代理人の吉峯啓晴(ひろはる)弁護士(62)と共に会見場に現れた清武氏は「6点の訴えたいこと」を述べた。以下は会見要旨。
<1>適正なコーチ人事を渡辺会長の鶴の一声で覆されたのはコンプライアンス違反。11日の会見前には「会見を辞めろ。読売新聞と全面戦争になるぞ」と恫喝された。桃井オーナー(当時)も4日の時点で「もう辞めるよ」と漏らしていた。最初に怒りをあらわにしたのは桃井氏。それがきっかけで直談判するに至った。巨人は読売グループ株主のものであり、ファンのものであって、一人の人間のものではない。
<2>4日にマスコミを前にして確信犯的に虚偽の事実「コーチ人事聞いていない」と述べた渡辺氏。コンプライアンス違反はここから始まった。
<3>適正手続きを無視した行為が、入閣を噂された江川卓氏を愚弄することだ。既に決まっていたコーチ人事を蒸し返された。渡辺氏は「江川は悪名高いが無名よりいい。集客も見込める。次は監督だと誰もが思うが、監督にはしないんだ」と言いはなった。「たかが野球選手、たかが江川」というような態度は許せない。
<4>原辰徳監督を今回のゴタゴタに巻き込んでしまった渡辺氏。仕事の範疇以外の江川氏招聘という仕事を原監督に命じることは許されない。
<5>GMの権限を渡辺氏に著しく阻害された。コーチ人事権は私にあった。
<6>解任の底流にあるもの。2004年就任時はターニングポイントだった。明大・一場投手の“栄養費問題”で巨人の信頼は地に落ちたときだった。そのときに就任した私の命題はコンプライアンスの徹底だと思っていた。球団改革、育成システム作り、スカウト制度に力を入れてきた。しかしこれを「鶴の一声」でねじ曲げられては「人の道」に反すると思った。解任はコンプライアンス違反を隠蔽するもので、近いうちに必要な提訴する。
10枚以上に及ぶ配布資料には、清武氏側の主張が事細かに書き込まれていたが、解任までのゴタゴタが述べられただけで、会見で分かったのは訴訟の時期は来月ということくらい。あるスポーツ記者は「これくらいの会見なら次回はないね(取材にこない)。清武氏は新聞記者出身なのに、この規模で記者会見やるなら、新しい真相の暴露があるのではと、どのマスコミも思ってしまう。そのあたりが分かっていない。これならニコニコ生放送の視聴で十分だった」と手厳しい。会見の最後にフリーランスの記者に「トップで権勢を振るっていた清武氏も、渡辺氏と同じ穴の狢(むじな)だったのでは?」との質問され的確に回答できなかったあたりに今回の会見のつまらなさがにじみ出ていた。