み、橋下徹市長に初日前日の3月10日に行われる土俵祭りの出席を重ねて依頼したが、「スケジュールを見てみないとわかりませんので」と体よくイナされてしまった。 この貴乃花流アイデアの極めつけが吉本新喜劇への出演企画だ。 「興行という点で相撲界も吉本も過去に暴力団との交際があったのは紛れもない事実。昨年の八百長問題の際も暴力団の関与が取り沙汰された。吉本も紳助が暴力団との交際を認め引退させた経緯がある。それが半年前です。まだ不祥事から完全に立ち直ったとは言えないだけに、劇場に出ていっても笑い者になるのがオチ」(社会部記者) いっそのこと、紳助も登場させれば大ウケする?
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スポーツ 2012年02月25日 17時59分
キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 中日編
大人の集団とでも言うべきだろうか。高木守道・新監督は一歩引いたところから全体を見渡し、選手たちは「自分たちは何をすべきか」を分かっている。コーチの指示がなくても、動ける−−。大人の雰囲気が醸し出されていたのが、中日のキャンプだ。前任者の時代もそうだったが、このチームの「練習の辛さ、激しさ」は分かりにくい。野手はひたすらバットを振り、投手陣は懸命に走り、そして寡黙に投げ込む…。 他球団では、「監督が成長著しい若手をマンツーマンで指導する」、「個人ノックをする」などの“ファンサービスを兼ねたパフォーマンス”も繰り広げられるのだが、中日キャンプはそうではないのだ。 関係者によれば、昨季の得点力不足を解消するため、『特別発注のボール』が打撃練習で使われていたという。見た目は公式球と同じだが、「重さは300グラム」とのこと。公式戦で使われるボールの約2倍だ。主力選手はその効果もほとんど語ってくれないが、バットのヘッドスピードと、ボールとバットが当たる瞬間のパワーアップが目的とされている。 前指揮官時代がとくにそうだったが、こういう「目に見えない激しい練習」が特徴でもある。 そんな大人の集団のなかでも、しっかりと自己アピールができていたのが、ドラフト1位ルーキー・高橋周平内野手(18)だ。高木監督は『一軍戦力』として見ている−−。対外試合でもバットで貢献しているのは既報通りだが、そう確信したのは、高橋がショートのポジションでもノックを受けていたとき。指揮官は「体格的にサード」と“打撃優先”の育成方針を各メディアにコメントしてきたが、『ショートの準備』もさせているということは、井端弘和のスペアとしても見ているのだ。高木構想では再び『二塁・荒木、遊撃・井端』に戻すという。前監督はこの2人のポジションを入れ換え、『二塁・井端、遊撃・荒木』の内野布陣を作ろうとした。しかし、この二遊間コンビも30代半ばに差し掛かり、慣れ親しんだ元のポジションに帰ったとしても、故障も抱えている。2月3日には高木監督自らがこの高橋の指導に当たったとも聞いている。選手を「大人扱いするチーム」だけに、まさに異例の光景だったという。厳しくチャックされていたのが、「6-4-3」の併殺プレーにおける二塁手へのスローイングやトス送球のタイミング。現行として、三塁には森野将彦がいる。三塁、遊撃の大先輩たちを押し退けてスタメン出場するのは厳しいが、キャンプ中盤に入ったこの時期、「高橋に二塁の練習もさせておく」といった声も、中日内部から聞こえてきた。守備力なら、岩崎達郎の方が上かもしれない。だが、この高橋に対し、「大先輩たちに何かあったら、オマエが行くから緊張感を持って待機しておけ」ということで、実戦経験を積ませていくつもりなのだろう。 高橋の長所は打撃力だが、ファンの期待に水をさすようで申し訳ないが、「1年目は苦労する」のではないだろうか。“実戦デビュー”となった11日の韓国LG戦では、第4打席に右中間を割る二塁打を放っている。甘い直球を見逃さない姿勢はもちろん、その打球の速さに他球団の偵察部隊も驚いていたが、第1、第2打席を見る限り、一抹の不安を感じた。両打席とも三振を喫したのが、対応できなかった3ストライク目は全て変化球だったのだ。第1打席は緩急を使われ、空振り。第2打席は低めの変化球の曲がり具合に対応できず、見逃し…。第3打席はセカンドゴロだが、見逃せば、「ボール・カウント」だった。変化球を捨て、直球にヤマを張ったものの、相手バッテリーは見透かされ、ストライク・ゾーンには投げてくれなかったのだ。 