スポーツ
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スポーツ 2012年09月08日 17時59分
前代未聞! ヤクルト・バレンティンが史上初の規定打席不足の本塁打王へ
西武と日本ハムがし烈な優勝争いを繰り広げているパ・リーグをシリ目に、一方のセ・リーグは巨人の独走状態。その優勝ももはや時間の問題で、セの興味は広島、ヤクルトの3位争いと個人タイトル争いに絞られてきた。 その個人タイトルレースでは、9月7日現在、阿部慎之助捕手(巨人=33)が打率.317、打点83で2部門のトップに立っている。打率では2位の坂本勇人内野手(巨人=23)が.3104、3位のラスティングス・ミレッジ外野手(ヤクルト=27)が.3097と肉薄しており、最後まで分からない状況。しかし、打点は66で2位のウラディミール・バレンティン外野手(ヤクルト=28)に大差を付けており、こちらは当確といっていいだろう。 問題は本塁打王争いだ。現在のランキングは、1位・バレンティン27本、2位で阿部とトニ・ブランコ内野手(中日=31)が21本で並び、4位のミレッジが20本で続いている。こちらも、残り試合の少なさを考えると、阿部らが逆転するのは困難で、バレンティンの2年連続本塁打王が濃厚だ。 もし、20本台での本塁打王誕生となると、95年のパ・リーグの小久保裕紀(ダイエー)=28本=以来、セ・リーグでは61年の長嶋茂雄(巨人)=28本=以来の低レベルのタイトルホルダーとなるだけに、バレンティンにはせめてあと3本の上積みはして、30本台に乗せてほしいところ。 ただ、気になるのはバレンティンの打席数だ。セ・リーグの打率ランキングのどこを見ても、バレンティンの名は見当たらない。つまり、規定打席に達していないのだ。バレンティンは右臀部の肉離れで、8月2日に出場選手登録を抹消された。9月4日に復帰を果たしたものの、約1カ月間の欠場で、規定打席ははるか遠くに行ってしまった。 現在、バレンティンの打席数は318。ヤクルトの残り試合は26でシーズンの最終規定打席446までは、あと128打席が必要。これをクリアするには、1試合平均4.92打席立つ必要があり、クリーンアップを打っているバレンティンには現実的には不可能な数字だ。 バレンティンがタイトルを獲得すれば、2リーグ制となって以降、史上初の規定打席不足の本塁打王誕生という珍事となる。こんな事態を引き起こしてしまった、他のホームランバッターたちは情けない限りである。(落合一郎)
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スポーツ 2012年09月07日 16時00分
“ナックル姫”吉田えりが日本球界に復帰!
米独立リーグ、マウイ・イカイカに所属する“ナックル姫”こと吉田えり投手(20)が、日本球界に復帰することが分かった。 昨今、野球だけではなく、その巨乳ぶりに注目が集まる吉田は、6月にマウイに入団。昨季まで、米独立リーグでは1勝しか挙げていなかったが、今季は開幕から3連勝。その後、6連敗を喫したものの、8月22日(現地時間)、米カリフォルニア州でのサンラファエル・パシッフィックス戦に先発。5回を投げ、1安打2失点に抑え、2か月ぶりの4勝目をマークした。 マウイでは今季、11試合に登板、4勝6敗、防御率5.56の成績だった。同球団との契約が満了するため退団するが、9月10、11日には石川・金沢市民野球場で、石川ミリオンスターズ対マウイの国際交流戦が行われ、これが同球団での最後の雄姿となる。 今後は、5月まで在籍した関西独立リーグの兵庫ブルーサンダーズに復帰する予定で、来週にも契約する見込み。兵庫は後期リーグ戦を、12日以降に17試合残している。そこで、米国でパワーアップした吉田のプレーが披露されることになる。 すでに、8月末に帰国している吉田は、9月6日付のブログでは、「こんにちは。なかなか更新できなくてすみません。日本に帰ってきてから、約1週間が経ちました。アメリカでやり切ったからか、少し無気力になってたけど、お母さんの手作りご飯を食べて、元気いっぱいやる気いっぱい。荷物の整理、部屋の掃除をしっかりと終わらせて、あとは毎日体動かして練習してました。まず、来週の石川に向けて、頑張らなきゃです(後略)」と記している。 再び、日本で吉田のプレーが見られるのは楽しみである。野球もさることながら、投げる度に、ユサユサと揺れる胸にも、要注目です。(落合一郎)
