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日本プロ野球選手会のWBC不参加表明から撤回までの経緯

 別掲の通り、1年以上にわたり、すったもんだしたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)出場問題は、最終的に日本プロ野球選手会側が折れて、落着した。

 9月4日、選手会の新井貴浩会長(35=阪神)が、甲子園球場(兵庫県西宮市)で会見し、来年3月に予定される第3回WBCへの不参加を撤回した。

 本項では選手会が不参加を表明してから、撤回に至るまでの経緯を説明する。まず、昨年7月22日、選手会は臨時大会を開き、WBCに出場しないことを全会一致で決議した。その理由はWBCの収益配分の不公平感。09年3月の第2回大会で配分された収益は、MLB機構とMLB選手会が66%の約10億円に対し、優勝したNPB(日本プロ野球機構)はわずか13%の約2億円に過ぎなかった。前回、日本のスポンサーからは約9億円の収入があったとみられ、選手会は配分の見直しを要求していた。

 NPBと主催者であるWBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)との交渉は、昨年8月からスタート。NPBは複数回渡米し、話し合いの場をもったが交渉は難航した。そんななか、NPBは問題解決がされていないのにかかわらず、昨年12月1日にWBCへの参加を一方的に表明。選手会との対立が浮き彫りとなっていた。

 1年経っても一向に進展しない事態に、選手会は7月20日、全会一致で不参加を改めて決議。現状打破のため、NPB・島田利正国際関係委員長(日本ハム代表)が渡米し、8月13日(日本時間14日)にWBCIと交渉。NPBは問題となっている収益配分の是正や、スポンサー権、グッズ販売権をNPBに帰属させるよう求めたが、WBCIから却下されていた。

 しかし、島田氏は“おみやげ”を持ち帰っていた。収益配分の見直しや、スポンサー収入等は改善されない代わりに、WBCのロゴを使用しない形で、日本が独自で「侍ジャパン」として宣伝活動することを認めさせていた。これを材料に、NPBと選手会の事務折衝が水面下で行われ、この度、合意に達した。

 NPBはすでに発足している「侍ジャパン」を利用したビジネス展開を目指す事業部局を設置し、4年40億円の収益確保を見込んでいる。これまでの大会で、日本企業からWBCIに入っていたスポンサー料やグッズ収入が、直接NPBに入ることで、選手会側が歩み寄り、不参加を撤回した。
(落合一郎)

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