日本側は前回の第2回大会(09年3月)の収益配分が、主催者が66%の約10億円に対し、優勝したNPB(日本プロ野球機構)がわずか13%の約2億円に過ぎなかったことに、不公平感を覚えていた。そのため、日本側は次回大会に向け、収益配分の改善を求め、主催者のMLB(メジャーリーグ機構)と同選手会側と協議を続けていた。日本プロ野球選手会(阪神・新井貴浩会長)はその要望が認められなければ、参加しないことを決議している。
しかし、主催者側との交渉が難航したため、12球団は方針を転換。WBC期間以外にも日本代表を運営し、来春から4年単位でスポンサーなどを募り、国際試合を開催することで収益を確保する構想をまとめた。
主催者側は日本が参加するかどうかの回答期限を9月30日に設定していたが、大きな収入をもたらす日本代表の出場を希望しており、現在も門戸を開いている。
そうなると、困るのは選手会側だ。WBCでの収益配分そのものは、わずかばかりのアップがあっても、今までとほとんど変わらず、選手会の要望が通らなかったことになる。WBCとは別に国際試合を開催して収益を確保するというのは、いわば論理のすり替えだ。選手会側としては余分な労働を強いられることになり、国際試合の開催時期によっては、選手はむずかしい調整が必要とされるケースも出てくる。
主催者との交渉に当たっている楽天・島田亨オーナー会議議長は、「先方と協調的、友好的に話し合いをしている。選手会との話し合いも、誠意を持って真摯に進めていく」と話した。この日、新井選手会長はこの件に関し、明言を避けた。選手会側は12月8日の定期大会で、この問題について協議するが、妥協せず参加拒否の方針を打ち出した場合、12球団側と対立することになる。あくまでもプレーするのは選手。12球団側が選手会の了承を得ないまま、半ば強引に参加表明をしたことで、選手会側が態度を硬化させる可能性も十分にありそうだ。
(落合一郎)