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スポーツ 2012年09月07日 11時45分
三浦知良、目標は「サッカーのワールドカップ」
“キング・カズ”ことサッカーJ2横浜FCの三浦知良選手(45)が都内で6日、『dinos 新商品「シェイプビート コア5000」発表会』に出席。「僕はサッカーのワールドカップを夢見てずっとやってきたので、サッカーのワールドカップに出たいというのは今でも目標」などと心境を語った。 シェイプビート コア5000は、ディノスと伊藤超短波が共同開発した家庭用EMSマシン。電気シグナルにより筋肉を収縮運動させ、業務用レベルのハイスペックで理想のシェイプを実現という。同商品のイメージキャラクターに就任したカズは、トレーニングですでに伊藤超短波の機器を使用したことがあり、「すごいですよ」と感想を紹介。「1日、2日では結果は出ませんけれども、長くやっていれば必ずいい方向へ向かうのではないかという実感はあります」とメッセージを送った。 また、カズは練習を休んでいた原因を「首と背中」の痛みと明かした。前日から別メニューで練習に参加しており、「すぐにチームに合流は難しいのですが、早く試合に出たいので、慌ててはいけないのですけど、早く治るように努力します」という。W杯に出場するフットサル日本代表への参加要請については、「誇りに思いますし、モチベーションになります」と語った。併せて、サッカーでも、フットサルでもW杯は頂点であり、「競技者にとってはどちらも重い」とし、「まずは横浜FCでしっかりケガを治して試合に出る」ことが一番の目標などと語った。(竹内みちまろ)
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スポーツ 2012年09月05日 16時10分
『なでしこ』がWBC問題も解消させた?
「選手会が折れるぞ」−−。プロ野球選手会・労組がこれまでの主張を一転させ、来年3月のWBCへの参加を表明した。9月4日、選手会は大阪市内で『ミーティング』を行い、前日午後、NPB側から連絡のあった「日本野球機構内に事業部を設置する」なる提案について話し合った。それを経て、選手会長・新井貴浩(35=阪神)は、甲子園球場で臨時会見を行い、「ファンも(WBCを)楽しみにしていたし、選手も楽しみに…」と発表。午前中からマスコミ各社にも漏れ伝わっていたように、選手会側が折れたのである。 「WBCインク(米・大会主催者)とNPBが話し合って確認した『WBCのロゴを使わなければ、その大会スポンサー料、興行収益は日本のもの』という従来の収益配分は変わっていません。参加を決意してくれたのは嬉しい限りですが、選手会が態度を一変させた理由が分からない」 しかし、4日の選手会ミーティングが始まる前から「選手会が折れる。参加表明に一変」の情報は各メディアに流れていた。 「某メディアが、選手会が不参加を表明した直後に(7月20日)、一般アンケートを行いました。『収益の不平等配分に抗議する選手会を支持』の回答が一番多かったんです。ファンの後ろ楯を得た以上、選手会は折れないと見る関係者も少なくありませんでした」(プロ野球解決者の1人) メジャーリーグ報道に携わる米国人ライターに、この一報を伝えたところ、興味深いコメントが返ってきた。 「米国では『日本は参加しない』と“断定形”で伝えられていたんですが…。でも、優勝国の不参加が現実となれば、過去2大会の意義もなくなってしまいます。アジア方面の新たな一次予選会場も、経済発展の著しい中国に移すなんて話も出ていました。日本はアジアでの主導権を失う寸前でした」 また、NPB関係者の1人は「下田(邦夫)事務局長の最終説明で誠意が伝わった」と話していたが、選手会を動かしたのはそれだけではないようだ。 「ロンドン五輪ですよ…」(関係者) メダリストによる銀座パレードが大変な盛り上がりを見せたのは説明するまでもないだろう。