そもそも、この交渉が始まったのは、日本が参加に当たって不公平感を覚えていたからだ。前回の第2回大会(09年3月)の収益配分は、主催者が66%の約10億円に対し、優勝したNPBはわずか13%の約2億円に過ぎなかった。日本は次回大会に向け、収益配分の改善を求め、選手会は認められなければ参加しないことを決議している。
NPBと主催者の交渉は、8月から始まり、NPBはスポンサーやグッズに関する権利を主張したとみられている。しかし、交渉は難航し、主催者が回答期限とした9月までに合意に至らなかった。ただ、主催者は今後もNPBとの話し合いを継続する姿勢を見せ、その一方で、日本に代わる代替参加国探しに着手したことを明らかにしている。
この状況下で、10月7日、臨時の12球団オーナー会議が開かれ、今月中旬に楽天・島田亨オーナーらが渡米して、主催者との再交渉に臨むことが決まった。某球団首脳によると、12球団は参加に向け積極的になっているという。
こうなると、気になるのがNPBの妥協だ。主催者からの譲歩案を引き出した場合は、まだいいが、それもなく参加を決めた場合、主催者に降伏したことになる。そうなれば、NPBと選手会とに亀裂が入る恐れがある。今回の渡米に関し、選手会との意見調整は進んでいない。島田オーナーは「選手会の意向を確認することが必要。尊重して進めていきたい」とコメントしたが、選手会の意を汲まない形でNPBが参加を決めた場合、両者が対立する可能性もある。最悪、NPBが参加を決めながら、選手会がボイコットする危険性も出てくるのだ。
(落合一郎)
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