「甘いところにくれば、確実に仕留める」力があることは第4打席で証明している。高橋が大先輩たちの有事でフィールドに送られた後、高木監督に「明日も使いたい」と思わせるには、プロ投手の変化球に対応できるようにしておかなければならないだろう。 17日のシート打撃でセットアッパー・浅尾拓也と対戦した。結果はレフトフライだが、その『打球の質』に驚かされた。浅尾が投じたのは直球だったが、左打者が流した打球とは思えないほどの飛距離であり、「伸び」も感じられた。反対方向に“強い打球”が打てるのは、一流の左打者の証とされている。 投手陣だが、全体的にスロー調整の感がある。2年目の左腕・大野雄大が目立っていた。ストレートの威力は一級品である。脇で見ていて、「怖い」くらいだった。アマチュア時代からストレート勝負をしても負けない豪腕で知られていたが、権藤博・投手コーチの構想にすでに入っているのではないだろうか。大型補強に成功した巨人よりも、中日の方がブキミである。
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スポーツ 2012年02月24日 11時45分
世界最大の格闘技団体UFC日本大会の記者会見で秋山成勲が「日本の人たちに自分の姿を早く見せたい」
2月26日さいたまスーパーアリーナで行われる世界最大の格闘技団体UFC日本大会の記者会見が23日都内で行われた。 会見にはUFC社長デイナ・ホワイトを始め、ライト級王者フランク・エドガー、挑戦者ベンソン・ヘンダーソン、ランペイジ・ジャクソン、ライアン・ベイダー、秋山成勲、ジェイク・シールズのトップファイターが登壇した。背水の陣で試合に臨む秋山は「日本で久々に試合出来ることに、プレッシャーというより光栄に感じています。日本の人たちに自分の姿を早く見せたいです」と静かな闘志を秘めて語った。 またデイナ社長は「UFCが好きなら、ぜひ会場に見に来て下さい。来場するファンがビックリするような史上最大にエキサイティングなイベントをお見せします」と自信満々のコメント。(アミーゴ・タケ)
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スポーツ 2012年02月24日 11時45分
キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 福岡ソフトバンク編
メジャー通算119勝の右腕は救世主となり得るのか…。前デトロイトタイガースの先発ローテーション投手、ブラッド・ペニー(33)がチームに合流したのは2月9日。翌10日のブルペン投球を見た他球団スコアラーたちは、「コントロールが良い。球質も重そう」と“警戒”を強めていた。 このペニーの投球は『室内練習』でしか見られなかったが、心地好いミット音を響かせていた。先発枠に入ってくるのは間違いない。 ペニーの印象を伝えると、『直球の重量感』よりも、『カーブ系の変化球』の方が脅威に思えた。曲がり具合、軌道は普通だが、『ボールの回転』が早い。一般論として、カーブはホームベース付近で失速する。そのため、日本の球界では「カーブ=緩急でタイミングを外す変化球」と捉えられているが、ペニーの投げるカーブ系の変化球は違う。強いスピンが掛かっているというか、『力勝負をするための変化球』のように見えた。しかも、低めにコントロールされているのだから、対戦打者は苦労させられるだろう。 念のため、米メディア陣の1人にこのペニーの評価を確認してみた。 「スプリット、スライダーも投げますよ。昨季は防御率が5点台まで落ち込み、残念ながら、メジャーでは『もう、先発としては通用しない』と見下されていました。彼は1月下旬までメジャー球団との契約を目指していましたが、お声が掛からず、日本に新天地を求めました」 30歳を過ぎ、メジャー球団と契約できない先発タイプの投手は少なくないという。ただ、制球力、クイックモーションなど日本球界で通用するには“それなりの要素”を必要とする。体格的に見て、クイックモーションは期待しない方が良さそうだが、ソフトバンクの渉外担当者は数多い“売れ残り投手”のなかから、「日本向きの投手を見つけて来た」と評価してもいいのではないだろうか。 3年目の左腕・川原弘之の成長が著しいという。工藤公康氏(解説者)がTVのニュース番組でイチ押ししていたため、各マスコミが「どんなピッチャーなんだ!?」と好奇の目を向けていた。確かにストレートは速い。