ロンドン五輪による日本国内の大きな経済効果は見られなかったが、経済界は「スポーツの国際大会における反響の大きさ」を再認識したという。「プロ野球が国際大会を自ら放棄すれば、他競技に出資することも」と、現在の野球興行に関わる企業から撤退を示唆する声も囁かれていた。興行収益が減ることになれば、選手の年俸にも影響しかねない。選手会は“大人の判断”もしたようだ。 「なでしこジャパンは昨年のワールドカップ決勝戦後、東日本大震災の支援にお礼を述べる横断幕を掲げ、大きな反響を呼びました。WBCの侍ジャパンは引き続き、支援をお願いする立場にもなるし、国際大会を放棄すれば、プロ野球界の復興に対する誠意も疑われてしまう」(前出・同) なでしこのメンバーがWBC問題も解決させたということか−−。 WBC参加問題は、各方面に影響を与えた。大会スポンサー、メーカーなどの対応に追われたNPBはもちろんだが、「新井貴浩の不振はその精神的負担では?」という、笑うに笑えない話も聞かれた。 「選手のなかには、不参加表明後、地元後援会や懇意にしている知人等から叱られた者もいたそうです。彼らも精神的に参っているのは間違いありません」(前出・プロ野球解説者) NPB役員は疲労困憊、選手会は精神的にボロボロ…。震災復興のためにも『侍ジャパン』には健闘してもらいたいが−−。
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スポーツ 2012年09月05日 16時10分
日本プロ野球選手会のWBC不参加表明から撤回までの経緯
別掲の通り、1年以上にわたり、すったもんだしたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)出場問題は、最終的に日本プロ野球選手会側が折れて、落着した。 9月4日、選手会の新井貴浩会長(35=阪神)が、甲子園球場(兵庫県西宮市)で会見し、来年3月に予定される第3回WBCへの不参加を撤回した。 本項では選手会が不参加を表明してから、撤回に至るまでの経緯を説明する。まず、昨年7月22日、選手会は臨時大会を開き、WBCに出場しないことを全会一致で決議した。その理由はWBCの収益配分の不公平感。09年3月の第2回大会で配分された収益は、MLB機構とMLB選手会が66%の約10億円に対し、優勝したNPB(日本プロ野球機構)はわずか13%の約2億円に過ぎなかった。前回、日本のスポンサーからは約9億円の収入があったとみられ、選手会は配分の見直しを要求していた。 NPBと主催者であるWBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)との交渉は、昨年8月からスタート。NPBは複数回渡米し、話し合いの場をもったが交渉は難航した。そんななか、NPBは問題解決がされていないのにかかわらず、昨年12月1日にWBCへの参加を一方的に表明。選手会との対立が浮き彫りとなっていた。 1年経っても一向に進展しない事態に、選手会は7月20日、全会一致で不参加を改めて決議。現状打破のため、NPB・島田利正国際関係委員長(日本ハム代表)が渡米し、8月13日(日本時間14日)にWBCIと交渉。NPBは問題となっている収益配分の是正や、スポンサー権、グッズ販売権をNPBに帰属させるよう求めたが、WBCIから却下されていた。 しかし、島田氏は“おみやげ”を持ち帰っていた。収益配分の見直しや、スポンサー収入等は改善されない代わりに、WBCのロゴを使用しない形で、日本が独自で「侍ジャパン」として宣伝活動することを認めさせていた。これを材料に、NPBと選手会の事務折衝が水面下で行われ、この度、合意に達した。 NPBはすでに発足している「侍ジャパン」を利用したビジネス展開を目指す事業部局を設置し、4年40億円の収益確保を見込んでいる。これまでの大会で、日本企業からWBCIに入っていたスポンサー料やグッズ収入が、直接NPBに入ることで、選手会側が歩み寄り、不参加を撤回した。(落合一郎)
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スポーツ 2012年09月04日 15時30分
イチローの犠牲になった? ヤンキースが福留にクビ通告!
