今回の番組で大矢氏は、同日に行われオリックスが「1-2」で敗れた日本シリーズ第4戦・オリックス対ヤクルト戦を解説。その中で、「1-1」と両チーム同点で迎えた6回裏に、ヤクルト・オスナに決勝タイムリーを許したオリックスバッテリーの配球を問題視した。
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2死一、二塁のピンチで右打者・オスナを迎えたオリックス3番手右腕・比嘉幹貴、捕手・若月健矢のバッテリーは、1、2球目に外角のスライダー、3球目に真ん中付近のスローカーブを投げカウント「1-2」と追い込む。しかし、4球目に外角ボールのスライダーを投じ「2-2」とすると、5球目の外角ストライクのスライダーを捉えられセンター前タイムリーを打たれた。
オリックスバッテリーの配球について、大矢氏は「なぜあそこでスライダー系統(の球)を5球続けていったのか。本当に申し訳ない言い方だけど、私は解せない」と発言。なぜ外に逃げる変化球を5球連続で選択したのかと苦言を呈した。
大矢氏は続けて、「(カウント)『1-2』から(オスナは)カーブを打ち損なって追い込まれたんだけど、その後即インサイドに絶対行くべきだった。そこを無難にスライダー(を投げて)ボールになって、その後ストライクのスライダー。なんか『待ってました』って(感じで)打たれたのでもったいないなと思った」とコメント。オスナの意識をそらすために、2ストライク後のタイミングで内角球を1球見せておくべきだったと主張した。
「打たれた後の西浦(直亨)にはインサイドいってるのよ。同じ失敗しないように」と、オスナに打たれた後のバッテリーはインコースを使っていたことも指摘した大矢氏。「(オスナにも)カウントがバッテリー有利だっただけに、絶対に(インサイドに)飛び込まないといけないケースだった」と、カウント「1-2」からの4球目は内角球を選択すべきだったと再度主張した。
大矢氏の発言を受け、ネット上には「確かに横方向の球を何球も続けるのは安易すぎないかと思ってた」、「スライダーは比嘉の1番の得意球だけど、さすがに連投してたら見切られるのも当然」、「内角速球投げてオスナの体を起こせば、その後スライダーを引っ掛けさせる確率も上がったのでは」と同調の声が寄せられている。
一方、「データ考えたら解せないとまではいかないと思うけどなあ」、「オスナはスライダーも外角コースも得意ではないし、選択としてはそこまで間違いでも無いのでは」、「インコースも投げミスのリスク考えたらそう簡単には突っ込めなくないか?」と反発のコメントも数多く挙がった。
今季のオスナは対スライダー打率が「.247」と今ひとつで、対右投手時の外角低め打率も「.143」と苦手にしている。これらのデータもあり、ほぼスライダーを選択したオリックスバッテリーの配球は一概に間違いとは言えないと考えているファンも少なくないようだ。
「今回の場面では大矢氏が指摘する通りどこかで一度内角球を投げ、外のコースに踏み込みにくいよう意識づけすることも選択肢の一つではありました。ただ、対右投手のオスナの内角打率は真ん中が『.125』と打率1割台の一方、高めは『.368』、低めは『.533』とどちらも高打率。そのため、バッテリーは制球を誤った場合のリスクが高すぎると判断し内角球を選択しなかった可能性もあるかもしれません」(野球ライター)
結果的には敗戦につながったオリックスバッテリーの配球。ただ、オスナの打撃傾向を考えると精いっぱいの選択だったのかもしれない。
文 / 柴田雅人