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キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 北海道日本ハム編

 栗山英樹・新監督(50)に課せられたテーマは、斎藤佑樹と中田翔を一人前に育て上げることだろう。
「このチームにとって、何がいちばんプラスなのかを考えている」
 これは3月3日のオープン戦後、栗山監督から出たコメントだ。担当記者団が何度か聞かされた発言でもあり、同日先発し、5回3失点(被安打8、与四球2)と結果を出せなかった斎藤佑樹について語っていた最中に出たものだ。

 エース候補・斎藤は2年目の飛躍を見せられるか−−。投球フォームが少し変わった。右足を挙げる際、昨季までは両腕を伸ばしきるまで下ろしていたが、みぞおちの辺りで止めている。昨季中盤以降、ストレートのキレ、球速のアップをテーマに掲げており、その一環とされるが、その効果はまだ表れていない。その斎藤の飛躍が「チームにとっていちばんのプラス」なのは間違いないが、「やってもらわなければ困る」というのも、指揮官の切実な願いでもあるようだ。
 先発ローテーションを託される6人のうち、実績十分の武田勝、昨季14勝のケッペル、同12勝のウルフまでは名前が浮かんでくる。ここに斎藤を加え、4人。5番手以降が見えてこないのだ。糸数敬作、八木智哉、吉川光夫、乾真大、将来を期待されている中村勝、ベテラン・木田優夫といった名前が浮かんでくるが、投手陣の調整は他球団よりも遅れていた。ブルペン投球を見る限りでは、増井浩俊(27)が良かった。増井は昨季56試合に救援登板したタフネス・リリーバーだが、日本ハムは救援投手層の厚いチームでもある。『先発5、6番手』が結果を出せなかった場合、セットアッパーの誰かを先発に配置換えする可能性もあるのではないだろうか。

 また、先発スタッフの現在の力量を考えると、今季は序盤から点を失う試合も多くなりそうだ。栗山監督もそのへんを覚悟しているのだろう。4番も務めた稲葉篤紀(39)を2番に置く打順をテストしていた。大量得点の狙えるビッグイニングを作るためだが、キーマンの稲葉の打撃スタイルも少し変わったように見えた。07年に首位打者、最多安打をマークしたように、もともとバットコントロールの良いバッターである。しかし、フリー打撃では内野手の頭上を抜くようなライナー性の打球が例年以上に多かった。意識して打っていたのか否かは分からないが、打球の方向は狙っていた。1番の打順に入るのは田中賢介か、陽岱鋼。1番バッターが出塁すれば、一・二塁間は広く空く。左打者の稲葉にすれば、右方向へヒットは打ちやすくなる。一発の脅威を秘めたバッターであり、さらに広角に打ち分けるバットコントロールを磨いているとなれば、稲葉の2番は脅威である。その後に、ホフパワー、中田、小谷野栄一、スレッジ、糸井嘉男たちが続く。今季は失点も多いが、「打ち勝つ」というスタイルになるだろう。
 ソフトボール出身・大嶋匠の活躍は既報通りだが、4年目の中島卓也(21)も面白い。昨季までのファーム戦で何度か見ているが、スイングが速くなった。同じ内野手で右投左打の田中賢介に似てきたように思う。

 今季は大野奨太(25)にも注目していきたい。昨季は“正捕手”鶴岡慎也(30)が開幕前に故障し、自己最多となる102試合に出場した。大野は「将来の正捕手候補」として期待されてきたが、ここまで鶴岡を追い抜けなかった背景にダルビッシュとの相性もあった。鶴岡は『ダルビッシュ専用捕手』とも称されてきたが、現日本ハム投手陣のなかで「特定の捕手との相性」を主張する者は誰もいない。新選手会長に就任した鶴岡も必死だが、大野にとっても今年はチャンスである。栗山監督は斎藤佑樹に「もっとガムシャラな姿を!」と檄を飛ばしているが、大野にもそんな姿を見せて欲しい。
 4番定着を目指す中田、斎藤佑樹、大野…。指揮官にとって、もっとも難しいのは勝利と育成を両立させることだ。栗山監督は世代交代の難しい時期にあるチームを託されたようである。(了)

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