MLBのヤンキースは9月3日(日本時間4日)、傘下3Aのスクラントンでプレーする福留孝介外野手(35)に自由契約とすることを通告した。同日は同チームのレギュラーシーズン最終戦当日だった。スクラントンは3Aのプレーオフ進出が決まっているが、福留は不要と判断された。これで、福留の今季は終了した。 福留は昨オフ、インディアンスからFAとなり、今年2月、ホワイトソックスと1年契約を結んだ。しかし、守備固めでの起用が多く、24試合に出場、41打数7安打4打点0本塁打、打率.171と低調。6月に右脇腹を痛め、故障者リスト(DL)入り。故障はいえたものの、同月22日(同23日)、戦力外通告を受け、後に自由契約となった。 その後、7月13日(同14日)にヤンキースとマイナー契約を交わした。ヤンキースでは正左翼手のブレット・ガードナー外野手が故障で今季絶望となり、福留獲得は、その保険的な意味合いがあった。 ところが、同月23日(同24日)に電撃発表されたマリナーズ、イチロー外野手のトレードで事態は一変。ガードナーの穴はイチローが埋める形となり、福留は3Aで不慣れな一塁に回されることが多くなった。スクラントンでは39試合に出場、打率.276、2本塁打、16打点の成績で、メジャー枠が拡大する9月になっても、上からお呼びは掛からなかった。 イチローが仮にヤンキースに移籍しなければ、福留がメジャーでプレーする可能性は十分あった。それだけに、まさにイチロー入団の犠牲になったといっていいだろう。 福留は「これで納得いくシーズンだと言っていたら、どうしようもないし、納得いくことはないけど、でもそれは今の自分の力なのかもしれない。(今後のことは)何も考えていない。なるようにしかならない」とコメントしている。 メジャー5年目のシーズンを、不本意な成績で終えた福留。日本復帰を含め、その去就が注目されるところだ。(落合一郎)
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スポーツ 2012年09月03日 11時00分
爆発寸前!? 白鵬と日馬富士の不仲
秋場所の綱取りが楽しみ、いや、心配だ。 史上5度目の千秋楽全勝対決にもつれこんだ名古屋場所は大関日馬富士(28)が横綱白鵬(27)を一方的な相撲で敗り、1年ぶり3度目の優勝を飾った。これで来場所、綱取りに挑むことになるが、この日馬富士と白鵬の大相撲史に残る鍔迫り合いで改めて浮き彫りになったのが、2人の不仲ぶりだ。 「事前の予想では、圧倒的に白鵬有利説が強かった。過去の対戦成績で22勝11敗と大きくリードしていただけではなく、先場所千秋楽、白鵬は7勝7敗の日馬富士に負けていますからね。ところが、いざフタを開けてみると日馬富士の圧勝で、白鵬は寄り切られた後、ダメ押しを食って土俵下まで転げ落ちています。そのときの白鵬のムッとした表情に、この2人のただならぬ雰囲気を感じた関係者は多かったのでは」(担当記者) この日馬富士と白鵬、同じ春日山・伊勢ケ浜一門(旧立浪一門)に属し、同じモンゴル出身で年齢も1歳違いということもあって、下積み時代は真っ黒になって稽古した仲。 「そんな2人がだんだんおかしくなったのは、白鵬が横綱に駆け上がり、朝青龍と激しく対立するようになってからです。日馬富士は朝青龍の一番の子分で、白鵬が横綱になったとき、自分も大関になるからと太刀持ちを断った話はあまりにも有名。この名古屋場所前も元朝青龍と会食し、白鵬なんかに負けるな、とハッパを掛けられたと聞いています」(部屋関係者) そう言えば、2人は場所後の過ごし方、調整法も対照的。日馬富士は、「綱取りのためにも休んでいる暇はない」と、千秋楽の3日後にはもう北海道の月形温泉に移動し、伊勢ケ浜部屋の合宿に参加。さらに、青森の鰺ヶ沢合宿を経て8月4日から北海道・東北を回る夏巡業に合流した。これに対して白鵬は千秋楽の翌日にはモンゴルに帰国。夏巡業から日馬富士に借りを返す秘策をじっくり練っていたが…。 因縁の根は深いだけに、秋場所の第2ラウンドもただではすまない。
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スポーツ 2012年09月02日 11時00分
日本代表招集辞退へ マンU“ソッポ”で尻に火がついた香川真司
