選手会側はあくまでもスポンサー権、グッズ販売権のNPBへの帰属、収益分配率の見直しを主張しており、これが認められなければ、WBCには出場しないことを明言している。一方のNPB側はすでに主催者に出場を表明済み。WBC期間以外にも日本代表(侍ジャパン)を運営し、そのスポンサー収入で、独自の利益を確保するとの考え。だが、両者の話し合いは平行線に終わっており、選手会側はNOの姿勢を貫いている。
収益配分見直しのため渡米したNPB側は、8月13日(日本時間14日)、米ニューヨークでWBCIと折衝を持ったが、案の定、ゼロ回答だった。MLBアジアのジム・スモール副社長は「条件を変えるつもりはない。交渉は終わった。WBCはNPBを招待するもので、選手会を招待するわけではない。今後はNPBと日本選手会の問題。日本が参加国に含まれることを願うしかない」とコメントした。
NPB側の島田氏は「厳しい状況に変わりはない。出場したいから模索している」と話した。12球団は20日に代表者会議を開き、対応策を協議する。その後、再度、選手会と話し合いの場をもつ段取りになる。しかし、何の手みやげも持たされず、手ぶらで帰国したのに、強硬な選手会側を懐柔させるのは至難のワザ。
11月には侍ジャパンとキューバとの親善試合が予定されているが、NPBによると、この試合はWBC出場が前提だという。選手会側が折れなければ、このキューバ戦にも影響を及ぼす。NPB側に選手会を翻意させるウルトラCがあるのかとういうと、はなはだ疑問で、粘り強く交渉していくしかないが、そのための材料が乏しい。今後は選手会側がどれだけ歩み寄れるかが、WBC出場問題の焦点となる。
(落合一郎)