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新事実は12月の法廷まで持ち越し? 清武・元巨人GMの会見に支持者ナシ…

 『球団代表兼GM』の職を解かれた清武英利氏(61)が社団法人・日本外国特派員協会で会見を行った。清武氏側は解任された直後、「まだ明かしていないものが…」とも語っていたため、会見場には約300人の報道関係者が集まったが、その中身は“不発”に終わったと言っていいだろう。
 報道陣にも配布した資料によれば、<皆さんに訴えたいことは6点です>とあった。

○渡辺恒雄球団会長(85)が不当な鶴の一声でコーチ人事を覆そうとしたこと。
○日本のリーディングペーパーの最高実力者である渡辺氏が、多くのマスコミの前で確信犯的に虚偽を述べた。
○今回の会長の言動は江川卓氏やファンを愚弄するもの。
○騒動に原辰徳監督を巻き込んでしまったこと。
○巨人におけるコーチ人事等は球団代表(GM)兼編成本部長にある。
○自分はチームの信用回復のため働いてきた。−省略−社会部記者時代、大手企業のコンプライアンス違反やそれを食い止めなかった人々を強く批判してきた。だから…。
(抜粋)

 解任に対する反論としては筋が通っていた が、『新事実』はなかった。一時は「新聞の再販に関する話まで飛び出す」「球界全体の裏金問題を暴露する」といった“憶測”も流れていただけに、翌朝のスポーツ新聞各紙は清武氏に批判的な論調も多かった。
 しかし、配布された資料には、ちょっと衝撃的な一文が記されていた。
 <11月9日や11月11日に私が渡辺氏とお会いしたり、電話で説得を受けた際も、この人事の翻意をお願いしましたが、渡辺氏は「巨人は弱いだけでなく、スターがいない。江川なら集客できる。彼は悪名高いが、悪名は無名に勝る。彼をヘッドコーチにすれば、次は江川が監督だと江川もファンも期待するだろう。しかし、監督にはしないんだ」などと、独断人事の狙いを打ち明けました。-省略-「たかが江川」「たかがファン」という底意に基づいた人事を、取締役として到底容認することはできませんでした>
 渡辺会長の『江川入閣』構想は早くから伝えられ、また、その交渉役を原監督に委ねようとしていたという。江川氏、原監督の間で実際に相談があったかどうかは不明だが、今後、清武氏側が渡辺氏(読売グループ)を法廷に引きずり出すとしたら、さらに原監督を騒動に巻き込んでいくだろう。

 また、記者団との質疑のなかでも、今後の焦点となりそうな言動も見られた。
 −−巨人代表職に就いて約7年。今回の告発は、今まで色々なことの積み重ねか?
 「これまでにも近いものはありました(コーチ人事一変のような恫喝的発言として)。しかしながら、今回我慢できないと思ったのは、選手、コーチに関することだからです。球団の財産は選手であります。いつかコーチになります。コーチを守ることが選手を守ることにつながります。−省略−もし私が我慢して(渡辺会長のコーチ編成案を)飲んでいたら、通ったかもしれません。しかし、彼らは軽蔑しますよね…」

 −−10月20日にコーチ人事を報告したというが、その後、巨人はクライマックスシリーズを敗退している。渡辺会長が民主的に、私案としてコーチ人事の変更を提案してきたら、受け入れたか?
 「できません。いくつか問題があると思う。(コーチ人事の)内示を出す前なら相談の余地はあった。もしコーチ人事をひっくり返そうというのなら、CSが終了したのは10月30日。ここから(渡辺氏の「コーチ人事は聞いていない」発言が出たのは)4日経っているわけですよ。私は10月31日の内示を出しました。内示から、7日後に具体的な名前が出てきて(江川氏のこと)、もし変更するなら、もっと早く言っていただきたかった」

 −−外部から見ると、清武氏も権勢を振るってきたのではないか。そういう立場にいたのではないか?
 「ご批判はあるかもしれませんが、『君は破滅だ、全面戦争だ』と言われ、それはサラリーマンにとって恐怖であります。(組織の)なかにいても、最高実力者の畏怖は感じました。今回はコーチを守ることができたので満足しています」

 清武氏が権勢を振るうことのできる立場にいたのは事実である。最後のキツイ質問は「巧く交わした」感も見られたが、最後に、清武氏は「これだけは言っておきたい」と自ら口を開いた。
 「私が不当にポストを要求したなんてありましたけど(18日の読売側の会見で)、とんでもない! (11日の自身の)会見後に、実は先輩から心配の電話をいただきまして…。04年、渡辺会長はオーナー職を退きましたが、翌年にはすぐに会長として復帰されました。今回、もし会長職を退いたとしても、まだすぐに戻ってくるかもしれない。た から、監査役が必要で、私はその覚悟があると申しただけ! それも雑談のなかで。言いがかりです」

 今回も同席した吉峰啓晴弁護士は、被告が渡辺会長個人になるのか、それとも球団、読売グループなのかは伏せたが、「12月中の訴訟」を示唆していた。清武氏の年収から逆算し、「億単位」の損害賠償額の請求も考えられるが、会見で新事実が出て来なかった以上、「読売内の内輪モメ」の印象は否めない。
 「新事実は法廷で切り札として、法廷で明らかにするのではないか」
 そう予想する取材陣もいたが、「コーチを守った」と話した清武氏には、改めて「プロ野球ファン、関係者にもご心配をおかけし、申し訳ございません」という謝罪を述べてほしかった。

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