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本拠地移転阻止に向け横浜スタジアムがDeNAに大幅譲歩

 横浜DeNAベイスターズが3月7日、本拠地の横浜スタジアムと7年間の使用契約を結ぶことに合意したと発表した。同日にはDeNA・春田真オーナーと池田純球団社長が、同球場の鶴岡博社長とともに横浜市役所を訪れ、球場への出資者でもある同市の林文子市長に報告した。
 ここ数年、横浜球団(前親会社はTBSホールディングス)は身売りとともに、本拠地移転のウワサが消えることはなかった。

 その理由は簡単で、観客動員の悪さと、同球場を本拠地にするメリットの薄さだった。横浜球団の観客動員は、4年連続最下位というチーム事情もあって例年低迷。昨季はわずか110万2192人(1試合平均1万5308人)の動員で、12球団ワーストだった。

 本拠地移転がウワサされる度にクローズアップされたのが、横浜球団と同球場との契約内容だった。昨季までは球団が入場料収入の25%を同球場に支払わなければならず、球場内の広告収入は球場に入るようになっていた。球団は同球場から年間約3億円の協力費を得ていたものの、この契約内容では、とても球団経営は立ち行かず、赤字が続いていたが、逆に同球場は黒字だった。

 今回、その契約内容が大幅に見直され、球団が納める使用料はこれまでの約半分である入場料収入の13%になった。その代わり、同球場から支払われていた協力費は廃止される。球場内の広告収入は従来通り球場側に入るものの、新たに外野フェンスに設置予定のリボン(帯状)広告は、球団側の収入となる。また、球場外に開設予定のグッズショップの売り上げも球団側に入ることになった。

 これまでは、どう考えても、球団側が儲からない契約内容になっていたが、球場側が大幅に譲歩したことで、契約もこれまでの単年から7年の長期契約となった。

 春田オーナーは「球場あっての球団であり、球団あっての球場。共存共栄し、ファンの皆さまに喜んでもらえるような環境を作っていければ」と語った。鶴岡社長は「去年までは(身売り問題で)同じテーブルに着けなかった。長期にわたって一緒にやっていける強力なパートナーができたので、大型の設備投資にも取りかかれる」と話し、老朽化が目立つ電光掲示板やトイレなどの設備の改修に取り組むことになった。

 同球場としては、球団が本拠地を移してしまったら、会社の存続にもかかわる非常事態となってしまう。契約条件を譲歩してでも、球団には長期で残ってもらう必要があったのだ。まともな契約をゲットした横浜DeNA。あとは観客動員がどこまで伸びるかだが…。
(落合一郎)

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