秋山幸二監督も「チャンスはある」と各メディアにコメントしていたが、ブルペンではコーチに投球フォームを修正される場面も多く、「一軍枠に生き残れるかどうか」というのが、正直な評価だと思われる。 そんなブルペンでオーラを放っていたのは、FA加入の帆足和幸とドラフト5位・嘉弥真新也(かやま・しんや)の両左腕だ。32歳、得意のパームボールなどを低めに集めており、通算11年、4年連続160イニング強を投げてきたベテランにはやはり『貫禄』がある。スリークオーターの嘉弥真だが、真っ直ぐは「140キロに届くかどうか」。しかし、変化球が面白い。人指し指と中指を曲げて挟む『独自のナックル系ボール』はドラフト時から報じられていたが、カーブ、チェンジアップも武器になりそうだ。一見、「全体的にボールが高めに浮いている」と思ったが、よくよく見てみると、軌道が大きいため、錯覚させられていたのだ。 季は杉内、和田たちの離脱により、先発スタッフに一抹の不安が残る。大量にリリーバーを投入する試合も予想される。森福允彦の登板過多を防ぐ意味でも、この嘉弥真をベンチに入れておきたい。 また、川崎宗則の米挑戦により、正遊撃手が不在となった。20歳の今宮健太、新人の塚田正義(白鴎大)、トレードで帰還した金子圭輔が競っていたが(キャンプ前半)、守備力は横一線。そのため、打撃、走塁能力も『正遊撃手選び』のポイントになるだろう。まず、今宮、塚田は同じ俊足タイプ。昨季の二軍での起用法から察するに「今宮有利」と思っていたが、塚田の打撃センスは前評判以上だった。フリー打撃を見ていると、鋭いライナー性の打球を量産していた。柵越えはほとんどなかったが、打球は速い。広角に打ち分ける今宮の打撃も魅力的だが、バットでは「塚田有利」にも見えた。肩痛で出遅れた明石健志も帰ってくれば、『正遊撃手争い』はさらに厳しいものとなる(2月中旬時点)。好不調で選手を使い分ける起用法も考えられるが…。 このチームは選手層が厚いので、新しい戦力が出てくるのは必至だ。潜在能力の高い選手が多いのも、キャンプを見ただけで分かる。しかし、中堅、若手は出場機会が少なかったため、本当に「1年間を乗り切る体力と技術が伴っているのか」は判断が付かない。中堅、若手を入れ換えながらの戦いになるのではないだろうか。
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スポーツ 2012年02月23日 15時30分
日本相撲協会 約49億円の大赤字も悲壮感がないワケ
日本相撲協会は2月22日、東京・両国国技館で理事会、評議員会を開き、11年度の収支決算を承認した。経常収益は前年比29億2900万円減の63億4800万円で、経常費用は108億5700万円。経常外費用などを含めると48億8600万円の赤字となった。関係者によると、過去最高の大幅な赤字だという。 収入の柱となる事業収入は、野球賭博問題で減収した前年より29億8000万円減の54億4400万円。昨年2月に発覚した八百長問題の影響はやはり大きかった。3月の春場所は中止、5月の夏場所は無料公開の技量審査場所となり、2場所分の本場所収入とNHKの放送権料(約10億円)が消えた。約2億円の収入源である地方巡業も中止され、相撲案内所や勧進元(主催者)への中止による損失補てんなども3億7000万円が発生した。さらに、7月の名古屋場所で正式に場所が再開されたが、客離れは大きく興行不振も響いた。 北の湖理事長(元横綱・北の湖)は「厳しい状況と重々承知している。重く受け止めて信頼を回復し、土俵を見てもらうように進めなければいけない」と話した。民間であれば、中小企業ならまずもたない赤字額だ。大企業であっても、人件費カットなどの措置を講じなければ、会社が立ち行かなくなる。しかし、北の湖理事長は年寄や力士の報酬カットについては「今は考えていないが、そういうことを視野に入れることも大事だと思う」と述べるにとどまった。 約49億円という巨額の赤字を計上しておきながら、なぜ、悲壮感がないのか。それは、これだけの赤字を出しても、いまだ莫大な財産を有しているからにほかならない。昨年度の赤字分は現金預金から約11億円、減価償却引当資産から約34億円などを切り崩して補てんした。 それでも、国技館の土地、建物を含めた協会の正味財産は、まだ375億8700万円もあるのだ。今後、昨年や一昨年のような不祥事による本場所やNHKテレビ放送の中止がないかぎりは、赤字になっても、正味資産を考慮するとたかがしれている。とはいえ、このまま赤字を垂れ流すわけにもいかないだろう。健全な経営ができるよう、集客に本腰を入れるべきだ。(落合一郎)