イングランドのプレミアリーグが開幕、香川真司(23)が移籍したマンチェスター・ユナイテッド(マンU)は8月20日にエバートンと対戦した。 本来ならロンドン五輪以上に狂喜乱舞するところだが、盛り上がりに欠けたのは、香川のレギュラーポジションが危うくなったからである。 「貪欲なまでにプレミア奪回を目指すマンUは開幕1週間前になって、昨季リーグの得点王だったオランダ代表のファンペルシーをアーセナルから獲得して、香川中心だった戦略を一変させた。香川の移籍金は1700万ポンド(約21億1000万円)ですが、ファンペルシーは2400万ポンド(約29億8000万円)。クラブがどちらを優先させるかは、おのずとわかる」(サッカー専門誌記者) なぜ、マンUは香川に冷淡になったのか。実は、日本代表戦に大きな要因があったという。 「ベネズエラ戦です。プレミアリーグ開幕前の大事な時期に親善試合で4日間も日本に戻った姿勢がクラブ首脳の怒りを買ったのです。ベネズエラ戦が行われた8月15日にファンペルシーの獲得を発表したのは偶然ではない。欧州のクラブでは代表戦より、リーグ戦が重要視され、ファンの人気も高い。6月のアジア最終予選を2勝1分けの首位で終えた日本代表は9月11日にイラク戦を迎えますが、尻に火がついた香川は召集を辞退する可能性がある。またぞろチームを留守にすれば、居場所を失いかねないし、期限付き移籍の可能性すらある」(元日本代表のサッカー解説者) マンUの場合、プレミアリーグ38試合のほかに欧州チャンピオンズリーグ、FAカップなど年間計60試合近くをこなす。ハードな日程のため、エースのルーニーですら年間の出場試合は30数試合。チームに専念しさえすれば、香川の出番はルーニー、ファンペルシーと同列になる可能性はあるわけだ。 「先のベネズエラ戦では後半29分から初めてトップ下の本田圭佑(CSKAモスクワ)の1トップを試したが、その際、空いたトップ下には香川ではなく、敢えて中村憲剛(川崎)を付けた。このことはとりもなおさず、香川不在の場合のイラク戦を想定している」(スポーツ紙記者) マンUで不動のポジションを勝ち取るまで、日本代表での香川の雄姿はしばしお預けのようである。
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スポーツ 2012年09月01日 17時59分
元ヤクルトのセーブ王・高津臣吾がついに現役引退!
元ヤクルトのセーブ王で、現在は独立リーグのBC(ベースボール・チャレンジ)リーグに属する新潟アルビレックス・ベースボール・クラブで選手兼監督を務める高津臣吾(43)が、ついに現役引退を決意。今季限りで、ユニフォームを脱ぐ。 高津は先の甲子園に出場した広島工業高校、亜細亜大学を経て、90年のドラフト3位でヤクルトに入団。当初は先発でも起用されていたが、3年目の93年に抑えに転向。6勝(4敗)20セーブを挙げて、最優秀救援投手のタイトルを獲得。チームのリーグ優勝、日本一に大いに貢献した。 その後も、ヤクルトのクローザーとして活躍し、01年には自己最多の37セーブをマーク。03年には34セーブを挙げて、佐々木主浩(元横浜)の持つ当時の通算セーブ記録(NPB)229を更新した。 同年オフにFA権を行使して、MLBのホワイトソックスと契約。04には6勝(4敗)19セーブをマークしたが、05年途中にメッツに移籍。 06年には3年ぶりにヤクルトに復帰し、佐々木に次ぎ日本人2人目となる日米通算300セーブを達成した。 07年オフには自由契約となり、08年1月にカブスとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加するが、オープン戦で打ち込まれて戦力外。6月に韓国プロ野球のウリ・ヒーローズに入団し、18試合で1勝(0敗)8セーブを挙げた。 09年は再びMLBに挑戦。ジャイアンツとマイナー契約を交わしたが、メジャーには昇格できなかった。 10年は台湾の興農ブルズに入団。40試合で1勝(2敗)26セーブをマークしたが、オフにブルズから契約を打ち切られた。日本人で日本、米国、韓国、台湾の4カ国でプレーしたのは、高津が史上初。 11年には新潟に入団し、27試合で0勝(2敗)16セーブの成績を挙げる。今季は監督を兼任し、公式戦では1度の登板もなかった。 日米通算313セーブは、日本人では佐々木の持つ381に次いで歴代2位。日本(NPB)のみでは、通算286セーブで、岩瀬仁紀(中日)の343(8月31日現在)に次いで歴代2位。 記録の上でも、記憶の上でも名を残し、4カ国を股にかけてプレーした伝説のクローザーが、現役生活に終止符を打つ。(落合一郎)
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スポーツ 2012年08月31日 15時30分
少子化問題に直面した高校野球の未来像
