ノリは昨オフ、楽天を自由契約となり、移籍先を探したが、声を掛ける球団は現れず、自主練習を続けていた。5月下旬に横浜からオファーがあり入団。当初はファーストでのスタメン起用も多かったが、結果が伴わず、後半戦では代打に甘んじていた。今季の成績(10月12日現在)は59試合に出場して、107打数23安打で.215の低打率。本塁打はわずか1本で、14打点という低調なもの。
しかも、シーズン終盤からは、ノリと同じポジションのファーストには、高卒2年目の期待の大砲である筒香嘉智(19)が固定され、わずか33試合で8本塁打(12日現在)と、持ち前の長打力を発揮。チームの将来を考えれば、来季、筒香がファーストのレギュラーとして座ることが確実だ。
筒香の急成長があるだけに、もはや結果が出せなかった大ベテランのノリには不要論が出そうなものだが、球団が出した結論は残留。佐藤常務は「もともと技術はあるし、春のキャンプを経れば、しっかり戻る。若手の手本にもなっている。現場の評価も高いので」と説明。さらには、佐藤常務は残り154本と迫った2000本安打達成へもエールを送った。
予想外のノリ残留の理由は、今季、ファーストのレギュラーとしてプレーしたブレット・ハーパー(30)の去就と、ノリの低年俸にありそうだ。来日2年目のハーパーは、打率.278、9本塁打、39打点の平凡な成績。チームが若手起用に切り替えたため、すでに帰国しており、退団が濃厚といわれている。ハーパーを解雇すれば、来季、ノリを筒香が不調の際のスペアとして活用することも可能で、その利用価値も出てくる。
そして、残留の決め手となったのが、ノリの格とは段違いな若手並みの低年俸だ。今季、500万円(推定)プラス出来高で契約したノリ。この成績では来季、大幅アップは見込めず、年俸面での負担が軽いことも残留の大きな要因となったのであろう。
(落合一郎)