DeNA社との交渉は大筋で合意しているとはいえ、球団名に「モバゲー」を入れたいDeNA社と、「企業の売名のため、球団を持つのは規定上、許されない」とする野球協約の内規運用とのあいだで調整が難航しているという。TBSHDは交渉を継続するとしており、破談や決裂の可能性は低いというが、売却交渉がこのまま立ち消えになるのではないかとの声も聞かれてきた。
在京スポーツ紙記者は語る。「これまでDeNA社への売却交渉に好意的だった読売ジャイアンツの渡辺恒雄球団会長が、ここへきて『モバゲー』の名称使用はまかりならんと言っているようです。DeNA社内に『モバゲー』名義で新会社を立ち上げて、そこに譲渡するという案も出されましたが、それにも難色を示しているということです。『モバゲー』が冠につくかつかないかではDeNA社の広告効果は数億から数十億円“見込めない”ことになってしまいますからね」。DeNA社は「モバゲー」の冠なしでも球団経営する“うまみ”があるのかどうかについて再検討しているという。
「もともと年間20億円もの赤字をタレ流してきた球団ですから、譲渡される側もそれなりのうまみがないと手が出せません。ただでさえこの不況下で、ポンと球団にカネを出してくれる企業は日本中見渡したってありませんよ。オーナー会議も協約にガチガチに縛られて身動きがとれなくなって“大きな魚を逃す”よりは、譲歩して“身を取る”ほうがよさそうですが」とは前出のスポーツ紙記者。
DeNA社は取締役会の延期に伴い、同じくこの日に予定していた球団譲渡の発表も延期されたが、このままズルズルと長引いて結局立ち消えにならないことを祈るばかりだ。