第94回全国選手権大会(以下=夏の甲子園大会)は、8月23日に決勝戦を終えた。その大一番を前後して、“興味深いウワサ”がネット裏で広まっていた。 「来春のセンバツ大会で『連合チーム』が選ばれるのではないか…」 当事者に迷惑を掛けたくないので、「ウワサ」だということは強調しておきたい。だが、高校野球は転換期を迎えており、何かしらの制度変更も予想されているのだ。 「秋季大会は覚悟しています。甲子園を経験させていただいた以上、仕方ないことですし」 今夏の大会に勝ち上がった某高校の監督が語っていた。どういう意味かというと、夏の甲子園に勝ち上がった分、3年生の卒部に始まる『1、2年生中心の新チーム作り』が遅れてしまう。県代表の座を争ったライバル校は地区予選敗退と同時に『新チーム』での練習をスタートさせており、夏の甲子園を経験した「約1カ月分の遅れ」は秋季大会に影響する。また、来春のセンバツ大会だが、秋季大会以降の公式戦の成績が選考材料となる。したがって、出遅れた側の甲子園出場校も秋季大会を気にするのは当然で、史上7校目となる春夏連覇をおさめた大阪桐蔭、3季連続で甲子園の決勝戦に進出した光星学院には改めて敬意を表したい。 そんな両校は野球部員数がともに60人を越えており(光星学院=67人、大阪桐蔭=66人)、県外出身者の多いチームとしても知られている。私見としては「将来の目標を持って、親元を離れた彼らの勇気」を応援しているが、今夏の地方予選前、興味深いデータも発表された。『少子化問題』である。 今年の地方大会の参加校は、3985校(連合チームは『1校』で計算)。昨年より29校減ったことになる。前年までのデータを見直してみたところ、4000校を割ったのは23年ぶりで、2003年の4163校をピークに『9年連続の減少傾向』となっている。国勢調査に基づく政府関連資料によれば、高校生の人口自体、この10年間で約70万人も減ったという。 高野連加盟校数は4071校(今年5月末時点)。少子化による高校生の人口低下を照らし合わせれば、『7年連続での減少』の事態も当然の結果だろう。しかし、野球部員数は16万8144人で、昨年よりも1219人増えている。また、『部員数100人以上の高校』は全国で68校もあり、2000年代前半と比べ、2倍近くも多くなっている。同様に、『部員数10人以下の高校』は118校。こちらも2000年代前半と比べ、2倍近くになっていた。 野球部員は微増、少子化の影響で加盟校は減少。野球部員は競合・有名校に偏り、地方の無名校は人数不足に悩まされている−−。 今夏は31の連合チームが参加した。部員数不足による11チームが新たに参加、学校の統廃合による19チーム、東日本大震災の影響による『相双福島』を加えて、31チームが地方大会を盛り上げた。『連合チーム』は学校の統廃合等に限って認められてきたが、高野連はこの制度を緩和した。「部員数不足で2大会以上を棄権した高校が全国で96校もあった」からである。 また、東京都も『東西地区割り』の再編成を行う(来年2月承認)。現在、東東京・151校に対し、西東京は120校。この「31校」の格差を解消するためであり、こちらも多摩・八王子地区の公団住宅街の人口減少も影響してのことだろう。高野連はこうした少子化による社会的影響を受け、制度の変更(緩和)も避けられなくなった。球児のためになる規定緩和は大歓迎だが、野球はサインプレーのスポーツでもある。試合中のブロックサインは統一できるとしても、学校行事やスケジュールが異なるため、十分な練習時間を確保できていないという。「試合に出る」だけが目的ならばそれでいいかもしれないが、今夏の光星学院の健闘もあって、高校野球ファンの関心は東北勢に向けられている。東日本大震災でクローズアップされた連合チームもないわけではない。21世紀枠による連合チームのセンバツ出場説が噂されるのは、そのためである。 「限られた練習時間」でどうやって野球レベルを高めるかは、各連合チームの課題だ。現行として、連合チームは「人数不足」(=少子化)に直面した学校の救済法にすぎない。しかし、『施設不足の解消』『行政支援』を目的とするスタイルも認められるとすれば、もっと強い連合チームが出現するだろう。 越境入学者の多い高校が県代表に勝ち上がると、「地元出身者が少ないから応援しない」とこぼす大人も多い。個人的には、こうした学校が野球部員を地元ボランティアに参加させている姿も見ているので、こちらも応援していきたいと思っている。東京都の東西地区割りもそうだが、少子化の問題は高校野球の伝統も変えてしまうかもしれない。炎天下のスタンドで声を張り上げている応援団を見て、高校野球は『地元スポーツ』だということを再認識させられた。少子化問題と同時に、いかに地域に密着し、愛されるチームを作るかも検討しても良いのではないだろうか。(スポーツライター・美山和也)